14 / 320
私の作戦
しおりを挟む
あの話し合いをしてから、数週間が経った。
未だに、私達はいいアイデアが浮かばずにモヤモヤした日々を過ごしていた。
アルマ様に怪しまれると大変だから、と沙羅とはあの日以来会っていない、少し寂しいけれど
仕方がない。
「けれど、あの人が改心する日なんて本当に来るのかしら」
はぁ……と大きなため息を吐きながら独り言を呟く。
だって、あんなに周りの人達に言われていたというのに、あの人は変わることが出来なかったのだから……
「ううん、考えていたって仕方がないわ。今できることをしなきゃ」
私は頬を叩き、気合を入れる。
まず、しなくちゃいけないのは……沙羅とアルマ様との婚約破棄。
あんな人の横に沙羅は置いておけない。
「そうだわ、沙羅はこっちに来たばかり……学園に通ってもらうのはどうかしら……
それなら、あの人といる時間も短くなるし、もしかしたら学園で出会いもあるかも、よし」
そうと決まれば、私は学園に手紙を書くことにした。
沙羅の事、そして私達が今置かれている状況……すべてを説明して。
勝手にこんな事進めてしまって、沙羅はきっと怒るかもしれないわね……けれど、私に今出来る事
はこのくらいだから……
**********
あの手紙を送ってからすぐ、返事が送られてきた。
その手紙には、明日話がしたいと書かれていて私は慌て準備をし、今日がその当日。
「はぁ……久しぶりの学園……緊張するけれど、何だかワクワクするわね」
キョロキョロと辺りを見回す、私が通っていた頃から何一つ変わらない姿を見せる校舎 それに懐かしさを覚えながら、指定された場所へと足を進める。
しばらく歩くと、見慣れた建物が姿を現した。
「懐かしいわね……あの頃は確か、あの辺りでお茶したり、あ!あそこは私とエミリアがふざけて遊んでいて落っこちた噴水!まだ残って
いたんですね……ふふっ」
あの頃の思い出を思い出すだけで笑みがこぼれてしまう。
けれど、今日ははそんな事をしに来たのではないのだ。
深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。
よしっ!と声を出して扉をノックする。
「……どうぞ」
「失礼します。お久しぶりです、学園長」
「おぉ、ルカ久しぶりじゃな……そこに、座りなさい」
「はい、失礼します」
そう、私が今日会いに来たのはこの学園の学園長。
この方には私が学生の頃本当にお世話になっていて、今でも私の事を気にかけてくれて
くれて、何かあれば力になってくれる心強い味方。
「それで、手紙の件だが……あの、聖女をこの学園に入れたいと」
「はい、あの子はこの世界に来て大変な思いをしています。それに、あの子はまだ高校生だと……だから、少しでもここで楽しいことや嬉しいことを体験して欲しいのです」
そう、沙羅はまだ高校生……この世界で友達を作って、あの人の事を少しでも
忘れられる時間を作ってあげたい、ただそれだけの願いなのだ。
すると、学園長は目を閉じ何かを考えていた。
「あの子は……アルマ様の婚約者だと言ったな?」
「はい、アルマ様は私と婚約破棄して、あの子を……」
「と言う事は、あの子もルカと同じ目にあっていると言う事か……」
「…………はい」
「そうか……」
学園長はそう呟いて、また目を閉じ何かを考え始めた。しばらくして、学園長がゆっくりと口を開く。
「…………わかった、あの子を学園へ受け入れよう。だが、特別扱いはしない」
「もちろんです、私もそうでしたからね」
「ルカは聖女様だというのに本当にお転婆で……」
「そ、それは昔の話ですわ……!!こほん、学園長本当にありがとうございます。でも、彼女が
本当に困ってるときは助けてあげてください。学園の中に私はいないので……」
「…………分かった」
そう言って、学園長は微笑んだ。
良かった……これで、沙羅も少しは気が楽になるはず。
あとは、この話を沙羅に伝えないと……
私は、学園長に挨拶をして学園を後にした後、この話をするため
沙羅のいる屋敷まで向かった。
未だに、私達はいいアイデアが浮かばずにモヤモヤした日々を過ごしていた。
アルマ様に怪しまれると大変だから、と沙羅とはあの日以来会っていない、少し寂しいけれど
仕方がない。
「けれど、あの人が改心する日なんて本当に来るのかしら」
はぁ……と大きなため息を吐きながら独り言を呟く。
だって、あんなに周りの人達に言われていたというのに、あの人は変わることが出来なかったのだから……
「ううん、考えていたって仕方がないわ。今できることをしなきゃ」
私は頬を叩き、気合を入れる。
まず、しなくちゃいけないのは……沙羅とアルマ様との婚約破棄。
あんな人の横に沙羅は置いておけない。
「そうだわ、沙羅はこっちに来たばかり……学園に通ってもらうのはどうかしら……
それなら、あの人といる時間も短くなるし、もしかしたら学園で出会いもあるかも、よし」
そうと決まれば、私は学園に手紙を書くことにした。
沙羅の事、そして私達が今置かれている状況……すべてを説明して。
勝手にこんな事進めてしまって、沙羅はきっと怒るかもしれないわね……けれど、私に今出来る事
はこのくらいだから……
**********
あの手紙を送ってからすぐ、返事が送られてきた。
その手紙には、明日話がしたいと書かれていて私は慌て準備をし、今日がその当日。
「はぁ……久しぶりの学園……緊張するけれど、何だかワクワクするわね」
キョロキョロと辺りを見回す、私が通っていた頃から何一つ変わらない姿を見せる校舎 それに懐かしさを覚えながら、指定された場所へと足を進める。
しばらく歩くと、見慣れた建物が姿を現した。
「懐かしいわね……あの頃は確か、あの辺りでお茶したり、あ!あそこは私とエミリアがふざけて遊んでいて落っこちた噴水!まだ残って
いたんですね……ふふっ」
あの頃の思い出を思い出すだけで笑みがこぼれてしまう。
けれど、今日ははそんな事をしに来たのではないのだ。
深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。
よしっ!と声を出して扉をノックする。
「……どうぞ」
「失礼します。お久しぶりです、学園長」
「おぉ、ルカ久しぶりじゃな……そこに、座りなさい」
「はい、失礼します」
そう、私が今日会いに来たのはこの学園の学園長。
この方には私が学生の頃本当にお世話になっていて、今でも私の事を気にかけてくれて
くれて、何かあれば力になってくれる心強い味方。
「それで、手紙の件だが……あの、聖女をこの学園に入れたいと」
「はい、あの子はこの世界に来て大変な思いをしています。それに、あの子はまだ高校生だと……だから、少しでもここで楽しいことや嬉しいことを体験して欲しいのです」
そう、沙羅はまだ高校生……この世界で友達を作って、あの人の事を少しでも
忘れられる時間を作ってあげたい、ただそれだけの願いなのだ。
すると、学園長は目を閉じ何かを考えていた。
「あの子は……アルマ様の婚約者だと言ったな?」
「はい、アルマ様は私と婚約破棄して、あの子を……」
「と言う事は、あの子もルカと同じ目にあっていると言う事か……」
「…………はい」
「そうか……」
学園長はそう呟いて、また目を閉じ何かを考え始めた。しばらくして、学園長がゆっくりと口を開く。
「…………わかった、あの子を学園へ受け入れよう。だが、特別扱いはしない」
「もちろんです、私もそうでしたからね」
「ルカは聖女様だというのに本当にお転婆で……」
「そ、それは昔の話ですわ……!!こほん、学園長本当にありがとうございます。でも、彼女が
本当に困ってるときは助けてあげてください。学園の中に私はいないので……」
「…………分かった」
そう言って、学園長は微笑んだ。
良かった……これで、沙羅も少しは気が楽になるはず。
あとは、この話を沙羅に伝えないと……
私は、学園長に挨拶をして学園を後にした後、この話をするため
沙羅のいる屋敷まで向かった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
151
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる