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胸の内

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ルカが婚約破棄をするらしい、という噂を聞いたのはたまたまだった。
噂の出所は分からなかったけれど、最近、アイツの周りで色々起こっているらしく、その準備なんじゃないか?だの王子が言っていただの色々言われていたが、その噂が広まった一番の理由は、最近異世界から来たという聖女にアイツが付きまとっているからだ。
あの聖女は何処か、オドオドとしていて、俺は正直そんな奴に聖女の務めなんて出来るのか?と俺は疑ってしまった。
けれどルカは、そんな聖女にも優しく微笑み手を伸ばしていて、俺のバカな考えは消えていった。
―――そうだ、聖女というのはルカの様な人間の事を言うのだ。
だというのに、あのバカは聖女は役に立たないだの、嘘つきだの散々酷い事を言ってルカを傷つけた挙句、婚約破棄だなんて……
「アイツは痛い目に遭わないと分からないんだろうな」
ふっ、と鼻で笑いながらそう呟いた。
けれど、アイツには感謝している、だってあのルカと婚約できたのだから
俺は、昔からルカの事が好きだった、けれど俺がその気持ちに気づいた時
彼女にはもう婚約者……アルマがいた。
その時の俺は悔しくて悔しくて……エミリアに愚痴を言ったような気がする…
あの時は、本当に迷惑をかけてしまったと今でも反省している。
けれど、あの時の彼女は本当に幸せそうで……彼女が幸せなら俺も幸せだと
この気持ちに蓋をした。
けれど、現実はどうだろう?婚約してから彼女から日に日に笑顔が減っていく
じゃないか。
ルカに聞いても、なんでもありませんわ。大丈夫です。しか言わなくて
心配が爆発した俺は、ルカの様子を見に行った……
すると、俺が思っていた生活は無くて、ルカはあのバカに罵倒されいじめられ
周りの人間が止めても、嘘つきを庇うのか!?と怒鳴る始末……
その瞬間、俺の中で何かが切れる音が聞こえた。
俺は、あのバカを呼び出し話し合いをしたが、結局何も変わらない。
噓つきに噓つきと言って何が悪い?だなんて言われた時には正直殴りたくなった。
俺がルカを連れ出して逃げることも考えた、けれどルカは「アルマ様が好きだからそんなことできません」ってあんなに虐められていたのに、まだアイツを好き
なのか?いや、好きでいなきゃいけない……と自分に言い聞かせているように見えた。
そして、あの日……あの馬鹿は婚約破棄された。
俺は、このチャンスを逃したらきっと後悔すると思い部屋から出ていくルカを
追いかけた。
そして、ルカから聞いた話は俺が想像しているよりもとても酷いもので
聖女に……ルカに……こんな事をする人間がまだ存在したことに怒りを覚えた。
だから、俺は協力することにした。
聖女沙羅に……
正直、沙羅と最初に会った時、なんだこの馴れ馴れしい子は?と思ったけれど
改めて、再会した時俺は驚いた……だって、沙羅は……
あの時のルカと同じ瞳をしていたから。
こんな事をしたのは分かっている、アルマだ。
「俺はあんまり役に立たないかもだけれどよろしくね」
「は、はい……よろしくお願いします……」
「緊張しなくて大丈夫よ、ルークは優しい人だから、ね?」
「あはは、そうかな?でも、君の力にはなれると思うよ」
「まぁ~こう見えてルークは結構抜けてるから!安心して!」
「エミリア……それは褒めてるつもりかい?」
「ん~?」
「全く……二人ともいい加減にしなさい。沙羅が困ってるでしょう?
改めて、この四人で頑張りましょうね」
そう言って、ルカは優しく微笑んだ。
あぁ……やっぱり彼女こそが本当の聖女様だ……
ルカに手を出したこと、後悔させてやるからね……アルマ様。
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