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高木沙羅のお話
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あれは、塾で帰りが遅くなった日の事だった。
いつもなら早く帰れるはずだったんだけれど、その日は
何故か先生に質問されて帰るのがかなり遅れてしまった。
もう辺りは真っ暗で、人気なんて全然なかったのを覚えている。
私はその中を、急いで家に帰ろうと走っていた。
すると、前から誰かが来るのが見えて、私は慌てて避けようとしたんだけれど、足がもつれて転んでしまった。
ごめんなさい、そう言おうと思って顔を上げて目に入ったのはギラリと
輝くナイフ。
咄嗟に声を上げようとした時にはもう遅かった、
ザクッ と鈍い音がして痛みを感じたと同時に目の前は暗くなり
呼吸も段々と浅くなる、意識が薄れていく中で 最後に見たのは空に輝く大きな月だった。
**********
目が覚めると、知らない場所にいた。
周りには知らない大人が沢山いて、私の下には大きな魔法陣が描かれていた。
私しんだはずじゃ……?と思いながら辺りを見回すと、コツコツと
靴の音を鳴らしながら一人の男の人が私の前にやってきた。
銀色の綺麗な髪に海のような深い青の様な色の瞳をした綺麗な人で
私は思わず息をするのも忘れて見惚れてしまっていた。
「**********」
「…………え?」
「****?」
目の前の男性は私に何か訴えているようだけれど、私にはその言葉が理解出来なかった。
耳を澄ませば、周りの人たちの言葉も私には理解ができない言語で
その瞬間、あぁ……異世界に来てしまったんだと理解した。
言葉が通じないと言うことは、これからどうすればいいのか全く分からなくて怖くなった。
そんな時、男性が私の頬に手を当てて 優しく微笑みかけてくれた。
そして次の瞬間扉が開き、綺麗な女性が入ってきた。
その人は、綺麗なブロンドの髪にエメラルドの様な瞳を持つまるでお姫様みたいな人だった、
その女性は、目の前の男の人と何か話をしたかと思ったら、私に微笑みかけてくれた。
女の人も、私に何か話しかけてくれていたけれど何を話しているのかは分からなかった。
*****
あの日から数週間、私はお城の様なお家で毎日過ごしている。
言葉は未だに通じていなかったけれど、私が高木沙羅だと自己紹介したのは
何故か通じたようで、片言だけれど私の名前をみんな呼んでくれた。
最初は戸惑ったけど、みんな良い人ばかりですぐに馴染むことが出来た。
何だかんだ楽しく過ごしていたある日。
私は朝から起こされて、綺麗な洋服に着替えさせられ大きな部屋のソファに座らせられた。
そこに、前に会った綺麗なお姉さんと、もう一人綺麗な黒髪で深い紫の瞳を持った男の人が並んでいた。
私は知ってる人が来た!と慌ててお姉さんに駆け寄るけれどやっぱり私の言葉は通じないみたいで、困った顔をさせてしまうだけだった。
けれど、お姉さんは優しくにこっと笑い私の手を握ってくれた、ぽわっと
周りが光に包まれた。
「…………っ、あ……の……」
「沙羅様、私の言葉が分かりますか……?」
それが、このお姉さんと私の初めての会話だった。
**********
「手紙の返事出したのに中々返ってこないなぁ……」
やっぱり聖女様なんだし忙しいのかな?なんて思いながら
私はのんきに手紙の返事を待っていた。
まさか、あの人が私の手紙を止めていただなんてこの時の私は考えても
いなかっただろうなぁ……
いつもなら早く帰れるはずだったんだけれど、その日は
何故か先生に質問されて帰るのがかなり遅れてしまった。
もう辺りは真っ暗で、人気なんて全然なかったのを覚えている。
私はその中を、急いで家に帰ろうと走っていた。
すると、前から誰かが来るのが見えて、私は慌てて避けようとしたんだけれど、足がもつれて転んでしまった。
ごめんなさい、そう言おうと思って顔を上げて目に入ったのはギラリと
輝くナイフ。
咄嗟に声を上げようとした時にはもう遅かった、
ザクッ と鈍い音がして痛みを感じたと同時に目の前は暗くなり
呼吸も段々と浅くなる、意識が薄れていく中で 最後に見たのは空に輝く大きな月だった。
**********
目が覚めると、知らない場所にいた。
周りには知らない大人が沢山いて、私の下には大きな魔法陣が描かれていた。
私しんだはずじゃ……?と思いながら辺りを見回すと、コツコツと
靴の音を鳴らしながら一人の男の人が私の前にやってきた。
銀色の綺麗な髪に海のような深い青の様な色の瞳をした綺麗な人で
私は思わず息をするのも忘れて見惚れてしまっていた。
「**********」
「…………え?」
「****?」
目の前の男性は私に何か訴えているようだけれど、私にはその言葉が理解出来なかった。
耳を澄ませば、周りの人たちの言葉も私には理解ができない言語で
その瞬間、あぁ……異世界に来てしまったんだと理解した。
言葉が通じないと言うことは、これからどうすればいいのか全く分からなくて怖くなった。
そんな時、男性が私の頬に手を当てて 優しく微笑みかけてくれた。
そして次の瞬間扉が開き、綺麗な女性が入ってきた。
その人は、綺麗なブロンドの髪にエメラルドの様な瞳を持つまるでお姫様みたいな人だった、
その女性は、目の前の男の人と何か話をしたかと思ったら、私に微笑みかけてくれた。
女の人も、私に何か話しかけてくれていたけれど何を話しているのかは分からなかった。
*****
あの日から数週間、私はお城の様なお家で毎日過ごしている。
言葉は未だに通じていなかったけれど、私が高木沙羅だと自己紹介したのは
何故か通じたようで、片言だけれど私の名前をみんな呼んでくれた。
最初は戸惑ったけど、みんな良い人ばかりですぐに馴染むことが出来た。
何だかんだ楽しく過ごしていたある日。
私は朝から起こされて、綺麗な洋服に着替えさせられ大きな部屋のソファに座らせられた。
そこに、前に会った綺麗なお姉さんと、もう一人綺麗な黒髪で深い紫の瞳を持った男の人が並んでいた。
私は知ってる人が来た!と慌ててお姉さんに駆け寄るけれどやっぱり私の言葉は通じないみたいで、困った顔をさせてしまうだけだった。
けれど、お姉さんは優しくにこっと笑い私の手を握ってくれた、ぽわっと
周りが光に包まれた。
「…………っ、あ……の……」
「沙羅様、私の言葉が分かりますか……?」
それが、このお姉さんと私の初めての会話だった。
**********
「手紙の返事出したのに中々返ってこないなぁ……」
やっぱり聖女様なんだし忙しいのかな?なんて思いながら
私はのんきに手紙の返事を待っていた。
まさか、あの人が私の手紙を止めていただなんてこの時の私は考えても
いなかっただろうなぁ……
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