30 / 69
31.最悪な未来
しおりを挟む
宣言通り、リリーさんと広場をぐるりと回った。色々な出店があったけれど、ライリット国では見たことがないようなものばかりで興味深く、思ったよりも時間を使ってしまっていて。太陽が真上に差し掛かりそうなあたりで、ようやく満足して時計台へと足を向けた。
「こちらです…道が少し狭いので、気を付けてくださいね…」
「ああ、大丈夫です。この道、先日通ったので」
「あぇ、そうなんですか…この辺りは住宅街なのであまり来ないものかと…と、時計台への近道を教えるだなんて、調子に乗ってしまってすみません…」
しゅんと眉を下げたリリーさんに、「通りの向こうにある『魔道具』を売っているお店へ行くのに通っただけです」とわたしは慌てて首を横に振った。本当に時計台への道は知らない。ここは先日、リオスさんに案内してもらったとき前述の通りに使っただけで、途中までしか歩いていなかった。
「そ、そうですか…」と安心したように息をついたリリーさんが、気を取り直すように微笑んで先導してくれた。
「(…なんだか、今日は何回もリオスさんのこと思い出すなぁ)」
リリーさんの背中を見ながら心の中で苦笑した。中央広場のことも含めると、いったい何回目だろうか。
別に不自然なことではない、わたしがまともにこの街を歩いたのは件のリオスさんに案内された日のことだ。その後何回も街に出ているけれど、最初の記憶というのは鮮明に残るものだろう。だから時計台だったり中央広場だったり、ただの通路だったり。覚えのある場所が話に出るたび、あの日、隣にいた彼のことを思い浮かべるのは当然だと思う。
…なんて、誰に聞かれるわけでもないのに心の中で繰り返してしまう言い訳に、つい苦笑してしまった。
『あの日』、わたしはリオスさんへの気持ちを自覚した。してしまったと言うべきかもしれない。絶対伝えるべきことではないと理解しているので、当然彼には何も言っていないし、態度にも出さないように気を付けている。…本当に隠せているかは定かではないけれど。慣れない感情に振り回されている自覚はあるので、正直自分ではわからないのである。
幸いと言うべきか、あれから今日のお祭りに向けた準備が忙しいとのことで、リオスさんとはまともに顔を合わせていなかった。
なんでも今日の警備隊はグループに分かれ、主要地点に人員を配置、残りの人員でパトロールを行うのだそうだ。警備隊本部と合同でリオスさんの隊も動くため、隊同士の折り合いの付け方やら人員の置き方やらで寝る間も惜しむほどだったらしい。らしい、というのはリオスさんの代わりに王城で出入り―警備隊の訓練は変わらず行われていたので、ガラットとの騒動もひと段落したからと『身体強化の魔法使い』として参加していた―する際、ついてくれたオリバーさんに聞いたのだ。
リオスさんが会いに来てくれなければ、わたしは本当に彼と顔を合わせられるような立場ではないのだと改めて思う。
「(当然だよね。わたしはただの一般人だもの)」
警備隊の誘いに乗れば、少なくとも上司と部下という関係で顔を合わせることはできる。しかしわたしはまだ夢を追うことを優先したいと思っているし、何よりそんな不純な動機で入隊するなどリオスさんにはもちろん、真面目に働いている隊員の人たちにも失礼なことだろう。
「(…自覚してしまった以上、リオスさんの親切にいつまでも甘えているわけにはいかない。そろそろ、本当にどうするか決めなきゃ)」
おばあちゃんみたいな偉大な魔女になるにはどうすれば良いのか。わたしがどういう魔女になりたいか。
「アシェラ様、そろそろ着きますよ…ほら、あ、あそこに時計台の屋根が見えてきていますから…」
リリーさんの声に我に返った。いつの間にか下げていた視線を上げると、彼女はこちらを振り向いて斜め前を指さしている。その先に目を向ければ、確かに先日見た時計台のてっぺんが見えた。
そのまま少し進んでいけば、大時計の上の方が民家の隙間から顔を出す。
「もう着くんですね。先日中央広場から歩いたときはもっと時間がかかったので、あそこからは距離があるイメージでした」
「あの広場は、名前の通り街の真ん中に位置していますから…街の西にある時計台とは少し離れています…た、ただ今の道ならほぼ直線なので、近くなるんですよ…」
この間は大通りから向かったので、結果的に回り道になったのだろう。ただその道中には魔法を扱う興味深いお店だとか、料理の美味しそうなレストランなどもあったので、結果的に遠回りして良かったと思っている。今度時計台に向かうときは、時間を節約したいか寄り道をしたいかで道を決めよう。
わたしは目的の建物を見上げた。喋りながらも足は動かしているので、今は大時計の半分くらいが見えていた。あれをこれから間近で見られる、しかも年に一回という貴重な機会だと思うと、自然と心が弾んだ。
―――瞬間、視界がいきなり切り替わった。
大時計が15時を指している。いや、正確にはちょうど今15時を指したようだ。かち、と長針が動いて12の文字盤へと振れた。
途端、眩い光と轟音が視覚と聴覚を覆った。何が何だかわからなかった。混乱している間に視界がブレ、またピントが合った時には景色が一変していた。
大時計や周囲のレンガは崩れ落ち、黒焦げになっていた。炎もあちこちで上がっている。誰かの悲鳴や叫び声、すすり泣く音なんかが聞こえてくる。
先ほどの光と轟音が爆発のそれだと気付いたのは、目の前の地獄絵図を目にしてからだった。大時計が爆発したのだと、直感で理解できた。
大時計が目の前にある――正確にはあったということは、ここはレフィルト国のシンボルである時計台だ。もっと言うなら今日限定で解放されている最上階。そして辺りで倒れたり逃げ惑っている人々は、この時計台を見学しに来た人だろう。先ほどまでのわたしと同じように、こんな惨劇が起こることを知らず、貴重な大時計を見に来た人たち。
ふと視線を下に下げれば、赤い髪を三つ編みにまとめている小さな女の子が、目を閉じて倒れていた。綺麗に結われていたのだろう髪はあちこちほつれている。四肢は地面に投げ出されている。近くに、ウサギのぬいぐるみと彼女の頭と同じくらい大きい瓦礫が転がっていた。よく見ると瓦礫の表面が赤黒く汚れている。さらによく見れば、彼女の赤毛の隙間から、髪よりも赤い何かが…
「アシェラ様!」
鋭い声と肩を揺さぶられる感覚に、目の前の映像が途切れた。瞬きの間に、リリーさんの焦った顔へと視界が切り替わる。
「…あ…リリー、さん…?」
自分の声とは思えないほどか細かった。
リリーさんは心配そうに「だ、大丈夫ですか?」とわたしを覗き込んだ。大丈夫、と返したかったけれど、声が出なかった。ひゅー、ひゅー、と嫌な呼吸が喉から鳴っている。息がうまくできない。
「お、落ち着いてください…ど、どこかで休みましょう…!」
「…ぁ、だ、だめ!」
来た道を戻ろうとしたリリーさんを止めるように、肩に添えられていた彼女の手を掴み返した。そこで初めて、わたしは自分の手が、いや全身が震えていることに気づいた。
驚いて振り返ったリリーさんに、わたしは今見た映像を伝えなければと口を開く。声が出なかった。三回ほど言葉になりそこなった息を吐き出し、四回目でようやく声を絞り出す。
「すぐ、時計台に行きましょう…」
「え、で、でも、アシェラ様すごく体調が悪そうですよ? 先ほども、急に立ち止まってしまわれたと思えば、どんどん青ざめていって…震えも…」
「い、行かないとダメなんです!」
今の時間はすでに12時を回っている。もうあまり時間がない。
「15時に、時計台が爆発します! たくさんの人が犠牲になってしまう…絶対止めないと…!」
「こちらです…道が少し狭いので、気を付けてくださいね…」
「ああ、大丈夫です。この道、先日通ったので」
「あぇ、そうなんですか…この辺りは住宅街なのであまり来ないものかと…と、時計台への近道を教えるだなんて、調子に乗ってしまってすみません…」
しゅんと眉を下げたリリーさんに、「通りの向こうにある『魔道具』を売っているお店へ行くのに通っただけです」とわたしは慌てて首を横に振った。本当に時計台への道は知らない。ここは先日、リオスさんに案内してもらったとき前述の通りに使っただけで、途中までしか歩いていなかった。
「そ、そうですか…」と安心したように息をついたリリーさんが、気を取り直すように微笑んで先導してくれた。
「(…なんだか、今日は何回もリオスさんのこと思い出すなぁ)」
リリーさんの背中を見ながら心の中で苦笑した。中央広場のことも含めると、いったい何回目だろうか。
別に不自然なことではない、わたしがまともにこの街を歩いたのは件のリオスさんに案内された日のことだ。その後何回も街に出ているけれど、最初の記憶というのは鮮明に残るものだろう。だから時計台だったり中央広場だったり、ただの通路だったり。覚えのある場所が話に出るたび、あの日、隣にいた彼のことを思い浮かべるのは当然だと思う。
…なんて、誰に聞かれるわけでもないのに心の中で繰り返してしまう言い訳に、つい苦笑してしまった。
『あの日』、わたしはリオスさんへの気持ちを自覚した。してしまったと言うべきかもしれない。絶対伝えるべきことではないと理解しているので、当然彼には何も言っていないし、態度にも出さないように気を付けている。…本当に隠せているかは定かではないけれど。慣れない感情に振り回されている自覚はあるので、正直自分ではわからないのである。
幸いと言うべきか、あれから今日のお祭りに向けた準備が忙しいとのことで、リオスさんとはまともに顔を合わせていなかった。
なんでも今日の警備隊はグループに分かれ、主要地点に人員を配置、残りの人員でパトロールを行うのだそうだ。警備隊本部と合同でリオスさんの隊も動くため、隊同士の折り合いの付け方やら人員の置き方やらで寝る間も惜しむほどだったらしい。らしい、というのはリオスさんの代わりに王城で出入り―警備隊の訓練は変わらず行われていたので、ガラットとの騒動もひと段落したからと『身体強化の魔法使い』として参加していた―する際、ついてくれたオリバーさんに聞いたのだ。
リオスさんが会いに来てくれなければ、わたしは本当に彼と顔を合わせられるような立場ではないのだと改めて思う。
「(当然だよね。わたしはただの一般人だもの)」
警備隊の誘いに乗れば、少なくとも上司と部下という関係で顔を合わせることはできる。しかしわたしはまだ夢を追うことを優先したいと思っているし、何よりそんな不純な動機で入隊するなどリオスさんにはもちろん、真面目に働いている隊員の人たちにも失礼なことだろう。
「(…自覚してしまった以上、リオスさんの親切にいつまでも甘えているわけにはいかない。そろそろ、本当にどうするか決めなきゃ)」
おばあちゃんみたいな偉大な魔女になるにはどうすれば良いのか。わたしがどういう魔女になりたいか。
「アシェラ様、そろそろ着きますよ…ほら、あ、あそこに時計台の屋根が見えてきていますから…」
リリーさんの声に我に返った。いつの間にか下げていた視線を上げると、彼女はこちらを振り向いて斜め前を指さしている。その先に目を向ければ、確かに先日見た時計台のてっぺんが見えた。
そのまま少し進んでいけば、大時計の上の方が民家の隙間から顔を出す。
「もう着くんですね。先日中央広場から歩いたときはもっと時間がかかったので、あそこからは距離があるイメージでした」
「あの広場は、名前の通り街の真ん中に位置していますから…街の西にある時計台とは少し離れています…た、ただ今の道ならほぼ直線なので、近くなるんですよ…」
この間は大通りから向かったので、結果的に回り道になったのだろう。ただその道中には魔法を扱う興味深いお店だとか、料理の美味しそうなレストランなどもあったので、結果的に遠回りして良かったと思っている。今度時計台に向かうときは、時間を節約したいか寄り道をしたいかで道を決めよう。
わたしは目的の建物を見上げた。喋りながらも足は動かしているので、今は大時計の半分くらいが見えていた。あれをこれから間近で見られる、しかも年に一回という貴重な機会だと思うと、自然と心が弾んだ。
―――瞬間、視界がいきなり切り替わった。
大時計が15時を指している。いや、正確にはちょうど今15時を指したようだ。かち、と長針が動いて12の文字盤へと振れた。
途端、眩い光と轟音が視覚と聴覚を覆った。何が何だかわからなかった。混乱している間に視界がブレ、またピントが合った時には景色が一変していた。
大時計や周囲のレンガは崩れ落ち、黒焦げになっていた。炎もあちこちで上がっている。誰かの悲鳴や叫び声、すすり泣く音なんかが聞こえてくる。
先ほどの光と轟音が爆発のそれだと気付いたのは、目の前の地獄絵図を目にしてからだった。大時計が爆発したのだと、直感で理解できた。
大時計が目の前にある――正確にはあったということは、ここはレフィルト国のシンボルである時計台だ。もっと言うなら今日限定で解放されている最上階。そして辺りで倒れたり逃げ惑っている人々は、この時計台を見学しに来た人だろう。先ほどまでのわたしと同じように、こんな惨劇が起こることを知らず、貴重な大時計を見に来た人たち。
ふと視線を下に下げれば、赤い髪を三つ編みにまとめている小さな女の子が、目を閉じて倒れていた。綺麗に結われていたのだろう髪はあちこちほつれている。四肢は地面に投げ出されている。近くに、ウサギのぬいぐるみと彼女の頭と同じくらい大きい瓦礫が転がっていた。よく見ると瓦礫の表面が赤黒く汚れている。さらによく見れば、彼女の赤毛の隙間から、髪よりも赤い何かが…
「アシェラ様!」
鋭い声と肩を揺さぶられる感覚に、目の前の映像が途切れた。瞬きの間に、リリーさんの焦った顔へと視界が切り替わる。
「…あ…リリー、さん…?」
自分の声とは思えないほどか細かった。
リリーさんは心配そうに「だ、大丈夫ですか?」とわたしを覗き込んだ。大丈夫、と返したかったけれど、声が出なかった。ひゅー、ひゅー、と嫌な呼吸が喉から鳴っている。息がうまくできない。
「お、落ち着いてください…ど、どこかで休みましょう…!」
「…ぁ、だ、だめ!」
来た道を戻ろうとしたリリーさんを止めるように、肩に添えられていた彼女の手を掴み返した。そこで初めて、わたしは自分の手が、いや全身が震えていることに気づいた。
驚いて振り返ったリリーさんに、わたしは今見た映像を伝えなければと口を開く。声が出なかった。三回ほど言葉になりそこなった息を吐き出し、四回目でようやく声を絞り出す。
「すぐ、時計台に行きましょう…」
「え、で、でも、アシェラ様すごく体調が悪そうですよ? 先ほども、急に立ち止まってしまわれたと思えば、どんどん青ざめていって…震えも…」
「い、行かないとダメなんです!」
今の時間はすでに12時を回っている。もうあまり時間がない。
「15時に、時計台が爆発します! たくさんの人が犠牲になってしまう…絶対止めないと…!」
2
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
離縁してくださいと言ったら、大騒ぎになったのですが?
ネコ
恋愛
子爵令嬢レイラは北の領主グレアムと政略結婚をするも、彼が愛しているのは幼い頃から世話してきた従姉妹らしい。夫婦生活らしい交流すらなく、仕事と家事を押し付けられるばかり。ある日、従姉妹とグレアムの微妙な関係を目撃し、全てを諦める。
愛しき冷血宰相へ別れの挨拶を
川上桃園
恋愛
「どうかもう私のことはお忘れください。閣下の幸せを、遠くから見守っております」
とある国で、宰相閣下が結婚するという新聞記事が出た。
これを見た地方官吏のコーデリアは突如、王都へ旅立った。亡き兄の友人であり、年上の想い人でもある「彼」に別れを告げるために。
だが目当ての宰相邸では使用人に追い返されて途方に暮れる。そこに出くわしたのは、彼と結婚するという噂の美しき令嬢の姿だった――。
これは、冷血宰相と呼ばれた彼の結婚を巡る、恋のから騒ぎ。最後はハッピーエンドで終わるめでたしめでたしのお話です。
完結まで執筆済み、毎日更新
もう少しだけお付き合いください
第22回書き出し祭り参加作品
2025.1.26 女性向けホトラン1位ありがとうございます
兄にいらないと言われたので勝手に幸せになります
毒島醜女
恋愛
モラハラ兄に追い出された先で待っていたのは、甘く幸せな生活でした。
侯爵令嬢ライラ・コーデルは、実家が平民出の聖女ミミを養子に迎えてから実の兄デイヴィッドから冷遇されていた。
家でも学園でも、デビュタントでも、兄はいつもミミを最優先する。
友人である王太子たちと一緒にミミを持ち上げてはライラを貶めている始末だ。
「ミミみたいな可愛い妹が欲しかった」
挙句の果てには兄が婚約を破棄した辺境伯家の元へ代わりに嫁がされることになった。
ベミリオン辺境伯の一家はそんなライラを温かく迎えてくれた。
「あなたの笑顔は、どんな宝石や星よりも綺麗に輝いています!」
兄の元婚約者の弟、ヒューゴは不器用ながらも優しい愛情をライラに与え、甘いお菓子で癒してくれた。
ライラは次第に笑顔を取り戻し、ベミリオン家で幸せになっていく。
王都で聖女が起こした騒動も知らずに……
幸せな帝国生活 ~「失敗作」と呼ばれていた王女、人質として差し出された帝国で「最重要人物」に指定される~
絢乃
恋愛
魔力が低いと蔑まれ「失敗作」扱いだった王女ソフィアは、人質として宗主国の帝国に送られる。
しかし、実は彼女の持つ魔力には魔物を追い払う特殊な属性が備わっていた。
そのことに気づいた帝国の皇太子アルトは、ソフィアに力を貸してほしいと頼む。
ソフィアは承諾し、二人は帝国の各地を回る旅に出る――。
もう失敗作とは言わせない!
落ちこぼれ扱いされていた王女の幸せな帝国生活が幕を開ける。
願いの代償
らがまふぃん
恋愛
誰も彼もが軽視する。婚約者に家族までも。
公爵家に生まれ、王太子の婚約者となっても、誰からも認められることのないメルナーゼ・カーマイン。
唐突に思う。
どうして頑張っているのか。
どうして生きていたいのか。
もう、いいのではないだろうか。
メルナーゼが生を諦めたとき、世界の運命が決まった。
*ご都合主義です。わかりづらいなどありましたらすみません。笑って読んでくださいませ。本編15話で完結です。番外編を数話、気まぐれに投稿します。よろしくお願いいたします。
いくら政略結婚だからって、そこまで嫌わなくてもいいんじゃないですか?いい加減、腹が立ってきたんですけど!
夢呼
恋愛
伯爵令嬢のローゼは大好きな婚約者アーサー・レイモンド侯爵令息との結婚式を今か今かと待ち望んでいた。
しかし、結婚式の僅か10日前、その大好きなアーサーから「私から愛されたいという思いがあったら捨ててくれ。それに応えることは出来ない」と告げられる。
ローゼはその言葉にショックを受け、熱を出し寝込んでしまう。数日間うなされ続け、やっと目を覚ました。前世の記憶と共に・・・。
愛されることは無いと分かっていても、覆すことが出来ないのが貴族間の政略結婚。日本で生きたアラサー女子の「私」が八割心を占めているローゼが、この政略結婚に臨むことになる。
いくら政略結婚といえども、親に孫を見せてあげて親孝行をしたいという願いを持つローゼは、何とかアーサーに振り向いてもらおうと頑張るが、鉄壁のアーサーには敵わず。それどころか益々嫌われる始末。
一体私の何が気に入らないんだか。そこまで嫌わなくてもいいんじゃないんですかね!いい加減腹立つわっ!
世界観はゆるいです!
カクヨム様にも投稿しております。
※10万文字を超えたので長編に変更しました。
戦いに行ったはずの騎士様は、女騎士を連れて帰ってきました。
新野乃花(大舟)
恋愛
健気にカサルの帰りを待ち続けていた、彼の婚約者のルミア。しかし帰還の日にカサルの隣にいたのは、同じ騎士であるミーナだった。親し気な様子をアピールしてくるミーナに加え、カサルもまた満更でもないような様子を見せ、ついにカサルはルミアに婚約破棄を告げてしまう。これで騎士としての真実の愛を手にすることができたと豪語するカサルであったものの、彼はその後すぐにあるきっかけから今夜破棄を大きく後悔することとなり…。
雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜
川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。
前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。
恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。
だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。
そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。
「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」
レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。
実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。
女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。
過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。
二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる