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1.プロローグ
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「いいかい? おまえさんは自分に正直に生きなさい。そうすれば必ず幸せな未来が手に入るよ」
「正直に生きるだけで良いの? そんなのとってもカンタンよ、おばあちゃん」
「いんや。これからおまえさんはとても苦労することになるのさ。お金持ちの家に引き取られるけど、そこで良い暮らしができるのは最初だけ。後からくる継母と継姉には気を付けるんだよ。絶対に気を許しちゃいけない。とーっても悪い子らだからねぇ」
「えー、それならわたし、そんなところ行かないよ。それにわたしはおばあちゃんとずっと一緒にいるもの」
言いながらおばあちゃんの腰に抱き着けば、優しい手で頭を撫でてくれた。その時おばあちゃんがどんな表情をしていたのか、幼いわたしは顔を上げて確認することすらしなかった。する必要などないと思っていた。
「そうさねぇ、ばあちゃんが一緒にいて守ってあげられればねぇ」
「わたしもう九つになったのよ? わたしがおばあちゃんを守ってあげる番だよ」
「あらあら、この偉大なる魔女を守ろうだなんて、偉くなったもんだねぇ」
ぎゅ、とおばあちゃんがわたしの頭を抱きしめる。
自称偉大なる魔女。この時のわたしは、「またおばあちゃんが冗談言ってる」程度の認識だった。
「どんなに大変でも、自分に正直に、まっすぐ生きなさい。そうして幸せになるんだ―――約束だよ、可愛いアシェラ」
この2年後、11歳のときにおばあちゃんは老衰で亡くなり、天涯孤独となったわたしはとある貴族男性の隠し子としてお金持ちの家に引き取られることになった。
後から知ったことだが、わたしが産まれると同時に亡くなった母は引き取られた貴族男性の屋敷でメイドとして働いており、そこの主人の子を身ごもったらしい。経緯は分からないけれど、妊婦の身で実家へと母が転がり込んでいたことから後ろ暗いことがあったのだろう。知りたくもないけれど。
それから4年間はそれなりに平和だったと思う。血縁上も書類上も父となった男性は貴族の中でも上位の爵位を持っている人だったみたいで、お金で買えるものは何でも与えてくれた。平民だったわたしがそれなりな見栄えになるくらい、教育してくれる環境ももらった。スパルタな先生にしごかれて、死に物狂いで覚えざるを得なかったからまあ当然とも言える。
それ以外、父親らしいことは何一つしてくれなかったけれど。わたしは父には感謝していた。彼が引き取ってくれなければあのままわたしは野垂れ死んでいただろうから。
ただ、わたしが15歳になったとき、再婚相手にと連れてきた未亡人。彼女を選んだあの見る目のなさだけは、絶対に許さないと思っている。
わたしの継母となった女性と、彼女が連れてきた4つ年上の継姉。かつておばあちゃんが言っていた「とーっても悪い子ら」という言葉を痛感するのに、そんなに時間はかからなかった。
「アシェラ・イリシオス! 君のような悪女との婚約は破棄させてもらう!」
大陸の東にある都市ライリット。大陸内でも上位を争うほど栄えたライリット最大の学園は、平民貴族関係なく、十代の少年少女が通う最大の教育機関だった。
そんな学園の卒業パーティで、高らかに宣言された内容をわたしは冷静に聞いていた。目の前で、侮蔑の視線を向けてくる男はどうだと言わんばかりに胸をふんぞり返らせている。そう、婚約破棄を告げられたアシェラとは、まさにわたしのことだ。
「何故、と理由を聞いても無駄なようですね」
「何故だと!? 自分の胸に手を当てて考えてみるが良い!」
無駄に伸びた髪を振り乱し、唾を飛ばさんばかりに叫ぶ婚約者――いや、元婚約者に従い、わたしは胸に手を当ててみた。パーティに合わせて一応着てきたドレスの装飾がこすれて微かに音を立てた。いけない、丁寧に扱わないと。いくら義姉のお古とはいえ、万が一にも壊してしまったら義母に嫌味を言われてしまう。
とりあえず考えるポーズは取ったものの、悪女などと言われるような心当たりなど微塵もない。少し傾いていた胸元のブローチの向きを直してから、頬に手を当てた。
「…どれだけ考えてみても心当たりはありませんわね」
努めて冷静に言いながら、ついでに小首も傾げてやった。そうすれば元婚約者は貴族にあるまじき憤怒の表情で顔を真っ赤にしている。さすが義母が勝手に決めてきたお金しか取り柄のない男だ。品性の欠片もない反応である。
「姉のダリア嬢にした仕打ちをしらばっくれるつもりか!? 身も心も美しい彼女とは違い、なるほど貴様は見た目だけの女だな!」
この期に及んで見た目だけは褒めてもらえるとは光栄ですね。そう口から出そうになった皮肉はギリギリ飲み込んだ。
「本当に心当たりはありません。具体的にお教えいただきませんと、わたしから言えることは何もございませんわ」
「面の皮が厚いとは貴様のための言葉なのだろうな。良いだろう、教えてやる。
貴様は後妻の娘という理由で姉のダリア嬢に対して相当な嫌がらせを繰り返していたそうだな! わざと水をかけたり、彼女の私物を壊したり、使用人のように家の仕事を命じることなど日常茶飯事だったと聞いている!」
「はあ…具体的にはいつどこで起きたことでしょうか?」
「最近だけでも一週間前に街外れの店を指定して無理やり買い出しに行かせ、三日前に花瓶の水をかけ、昨日にはダリア嬢の大切なネックレスを目の前で踏みつけ壊したそうじゃないか!」
その後もつらつらとわたしの悪事とやらを元婚約者は述べていたが、聞いてみればそれらは全てわたしが義母や義姉にされた嫌がらせの数々であった。あ、ただネックレスの話は完全な捏造。わたしの手元には最早壊されるだけの私物はないし。
無駄にでかい彼の声につられて、すでに会場の目という目はこちらに向いていた。しかしわたしに向けられるのはすべて嘲笑や侮蔑の視線ばかり。当然だ。すでにこの学園の貴族にわたしの味方はいない。貴族ばかりが集まるこの会場は、敵しかいないのだ。
「すべて身に覚えのないことです」
加害者と被害者を入れ替えたならば覚えはごまんとある。
しかしわたしの方が被害者だなどと言ったところで聞きやしないのだから口にはしない。話の通じない相手に対して、根気強く語りかける慈愛の精神などあいにくと持ち合わせていないので。
「貴様…!」
「何度言われようとわたしは何の悪事もしておりませんし、犯してもいない罪を認めることは断じていたしません。これ以上の話しても時間の無駄ですわ。婚約破棄については承知いたしましたので、後ほどイリシオス家に書状を送ってくださいませ」
それでは失礼いたします。
貴族の礼儀として最初に覚えさせられたカーテシー。それが最も綺麗に見えるように指先にまで神経を使い、ドレスの裾を持ち上げて一礼した。
あなたの言葉なんて何にも響かないのよ。そう言い放ちたい気持ちをぐっと堪え、くるりと背を向けた。
わたしがあまりにも堂々としているからか、周囲を取り囲んでいた貴族たちはいつの間にか静かになっていた。ふん、と我慢できなかった鼻が鳴ってしまった。一歩踏み出せば、見栄えだけ綺麗に整えたビカビカと目に優しくない波が割れて、わたしに道をあける。
二歩、三歩、四歩。
五歩目を踏み出したところで、わたしはドレスの裾を押さえて右へと身を滑らせた。と、同時に。
「馬鹿にするのも大概にしろっ!」
怒りで顔を真っ赤に染め上げた元婚約者が、拳を振り上げて突っ込んできた。彼は当然前に進んでいたわたしに倣い、その方向へと拳を振るった。誰もいない、前へと。
盛大に空ぶった拳があまりの勢いだったのか、そのまま引っ張られた彼の体は無様に床へと転がった。顔面から突っ込んでいったから結構痛いんじゃないかな。まあいい気味としか思わないけれど。
「あらあら、騒いだせいでお疲れなのかしら? 早く休まれた方がよろしいですよ」
くすり、と満面の笑みを向けてやると、元婚約者殿は涙目で何かフガフガと叫んでいた。生憎と鼻を押さえているために言葉として聞き取れないので、わたしは無視して割れた人波を進んで行く。
「今、どうして避けられたんだ?」
「完全に後ろを向いていたのに」
聞こえてくるひそひそ声に、得意げに応えてやりたい気持ちをどうにか抑え込む。代わりに心の中で叫んでおきましょうか。何故こんなことができたのかって?
―――この『未来』を『視て』知っていたからよ!
「正直に生きるだけで良いの? そんなのとってもカンタンよ、おばあちゃん」
「いんや。これからおまえさんはとても苦労することになるのさ。お金持ちの家に引き取られるけど、そこで良い暮らしができるのは最初だけ。後からくる継母と継姉には気を付けるんだよ。絶対に気を許しちゃいけない。とーっても悪い子らだからねぇ」
「えー、それならわたし、そんなところ行かないよ。それにわたしはおばあちゃんとずっと一緒にいるもの」
言いながらおばあちゃんの腰に抱き着けば、優しい手で頭を撫でてくれた。その時おばあちゃんがどんな表情をしていたのか、幼いわたしは顔を上げて確認することすらしなかった。する必要などないと思っていた。
「そうさねぇ、ばあちゃんが一緒にいて守ってあげられればねぇ」
「わたしもう九つになったのよ? わたしがおばあちゃんを守ってあげる番だよ」
「あらあら、この偉大なる魔女を守ろうだなんて、偉くなったもんだねぇ」
ぎゅ、とおばあちゃんがわたしの頭を抱きしめる。
自称偉大なる魔女。この時のわたしは、「またおばあちゃんが冗談言ってる」程度の認識だった。
「どんなに大変でも、自分に正直に、まっすぐ生きなさい。そうして幸せになるんだ―――約束だよ、可愛いアシェラ」
この2年後、11歳のときにおばあちゃんは老衰で亡くなり、天涯孤独となったわたしはとある貴族男性の隠し子としてお金持ちの家に引き取られることになった。
後から知ったことだが、わたしが産まれると同時に亡くなった母は引き取られた貴族男性の屋敷でメイドとして働いており、そこの主人の子を身ごもったらしい。経緯は分からないけれど、妊婦の身で実家へと母が転がり込んでいたことから後ろ暗いことがあったのだろう。知りたくもないけれど。
それから4年間はそれなりに平和だったと思う。血縁上も書類上も父となった男性は貴族の中でも上位の爵位を持っている人だったみたいで、お金で買えるものは何でも与えてくれた。平民だったわたしがそれなりな見栄えになるくらい、教育してくれる環境ももらった。スパルタな先生にしごかれて、死に物狂いで覚えざるを得なかったからまあ当然とも言える。
それ以外、父親らしいことは何一つしてくれなかったけれど。わたしは父には感謝していた。彼が引き取ってくれなければあのままわたしは野垂れ死んでいただろうから。
ただ、わたしが15歳になったとき、再婚相手にと連れてきた未亡人。彼女を選んだあの見る目のなさだけは、絶対に許さないと思っている。
わたしの継母となった女性と、彼女が連れてきた4つ年上の継姉。かつておばあちゃんが言っていた「とーっても悪い子ら」という言葉を痛感するのに、そんなに時間はかからなかった。
「アシェラ・イリシオス! 君のような悪女との婚約は破棄させてもらう!」
大陸の東にある都市ライリット。大陸内でも上位を争うほど栄えたライリット最大の学園は、平民貴族関係なく、十代の少年少女が通う最大の教育機関だった。
そんな学園の卒業パーティで、高らかに宣言された内容をわたしは冷静に聞いていた。目の前で、侮蔑の視線を向けてくる男はどうだと言わんばかりに胸をふんぞり返らせている。そう、婚約破棄を告げられたアシェラとは、まさにわたしのことだ。
「何故、と理由を聞いても無駄なようですね」
「何故だと!? 自分の胸に手を当てて考えてみるが良い!」
無駄に伸びた髪を振り乱し、唾を飛ばさんばかりに叫ぶ婚約者――いや、元婚約者に従い、わたしは胸に手を当ててみた。パーティに合わせて一応着てきたドレスの装飾がこすれて微かに音を立てた。いけない、丁寧に扱わないと。いくら義姉のお古とはいえ、万が一にも壊してしまったら義母に嫌味を言われてしまう。
とりあえず考えるポーズは取ったものの、悪女などと言われるような心当たりなど微塵もない。少し傾いていた胸元のブローチの向きを直してから、頬に手を当てた。
「…どれだけ考えてみても心当たりはありませんわね」
努めて冷静に言いながら、ついでに小首も傾げてやった。そうすれば元婚約者は貴族にあるまじき憤怒の表情で顔を真っ赤にしている。さすが義母が勝手に決めてきたお金しか取り柄のない男だ。品性の欠片もない反応である。
「姉のダリア嬢にした仕打ちをしらばっくれるつもりか!? 身も心も美しい彼女とは違い、なるほど貴様は見た目だけの女だな!」
この期に及んで見た目だけは褒めてもらえるとは光栄ですね。そう口から出そうになった皮肉はギリギリ飲み込んだ。
「本当に心当たりはありません。具体的にお教えいただきませんと、わたしから言えることは何もございませんわ」
「面の皮が厚いとは貴様のための言葉なのだろうな。良いだろう、教えてやる。
貴様は後妻の娘という理由で姉のダリア嬢に対して相当な嫌がらせを繰り返していたそうだな! わざと水をかけたり、彼女の私物を壊したり、使用人のように家の仕事を命じることなど日常茶飯事だったと聞いている!」
「はあ…具体的にはいつどこで起きたことでしょうか?」
「最近だけでも一週間前に街外れの店を指定して無理やり買い出しに行かせ、三日前に花瓶の水をかけ、昨日にはダリア嬢の大切なネックレスを目の前で踏みつけ壊したそうじゃないか!」
その後もつらつらとわたしの悪事とやらを元婚約者は述べていたが、聞いてみればそれらは全てわたしが義母や義姉にされた嫌がらせの数々であった。あ、ただネックレスの話は完全な捏造。わたしの手元には最早壊されるだけの私物はないし。
無駄にでかい彼の声につられて、すでに会場の目という目はこちらに向いていた。しかしわたしに向けられるのはすべて嘲笑や侮蔑の視線ばかり。当然だ。すでにこの学園の貴族にわたしの味方はいない。貴族ばかりが集まるこの会場は、敵しかいないのだ。
「すべて身に覚えのないことです」
加害者と被害者を入れ替えたならば覚えはごまんとある。
しかしわたしの方が被害者だなどと言ったところで聞きやしないのだから口にはしない。話の通じない相手に対して、根気強く語りかける慈愛の精神などあいにくと持ち合わせていないので。
「貴様…!」
「何度言われようとわたしは何の悪事もしておりませんし、犯してもいない罪を認めることは断じていたしません。これ以上の話しても時間の無駄ですわ。婚約破棄については承知いたしましたので、後ほどイリシオス家に書状を送ってくださいませ」
それでは失礼いたします。
貴族の礼儀として最初に覚えさせられたカーテシー。それが最も綺麗に見えるように指先にまで神経を使い、ドレスの裾を持ち上げて一礼した。
あなたの言葉なんて何にも響かないのよ。そう言い放ちたい気持ちをぐっと堪え、くるりと背を向けた。
わたしがあまりにも堂々としているからか、周囲を取り囲んでいた貴族たちはいつの間にか静かになっていた。ふん、と我慢できなかった鼻が鳴ってしまった。一歩踏み出せば、見栄えだけ綺麗に整えたビカビカと目に優しくない波が割れて、わたしに道をあける。
二歩、三歩、四歩。
五歩目を踏み出したところで、わたしはドレスの裾を押さえて右へと身を滑らせた。と、同時に。
「馬鹿にするのも大概にしろっ!」
怒りで顔を真っ赤に染め上げた元婚約者が、拳を振り上げて突っ込んできた。彼は当然前に進んでいたわたしに倣い、その方向へと拳を振るった。誰もいない、前へと。
盛大に空ぶった拳があまりの勢いだったのか、そのまま引っ張られた彼の体は無様に床へと転がった。顔面から突っ込んでいったから結構痛いんじゃないかな。まあいい気味としか思わないけれど。
「あらあら、騒いだせいでお疲れなのかしら? 早く休まれた方がよろしいですよ」
くすり、と満面の笑みを向けてやると、元婚約者殿は涙目で何かフガフガと叫んでいた。生憎と鼻を押さえているために言葉として聞き取れないので、わたしは無視して割れた人波を進んで行く。
「今、どうして避けられたんだ?」
「完全に後ろを向いていたのに」
聞こえてくるひそひそ声に、得意げに応えてやりたい気持ちをどうにか抑え込む。代わりに心の中で叫んでおきましょうか。何故こんなことができたのかって?
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