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第01章
02 浮浪児としての人生
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僕は両親が戻ってくるのを待っていた。でも、いくら待っても戻ってこない。
「どこいったのかなぁ」
いくら何でも遅いとは思う、だってすでにあたりが暗くなり始めてる。待ち始めたのが午前中だったことから考えるといかに長く待っていたかがわかると思う。
結局その日両親は戻ってこなかった。何かあったのかなぁと思いながら、翌日。この日も朝からずっと同じ場所で待ち続けた。そして、その日も戻ってこなくて、その翌日、さらにその翌日も両親の陰すら見えなかった。
こうして、たぶん5日ぐらいしたところで僕は理解してしまった。
そう、僕は捨てられたんだって、どうして、僕が悪い子だから、スキルをもらえなかったから、だから、捨てたの?
それからさらに数日、僕は何もする気が起きず、その場で座り込んだままじっとしていた。
「……おなかすいたなぁ」
考えてみると、最後にご飯を食べたのはあの日、教会に行く前に両親と食べたお昼、それからずっと食べていなかった。
それから数日、なにも食べてないし水も飲んでない。さすがにおなかすいたので、何かを食べたい。でも、僕は何も持ってない。どうすればいいのかわからない。いつものはお母さんが用意してくれていた。でも、そのお母さんはいない。となると自分で用意しなければいけない。でも、どうすればいいの。
そう思うもお腹は空いたので、その場を離れて少し歩いてみると、屋台が見えてきた。そして、その屋台の下に、リンゴが見えた。しかも店員さんはお客さんの相手をしていて、こっちを見ていない。
本当はいけない、そうは思っても今の僕を止めることはできない。
というわけで、僕はすばやくそのリンゴを手に取り、先ほどまでいたところへと走って逃げた。
「はぁはぁ、はぁ、とっちゃった。で、でも、おいしそう。ごくっ、ごめんなさい」
僕は先ほどのお店の人に謝りながらリンゴをパクリ、その瞬間リンゴの甘さが口いっぱいに広がって、一気にお腹が満たされていく。
それからの僕は、数日おきに屋台から何かを盗って食べるという生活を続けていた。人のものを盗るというのはいけないことだということはわかっている。でも、こうしないと僕は生きることができない。両親に捨てられた時点で僕は生きる意味なんてないかもしれないし、もしかしたら僕なんて死んだ方がいいのかもしれない。だって、神様に嫌われて、両親に捨てられて。僕が生きている意味なんてない。僕はいない方がいいに決まっている。でも、だからといって僕には自分で死ぬなんてことは考えられないし、死にたくない。そう思ったから、仕方なく盗んで、食べるしかない。そう自分に言い聞かせるように、僕は生き続けた。
「あっ、おいっ! 待てガキ!!」
たまに見つかって追いかけられるけれど、僕は体小さい上になぜか結構足が速い、人ごみにまぎれれば大人では追いつけない。
でも、いつでも屋台から盗めるというものではないようで、時には全く隙が見つからず盗めないということがあった。そんな時僕が行ったのは食堂の裏、そこにあるごみ箱をあさって、まだ食べられそうなものを拾う。
ここでわかったことだけど、実は僕ってかなり体が丈夫みたいで、一回一見食べられそうにだったものをパクリと食べて、二口目と思ったところで気が付いた。なんとそれは腐っていた。そんなものを食べたら普通はお腹を壊すと思うのに、全く壊すことがなかった。どうしてかわからないけれど、大丈夫みたいだ。とはいえさすがに腐ったものは食べたくないので、そうなる前のものを探すことにした。
そんな生活をつづけて、3年ぐらいしたところだろうか、ある日たまたま歩いていたら床にお財布が落ちていた。それを拾ったところ、いくらかのお金が入っていた。それは決して多いわけではなかったけれど、僕はそれを使い、初めて屋台で普通に買い物をした。僕を見ていぶかしむおじさんだったけれど僕が出したお金が少額だったことから、問題なく売ってくれた。それはとてもおいしく、今まで食べてきた中で一番おいしかった。それはそうだろう、それは腐っているわけでも傷んでいるわけでもなく、ましてやリンゴみたいに素材そのものでもない。ちゃんと料理されたものだったから。
それからは、屋台で盗んだり、ごみ箱をあさったり、街を歩いている人からお財布を抜き取ったりと、そんなことをして生き抜いていた。
そして、その日もいつものように僕は屋台からこっそりと芋を盗んだ。
「あっ、このクソガキッ、またやりやがったな。おいっ、お前ら!」
僕もここで盗みを始めて5年、屋台の人たちも僕のことを覚えてしまったみたいで、以前にも盗んだことまでバレている。それでも、僕は相変わらずの足の速さと、体の小ささを利用して、人ごみをかき分け逃げた。
これはいつものように逃げられると思ったその瞬間、目の前に捕まえようと伸びる手、僕は慌ててそれをよける。おかしい、この人は僕を追いかけていた人とは別、そう思ったら今度はまた別の人が手を伸ばしてくる。
そんなことが繰り返し起きて、結果相手の数は5人ということが判明。
「チッ、そっち行ったぞ」
「追い込め!」
相手が大人5人なると、どこにどう逃げても追いつかれる。
こうして、僕は捕まり、たくさん、たくさん、殴られた。
大人たちが去って、全身ぼこぼこの僕が残され、身動きもできず。声も出なくなってきた。目もかすんできて、たぶんもう少しで見えなくなると思う。耳も聞こえなくなってきた。真っ暗で静寂が僕を包む。そのとたん急に恐怖心がわいてきた。怖い、怖いよぉ。やだよぉ。死にたくないよぉ。
僕は神様に嫌われているから、きっと天国じゃなくて地獄に行くに決まっている。そこはきっと恐ろしいところだ。そんなところ行きたくない。誰か、誰か助けてぇ!!!!!
僕は心の中で叫んだ。でも、それが最期の力だったのか、徐々に全身の力が抜けてくる。目だけじゃなく心も闇に支配されそうになる。
「……ィオ、……プ……」
その時、もう聞こえなくなっている僕の耳に、そんな声が聞こえた気がする。それは、なんというか僕の名前を呼ぶ声にも聞こえた。でも、そんなわけない、だって僕は両親に捨てられて、だれも僕の名前なんて知らないし誰も呼ばない。きっと、幻聴だよね。やだよぉ。こわいよぉ……
「どこいったのかなぁ」
いくら何でも遅いとは思う、だってすでにあたりが暗くなり始めてる。待ち始めたのが午前中だったことから考えるといかに長く待っていたかがわかると思う。
結局その日両親は戻ってこなかった。何かあったのかなぁと思いながら、翌日。この日も朝からずっと同じ場所で待ち続けた。そして、その日も戻ってこなくて、その翌日、さらにその翌日も両親の陰すら見えなかった。
こうして、たぶん5日ぐらいしたところで僕は理解してしまった。
そう、僕は捨てられたんだって、どうして、僕が悪い子だから、スキルをもらえなかったから、だから、捨てたの?
それからさらに数日、僕は何もする気が起きず、その場で座り込んだままじっとしていた。
「……おなかすいたなぁ」
考えてみると、最後にご飯を食べたのはあの日、教会に行く前に両親と食べたお昼、それからずっと食べていなかった。
それから数日、なにも食べてないし水も飲んでない。さすがにおなかすいたので、何かを食べたい。でも、僕は何も持ってない。どうすればいいのかわからない。いつものはお母さんが用意してくれていた。でも、そのお母さんはいない。となると自分で用意しなければいけない。でも、どうすればいいの。
そう思うもお腹は空いたので、その場を離れて少し歩いてみると、屋台が見えてきた。そして、その屋台の下に、リンゴが見えた。しかも店員さんはお客さんの相手をしていて、こっちを見ていない。
本当はいけない、そうは思っても今の僕を止めることはできない。
というわけで、僕はすばやくそのリンゴを手に取り、先ほどまでいたところへと走って逃げた。
「はぁはぁ、はぁ、とっちゃった。で、でも、おいしそう。ごくっ、ごめんなさい」
僕は先ほどのお店の人に謝りながらリンゴをパクリ、その瞬間リンゴの甘さが口いっぱいに広がって、一気にお腹が満たされていく。
それからの僕は、数日おきに屋台から何かを盗って食べるという生活を続けていた。人のものを盗るというのはいけないことだということはわかっている。でも、こうしないと僕は生きることができない。両親に捨てられた時点で僕は生きる意味なんてないかもしれないし、もしかしたら僕なんて死んだ方がいいのかもしれない。だって、神様に嫌われて、両親に捨てられて。僕が生きている意味なんてない。僕はいない方がいいに決まっている。でも、だからといって僕には自分で死ぬなんてことは考えられないし、死にたくない。そう思ったから、仕方なく盗んで、食べるしかない。そう自分に言い聞かせるように、僕は生き続けた。
「あっ、おいっ! 待てガキ!!」
たまに見つかって追いかけられるけれど、僕は体小さい上になぜか結構足が速い、人ごみにまぎれれば大人では追いつけない。
でも、いつでも屋台から盗めるというものではないようで、時には全く隙が見つからず盗めないということがあった。そんな時僕が行ったのは食堂の裏、そこにあるごみ箱をあさって、まだ食べられそうなものを拾う。
ここでわかったことだけど、実は僕ってかなり体が丈夫みたいで、一回一見食べられそうにだったものをパクリと食べて、二口目と思ったところで気が付いた。なんとそれは腐っていた。そんなものを食べたら普通はお腹を壊すと思うのに、全く壊すことがなかった。どうしてかわからないけれど、大丈夫みたいだ。とはいえさすがに腐ったものは食べたくないので、そうなる前のものを探すことにした。
そんな生活をつづけて、3年ぐらいしたところだろうか、ある日たまたま歩いていたら床にお財布が落ちていた。それを拾ったところ、いくらかのお金が入っていた。それは決して多いわけではなかったけれど、僕はそれを使い、初めて屋台で普通に買い物をした。僕を見ていぶかしむおじさんだったけれど僕が出したお金が少額だったことから、問題なく売ってくれた。それはとてもおいしく、今まで食べてきた中で一番おいしかった。それはそうだろう、それは腐っているわけでも傷んでいるわけでもなく、ましてやリンゴみたいに素材そのものでもない。ちゃんと料理されたものだったから。
それからは、屋台で盗んだり、ごみ箱をあさったり、街を歩いている人からお財布を抜き取ったりと、そんなことをして生き抜いていた。
そして、その日もいつものように僕は屋台からこっそりと芋を盗んだ。
「あっ、このクソガキッ、またやりやがったな。おいっ、お前ら!」
僕もここで盗みを始めて5年、屋台の人たちも僕のことを覚えてしまったみたいで、以前にも盗んだことまでバレている。それでも、僕は相変わらずの足の速さと、体の小ささを利用して、人ごみをかき分け逃げた。
これはいつものように逃げられると思ったその瞬間、目の前に捕まえようと伸びる手、僕は慌ててそれをよける。おかしい、この人は僕を追いかけていた人とは別、そう思ったら今度はまた別の人が手を伸ばしてくる。
そんなことが繰り返し起きて、結果相手の数は5人ということが判明。
「チッ、そっち行ったぞ」
「追い込め!」
相手が大人5人なると、どこにどう逃げても追いつかれる。
こうして、僕は捕まり、たくさん、たくさん、殴られた。
大人たちが去って、全身ぼこぼこの僕が残され、身動きもできず。声も出なくなってきた。目もかすんできて、たぶんもう少しで見えなくなると思う。耳も聞こえなくなってきた。真っ暗で静寂が僕を包む。そのとたん急に恐怖心がわいてきた。怖い、怖いよぉ。やだよぉ。死にたくないよぉ。
僕は神様に嫌われているから、きっと天国じゃなくて地獄に行くに決まっている。そこはきっと恐ろしいところだ。そんなところ行きたくない。誰か、誰か助けてぇ!!!!!
僕は心の中で叫んだ。でも、それが最期の力だったのか、徐々に全身の力が抜けてくる。目だけじゃなく心も闇に支配されそうになる。
「……ィオ、……プ……」
その時、もう聞こえなくなっている僕の耳に、そんな声が聞こえた気がする。それは、なんというか僕の名前を呼ぶ声にも聞こえた。でも、そんなわけない、だって僕は両親に捨てられて、だれも僕の名前なんて知らないし誰も呼ばない。きっと、幻聴だよね。やだよぉ。こわいよぉ……
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