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第11章 戦争
19 やっと終わりそうだ
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あれからさらに1週間が過ぎた。西側諸国の連中は相も変わらずだが、教会側は動きがあった。
というのも、あれからアリシエーラ枢機卿たちは演説を続け、麗香たちはそのたびにスマホの映像を流した。その結果、民衆の間でも魔王は悪ではないのではないのかとなり、それを悪だと決めつけている教会上層部もしくは西側諸国がおかしいのではないかと思うようになった。というより、さすがにあそこまで執拗に俺に向かって攻撃を仕掛けたり、俺の言葉を無視しまくっている姿に恐れすら感じるようになっていた。
これにより、民衆から教皇への支持率が下がり、ついには聖都にいるほとんどの信者からの支持を失った。それを受けて、枢機卿たちでの会談が行われ、教皇に対して不信任決議が出されたことで、教皇は辞任。では新たな教皇は誰かとなったわけだが、そこに上がったのが当然アリシエーラ枢機卿であった。というか彼女以外の人物を推せば民衆から反感を買うのは必定、なにせ民衆からの支持率はかなり高かったみたいだからな。
こうして、俺の予定通りアリシエーラ枢機卿が見事キリエルタ教新教皇の雑についたのだった。ちなみに、アリシエーラ枢機卿の後釜としてコルマベイント枢機卿の座に就いたのは、伯母さんであったのは望外ではあった。
「というわけで、アリシエーラさんが新しい教皇になりました。なんでも女性初なんだそうですよ」
「へぇ、そうか」
今現在お役御免ということで戻ってきた麗香たちといつものリビングで会話をしている。
「ずいぶんと反応が薄いですね」
俺の反応が薄いことに不思議そうに首をかしげる孝輔。
「いや、アリシエーラ枢機卿が教皇になったってのはいいんだが、女性初って表現がな」
「何か問題でも?」
那奈が何の問題があるのかと聞いてきたので、答えることにした。
「ああ、俺にはこの表現こそが性差別に聞こえるんだよ。わかりやすく言うなら、『おいおい、女がトップになっちまったぞ』って表現に聞こえるんだよ。まぁ、曲解だとは思うが」
昔からよくマスコミなどがこの表現をしているが、これを聞くたびに思っていた。どうしてわざわざ女性初とか言うのか、そんなものいう必要はないだろうと、なにせトップに立つのに性別は関係ないからだ。男だろうが女だろうが、その実力があったからトップに立ったわけだし、性別で指揮を執るわけでもない。
「俺は昔から聞いてきたので、あまり気にしたことはなかったですけど、そうですかねぇ」
「私もよくわからないです」
「私はちょっとわかる気がします。確かに、人の上に立つのに性別って関係ないですものね」
孝輔と那奈はよくわからないと言い、麗香は理解してくれたらしい。
「俺の場合昔のイメージが強いんだよ。2000年ごろだったかな。あの頃って会社とかで女性に立場を与えるってことがはやったのかわからないが、とにかく女性だからってことで起用することがあってな。それを風刺したような映画、ほら、橋を封鎖できないとか言ってた刑事ドラマがあったろ、あれで女性に指揮官をさせて、でもその人はあまり指揮能力がなかったのかミスをして、『これだから女は……』、みたいな空気にしたものがあってな。その女性だから起用しておこうみたいなことじゃなくて、能力があったからその女性を起用した。これが最も自然であり当たり前のことだと思う。そうした女性を起用ではなく、起用したのが女性だった。これが性差別のない世の中だと思うんだよな。だから、女性初って表現はまだ性差別をしている証拠だと思うんだよ。たんなる持論だけどな」
これはあくまで俺が勝手にそう思っているだけで、これが正しいとは特に思ってはいない。
「そういわれると、そんな気もしますね」
「そういうのに性別を気にしていることがよくないってことですね」
「仕事にしてもなんにしても性別なんてどうでもいいからな。まぁ、性別が必要なものもあるわけだけど」
男にしかできない仕事もあれば、逆に女にしかできない仕事もある。まぁ、たいていのものは男女どちらでもいいようなものばかりだと思う。
「まぁ、それはいいとしてだ。問題はこれで教会の考えがある程度は改善されるってことだ」
今一番の問題は、西側諸国の派兵、これを裏で糸を引いているのが教会であった。その教会が改革されれば西側諸国も考えを変えて兵を引いてくれるかもしれない。
「あとは、獣人族たちをはじめとした奴隷たちだな」
アリシエーラ教皇はキリエルタが唱えた獣人族は敵であるが、それ以外は交流するべきだということを知っている。それを教会内で広めてもらえれば彼らも救われることだろう。
「そうですね」
そんな麗香の言葉を受けつつ、これから世の中がどんな風になっていくのかを話し合ったのだった。
そんな日からさらに2週間余りが経過したところで、戦場に動きがあった。
「減った?」
「ああ、あからさまってわけじゃねぇけど、以前と比べると減ったみたいだぜ」
ダンクスが言う減ったというのは西側諸国の兵の数だ。ダンクスによると、今現在の兵数は約100万を切るか切らないかといったところらしい。あまり変わらないと思うかもしれないが、少しずつ教会の影響が出ているのだろう。
「そうか、それならもっと減るまで待つか」
「それがいいだろうな。3国の方も同じこと言ってたぜ」
「彼らが言うのなら間違いないな」
ダンクスがいう3国というのは当然、コルマベイント、ブリザリア、ウルベキナのことで、かの国々からは同盟に基づいた兵を派遣してもらっている。そして、彼らと俺が表現したもの達は、その国から派遣された将軍たちである。歴戦の猛者である彼らの判断は、俺やダンクスを軽く凌駕しているので、彼らの判断なら間違いないだろう。
「それじゃ、とりあえずしばらく監視を続けてある程度のとこらへんで、もう一度話に言って、それでもだめならってとこか」
俺が今言ったことは事前に4か国会議で決めていたことでもある。
「だな、それじゃ俺は仕事に戻るぜ」
「おう」
そう言って現場に戻ろうダンクスである。
「やっと、終わりが見えてきたな」
「はい、多くの血が流されることなく終わることは望外でございます」
「だな。このままみんな引いてくれれば一番なんだがなぁ」
俺の希望としては、このまま西側諸国が全部引いて解散してくれることだ。しかし、3国の王たち、とくにコルマベイントとブリザリアの王たちは解散はせず、一部は残ることになると結論付けていた。
そうして、それから2か月が経過したわけだが、案の定西側諸国は解散しなかった。まぁ、それでも10万程度まで減ったのは事実。
「これなら大丈夫だと思うけど、まだ多いっちゃ多いよな」
「もう減らないの、あれ」
「たぶんな。見たところ連中が持っている旗印も3種、つまり3国が残った形になるわけだし、ここまで来たら引かないだろ。これは3国も同様の意見だ」
「なら、仕方ないか。というか、やっぱりガルナホレイオン王国は引いていないか」
「のようだな」
ガルナホレイオン王国というのは西側諸国の中心となっている国だ。その国が簡単に弾けるわけがないからな。
「大賢者も残ってるぜ」
「まじか、あいつこそあきらめてくれよな」
大賢者はこれまでも幾度となく結界に大魔法をぶつけてきた。そして、それを破ることはできていない。そして何より、以前俺と真っ向か戦い敗北もしている。これなら普通はあきらめて帰ると思うんだが、奴さんは一向にあきらめずに、居残っているらしい。
「もはや意地だなあれ」
「ほんとねぇ」
シュンナもあきれているようだ。
「まぁ、なんにせよ。これでやっと終わるな」
「長かったよねぇ」
「まったくだぜ」
俺たちは今西側諸国連合軍と対峙する場所に立っている。背後にはテレスフィリア軍を始めコルマベイント軍、ブリザリア軍、ウルベキナ軍とおり、戦闘開始を今か今かと待ちわびている。
一方で、対峙する西側諸国も、俺たちへ対して戦意をむき出しにしている。
数は、こちらが、テレスフィリア軍およそ9000、コルマベイント軍1万、ブリザリア軍1万、ウルベキナ軍1万の計39000に対し、西側諸国は10万、普通に考えたらこちらの負けは確実。しかし、この世界には魔法があり、身体強化などもあるために単純に数で勝負が決まるわけではない。実際には、俺が各人に身体強化を施しているために、その力はおよそ3倍程度上がっている。尤もこれは3国の兵3万の話で、戦力的には9万それとテレスフィリア軍となるが、こっちはこっちで元から人族よりも身体能力や魔力が人族より2倍から3倍は高い上に、俺の身体強化で4倍程度上がっているから、その戦力はおよそ108000となり合計で198000となる。ちなみに3国とテレスフィリアで俺の身体強化の倍数が違うが、これは単純に慣れで、テレスフィリア軍は普段から俺の身体強化の訓練を行っているから4倍の強化に耐えられるが、3国は無理だっただけの話だ。また、こちらにはシュンナとダンクスという規格外で、1人で1000単位の戦力を保有するものもいるのでこちらの戦力はもう少し上となる。そして、あちらには大賢者がおり、見たところ大賢者が身体強化を施しているようだが、あちらの身体強化は2倍程度しかないために、結果20万、つまり、戦力でいれば同等という形になるわけだから、これは決して負け戦とはならない。というか、大賢者を圧倒できる俺がいる時点で最終的負けることはありえないんだけどな。
「今回、俺はあまり前に出ない方がいいんだよな」
「そうしてくれ」
「スニルが前に出たらそれで終わっちゃうじゃない」
「とはいえ、大賢者は抑えておいてくれ。あれは俺たちでも無理だ」
「それは任せておけ、さて、それじゃそろそろおっぱじめるか」
敵軍から一騎出てきたのを確認したところで、こちらもシュンナを出した。
「我は……」
長ったらしい口上を並べ立てる敵さん、要は、これから倒してやるから覚悟しろってことらしい。
それに対して、シュンナは立場を名乗りつつ、最後通告をする。
「……これは再弘通国である。これ以上戦いを望むのであれば、こちらとて容赦はしない。……」
というようなことを長々としゃべるシュンナ。最初女であるシュンナが口上を述べ始めたことで、ざわついた敵軍だが、その言葉の中に野蛮な蛮族といった言葉を入れたことでいい感じに挑発されたようだ。そして、この期に及んで引こうという考えはないようで、敵数へ変わっていない。
「ふぅ、疲れたぁ」
「お疲れ」
口上を終えたシュンナが戻ってきたのでねぎらい、今度は背後を振り返る。
「皆も知っているように、こちらはこれまで幾度となく兵を引くように、こちらは争う気はないと、説得を試みたが、彼らはそれを聞き入れず、それどころかこれまで我が国への攻撃を繰り返してきた。そして、今最後の説得も聞かない、そのような野蛮なもの達であるならば、正義はこちらにあり!」
俺の口上に沸く見方達。
「全軍、前進!!」
ダンクスの号令とともに前進しだす同盟軍であった。
両軍が一斉に前進を始めたわけだが、この戦場は見晴らしのいい草原、お互いに丸見えの状態であるために別動隊が出るわけでもなく、まさに全軍激突状態となる。
敵の陣形はこちらが数で劣っているからか、V字、いわゆる鶴翼陣形となっており、こちらは、横に広がった横陣となっている。というわけで、今両翼が激突を開始した。そこに居るのは、コルマベイントとブリザリア軍、相手は鶴翼でV字の頂点のために、数的にはこちらが上ということや個人個人の力がこちら上ということもあり、かなり善戦している。そんな様子を味方の背後から楊戩とみている俺ではあるが、だからといって何もしていないわけじゃない。軍がぶつかれば当然、味方にも被害が出る。俺の仕事は彼らの回復、さっきからひたすらに回復魔法を味方陣営に放ち彼らを援護している。ちなみに、敵には当たらないようにしているために、敵にはしっかりと被害が出ているのは言うまでもないだろう。
そうして激戦が続く中、ついに中央もぶつかり始める。尤も、そこにはウルベキナ軍だけでなくテレスフィリア軍もいる。
「はぁぁぁぁっ」
どうやらシュンナも接敵したようで、楽しそうに敵の中を走り回り倒している。……シュンナって別に戦闘狂ってわけじゃないんだが。
「あれはだいぶ溜まってたな」
「……みたいだな」
この戦争状態が始まってからだいぶたち、向こうは攻撃し放題ではあったが、こちらは攻撃ができない。唯一俺が大賢者と戦ったぐらいだ。そのため、シュンナは相当にストレスがたまっていたらしい。そして、今、その発散を敵相手にしていると言ったところか。
「奴らも災難だよな」
「俺たちに敵対してんだ。あきらめてもらえ」
超絶的な美女から敵として攻撃されるってのは、男としてはそれだけで精神的にやられそうだが、こればかりは俺たちと敵対した時点であきらめてもらうしかないだろう。一方で、味方の士気は高く、近くにいるウルベキナ軍はものすごいテンションで戦闘をしている。その結果として中央がかなり押し始めた。
「全軍後退!!」
ここでダンクスが全体に後退命令を出す。これは、この世界の戦争においてのルールみたいなもので、ある程度戦闘をしたらいったん引くらしい。それは向こうも同じで、後退していく。
「向こうはどのくらい減ったんだ?」
「そうだなぁ、見たところ、1000ってとこか」
「それなりには減ったな。んで、こっちは」
「死者は10にも満たないみたいだ。けが人もスニルがすでに回復させてるから問題ねぇ」
「そうか」
返事をした俺ではあったが、内心では結構いっぱいいっぱいだ。これは戦争であり、こうして参加したからには当然俺も戦死というものを覚悟している。しかし、敵ならまだしも、味方それも救援に来てくれたもの達やともに笑いあった仲間の死というのはさすがにきつい。尤もそれを表に出すことはしない。そんなことすれば死んだ彼らに申し訳が立たないからな。
「今のところ、10人も満たないってだけでありえねぇ。これもスニルのおかげだ。もしスニルが居なかったら、こっちの被害はかなりの数になっていただろうし、というか文字通りの全滅だってありえなぜ」
「被害はともかく、全滅はありえないだろ。ダンクスもいるし、シュンナだっているじゃねぇか」
「それもそっか」
シュンナとダンクスがいるだけでも戦場がひっくり返る戦力だと思う。しかし、ダンクスは内心で落ち込んでいる俺を励ましているみたいだ。付き合いも長いからな、俺の内心なんてお見通しか。
「たっだいまぁ。いやぁ、結構暴れたよ」
「そのようだな」
ダンクスと話しているとシュンナが帰ってきてそういった。
「これ、あと何回続きそう?」
「そうだなぁ。普通に考えたら次で終わりそうだけど、敵さんもいろいろ戦略を練ってくるだろ」
「だろうな。今のは俺たちとの数の差を考えてとにかく突っ込んできたからな。今度は何かからめ手で来るかもしれねぇ」
「だな」
「ちょと、小父さんたちと相談したほうがよさそ」
「それがいいだろ」
シュンナが言う小父さんというのは、各国の将軍たちである。そんな人たちを小父さん呼び出来るのはおそらくシュンナだけだろうな。呼ばれた方もかなり嬉しそうだったし。
こうして、西側諸国連合軍VSテレスフィリア同盟軍の戦い第一回戦は何とか俺たちの勝利で終わったのだった。
というのも、あれからアリシエーラ枢機卿たちは演説を続け、麗香たちはそのたびにスマホの映像を流した。その結果、民衆の間でも魔王は悪ではないのではないのかとなり、それを悪だと決めつけている教会上層部もしくは西側諸国がおかしいのではないかと思うようになった。というより、さすがにあそこまで執拗に俺に向かって攻撃を仕掛けたり、俺の言葉を無視しまくっている姿に恐れすら感じるようになっていた。
これにより、民衆から教皇への支持率が下がり、ついには聖都にいるほとんどの信者からの支持を失った。それを受けて、枢機卿たちでの会談が行われ、教皇に対して不信任決議が出されたことで、教皇は辞任。では新たな教皇は誰かとなったわけだが、そこに上がったのが当然アリシエーラ枢機卿であった。というか彼女以外の人物を推せば民衆から反感を買うのは必定、なにせ民衆からの支持率はかなり高かったみたいだからな。
こうして、俺の予定通りアリシエーラ枢機卿が見事キリエルタ教新教皇の雑についたのだった。ちなみに、アリシエーラ枢機卿の後釜としてコルマベイント枢機卿の座に就いたのは、伯母さんであったのは望外ではあった。
「というわけで、アリシエーラさんが新しい教皇になりました。なんでも女性初なんだそうですよ」
「へぇ、そうか」
今現在お役御免ということで戻ってきた麗香たちといつものリビングで会話をしている。
「ずいぶんと反応が薄いですね」
俺の反応が薄いことに不思議そうに首をかしげる孝輔。
「いや、アリシエーラ枢機卿が教皇になったってのはいいんだが、女性初って表現がな」
「何か問題でも?」
那奈が何の問題があるのかと聞いてきたので、答えることにした。
「ああ、俺にはこの表現こそが性差別に聞こえるんだよ。わかりやすく言うなら、『おいおい、女がトップになっちまったぞ』って表現に聞こえるんだよ。まぁ、曲解だとは思うが」
昔からよくマスコミなどがこの表現をしているが、これを聞くたびに思っていた。どうしてわざわざ女性初とか言うのか、そんなものいう必要はないだろうと、なにせトップに立つのに性別は関係ないからだ。男だろうが女だろうが、その実力があったからトップに立ったわけだし、性別で指揮を執るわけでもない。
「俺は昔から聞いてきたので、あまり気にしたことはなかったですけど、そうですかねぇ」
「私もよくわからないです」
「私はちょっとわかる気がします。確かに、人の上に立つのに性別って関係ないですものね」
孝輔と那奈はよくわからないと言い、麗香は理解してくれたらしい。
「俺の場合昔のイメージが強いんだよ。2000年ごろだったかな。あの頃って会社とかで女性に立場を与えるってことがはやったのかわからないが、とにかく女性だからってことで起用することがあってな。それを風刺したような映画、ほら、橋を封鎖できないとか言ってた刑事ドラマがあったろ、あれで女性に指揮官をさせて、でもその人はあまり指揮能力がなかったのかミスをして、『これだから女は……』、みたいな空気にしたものがあってな。その女性だから起用しておこうみたいなことじゃなくて、能力があったからその女性を起用した。これが最も自然であり当たり前のことだと思う。そうした女性を起用ではなく、起用したのが女性だった。これが性差別のない世の中だと思うんだよな。だから、女性初って表現はまだ性差別をしている証拠だと思うんだよ。たんなる持論だけどな」
これはあくまで俺が勝手にそう思っているだけで、これが正しいとは特に思ってはいない。
「そういわれると、そんな気もしますね」
「そういうのに性別を気にしていることがよくないってことですね」
「仕事にしてもなんにしても性別なんてどうでもいいからな。まぁ、性別が必要なものもあるわけだけど」
男にしかできない仕事もあれば、逆に女にしかできない仕事もある。まぁ、たいていのものは男女どちらでもいいようなものばかりだと思う。
「まぁ、それはいいとしてだ。問題はこれで教会の考えがある程度は改善されるってことだ」
今一番の問題は、西側諸国の派兵、これを裏で糸を引いているのが教会であった。その教会が改革されれば西側諸国も考えを変えて兵を引いてくれるかもしれない。
「あとは、獣人族たちをはじめとした奴隷たちだな」
アリシエーラ教皇はキリエルタが唱えた獣人族は敵であるが、それ以外は交流するべきだということを知っている。それを教会内で広めてもらえれば彼らも救われることだろう。
「そうですね」
そんな麗香の言葉を受けつつ、これから世の中がどんな風になっていくのかを話し合ったのだった。
そんな日からさらに2週間余りが経過したところで、戦場に動きがあった。
「減った?」
「ああ、あからさまってわけじゃねぇけど、以前と比べると減ったみたいだぜ」
ダンクスが言う減ったというのは西側諸国の兵の数だ。ダンクスによると、今現在の兵数は約100万を切るか切らないかといったところらしい。あまり変わらないと思うかもしれないが、少しずつ教会の影響が出ているのだろう。
「そうか、それならもっと減るまで待つか」
「それがいいだろうな。3国の方も同じこと言ってたぜ」
「彼らが言うのなら間違いないな」
ダンクスがいう3国というのは当然、コルマベイント、ブリザリア、ウルベキナのことで、かの国々からは同盟に基づいた兵を派遣してもらっている。そして、彼らと俺が表現したもの達は、その国から派遣された将軍たちである。歴戦の猛者である彼らの判断は、俺やダンクスを軽く凌駕しているので、彼らの判断なら間違いないだろう。
「それじゃ、とりあえずしばらく監視を続けてある程度のとこらへんで、もう一度話に言って、それでもだめならってとこか」
俺が今言ったことは事前に4か国会議で決めていたことでもある。
「だな、それじゃ俺は仕事に戻るぜ」
「おう」
そう言って現場に戻ろうダンクスである。
「やっと、終わりが見えてきたな」
「はい、多くの血が流されることなく終わることは望外でございます」
「だな。このままみんな引いてくれれば一番なんだがなぁ」
俺の希望としては、このまま西側諸国が全部引いて解散してくれることだ。しかし、3国の王たち、とくにコルマベイントとブリザリアの王たちは解散はせず、一部は残ることになると結論付けていた。
そうして、それから2か月が経過したわけだが、案の定西側諸国は解散しなかった。まぁ、それでも10万程度まで減ったのは事実。
「これなら大丈夫だと思うけど、まだ多いっちゃ多いよな」
「もう減らないの、あれ」
「たぶんな。見たところ連中が持っている旗印も3種、つまり3国が残った形になるわけだし、ここまで来たら引かないだろ。これは3国も同様の意見だ」
「なら、仕方ないか。というか、やっぱりガルナホレイオン王国は引いていないか」
「のようだな」
ガルナホレイオン王国というのは西側諸国の中心となっている国だ。その国が簡単に弾けるわけがないからな。
「大賢者も残ってるぜ」
「まじか、あいつこそあきらめてくれよな」
大賢者はこれまでも幾度となく結界に大魔法をぶつけてきた。そして、それを破ることはできていない。そして何より、以前俺と真っ向か戦い敗北もしている。これなら普通はあきらめて帰ると思うんだが、奴さんは一向にあきらめずに、居残っているらしい。
「もはや意地だなあれ」
「ほんとねぇ」
シュンナもあきれているようだ。
「まぁ、なんにせよ。これでやっと終わるな」
「長かったよねぇ」
「まったくだぜ」
俺たちは今西側諸国連合軍と対峙する場所に立っている。背後にはテレスフィリア軍を始めコルマベイント軍、ブリザリア軍、ウルベキナ軍とおり、戦闘開始を今か今かと待ちわびている。
一方で、対峙する西側諸国も、俺たちへ対して戦意をむき出しにしている。
数は、こちらが、テレスフィリア軍およそ9000、コルマベイント軍1万、ブリザリア軍1万、ウルベキナ軍1万の計39000に対し、西側諸国は10万、普通に考えたらこちらの負けは確実。しかし、この世界には魔法があり、身体強化などもあるために単純に数で勝負が決まるわけではない。実際には、俺が各人に身体強化を施しているために、その力はおよそ3倍程度上がっている。尤もこれは3国の兵3万の話で、戦力的には9万それとテレスフィリア軍となるが、こっちはこっちで元から人族よりも身体能力や魔力が人族より2倍から3倍は高い上に、俺の身体強化で4倍程度上がっているから、その戦力はおよそ108000となり合計で198000となる。ちなみに3国とテレスフィリアで俺の身体強化の倍数が違うが、これは単純に慣れで、テレスフィリア軍は普段から俺の身体強化の訓練を行っているから4倍の強化に耐えられるが、3国は無理だっただけの話だ。また、こちらにはシュンナとダンクスという規格外で、1人で1000単位の戦力を保有するものもいるのでこちらの戦力はもう少し上となる。そして、あちらには大賢者がおり、見たところ大賢者が身体強化を施しているようだが、あちらの身体強化は2倍程度しかないために、結果20万、つまり、戦力でいれば同等という形になるわけだから、これは決して負け戦とはならない。というか、大賢者を圧倒できる俺がいる時点で最終的負けることはありえないんだけどな。
「今回、俺はあまり前に出ない方がいいんだよな」
「そうしてくれ」
「スニルが前に出たらそれで終わっちゃうじゃない」
「とはいえ、大賢者は抑えておいてくれ。あれは俺たちでも無理だ」
「それは任せておけ、さて、それじゃそろそろおっぱじめるか」
敵軍から一騎出てきたのを確認したところで、こちらもシュンナを出した。
「我は……」
長ったらしい口上を並べ立てる敵さん、要は、これから倒してやるから覚悟しろってことらしい。
それに対して、シュンナは立場を名乗りつつ、最後通告をする。
「……これは再弘通国である。これ以上戦いを望むのであれば、こちらとて容赦はしない。……」
というようなことを長々としゃべるシュンナ。最初女であるシュンナが口上を述べ始めたことで、ざわついた敵軍だが、その言葉の中に野蛮な蛮族といった言葉を入れたことでいい感じに挑発されたようだ。そして、この期に及んで引こうという考えはないようで、敵数へ変わっていない。
「ふぅ、疲れたぁ」
「お疲れ」
口上を終えたシュンナが戻ってきたのでねぎらい、今度は背後を振り返る。
「皆も知っているように、こちらはこれまで幾度となく兵を引くように、こちらは争う気はないと、説得を試みたが、彼らはそれを聞き入れず、それどころかこれまで我が国への攻撃を繰り返してきた。そして、今最後の説得も聞かない、そのような野蛮なもの達であるならば、正義はこちらにあり!」
俺の口上に沸く見方達。
「全軍、前進!!」
ダンクスの号令とともに前進しだす同盟軍であった。
両軍が一斉に前進を始めたわけだが、この戦場は見晴らしのいい草原、お互いに丸見えの状態であるために別動隊が出るわけでもなく、まさに全軍激突状態となる。
敵の陣形はこちらが数で劣っているからか、V字、いわゆる鶴翼陣形となっており、こちらは、横に広がった横陣となっている。というわけで、今両翼が激突を開始した。そこに居るのは、コルマベイントとブリザリア軍、相手は鶴翼でV字の頂点のために、数的にはこちらが上ということや個人個人の力がこちら上ということもあり、かなり善戦している。そんな様子を味方の背後から楊戩とみている俺ではあるが、だからといって何もしていないわけじゃない。軍がぶつかれば当然、味方にも被害が出る。俺の仕事は彼らの回復、さっきからひたすらに回復魔法を味方陣営に放ち彼らを援護している。ちなみに、敵には当たらないようにしているために、敵にはしっかりと被害が出ているのは言うまでもないだろう。
そうして激戦が続く中、ついに中央もぶつかり始める。尤も、そこにはウルベキナ軍だけでなくテレスフィリア軍もいる。
「はぁぁぁぁっ」
どうやらシュンナも接敵したようで、楽しそうに敵の中を走り回り倒している。……シュンナって別に戦闘狂ってわけじゃないんだが。
「あれはだいぶ溜まってたな」
「……みたいだな」
この戦争状態が始まってからだいぶたち、向こうは攻撃し放題ではあったが、こちらは攻撃ができない。唯一俺が大賢者と戦ったぐらいだ。そのため、シュンナは相当にストレスがたまっていたらしい。そして、今、その発散を敵相手にしていると言ったところか。
「奴らも災難だよな」
「俺たちに敵対してんだ。あきらめてもらえ」
超絶的な美女から敵として攻撃されるってのは、男としてはそれだけで精神的にやられそうだが、こればかりは俺たちと敵対した時点であきらめてもらうしかないだろう。一方で、味方の士気は高く、近くにいるウルベキナ軍はものすごいテンションで戦闘をしている。その結果として中央がかなり押し始めた。
「全軍後退!!」
ここでダンクスが全体に後退命令を出す。これは、この世界の戦争においてのルールみたいなもので、ある程度戦闘をしたらいったん引くらしい。それは向こうも同じで、後退していく。
「向こうはどのくらい減ったんだ?」
「そうだなぁ、見たところ、1000ってとこか」
「それなりには減ったな。んで、こっちは」
「死者は10にも満たないみたいだ。けが人もスニルがすでに回復させてるから問題ねぇ」
「そうか」
返事をした俺ではあったが、内心では結構いっぱいいっぱいだ。これは戦争であり、こうして参加したからには当然俺も戦死というものを覚悟している。しかし、敵ならまだしも、味方それも救援に来てくれたもの達やともに笑いあった仲間の死というのはさすがにきつい。尤もそれを表に出すことはしない。そんなことすれば死んだ彼らに申し訳が立たないからな。
「今のところ、10人も満たないってだけでありえねぇ。これもスニルのおかげだ。もしスニルが居なかったら、こっちの被害はかなりの数になっていただろうし、というか文字通りの全滅だってありえなぜ」
「被害はともかく、全滅はありえないだろ。ダンクスもいるし、シュンナだっているじゃねぇか」
「それもそっか」
シュンナとダンクスがいるだけでも戦場がひっくり返る戦力だと思う。しかし、ダンクスは内心で落ち込んでいる俺を励ましているみたいだ。付き合いも長いからな、俺の内心なんてお見通しか。
「たっだいまぁ。いやぁ、結構暴れたよ」
「そのようだな」
ダンクスと話しているとシュンナが帰ってきてそういった。
「これ、あと何回続きそう?」
「そうだなぁ。普通に考えたら次で終わりそうだけど、敵さんもいろいろ戦略を練ってくるだろ」
「だろうな。今のは俺たちとの数の差を考えてとにかく突っ込んできたからな。今度は何かからめ手で来るかもしれねぇ」
「だな」
「ちょと、小父さんたちと相談したほうがよさそ」
「それがいいだろ」
シュンナが言う小父さんというのは、各国の将軍たちである。そんな人たちを小父さん呼び出来るのはおそらくシュンナだけだろうな。呼ばれた方もかなり嬉しそうだったし。
こうして、西側諸国連合軍VSテレスフィリア同盟軍の戦い第一回戦は何とか俺たちの勝利で終わったのだった。
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50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。
嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。
彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。
白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。
胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。
そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。
まずは最強の称号を得よう!
地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語
※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編
※医療現場の恋物語 馴れ初め編
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
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俺は異世界転生者カドマツ。
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良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
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けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
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転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~
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おばあちゃん。
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乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。
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おばあちゃん奮闘記です。
果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか?
[第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。
第二章 学園編 始まりました。
いよいよゲームスタートです!
[1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。
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初投稿です
不慣れですが宜しくお願いします。
最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。
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システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
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輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
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*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
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偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
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俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
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