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第10章 表舞台へ
06 バネッサ善戦
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エイルード料理大会、シュンナをはじめとしたうちの女性陣が特に友人付き合いをしているバネッサが、出ることになり俺たちもそろって応援にやってきた。
そのバネッサも何とかどうにか予選を通過することができたのは僥倖といえる。
「それじゃ、バネッサの予選通過を祝って、かんぱーい」
「かんぱい」
優勝したわけでもないのに、まさにその勢いで宴会を開いた。これは仕方ない、予選通過と一言で言っているが、この街の料理人の数は膨大で、その中には腕のいい奴も大量に居る。そんな中で予選を通過するということは、日本でいうところ、全国大会に出たような、はたまたオリンピックに出るようなものだからだ。それも初出場でとなるとここまで騒ぎになるのも頷けるというもの。
「それにしても、まさか通過できるなんて思わなかったよ」
「そんなことないよ。バネッサの料理美味しいじゃない」
「はい、すごくおいしかった」
「うんうん、だよね」
「確かにうまかった」
面々が言うように、俺たちは高いが始まる前日にバネッサの料理を食べている。その時の感想としては、確かにオクトやリーラには及ばないものの、かなりうまかったのは間違いない。まぁ、それで大会で優勝できるかと問われと、難しいと言わざるを得ない気はする。尤も、それは俺の所感でしかなく審査員によっては優勝できたとしても全くおかしくない。
さて、それはともかくとして宴会もだいぶたけなわというところで、本戦の話になった。
「それで、本戦ではどんな料理を出すのか決まっているの」
シュンナが訪ねているが、確かにどんな料理を出すのか気になるな。実際ほかの面々も気になったようでバネッサに注目している。
「えっと、一応考えてて、とりあえず得意のシチューを作ろうかと」
バネッサは少し緊張気味にそう答えた。
「へぇ、シチューってオクトも得意だよな」
「ああ、よく作ってるな」
「うん、小さいころからお父さんが作っているのを見てたから、それに私が最初に覚えた料理がシチューだったから」
なるほど、父親である得意料理を娘が同じく得意とする。これは特におかしなことではない。
「そっか、頑張ってね」
「はい」
ということで翌日、ついに料理大会本戦が始まる。
「さぁ、いよいよ始まりました、第22回料理大会を始めます」
この言葉に驚いた、まさかすでに22回もやってるとはあれからまだそんなに年月もたっていないってのに、一体どんなペースでやっているんだ。
開催数にあきれていると司会の話が終わり、審査員の紹介を始めている。そのメンバーは料理ギルドのギルマスを始め、冒険者ギルドギルマス、商業ギルドギルマス(以前リーラパンを倒錯したプリアルスは更迭されたので別の奴)、そして領主で終わりかと思ったら、なぜか第2王子が並んでいる。
「王族がかかわりだしたのか」
「そうみたいね」
「ていうか、王族が普通に食べんのか?」
「ああ、確かに王族って普通は作られてから毒見とかいろいろあるよね」
「俺はないけどな」
「スニルの場合、毒なんて意味ないでしょ」
「違いないな」
ちなみに俺が毒無効とかいうスキルを持っているというわけではなく、毒などになった瞬間メティスルが自動で状態異常などを治療する”リカバリー”が発動されるわけだ。
「んっ?」
「どういうこと?」
俺たちで会話をしていると、横で聞いていたオクトとリーラが首をかしげる。ああ、そっか王族云々の話をしていて、その流れで俺の話になったからな。
「ああ、えっと」
「黙ってたけど、スニルは王様なのよ」
「えっ?」
「ちょ、ちょっと待って、えっ?!」
シュンナがあっさりと暴露すると、オクトとリーラが素っ頓狂な声を上げた。それはそうだろ、普通の子供と思っていたらまさかの王、これで戸惑うなという方が無理がある。
「え、ええと、私、これまで……どうしよう。お、オクト」
リーラが少々混乱しているようだ。
「大丈夫よリーラ、これまで通りでも、大体スニルが王になったの最近なんだし、それまではあなたたちが思っていた通りの普通の? 子供よ」
シュンナがそういっているが最後普通に疑問符を付けたのはなんでだ。いや、まぁ確かに俺は普通ではないが。
「そ、そうなの?」
「そうそう」
「おっ、バネッサの番になったみたいだぞ」
話をしているといつの間にかバネッサの出番が来たようだ。
「バネッサー、頑張って」
「気合入れてこー」
ポリーがエール送り、麗香がなんか試合前の選手に対するようなことを言い出した。いや、まぁ確かにこれも試合であり気合を入れるのはいいんだが、何か違う。
「さぁ、続きましてはバネッサさん、彼女は何と第1回優勝を果たしたレイグラット亭店主オクトさんの娘さんです。また、これは皆さんもご存じのことと思いますが、第1回でオクトさんと接戦を演じ、第2回大会優勝、リーラさんは現在レイグラット亭に居られます。つまり、バネッサさんはそのお2人の指導を受けているということです」
司会がそういってめっちゃあおっている。というかバネッサにとってのプレッシャーにならないかと思ったが、大丈夫そうだな。
「いよいよ始まります」
双方でそろったところで料理開始である。
「相手はどんな奴なんだ」
「ゴブリアス亭のウィルって人みたいだけど、知ってる?」
ダンクスとシュンナでバネッサの対戦相手がだれかということをオクトとリーラに確認している。
「いや、知らねぇな」
「そうね。私たちも全料理人を知っているというわけでもないし、ゴブリアス亭も聞いたことないかなぁ。オクトは?」
「ゴブリアス亭なら、確か南区の中ごろにある小さな店だったはずだが、お前らは全部回ったんだろ、なら知っているんじゃないか」
オクトは俺たちが以前この街の料理店全部を回ったことを知っているために、俺たちなら知っているのではないかと行ってくるが、正直ゴブリアス亭なんて店は覚えがない。
「覚えがないわね。ダンクスは?」
「まったく、スニルは……覚えてないみたいだな」
「3人とも覚えてないって、どんだけ印象が薄いみせなんだ」
父さんが若干あきれたように言っている。
「そんなに印象がい薄いのなら大丈夫なんじゃない」
母さんまでなんだか安心したように言っているが、確かに印象が薄いということはその料理はうまくもなくまずくもないということだから、バネッサなら問題可能背が高い。
「だが、結構手際はいいぞ」
「ええそうね。あっ、でもちょっと今間違えた」
さすがは料理のプロだけあって、オクトとリーラには相手の手際や間違いなどを見抜くことができるようだ。正直俺にはさっぱりだ。
「そろそろ時間だよね。バネッサ大丈夫かな」
那奈が心配そうに孝輔に聞いている。
「大丈夫じゃない、ほら盛り付けに入ってる」
「ほんとだ」
「時間となりました。両者手を止めてください」
バネッサも何とか間に合ったようで、俺たちもほっとしている。さぁ、今度は審査となるわけだが、はてさてバネッサは勝てるのだろうか。
「大丈夫かな」
「大丈夫よ。まぁ、一票は確実に向こうに入るけど、大方はバネッサに入ると思うわよ」
先ほど相手が間違えたと指摘しただけあって、リーラは大丈夫と太鼓判を押している。
「それ、どういうことですか?」
リーラの言葉に首をかしげる麗香、麗香が引っかかったのは確実に相手に一票入るということだろう。
「審査員の中に商業ギルドのギルマスがいるだろ、そいつは確実に相手に入れるからだ」
「えっと、なぜですか?」
「ほら、言ったと思うけれど商業ギルドってシムサイトにある商業組合の下部組織だから、ギルマスはシムサイトから出向してきてるんだよね。それで、シムサイトはひどい女性差別の国だからね。当然ギルマスもその差別意識が強いのよ」
「だから女には絶対に票を入れねぇらしい」
本当にシムサイトの人間は意味が分からない。
「それじゃ、女性同士の場合はどうなるんですか?」
那奈が尤もな質問をしているが、この疑問は尤もだ、なにせ料理人ギルドは何も女性差別は一切していないために、女性の料理人は多くいる。その結果としてトーナメントの組み合わせとして女性同士の戦いというものも当然いくらかある。
「その場合は1票足りなくなるな」
「そうそう、だからたまに同数になって、ギルマスも困ってたわ」
女性に入れないというのを徹底しているために票が同数になってしまうらしい。ほんと意味が分からない連中だ。
「それじゃ公平じゃないじゃん」
「そうだよね。あの、それだったらその人たちを審査から外すとかすればいいんじゃ」
孝輔があきれ、麗香が同意しつつ尤もなことを言ったけど、確かにその通りだと俺も思う。しかし、
「そうもいかないから厄介なんだよ」
リーラとオクトの説明によると商業ギルドのギルマスというものは、一応外国から来た客という扱いだ。そんな奴をこうしたイベントで省いた場合、間違いなく国際問題になりかねない。そしてそうなとさらに厄介なことにシムサイトがギルドを通して経済的な攻撃を仕掛けてくる可能性まで出てきてしまうという、ほんと面倒くさい国だと思う。
「なんか、ほんと厄介な国ですね」
「ほんとね」
「はい、私もそう思います」
まぁ、なんだかんだ言っても俺たちがシムサイトとかかわることなんてないと思うから、どうでもいいことなんだが、それでも考えるだけでも厄介で疲れる国だ。
とまぁ、それはともかくとして問題はバネッサの審査結果である。
「票が出そろいました。勝者は……3:2でバネッサさんです」
「やったー」
「一回戦突破したー」
バネッサが勝利したことで俺の周囲にいた面々が沸いた。
「まずは、一回戦突破か、それにしても危なかったな」
「ええそうね。一票は確実に商業ギルドのギルマスとして、もう一票は誰かしらね」
「さぁな」
審査員の票はだれかわからないようになっているので、だれが相手に入れたのかはわからないが、ここら辺が料理の難しさかもしれない。すべての人同じ評価をすることなんてものはない。例えば日本でもマツタケなどをありがたがることが多いが、正直俺はマツタケってうまいと思ったことはないんだよな。このように人によって好みってものがあり、納豆やクサヤという癖の強いものになると好みがわかれたりする。
「次の相手はどんな人なんだろう」
「次は、この後の試合の勝者だろ。どんな奴か見ていこうぜ」
「そうだね」
孝輔と那奈がそうした会話をしているように、俺たちもそろって次の試合を見て、バネッサの次の相手の様子を見ておこうと思う。はてさて、どんな相手なんだろうか?
そうして見た結果、次の相手はゴロダレートという店の主ゴロダという男だった。
「ゴロダが相手か、これはきつそうだな」
「知っているのか?」
「18回の優勝者よ。確か」
まさかの優勝経験者だった。これはちょっとバネッサには厳しい戦いになるかもしれないな。それでなくともバネッサは女ということで一票を失った不利な状況だってのにな。
「それは、まずいわね」
「何か秘策はないの」
「ないな。全力でうまいものを作るだけだ」
料理に秘策というものはなくただ全力を出すだけだというオクト、確かに先ほども言ったようにこれを作れば確実に勝てるというような料理なんてないだろう。
翌日、今日は本戦第二回戦が行われるわけだが、こちら側はすでに負けムードとなっていた。
「バネッサさんは大丈夫かな」
「さぁな。こればかりは俺たちにはどうしようもないからな」
心配そうにそういうポリーに俺としてはそういうしかなかった。
「料理大会本戦第二回戦の開始です、まず最初はハラティル亭のガリアロさんと、バースローのバースローさんです」
本日最初の試合が開始されたわけだが、この両者は俺を含めオクトとリーラですら誰か知らないようだった。
こうして始まった試合はというと、端的に言って特に変わったことは起きず、ガリアロというやつが勝利を収めたのだった。
そして、次の試合となり、いよいよバネッサの試合となった。
「いよいよね」
「そうだな」
「バネッサー、頑張ってー」
「? ばね、ばんばー」
麗香が叫び、それを聞いたサーナもバネッサを応援し始めたことに、ほっこりする女性陣であった。
「ああんもう、サーナちゃんかわいい」
麗香がたまらずサーナを抱きしめる。
「あははっ、おっ、バネッサにも聞こえたみたいだ」
姉の行動に苦笑いをしつつも、会場にいるバネッサがこっちを見てほほ笑みながら手を振っているのを見た孝輔がそういった。
「リラックスできたみたいね」
「だな。これであとは全力を出すだけだろ」
「そうね。バネッサー」
シュンナとダンクスはバネッサの表情がゆるんでいることで緊張が解けたといっている。残念ながら俺にはその違いが判らないので何とも言えないんだけど。さて、それはいいとしていよいよ第二回戦開始である。
バネッサは今回も得意のシチューを作るようで、まずは材料を取りに行った。
「一回戦と同じで大丈夫かな」
「それは問題ないだろ、同じといっても味とかは別物だしな」
父さんと母さんも心配そうにそんな会話をしているように、バネッサは当然だが一回戦と二回戦では別のシチューを作っている。一回戦で作ったものは豆を数種使ったもので、今回はバローという魔物の肉を使ったものとなる。ちなみにこのバローというのは見た目牛に近いので、いうなればビーフシチューといったところだろう。
「バネッサー、しっかりー」
「私たちが付いてるよー」
俺たちの応援も熱が入り始める。そんな中、バネッサは慎重に具材を煮込み始める。
「さぁ、そろそろお時間となります。両者盛り付けに入ってください」
いよいよ制限時間が迫ってきたので、司会がそういって2人に盛り付けを始めるようにと促す。尤も、言われるまでもなく2人はすでに盛り付けに入り、わずかな差で相手のゴロダの方が早く盛り付けを終えたのだった。
「時間です。両者調理の手を止めてください」
さぁ、いよいよ今度は審査、どうなることやら、さすがの俺もドキドキが止まらない。
「審査結果の発表です。3:2でゴロダさんの勝利です」
「あー、負けたー」
「惜しい!」
「くそっ、負けたか!」
バネッサが負けたことで、みんなが悔しがるが、正直言うと俺としてはこれで良かったと思っている。ああ、行っておくがバネッサが負けたこと自体は俺だって悔しい気持ちはある。しかし、これは元おっさんとしての意見で、バネッサはまだ若く、これからどんどん伸びていくことだろう。にもかかわらずこの大会で初出場で優勝なんかしてしまえば、思いあがってしまうかもしれない。そうなると伸びしろがそこで止まり、バネッサはここで終わってしまうかもしれない。それはあまりにももったいない。だから、こうして負けて、その悔しさと、己の未熟さを痛感することは重要なことだ。まぁ、言わないけどな。
こうして、バネッサの初出場の料理大会は終わりを告げたのだった。
ちなみに、今大会の優勝者はバネッサに勝利したゴロダを破った、チャネルという男だった。
そのバネッサも何とかどうにか予選を通過することができたのは僥倖といえる。
「それじゃ、バネッサの予選通過を祝って、かんぱーい」
「かんぱい」
優勝したわけでもないのに、まさにその勢いで宴会を開いた。これは仕方ない、予選通過と一言で言っているが、この街の料理人の数は膨大で、その中には腕のいい奴も大量に居る。そんな中で予選を通過するということは、日本でいうところ、全国大会に出たような、はたまたオリンピックに出るようなものだからだ。それも初出場でとなるとここまで騒ぎになるのも頷けるというもの。
「それにしても、まさか通過できるなんて思わなかったよ」
「そんなことないよ。バネッサの料理美味しいじゃない」
「はい、すごくおいしかった」
「うんうん、だよね」
「確かにうまかった」
面々が言うように、俺たちは高いが始まる前日にバネッサの料理を食べている。その時の感想としては、確かにオクトやリーラには及ばないものの、かなりうまかったのは間違いない。まぁ、それで大会で優勝できるかと問われと、難しいと言わざるを得ない気はする。尤も、それは俺の所感でしかなく審査員によっては優勝できたとしても全くおかしくない。
さて、それはともかくとして宴会もだいぶたけなわというところで、本戦の話になった。
「それで、本戦ではどんな料理を出すのか決まっているの」
シュンナが訪ねているが、確かにどんな料理を出すのか気になるな。実際ほかの面々も気になったようでバネッサに注目している。
「えっと、一応考えてて、とりあえず得意のシチューを作ろうかと」
バネッサは少し緊張気味にそう答えた。
「へぇ、シチューってオクトも得意だよな」
「ああ、よく作ってるな」
「うん、小さいころからお父さんが作っているのを見てたから、それに私が最初に覚えた料理がシチューだったから」
なるほど、父親である得意料理を娘が同じく得意とする。これは特におかしなことではない。
「そっか、頑張ってね」
「はい」
ということで翌日、ついに料理大会本戦が始まる。
「さぁ、いよいよ始まりました、第22回料理大会を始めます」
この言葉に驚いた、まさかすでに22回もやってるとはあれからまだそんなに年月もたっていないってのに、一体どんなペースでやっているんだ。
開催数にあきれていると司会の話が終わり、審査員の紹介を始めている。そのメンバーは料理ギルドのギルマスを始め、冒険者ギルドギルマス、商業ギルドギルマス(以前リーラパンを倒錯したプリアルスは更迭されたので別の奴)、そして領主で終わりかと思ったら、なぜか第2王子が並んでいる。
「王族がかかわりだしたのか」
「そうみたいね」
「ていうか、王族が普通に食べんのか?」
「ああ、確かに王族って普通は作られてから毒見とかいろいろあるよね」
「俺はないけどな」
「スニルの場合、毒なんて意味ないでしょ」
「違いないな」
ちなみに俺が毒無効とかいうスキルを持っているというわけではなく、毒などになった瞬間メティスルが自動で状態異常などを治療する”リカバリー”が発動されるわけだ。
「んっ?」
「どういうこと?」
俺たちで会話をしていると、横で聞いていたオクトとリーラが首をかしげる。ああ、そっか王族云々の話をしていて、その流れで俺の話になったからな。
「ああ、えっと」
「黙ってたけど、スニルは王様なのよ」
「えっ?」
「ちょ、ちょっと待って、えっ?!」
シュンナがあっさりと暴露すると、オクトとリーラが素っ頓狂な声を上げた。それはそうだろ、普通の子供と思っていたらまさかの王、これで戸惑うなという方が無理がある。
「え、ええと、私、これまで……どうしよう。お、オクト」
リーラが少々混乱しているようだ。
「大丈夫よリーラ、これまで通りでも、大体スニルが王になったの最近なんだし、それまではあなたたちが思っていた通りの普通の? 子供よ」
シュンナがそういっているが最後普通に疑問符を付けたのはなんでだ。いや、まぁ確かに俺は普通ではないが。
「そ、そうなの?」
「そうそう」
「おっ、バネッサの番になったみたいだぞ」
話をしているといつの間にかバネッサの出番が来たようだ。
「バネッサー、頑張って」
「気合入れてこー」
ポリーがエール送り、麗香がなんか試合前の選手に対するようなことを言い出した。いや、まぁ確かにこれも試合であり気合を入れるのはいいんだが、何か違う。
「さぁ、続きましてはバネッサさん、彼女は何と第1回優勝を果たしたレイグラット亭店主オクトさんの娘さんです。また、これは皆さんもご存じのことと思いますが、第1回でオクトさんと接戦を演じ、第2回大会優勝、リーラさんは現在レイグラット亭に居られます。つまり、バネッサさんはそのお2人の指導を受けているということです」
司会がそういってめっちゃあおっている。というかバネッサにとってのプレッシャーにならないかと思ったが、大丈夫そうだな。
「いよいよ始まります」
双方でそろったところで料理開始である。
「相手はどんな奴なんだ」
「ゴブリアス亭のウィルって人みたいだけど、知ってる?」
ダンクスとシュンナでバネッサの対戦相手がだれかということをオクトとリーラに確認している。
「いや、知らねぇな」
「そうね。私たちも全料理人を知っているというわけでもないし、ゴブリアス亭も聞いたことないかなぁ。オクトは?」
「ゴブリアス亭なら、確か南区の中ごろにある小さな店だったはずだが、お前らは全部回ったんだろ、なら知っているんじゃないか」
オクトは俺たちが以前この街の料理店全部を回ったことを知っているために、俺たちなら知っているのではないかと行ってくるが、正直ゴブリアス亭なんて店は覚えがない。
「覚えがないわね。ダンクスは?」
「まったく、スニルは……覚えてないみたいだな」
「3人とも覚えてないって、どんだけ印象が薄いみせなんだ」
父さんが若干あきれたように言っている。
「そんなに印象がい薄いのなら大丈夫なんじゃない」
母さんまでなんだか安心したように言っているが、確かに印象が薄いということはその料理はうまくもなくまずくもないということだから、バネッサなら問題可能背が高い。
「だが、結構手際はいいぞ」
「ええそうね。あっ、でもちょっと今間違えた」
さすがは料理のプロだけあって、オクトとリーラには相手の手際や間違いなどを見抜くことができるようだ。正直俺にはさっぱりだ。
「そろそろ時間だよね。バネッサ大丈夫かな」
那奈が心配そうに孝輔に聞いている。
「大丈夫じゃない、ほら盛り付けに入ってる」
「ほんとだ」
「時間となりました。両者手を止めてください」
バネッサも何とか間に合ったようで、俺たちもほっとしている。さぁ、今度は審査となるわけだが、はてさてバネッサは勝てるのだろうか。
「大丈夫かな」
「大丈夫よ。まぁ、一票は確実に向こうに入るけど、大方はバネッサに入ると思うわよ」
先ほど相手が間違えたと指摘しただけあって、リーラは大丈夫と太鼓判を押している。
「それ、どういうことですか?」
リーラの言葉に首をかしげる麗香、麗香が引っかかったのは確実に相手に一票入るということだろう。
「審査員の中に商業ギルドのギルマスがいるだろ、そいつは確実に相手に入れるからだ」
「えっと、なぜですか?」
「ほら、言ったと思うけれど商業ギルドってシムサイトにある商業組合の下部組織だから、ギルマスはシムサイトから出向してきてるんだよね。それで、シムサイトはひどい女性差別の国だからね。当然ギルマスもその差別意識が強いのよ」
「だから女には絶対に票を入れねぇらしい」
本当にシムサイトの人間は意味が分からない。
「それじゃ、女性同士の場合はどうなるんですか?」
那奈が尤もな質問をしているが、この疑問は尤もだ、なにせ料理人ギルドは何も女性差別は一切していないために、女性の料理人は多くいる。その結果としてトーナメントの組み合わせとして女性同士の戦いというものも当然いくらかある。
「その場合は1票足りなくなるな」
「そうそう、だからたまに同数になって、ギルマスも困ってたわ」
女性に入れないというのを徹底しているために票が同数になってしまうらしい。ほんと意味が分からない連中だ。
「それじゃ公平じゃないじゃん」
「そうだよね。あの、それだったらその人たちを審査から外すとかすればいいんじゃ」
孝輔があきれ、麗香が同意しつつ尤もなことを言ったけど、確かにその通りだと俺も思う。しかし、
「そうもいかないから厄介なんだよ」
リーラとオクトの説明によると商業ギルドのギルマスというものは、一応外国から来た客という扱いだ。そんな奴をこうしたイベントで省いた場合、間違いなく国際問題になりかねない。そしてそうなとさらに厄介なことにシムサイトがギルドを通して経済的な攻撃を仕掛けてくる可能性まで出てきてしまうという、ほんと面倒くさい国だと思う。
「なんか、ほんと厄介な国ですね」
「ほんとね」
「はい、私もそう思います」
まぁ、なんだかんだ言っても俺たちがシムサイトとかかわることなんてないと思うから、どうでもいいことなんだが、それでも考えるだけでも厄介で疲れる国だ。
とまぁ、それはともかくとして問題はバネッサの審査結果である。
「票が出そろいました。勝者は……3:2でバネッサさんです」
「やったー」
「一回戦突破したー」
バネッサが勝利したことで俺の周囲にいた面々が沸いた。
「まずは、一回戦突破か、それにしても危なかったな」
「ええそうね。一票は確実に商業ギルドのギルマスとして、もう一票は誰かしらね」
「さぁな」
審査員の票はだれかわからないようになっているので、だれが相手に入れたのかはわからないが、ここら辺が料理の難しさかもしれない。すべての人同じ評価をすることなんてものはない。例えば日本でもマツタケなどをありがたがることが多いが、正直俺はマツタケってうまいと思ったことはないんだよな。このように人によって好みってものがあり、納豆やクサヤという癖の強いものになると好みがわかれたりする。
「次の相手はどんな人なんだろう」
「次は、この後の試合の勝者だろ。どんな奴か見ていこうぜ」
「そうだね」
孝輔と那奈がそうした会話をしているように、俺たちもそろって次の試合を見て、バネッサの次の相手の様子を見ておこうと思う。はてさて、どんな相手なんだろうか?
そうして見た結果、次の相手はゴロダレートという店の主ゴロダという男だった。
「ゴロダが相手か、これはきつそうだな」
「知っているのか?」
「18回の優勝者よ。確か」
まさかの優勝経験者だった。これはちょっとバネッサには厳しい戦いになるかもしれないな。それでなくともバネッサは女ということで一票を失った不利な状況だってのにな。
「それは、まずいわね」
「何か秘策はないの」
「ないな。全力でうまいものを作るだけだ」
料理に秘策というものはなくただ全力を出すだけだというオクト、確かに先ほども言ったようにこれを作れば確実に勝てるというような料理なんてないだろう。
翌日、今日は本戦第二回戦が行われるわけだが、こちら側はすでに負けムードとなっていた。
「バネッサさんは大丈夫かな」
「さぁな。こればかりは俺たちにはどうしようもないからな」
心配そうにそういうポリーに俺としてはそういうしかなかった。
「料理大会本戦第二回戦の開始です、まず最初はハラティル亭のガリアロさんと、バースローのバースローさんです」
本日最初の試合が開始されたわけだが、この両者は俺を含めオクトとリーラですら誰か知らないようだった。
こうして始まった試合はというと、端的に言って特に変わったことは起きず、ガリアロというやつが勝利を収めたのだった。
そして、次の試合となり、いよいよバネッサの試合となった。
「いよいよね」
「そうだな」
「バネッサー、頑張ってー」
「? ばね、ばんばー」
麗香が叫び、それを聞いたサーナもバネッサを応援し始めたことに、ほっこりする女性陣であった。
「ああんもう、サーナちゃんかわいい」
麗香がたまらずサーナを抱きしめる。
「あははっ、おっ、バネッサにも聞こえたみたいだ」
姉の行動に苦笑いをしつつも、会場にいるバネッサがこっちを見てほほ笑みながら手を振っているのを見た孝輔がそういった。
「リラックスできたみたいね」
「だな。これであとは全力を出すだけだろ」
「そうね。バネッサー」
シュンナとダンクスはバネッサの表情がゆるんでいることで緊張が解けたといっている。残念ながら俺にはその違いが判らないので何とも言えないんだけど。さて、それはいいとしていよいよ第二回戦開始である。
バネッサは今回も得意のシチューを作るようで、まずは材料を取りに行った。
「一回戦と同じで大丈夫かな」
「それは問題ないだろ、同じといっても味とかは別物だしな」
父さんと母さんも心配そうにそんな会話をしているように、バネッサは当然だが一回戦と二回戦では別のシチューを作っている。一回戦で作ったものは豆を数種使ったもので、今回はバローという魔物の肉を使ったものとなる。ちなみにこのバローというのは見た目牛に近いので、いうなればビーフシチューといったところだろう。
「バネッサー、しっかりー」
「私たちが付いてるよー」
俺たちの応援も熱が入り始める。そんな中、バネッサは慎重に具材を煮込み始める。
「さぁ、そろそろお時間となります。両者盛り付けに入ってください」
いよいよ制限時間が迫ってきたので、司会がそういって2人に盛り付けを始めるようにと促す。尤も、言われるまでもなく2人はすでに盛り付けに入り、わずかな差で相手のゴロダの方が早く盛り付けを終えたのだった。
「時間です。両者調理の手を止めてください」
さぁ、いよいよ今度は審査、どうなることやら、さすがの俺もドキドキが止まらない。
「審査結果の発表です。3:2でゴロダさんの勝利です」
「あー、負けたー」
「惜しい!」
「くそっ、負けたか!」
バネッサが負けたことで、みんなが悔しがるが、正直言うと俺としてはこれで良かったと思っている。ああ、行っておくがバネッサが負けたこと自体は俺だって悔しい気持ちはある。しかし、これは元おっさんとしての意見で、バネッサはまだ若く、これからどんどん伸びていくことだろう。にもかかわらずこの大会で初出場で優勝なんかしてしまえば、思いあがってしまうかもしれない。そうなると伸びしろがそこで止まり、バネッサはここで終わってしまうかもしれない。それはあまりにももったいない。だから、こうして負けて、その悔しさと、己の未熟さを痛感することは重要なことだ。まぁ、言わないけどな。
こうして、バネッサの初出場の料理大会は終わりを告げたのだった。
ちなみに、今大会の優勝者はバネッサに勝利したゴロダを破った、チャネルという男だった。
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彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。
白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。
胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。
そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。
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*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
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幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
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現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
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どうやら異世界だ。
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[第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。
第二章 学園編 始まりました。
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[1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。
話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。
おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので)
初投稿です
不慣れですが宜しくお願いします。
最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。
申し訳ございません。
少しづつ修正して纏めていこうと思います。
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