78 / 162
第05章 家族
07 増築
しおりを挟む
ルンボーテに戻ったその日、俺たち親子は水入らずで過ごし、俺の服や両親の装備を整えていったのだった。
「へぇ、良かったじゃない」
「まぁ、な。それでシュンナもサーナにまたいろいろ買ったのか?」
「そうなの、聞いてよスニル……」
それからシュンナがサーナに買ったものを見せられ説明を受ける羽目となったが、俺自身シュンナがどんなものをサーナに買い与えたのかが気になったので、特に苦になるということはなかった。尤も、途中で母さんが参加し始めたのには少々疲れたけどね。なにせ母さんは今日俺に買った服などを広げ始め、シュンナと一緒になって来てみろと言い出し幾度となく着替えをさせられてしまったよ。
翌日、起きるといつもの通りダンクスがすでに起きていた。
「おう、起きたか」
「ああ、まぁな」
「ん、ああ、そうか、スニル、おはよう」
「おはよう、父さん」
俺が起きるとすぐに父さんも起きたようで挨拶を交わす。これでこの部屋にいるものはすべて起きたことになる。そう、今回から宿の部屋は2つ取り男女で別れることになった。これまではシュンナ1人だけ別というのもシュンナ自身が拒否したために同室だったし、サーナが加わったところで、シュンナ1人にサーナの夜泣きを押し付けることになりかねなかったことから続けていた。しかし、父さんと母さんが加わったことで6人となり、さすがに6人部屋は存在せず、それならと男女で別れて泊ることとなった。まぁ、それによりサーナの世話をシュンナと母さんに任せることになってしまうが、シュンナは聞くまでもなく、母さんは楽しそうにしていた。なんでも夜泣きは大変でもその世話をすることに幸せを感じるらしい。まぁ、喜んでいるなら良しとしようというわけで、この部屋割りとなった。
それからしばらくして俺たちの部屋の扉がノックされた。
「入るよー」
「おう」
シュンナの声がしてダンクスが代表して答えた。そして、部屋の中にシュンナと母さん、サーナが入ってきた。
「朝ごはん行くでしょ」
「ああ、そりゃぁな」
今度は俺が答えて、みんなで1階の食堂へと降りていったのだった。それから、みんなで朝飯を食べて、一旦俺たちの部屋へと戻った。その理由は、今後の予定を話し合うためである。
「それで、これからどうするの」
「とりあえず、ルンボーテはもういいと思うだけど、どうだ」
「あたしも大体見たからいいかな、ダンクスは?」
「俺もだな。だが、ミリアとヒュリックはまだ昨日ついたばかりだろ」
「そうね、でも、私たちも昨日大体見られたし、いいと思うわ。ねぇ」
「ああ、そうだな。俺たちはこれといってみたいものがあるわけでもないからな。昨日は久しぶりにスニルと3人で街を回れたわけだしいうことなしだ」
「そうね」
父さんが言いながら俺の頭に手を当てると、母さんも微笑みながら俺に抱き着いてきた。
「そんじゃ、次の街、っと行きたいんだけど、その前に増築する必要があるだろうなぁ」
「ああ、増築かぁ。確かにそうだな」
「そうだったわね。人数も増えたし、必要よね」
「増築?」
「何をだ?」
俺たちが増築というと、父さんと母さんはそれが何のことかわからないようだ。そこで、説明をすることにした。
「テントのこと、あれって空間魔法で広げたところにダンクスと俺で部屋のように作ったものなんだけど、父さんと母さんの部屋作る必要があるでしょ」
「さすがに、スニルの部屋に3人は狭いと思うしね」
「うーん、私はそれでもいいけれど、そうよねスニルも14歳だものね。親と同じ部屋というわけにもいかないものね」
「そうだな。それにスニルもそうだが俺たちもこれからでかくなるし、そうなると余計に狭くなるな」
「そうそう」
今現在の俺たち親子はみんな130cmほどで子供だから、今のままでもなんとかなるが、それぞれの年齢を考えるとまさに成長期、この時期となると中学生となるわけだが、前世の俺だって30cmは伸びたからな。そう考えると間違いなく狭くなる。
「というわけで、2人の部屋を増築しようと思うんだけどいいかな」
「ああ、いいぞ」
「そうね、そうしましょうか。でも、どうやって作るのかしら」
「それは、俺たちでやるしかないな。あれはさすがに表に出すわけにはいかない代物だからな」
「表に出たら、大騒ぎだろうからな」
「そういう面倒は遠慮したいな」
俺のテントは、どう考えても多くの者たちが欲しがるからな。特に王侯貴族とか、連中とかかわるのはできれば勘弁してほしい、ろくなことにならなさそうだ。
「ありうるから厄介だな。それじゃぁほかの人間に頼むというわけにはいかないってことか」
「そうなるかな」
「となると、まずはどんな間取りにするか決めないと」
「おおぅ、そうだな。んで、どうするか、部屋を2つ作るか1つにするか」
俺はそう言ってから父さんと母さんを見た。つまり、2人で1つの部屋にするか、別にするかというわけだ。今現在2人は子供だが元は夫婦、特に同室でも問題ないし、まぁ今までもそうだったらしいから聞いてみた。
「そうね。これまでもそうだったし、生まれ変わっても私たちは夫婦だから、一緒の部屋でもいいわよ。ねぇあなた」
「そうだな。2つ作るのも大変そうだし、1つのほうが楽だろ」
父さんと母さんは問題ないと同室を選んだ。まぁ、もともと夫婦だしね。
「なら、部屋は1つと、2人だから少し大きめにした方がいいだろうな」
「だな、木材とか足りるか?」
部屋は1つと決まり、その部屋は2人部屋というわけで少し大きめにすることにしたわけだが、材料はあったかな。”収納”には前回の増築や孤児院を建て替えた時などの木材がいくらか入っている。それを確認してみたがどう考えても部屋を1つ作るには足りないように見える。
「足りないな」
「なら、あとで材木屋に行って木材を買いに行く必要があるな」
「それと、家具なんかも買わないといけないよね」
「ああ、そうだな。あっ、そうだ。父さん、母さん」
「どうしたの」
「なんだ、スニル」
家具と聞いて思い出したことがあった。
「気が付いたかもしれないけれど、俺の部屋で使っている家具とかもそうだけど、家から持ってきたものが多くて、使っているベッドとか箪笥とか」
「ああ、それで」
「見覚えがあると思ったらそういうことだったのね」
やはり自分たちの物だけあって気が付いていたようだ。
「そう、それであれどうする?」
どうするというのは返すのかどうかということだ。
「そうねぇ。スニルが使っているのだからそのままスニルが使うといいとは思うけれど、あの箪笥とかはお母さんが子供のころから使っているからもうだいぶボロボロでしょう」
「いや、まだ使えると思うんだけどな」
母さんはボロボロだというが、確かにところどころ剥げていたり、傷が結構あったりするけれど使う分には全く問題ない。元日本人のもったいない精神からも使えるものは最後まで使いたい。
「いっそのことスニルの家具も買ったら」
「あらっ、いいわね。それ」
「えっ、いや俺は別に」
「スニルが使っているのって実家から持ち出した者でしょ。だから実家に戻るたびにテントから移動しないといけないから面倒でしょ」
まさにシュンナの言う通りで家に帰ると、わざわざテントを出して家具類を一旦”収納”へ入れた後、家に帰ってまた出して設置するということをやっており確かに面倒だ。
「なんにせよ。材木屋と家具屋で別れるか」
「そうだな。それじゃダンクスは材木を頼む」
「おう」
「それじゃ俺もダンクスと一緒に材木を買いに行こう、ミリアは家具を頼むな」
「ええ、任せて」
「あっ、あたしも家具屋さんに行こうかな。かわいい家具とかあったら買いたいし」
「ええ、一緒に行きましょ」
「そんじゃ、俺はどうすっか」
「スニルはお母さんと一緒に家具屋さんよ。スニルの家具も買うのだからね」
「お、おお、わかったよ」
「サーナも一緒に行こうねぇ」
「あう、だぅ」
こうして、ダンクスと父さんが材木屋へ向かい木材を購入することになり、俺と母さんシュンナとサーナの4人で家具屋へ行くことになった。
「それで、お金はどこにあるの」
材木を買うにも家具を買うにも当然だが金が必要だ。母さんはその心配をしている。そういえばまだ俺たちの資金を言ってなかったな。
「それなら大丈夫だよ母さん、俺たちの金は全部シュンナが持ってて、俺とダンクスはそこから小遣いの形でもらっているんだ」
「へぇ、いい判断ね。男たちにお金を渡すと変なものを買ってくることがあるからね」
「そう、そうなんだよね。ダンクスもスニルもたまにいらなそうなものを買ってくるのよ」
「いやいや、あれは必要になるって」
「でも、今まで使ったことないよね」
「うっ、いや、それはまだ来ないってだけでだな」
「そ、そうだぜ。絶対そのうち必要になるって」
シュンナから呆れの目で見られながら言葉を紡ぐ俺とダンクスであった。そんな俺たちの様子を見ていた母さんはなんだか微笑んでいた。
「まぁよ。それはともかくシュンナ金をくれ」
「はぁ、わかったわよ。余計なもの買わないでよ」
「わかってるって」
シュンナは一応という感じに忠告してからダンクスにある程度の金を渡したのだった。余談だが、俺たちの中で最もまじめなのがダンクスだ。そのため、今シュンナが渡した金が俺たち共有の金であることは分かっているのでそれを使って自分の欲しいものを買うことはまずないという確信が持てる。シュンナもそれが分かっているために一応という風に行ったわけだ。
「そんじゃ、行ってくるぜ。待ち合わせは南門でいいか」
「そうだな。そうしよう。多分だけどこっちが遅くなる気がするから、適当なところで時間をつぶしたほうがよさそうだが」
「だな。わかった。適当にしてるさ」
そう言ってダンクスと父さんは部屋を出ていき、それを見送った俺たちもまた準備を整えてから部屋を出たのだった。
「考えてみると、シュンナが付いてきたのはよかったな」
家具屋への道を歩いている中ぽつりと俺はつぶやいた。
「どうして?」
そんな言葉に隣を歩いていた母さんが聞いてきた。
「いや、ほら、俺もそうだけど母さんも今は子供だろ、そんな子供が2人で家具を買いに来たって無理ない」
「ああ、そういえばそうだったわね」
「ちょっと、忘れてた。なるほど確かのそう考えると確かにあたしが一緒のほうがいいよね」
俺が言ったように俺と母さんはそれぞれ14歳と12歳、年齢だけでも子供だが特に俺は14歳にしては小さい。そんな俺と母さんが行ったところで子供買い物にしか見えないだろう。そこにシュンナという大人が加わることでようやく家具屋も普通に対応することだろう。まぁ、それでも子供率が高いんだけどな。
「そうね。助かったわシュンナ」
「あははっ、そうだよね。ミリアもスニルも子供だものね。時々忘れるんだよね。ほらスニルって記憶の関係で中身はあたしよりもずっと上だし、ミリアはそのお母さんだもんね」
「上ったって、精神的にはたぶんシュンナのほうが上じゃないか、俺そっち方面は全く成長してないから」
前世でも精神的には子供のまま大人だったからな。どちらかというと俺の精神は今の肉体年齢に合致しているんじゃないかと思えるんだよな。まぁ、おっさんなところは否定しないけどな。
「あら、それじゃ私がすごい年上みたいね」
「はははっ」
とまぁ、和やかに家具屋へと向かったのだった。平和だ。それから俺たちは家具屋においてシュンナと母さんがあれやこれやと見て回るのを見ながら、時々意見を求められてのなんとも疲れる買い物を済ませてから、ダンクスと父さんとの待ち合わせ場所である南門へと向かったのだった。
「お待たせ」
「ずいぶんと長かったな」
「いいのがいっぱいで迷っちゃったんだよね」
「そうそう、いい街ねここ」
シュンナと母さんはほくほく顔でそういったが、俺は少し辟易していた。
「お疲れ、スニル」
「全くだ。それで、そっちはどうだったんだ材木」
「問題なく買えたぜ。少し多めに買ったけれど、いいよな」
「いいんじゃないか」
材木は多くあったほうがいいだろう、作っていて失敗して作り直しということもあるだろうし、急に必要になることだってある。多くあって困ることはない。
「というわけで、シュンナこれつりな」
「ええ、結構使ってる? 高かった?」
「いや、それほどでもなかったが、少し多めに買ったからな」
「なるほどね。まぁ、材木だしいいか」
シュンナの許しも得たところで俺たちはさっそく街の外へと向かうことにした。なにせテントの改造をするわけだから、街の外でやるわけにはいかないからな。
そう言うわけで、南門から出て2時間ほど歩いた場所へとやって来た。
「この辺りなら人目もないし、森の奥に入ったら大丈夫だろ」
「そうね。いいと思う」
「そうだな。いいんじゃないか。なぁミリア」
「ええ、そうね」
「んじゃ、決まりだな」
全員一致で決まったところで俺たちはさっそく森の奥へと入り、”収納”からテントを取り出した。
「いつ見てもスニルのそれはすごいな」
「ほんとね。確か”収納”って魔力量で中の大きさも変わるのよね」
「まぁね。でも俺の場合メティスルのおかげで魔力量がほぼ無限にあるから、”収納”もほぼ無限に入れられるんだ」
「無限って、すげぇな」
「本当だよな。俺たちもかなり”収納”には助けられてるよ」
「全くねぇ、特にいつでもおいしい料理を食べられるとか冒険者時代を考えるとありえないって」
「本当ねぇ」
「あははっ、でもこれでも多少は容量減っているんだけどね」
「そうなのか」
「ああ、ほら普通の”収納”って時間経過もあるだろ。でも俺のは時間経過もないようにしてあるんだ。だからいつでもうまい料理が出来立てで食える。でもそれには魔力消費量が倍近くあって、だから俺が普通に”収納”を使うより半分になっているんだ。まぁ、それでも元が元だから、ほとんど変わらないようなもんだけどね」
無限の半分は結局無限のようなものだ。
「そう考えると、ほんとすごいな俺たちの息子は」
「そうね。本当ねぇ」
そう言って父さんと母さんに頭をなでられた。2人はこうして俺を子ども扱いしてくる。まぁこれは仕方ないのかもしれない、2人にとって俺はやはり2歳のままだからな。でも、一応14歳だからできれば勘弁してほしい。ていうか中身はおっさんだから余計にな。まぁ、おっさんだからこそ我慢もできるんだけどな。
とまぁ、ンなことはどうでもいいとして、問題はこのテントをどう改造するかということだ。
それから、俺たちはそれぞれが考えていたアイデアを出し合ってダンクスが図面を引いたのだった。元騎士のダンクスは騎士の訓練課程でそういったことも学んだらしい。一体どういう騎士だったんだろうかわからん。まぁ、そのおかげでこうして助かっているんだからいいけど。
「それじゃ、さっそくはじめっか、まずは、この壁をぶち破るぞ」
「おっしゃ、任せろ」
こうして、俺たちのテント増築工事が始まったのだった。
「へぇ、良かったじゃない」
「まぁ、な。それでシュンナもサーナにまたいろいろ買ったのか?」
「そうなの、聞いてよスニル……」
それからシュンナがサーナに買ったものを見せられ説明を受ける羽目となったが、俺自身シュンナがどんなものをサーナに買い与えたのかが気になったので、特に苦になるということはなかった。尤も、途中で母さんが参加し始めたのには少々疲れたけどね。なにせ母さんは今日俺に買った服などを広げ始め、シュンナと一緒になって来てみろと言い出し幾度となく着替えをさせられてしまったよ。
翌日、起きるといつもの通りダンクスがすでに起きていた。
「おう、起きたか」
「ああ、まぁな」
「ん、ああ、そうか、スニル、おはよう」
「おはよう、父さん」
俺が起きるとすぐに父さんも起きたようで挨拶を交わす。これでこの部屋にいるものはすべて起きたことになる。そう、今回から宿の部屋は2つ取り男女で別れることになった。これまではシュンナ1人だけ別というのもシュンナ自身が拒否したために同室だったし、サーナが加わったところで、シュンナ1人にサーナの夜泣きを押し付けることになりかねなかったことから続けていた。しかし、父さんと母さんが加わったことで6人となり、さすがに6人部屋は存在せず、それならと男女で別れて泊ることとなった。まぁ、それによりサーナの世話をシュンナと母さんに任せることになってしまうが、シュンナは聞くまでもなく、母さんは楽しそうにしていた。なんでも夜泣きは大変でもその世話をすることに幸せを感じるらしい。まぁ、喜んでいるなら良しとしようというわけで、この部屋割りとなった。
それからしばらくして俺たちの部屋の扉がノックされた。
「入るよー」
「おう」
シュンナの声がしてダンクスが代表して答えた。そして、部屋の中にシュンナと母さん、サーナが入ってきた。
「朝ごはん行くでしょ」
「ああ、そりゃぁな」
今度は俺が答えて、みんなで1階の食堂へと降りていったのだった。それから、みんなで朝飯を食べて、一旦俺たちの部屋へと戻った。その理由は、今後の予定を話し合うためである。
「それで、これからどうするの」
「とりあえず、ルンボーテはもういいと思うだけど、どうだ」
「あたしも大体見たからいいかな、ダンクスは?」
「俺もだな。だが、ミリアとヒュリックはまだ昨日ついたばかりだろ」
「そうね、でも、私たちも昨日大体見られたし、いいと思うわ。ねぇ」
「ああ、そうだな。俺たちはこれといってみたいものがあるわけでもないからな。昨日は久しぶりにスニルと3人で街を回れたわけだしいうことなしだ」
「そうね」
父さんが言いながら俺の頭に手を当てると、母さんも微笑みながら俺に抱き着いてきた。
「そんじゃ、次の街、っと行きたいんだけど、その前に増築する必要があるだろうなぁ」
「ああ、増築かぁ。確かにそうだな」
「そうだったわね。人数も増えたし、必要よね」
「増築?」
「何をだ?」
俺たちが増築というと、父さんと母さんはそれが何のことかわからないようだ。そこで、説明をすることにした。
「テントのこと、あれって空間魔法で広げたところにダンクスと俺で部屋のように作ったものなんだけど、父さんと母さんの部屋作る必要があるでしょ」
「さすがに、スニルの部屋に3人は狭いと思うしね」
「うーん、私はそれでもいいけれど、そうよねスニルも14歳だものね。親と同じ部屋というわけにもいかないものね」
「そうだな。それにスニルもそうだが俺たちもこれからでかくなるし、そうなると余計に狭くなるな」
「そうそう」
今現在の俺たち親子はみんな130cmほどで子供だから、今のままでもなんとかなるが、それぞれの年齢を考えるとまさに成長期、この時期となると中学生となるわけだが、前世の俺だって30cmは伸びたからな。そう考えると間違いなく狭くなる。
「というわけで、2人の部屋を増築しようと思うんだけどいいかな」
「ああ、いいぞ」
「そうね、そうしましょうか。でも、どうやって作るのかしら」
「それは、俺たちでやるしかないな。あれはさすがに表に出すわけにはいかない代物だからな」
「表に出たら、大騒ぎだろうからな」
「そういう面倒は遠慮したいな」
俺のテントは、どう考えても多くの者たちが欲しがるからな。特に王侯貴族とか、連中とかかわるのはできれば勘弁してほしい、ろくなことにならなさそうだ。
「ありうるから厄介だな。それじゃぁほかの人間に頼むというわけにはいかないってことか」
「そうなるかな」
「となると、まずはどんな間取りにするか決めないと」
「おおぅ、そうだな。んで、どうするか、部屋を2つ作るか1つにするか」
俺はそう言ってから父さんと母さんを見た。つまり、2人で1つの部屋にするか、別にするかというわけだ。今現在2人は子供だが元は夫婦、特に同室でも問題ないし、まぁ今までもそうだったらしいから聞いてみた。
「そうね。これまでもそうだったし、生まれ変わっても私たちは夫婦だから、一緒の部屋でもいいわよ。ねぇあなた」
「そうだな。2つ作るのも大変そうだし、1つのほうが楽だろ」
父さんと母さんは問題ないと同室を選んだ。まぁ、もともと夫婦だしね。
「なら、部屋は1つと、2人だから少し大きめにした方がいいだろうな」
「だな、木材とか足りるか?」
部屋は1つと決まり、その部屋は2人部屋というわけで少し大きめにすることにしたわけだが、材料はあったかな。”収納”には前回の増築や孤児院を建て替えた時などの木材がいくらか入っている。それを確認してみたがどう考えても部屋を1つ作るには足りないように見える。
「足りないな」
「なら、あとで材木屋に行って木材を買いに行く必要があるな」
「それと、家具なんかも買わないといけないよね」
「ああ、そうだな。あっ、そうだ。父さん、母さん」
「どうしたの」
「なんだ、スニル」
家具と聞いて思い出したことがあった。
「気が付いたかもしれないけれど、俺の部屋で使っている家具とかもそうだけど、家から持ってきたものが多くて、使っているベッドとか箪笥とか」
「ああ、それで」
「見覚えがあると思ったらそういうことだったのね」
やはり自分たちの物だけあって気が付いていたようだ。
「そう、それであれどうする?」
どうするというのは返すのかどうかということだ。
「そうねぇ。スニルが使っているのだからそのままスニルが使うといいとは思うけれど、あの箪笥とかはお母さんが子供のころから使っているからもうだいぶボロボロでしょう」
「いや、まだ使えると思うんだけどな」
母さんはボロボロだというが、確かにところどころ剥げていたり、傷が結構あったりするけれど使う分には全く問題ない。元日本人のもったいない精神からも使えるものは最後まで使いたい。
「いっそのことスニルの家具も買ったら」
「あらっ、いいわね。それ」
「えっ、いや俺は別に」
「スニルが使っているのって実家から持ち出した者でしょ。だから実家に戻るたびにテントから移動しないといけないから面倒でしょ」
まさにシュンナの言う通りで家に帰ると、わざわざテントを出して家具類を一旦”収納”へ入れた後、家に帰ってまた出して設置するということをやっており確かに面倒だ。
「なんにせよ。材木屋と家具屋で別れるか」
「そうだな。それじゃダンクスは材木を頼む」
「おう」
「それじゃ俺もダンクスと一緒に材木を買いに行こう、ミリアは家具を頼むな」
「ええ、任せて」
「あっ、あたしも家具屋さんに行こうかな。かわいい家具とかあったら買いたいし」
「ええ、一緒に行きましょ」
「そんじゃ、俺はどうすっか」
「スニルはお母さんと一緒に家具屋さんよ。スニルの家具も買うのだからね」
「お、おお、わかったよ」
「サーナも一緒に行こうねぇ」
「あう、だぅ」
こうして、ダンクスと父さんが材木屋へ向かい木材を購入することになり、俺と母さんシュンナとサーナの4人で家具屋へ行くことになった。
「それで、お金はどこにあるの」
材木を買うにも家具を買うにも当然だが金が必要だ。母さんはその心配をしている。そういえばまだ俺たちの資金を言ってなかったな。
「それなら大丈夫だよ母さん、俺たちの金は全部シュンナが持ってて、俺とダンクスはそこから小遣いの形でもらっているんだ」
「へぇ、いい判断ね。男たちにお金を渡すと変なものを買ってくることがあるからね」
「そう、そうなんだよね。ダンクスもスニルもたまにいらなそうなものを買ってくるのよ」
「いやいや、あれは必要になるって」
「でも、今まで使ったことないよね」
「うっ、いや、それはまだ来ないってだけでだな」
「そ、そうだぜ。絶対そのうち必要になるって」
シュンナから呆れの目で見られながら言葉を紡ぐ俺とダンクスであった。そんな俺たちの様子を見ていた母さんはなんだか微笑んでいた。
「まぁよ。それはともかくシュンナ金をくれ」
「はぁ、わかったわよ。余計なもの買わないでよ」
「わかってるって」
シュンナは一応という感じに忠告してからダンクスにある程度の金を渡したのだった。余談だが、俺たちの中で最もまじめなのがダンクスだ。そのため、今シュンナが渡した金が俺たち共有の金であることは分かっているのでそれを使って自分の欲しいものを買うことはまずないという確信が持てる。シュンナもそれが分かっているために一応という風に行ったわけだ。
「そんじゃ、行ってくるぜ。待ち合わせは南門でいいか」
「そうだな。そうしよう。多分だけどこっちが遅くなる気がするから、適当なところで時間をつぶしたほうがよさそうだが」
「だな。わかった。適当にしてるさ」
そう言ってダンクスと父さんは部屋を出ていき、それを見送った俺たちもまた準備を整えてから部屋を出たのだった。
「考えてみると、シュンナが付いてきたのはよかったな」
家具屋への道を歩いている中ぽつりと俺はつぶやいた。
「どうして?」
そんな言葉に隣を歩いていた母さんが聞いてきた。
「いや、ほら、俺もそうだけど母さんも今は子供だろ、そんな子供が2人で家具を買いに来たって無理ない」
「ああ、そういえばそうだったわね」
「ちょっと、忘れてた。なるほど確かのそう考えると確かにあたしが一緒のほうがいいよね」
俺が言ったように俺と母さんはそれぞれ14歳と12歳、年齢だけでも子供だが特に俺は14歳にしては小さい。そんな俺と母さんが行ったところで子供買い物にしか見えないだろう。そこにシュンナという大人が加わることでようやく家具屋も普通に対応することだろう。まぁ、それでも子供率が高いんだけどな。
「そうね。助かったわシュンナ」
「あははっ、そうだよね。ミリアもスニルも子供だものね。時々忘れるんだよね。ほらスニルって記憶の関係で中身はあたしよりもずっと上だし、ミリアはそのお母さんだもんね」
「上ったって、精神的にはたぶんシュンナのほうが上じゃないか、俺そっち方面は全く成長してないから」
前世でも精神的には子供のまま大人だったからな。どちらかというと俺の精神は今の肉体年齢に合致しているんじゃないかと思えるんだよな。まぁ、おっさんなところは否定しないけどな。
「あら、それじゃ私がすごい年上みたいね」
「はははっ」
とまぁ、和やかに家具屋へと向かったのだった。平和だ。それから俺たちは家具屋においてシュンナと母さんがあれやこれやと見て回るのを見ながら、時々意見を求められてのなんとも疲れる買い物を済ませてから、ダンクスと父さんとの待ち合わせ場所である南門へと向かったのだった。
「お待たせ」
「ずいぶんと長かったな」
「いいのがいっぱいで迷っちゃったんだよね」
「そうそう、いい街ねここ」
シュンナと母さんはほくほく顔でそういったが、俺は少し辟易していた。
「お疲れ、スニル」
「全くだ。それで、そっちはどうだったんだ材木」
「問題なく買えたぜ。少し多めに買ったけれど、いいよな」
「いいんじゃないか」
材木は多くあったほうがいいだろう、作っていて失敗して作り直しということもあるだろうし、急に必要になることだってある。多くあって困ることはない。
「というわけで、シュンナこれつりな」
「ええ、結構使ってる? 高かった?」
「いや、それほどでもなかったが、少し多めに買ったからな」
「なるほどね。まぁ、材木だしいいか」
シュンナの許しも得たところで俺たちはさっそく街の外へと向かうことにした。なにせテントの改造をするわけだから、街の外でやるわけにはいかないからな。
そう言うわけで、南門から出て2時間ほど歩いた場所へとやって来た。
「この辺りなら人目もないし、森の奥に入ったら大丈夫だろ」
「そうね。いいと思う」
「そうだな。いいんじゃないか。なぁミリア」
「ええ、そうね」
「んじゃ、決まりだな」
全員一致で決まったところで俺たちはさっそく森の奥へと入り、”収納”からテントを取り出した。
「いつ見てもスニルのそれはすごいな」
「ほんとね。確か”収納”って魔力量で中の大きさも変わるのよね」
「まぁね。でも俺の場合メティスルのおかげで魔力量がほぼ無限にあるから、”収納”もほぼ無限に入れられるんだ」
「無限って、すげぇな」
「本当だよな。俺たちもかなり”収納”には助けられてるよ」
「全くねぇ、特にいつでもおいしい料理を食べられるとか冒険者時代を考えるとありえないって」
「本当ねぇ」
「あははっ、でもこれでも多少は容量減っているんだけどね」
「そうなのか」
「ああ、ほら普通の”収納”って時間経過もあるだろ。でも俺のは時間経過もないようにしてあるんだ。だからいつでもうまい料理が出来立てで食える。でもそれには魔力消費量が倍近くあって、だから俺が普通に”収納”を使うより半分になっているんだ。まぁ、それでも元が元だから、ほとんど変わらないようなもんだけどね」
無限の半分は結局無限のようなものだ。
「そう考えると、ほんとすごいな俺たちの息子は」
「そうね。本当ねぇ」
そう言って父さんと母さんに頭をなでられた。2人はこうして俺を子ども扱いしてくる。まぁこれは仕方ないのかもしれない、2人にとって俺はやはり2歳のままだからな。でも、一応14歳だからできれば勘弁してほしい。ていうか中身はおっさんだから余計にな。まぁ、おっさんだからこそ我慢もできるんだけどな。
とまぁ、ンなことはどうでもいいとして、問題はこのテントをどう改造するかということだ。
それから、俺たちはそれぞれが考えていたアイデアを出し合ってダンクスが図面を引いたのだった。元騎士のダンクスは騎士の訓練課程でそういったことも学んだらしい。一体どういう騎士だったんだろうかわからん。まぁ、そのおかげでこうして助かっているんだからいいけど。
「それじゃ、さっそくはじめっか、まずは、この壁をぶち破るぞ」
「おっしゃ、任せろ」
こうして、俺たちのテント増築工事が始まったのだった。
21
お気に入りに追加
73
あなたにおすすめの小説
まさか転生?
花菱
ファンタジー
気付いたら異世界? しかも身体が?
一体どうなってるの…
あれ?でも……
滑舌かなり悪く、ご都合主義のお話。
初めてなので作者にも今後どうなっていくのか分からない……
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~
川原源明
ファンタジー
秋津直人、85歳。
50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。
嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。
彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。
白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。
胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。
そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。
まずは最強の称号を得よう!
地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語
※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編
※医療現場の恋物語 馴れ初め編
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!
あるちゃいる
ファンタジー
山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。
気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。
不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。
どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。
その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。
『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。
が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。
そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。
そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。
⚠️超絶不定期更新⚠️
転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~
ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。
異世界転生しちゃいました。
そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど
チート無いみたいだけど?
おばあちゃんよく分かんないわぁ。
頭は老人 体は子供
乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。
当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。
訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。
おばあちゃん奮闘記です。
果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか?
[第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。
第二章 学園編 始まりました。
いよいよゲームスタートです!
[1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。
話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。
おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので)
初投稿です
不慣れですが宜しくお願いします。
最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。
申し訳ございません。
少しづつ修正して纏めていこうと思います。
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる