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第02章 旅立ちと出会い

13 孤児院完成

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 この数日かかって作ったフリーズドライの工業魔道機械が完成した。
 これにより、これまで倉庫と呼称していたこの場所は工場と呼ばれるようになった。

 とまぁ、それはいいとして今回は、再び孤児院である。
 俺が数日かかってる間に、新しい孤児院が建て終わったという話をダンクスから聞いたのだ。
 というわけで、今日は朝から新生孤児院を見るためにやってきた。

「思ったよりも早かったな」
「ああ、子供たちを待たせるわけにはいかなかったからな」

 俺の問いにダンクスがそう答えた。
 確かに、子供をいつまでもあんな小さな建物に押し込めておくの気が引けるからな。

「それで、家具類はどうしたんだ?」
「ああ、それは昨日買っておいたぜ。お前の”収納”に入ってるだろ」

 言われて確認してみると、確かに”収納”には見慣れない家具が大量にあった。

「なるほどな。それじゃ、あとはこれを配置していくだけか」
「そういうことだ。ちょっと待ってろ」

 そう言ってダンクスは素早く建物内に入っていった。
 それから、数分後ダンクスと一緒に入っていった男衆が外に出てきた。

「終わったみたいだね。楽しみ」
「ほんとねぇ」

 俺の隣で、ポリーとシュンナがうきうきとしている。
 まぁ、俺も楽しみだけどな。
 さて、どんな風になったのやら。

「おう、できたぜ。中に入ってもいいぞ。お前ら」
「わーい」
「あたらしい、おうちー」
「ぼく、はいる」
「はいってもいいの」
「みんな、あんまりはしゃがないようにね」

 子供たちが一斉に建物内に消えていった。
 一応年長の子供が、慌てて追いかけていたが、まぁ、大丈夫だろ。

「ふふっ、みんな元気ね」
「仕方ないよ。私もワクワクしてきたし」
「そうね。行きましょうか」
「はい」

 院長や手伝いに来ている卒院生たちも子供たちの後を追いかけていった。
 そんな様子を見ていた俺たちもまた、それに続いて孤児院の中に入っていったのだった。


 孤児院の中は、できたばかりということもあり清潔できれいに家具類が配置されている。
 まぁ、子供らが走り回ってるけどな。
 これはこれで、喜んでいるようでよかったよかった。

「思っていたより、ずっといいね」

 ポリーがそう言った。

「そうだな。あっちじゃここまで走り回れないだろうしな」
「確かにね。あの子たち、ほんとうれしそう」
「だな」

 ポリーのいう通り、子供たちは今までにないって程の笑顔ではしゃいで走り回っていた。
 ここで、新生孤児院について紹介していこうと思う。


 建物は木造2階建てで、敷地奥で曲がったL字形となっている。

 それで、間取りはというと一階には玄関から入ったすぐ左に事務室、ここではこの孤児院の手伝いに来ているソニアたちの仕事場となっている。
 反対右側に子供たちが勉強や室内での遊びをするいうなれば多目的の教室がある。
 この教室はもう1つあり、それは事務所の向かい側だ。ここは、主に年長の子供たちが就職に向けての勉強をするところとなる。
 余談だが、ここで教える読み書き計算は本当に簡単なもの、例えば四則演算ぐらいだろう。
 それ以上教えると、貴族と同等か以上となってしまうらしい。
 そうなったら、なぜ孤児なのに貴族よりもできるんだと、面倒ごとになりかねない。
 だから、本当に簡単なものだけを教えるわけだ。
 んで、その2つ目の教室の隣が院長室、院長が一応の雇い主である領主への報告書などを、執筆など事務作業を行うための部屋で、そこから扉でつながった隣の部屋が院長の私室となる。
 もちろん、この私室は玄関から続く廊下からも入ることができるようになっている。当たり前か。
 そんな院長の私室から少し進んだ向かい側には、食堂がありここで子供たちが腹いっぱい食べることになるだろう。
 この食堂の隣は当然ながら調理場、院長をはじめこれから多くの大人たちがやってきてそこで子供たちのための料理を作ることになる。
 実はこの調理場のかまどは工場で作ったような魔道具になっていて、薪を使わずとも簡単に火をつけることができる。
 これには、院長をはじめ実際に料理をする女性陣に喜ばれた。
 尤も、自宅にもほしいとかなり言われたけどな。
 これについては、さすがにおいそれとつけるわけにいかないので断った。
 ちなみに、食糧庫は村の倉庫と同じとなっている。

 さて、食堂につてはこのぐらいにして、次に行こうか。
 というわけで、食堂を出て廊下を進んでいくと、左には年少の子供たちの部屋があり、そこから階段を挟んだ隣はソニアなど孤児院を手伝っている大人たちの宿直室のようなものを作った。
 これは年少の子供たちになにかあったときすぐ対応できるようにとした。
 ちなみにだが、子供らの部屋の反対側隣は院長の私室となっており、両側から挟んだ万全の体制となっている。

 そうして、階段のところで廊下を右に曲がるとそこにあるのはトイレとなっている。一応男女別にして、それぞれ複数人が同時に使えるようになっている。
 まぁ、イメージは学校のトイレだな。
 それで、そのトイレは水洗となっており、その下水はというと街にある下水へと普通に流している。
 この世界は神様がつまらないと称するほどに文明文化が遅れているが、こういった下水処理だけは進んでるらしい。
 まぁ、清潔なトイレや下水は必要不可欠だからな。
 汚いと疫病の温床になってしまう、それはあってはならないことだからな。

 とまぁ、トイレのことはこのくらいにして次だが、次はそのトレイの隣でそこは風呂となっている。
 この世界には、風呂はなく人々はたらいなどにためた水または湯を使い体を洗っているか、魔法で”浄化”や”洗浄”といったものを使っている。
 ちなみに、俺たちはこれまでテントだったころは魔法、シエリルとワイエノの家に泊まるようになってからは、たらいに魔法で湯を出し体を洗っている。
 尤も、シュンナはともかく元日本人たる俺は意気として洗っているが、ダンクスはめんどくさがっている。
 ああ、でも、実はこの孤児院の風呂だが、これは真っ先に完成させたことで、それ以来俺たちもここの風呂に入らせてもらっている。
 そのおかげか、ダンクスも最近は風呂の気持ちよさに気が付いたようで、早く入ろうぜと俺を誘ってくるようになったのは笑い話だ。
 ああ、そうそう、風呂は当然男女別にしてあるので、シュンナやポリーとは別だぞ。
 また、子供たちだが当然風呂の入り方なんか知らなかったが、風呂を完成させたところでちゃんとシュンナとダンクスを通して、院長たちに教えたために問題ない。
 まぁ、院長たちも最初はかなり困惑してたけどな。
 なにせ、風呂は大量の湯が必要になる。そのたびに湯を沸かさなければならない、普通に考えてもったいないし、どうやってそんな湯を沸かすのかという問題があるからだ。
 もちろん、それの答えとして魔道具、ではなく温泉で答えた。
 そう、温泉である。この街の地下、それこそとんでもなく深いとこに温泉があることが”探知”で分かった時の俺の歓喜、日本人ならわかるだろう。それを、工場で掘った水道と同じように改造した”掘削”で掘り、魔鋼製の管(魔鋼製だと詰まることがない)を通して、地上まで引き上げたってわけだ。
 いやぁ、最初湯が地下から上がってきた時のみんなの反応は面白かった。かなり驚いていたからな。
 まぁ、それはともかくとして、とにかくこの孤児院の風呂は温泉である。
 効能までは知らないが、子供たちを含めみんな気に入ってくれたのは言うまでもないだろう。
 何より、ゾーリン村の連中をはじめポリーも気に入り、村にもひいてくれと言い出した。
 そのため、仕方なく村に行って温泉を引きにいったわけだ。

 と、まぁ、温泉の話はこのぐらいにして、その隣である。
 そこにあるのはロッドとサリーム夫婦の部屋となっている。
 なにも、こんな端っこじゃなくてもと思うが、ここからだとすぐ畑に出ることができるために、2人からここにしてほしいといわれたわけだ。
 このことからわかるように、この先は外にすぐ出ることができるようになっており、そこは子供たちの畑となり、子供たちが畑仕事をするときはここから出て、戻ってきたらすぐに風呂に入って汚れを落とす流れとなるだろう。

 一階についてはこのぐらいでいいだろう。
 次は2階についてだが、こっちはそこまで詳しく見ていく必要はない、なにせ、2階にあるのは年長の子供たちの部屋(男女で分けている)と今後の院長以外の正式な職員が入った時の彼らの部屋、客間などだからな。

 こうして、大体の孤児院の紹介を終わりたいと思う。


「いい感じになったね」
「ああ、これで、子供たちものびのびと過ごせるだろうよ」
「そうだね」

 ポリーは嬉しそうににこにことしている。

「スニル君、ありがとう、あんなに子供たちが嬉しそうに笑っているのなんて、ここしばらく見ていなかったわ。これもすべてスニル君のおかげね。本当にありがとう」

 俺とポリーが新生孤児院を見て回って、最後に食堂で話をしていると院長がやってきてお礼を言ってきた。

「えっと、いや、いいよ。恩を返しただけだから」
「恩?」
「ここは父さんが育った孤児院、ここで父さんが育ったから、俺がいる」
「スニル君」

 父さんがこの孤児院で院長が育ててくれたから、冒険者となり母さんと出会った。そして、俺が生まれた。
 だから、俺には院長こそが大恩人なんだ。

「それに、これは俺がしたかったこと、したいことをしただけ。ただの自己満足だから」

 これは俺の前世からの持論、俺は別に礼を言われたくて何かをするわけじゃない、ただ単に俺がしたいからやっただけの自己満足でしかない。
 だから、俺の行動にはたとえそれがどんなことでも見返りはいらない。
 見返りを求めるなんてことは、それこそただの偽善だしな。
 本当の善意は見返りを求めたりなんかしないものだと思っている。
 まぁ、俺自身その行動が善意とは考えてないけどな。
 ほんとにやりたいことをやっただけだ。

「ふふっ、そういうところ、ヒュリックによく似ているわ。あの子も、お礼を言われるとそんな風に言っていたわね」

 これには驚いた。まさか前世からの俺の考えを、今世の父親が同じことを考えている人だったとはな。

「そう、なんだ」

 俺は心なしかうれしかったのは秘密だ。

「スニル、うれしそうね」

 えっ、あれっ、ばれたんだけど……。

「な、なんでだ」
「なんとなく、そう感じたから」
「お、おう」
「2人は仲良しなのね。あらっ、ちょっとごめんね」

 どうやら、子供たちの間で喧嘩が始まったようで、院長が飛んで行った。

「スニル、あっ、いたいた、ちょっといいか?」

 ここでダンクスと村の男衆がやってきた。

「どうしたんだ?」
「おう、あれ、壊すんだろ、いつやる?」
「ああ、中からものを移動したりしてからだからな、院長とかに相談しないとな」

 ダンクスのいうあれというのは、これまで孤児院だった建物だ。
 この新生孤児院ができた以上、あそこは不要なものだだから取り壊す予定となっている。

「でも、院長は今手が離せないだろうし、ちょっと待っててくれ」
「おう、そのようだな」

 院長は現在子供たちの喧嘩の仲裁をしているために、それが終わってからでいいだろう。


 待つこと少し、うまく仲直りできたようで院長が帰ってきた。

「ごめんなさいね。あらっ、皆さん、もしかしたら孤児院のことですか?」
「ああ、こっちも落ち着いたし、そろそろあっちを片づけたほうがいいんじゃないかと思ってな。あそこは、子供らの遊び場にするんだろ」
「そのつもり」

 元孤児院が建っている場所は更地にしてから子供たちの運動場とするつもりだ。

「そうですね。子供たちも外で思いっきり遊びたいでしょうし、片づけのほうはすでに終わっていますので、こちらに移したら、すぐにでも構いませんよ」
「おう、わかったぜ。なら、始めるか」
「ああ」

 というわけで、俺たちはそろって旧孤児院へ向かい子供たちが使っていたものや、院長のものを”収納”に収めていった。

「少しだけ、時間をもらえますか?」

 いよいよ取り壊そうと思ったところで院長がそう言ってきた。

「ああ、もちろんだ。じっくり見ておいてくれ」

 院長にとっては、5年とは言え子供たちを多く育てた思い出が詰まった場所、心行くまでその心に刻んでほしい。

 時間にして数分、院長はじっくりと建物を眺めた後、振り返りダンクスたちに言った。

「お願いします」
「もう、いいのか?」
「ええ、大丈夫です」
「わかった。任せてくれ」

 それから、ダンクスと男衆はほかの建物よりも丁寧に取り壊していったのだった。


 孤児院だった建物がついに取り壊された。
 建物の残骸は当然ダンクスがその場で、マジックバックに収めていったので取り壊しが終わった時には、更地へとなっていた。

「あとは、適当に固めて均しつつ、芝でも植えるか」

 土だと遊びづらく、硬いとけがをする可能性があるから、芝生にしようと思う。

「ああっ、でも、芝生ってどうすればいいんだ?」

 日本だと、ホームセンターなんかで芝生のシートを買ってきて敷けばそれで完了だ。
 だが、この世界にホームセンターもなければ、芝生のシートなんてものもない。
 だったら、どこかで種でも売ってないかなぁ。

「スニル、どうした?」

 俺が考えているとダンクスが聞いてきた。

「ああ、ここに芝生でも敷こうと思ってな。どっかないか?」
「シバフ? なんだそれ?」

 どうやら、ダンクスは芝生そのものを知らないらしい。
 となると、種とかもなさそうだな。

「簡単に言うと、ここを草原みたいにしようと思ってさ。芝生はその植物だよ」
「ああ、シーブのことかあんなもん誰もわざわざしかないからなぁ」

 芝生のことはシーブっていうらしい、というより、誰もしかないって、それじゃ、どうするんだ。

「草原みたいにしたいんなら、草原をもってくりゃぁいいじゃねぇか」
「草原を? ああ、そっか、そうすれば、楽だな」

 種から育てるより、草原そのものを持ってきたほうが断然楽だな。
 やはり、俺の常識は日本のままだから、魔法のことを忘れてた。

「なんの話してるの?」
「男2人で、変なことでも考えていたんじゃないの」
「なんだよ、変なことって」
「別に変なことじゃないだろ。草原をもってこようって話だからな」
「はっ、草原? 持ってくる? 何を言ってるのよ」

 シュンナとポリーが何を言っているんだという顔をしてきたので、俺は子供たちの運動場に芝生、いや、シーブだったかを、敷くという話をした。

「なるほどねぇ。確かに、土よりそのほうが転んでもけがとかしないかもね」
「だろ、ふかふかだろうし」
「うん、うん、いいかも、お昼寝とか、気持ちよさそう」
「おおっ、いいなそれ」

 草原で昼寝か、確かに気持ちよさそうだな。

「それじゃ、さっそく草原にいって持ってくるか。確かカリブリンに来る途中にあったよな」
「おう、あったあった、あそこに行くのか」
「確かに、あそこならよさそうね」



 というわけで、さっそく、俺とシュンナ、ダンクスの3人で件の草原へ転移してきた。
 
「それで、どうやって持っていくんだ」
「そりゃぁ、当然魔法だよ。土魔法の”範囲指定”で、持ち上げて”収納”に収める」
「ずいぶんと簡単に言うわね」
「まぁ、実際に俺には簡単だからな」

 今言った魔法の”範囲指定”というのは、文字通り魔法の範囲をあらかじめ指定しておくという魔法技術の1つだ。
 どういうことかというと、この世界の魔法は通常対象が単体となるようになっている。
 つまり、回復魔法である”ヒール”をただ唱えただけでは1人しか回復させることができないということだ。
 そこで、この”範囲指定”をしてやることで、その範囲内にいるものたち全員に”ヒール”をかけることができるようになる。
 実は、ゾーリン村で襲撃を受けた際、複数の襲撃者を同時に風魔法で攻撃したが、あの時もこの”範囲指定”を使っていた。まぁ、実際にはもう1つ技術を使っていたが今はいい。

「ほんと、簡単に言ってくれるわよねぇ。そもそも”範囲指定”なんて、ほとんどの人が使えないわよ」
「ああ、全くな。俺が知る限り魔法が得意ってやつでも使えなかったぜ」

 シュンナとダンクスによれば、この”範囲指定”自体が使える奴がほぼいないらしい。
 それほど、制御が難しいからだ。
 俺の場合、メティスルがそれら面倒をすべてやってくれるので、考えただけでできるんだけどな。
 さて、そろそろやるか。
 そんなわけで、俺は、草原の中に孤児院の芝を張りたい場所を思い浮かべつつ、”範囲指定”をする。

「”範囲指定”っと、よしっ、そんじゃ次は、こいつを持ち上げてっと」

 俺が、そうつぶやくと同時ドゴッって音を立てて、地面が空中に浮かんだ。

「うおぅ」
「す、すごい、光景ね」

 この光景にはさすがの2人も驚いているが、実は俺も驚いていた。
 すげぇな、おい。
 こんな光景、まさか俺自身が作り出すなんて、前世の俺じゃ思いもしなかったよなぁ。当然だけど……

「さてと、あとは処理してっと、”収納”」

 処理とは、簡単に言えば妙な病原菌とかが付いてこないように殺菌と虫などの排除である。
 そのあと、探知で何もないことを確認してから、した”収納”にそのまま収めた。

「それじゃ、帰るか」
「おう」
「ええ、そうね」

 こうして、俺たちは孤児院へと帰ったのだった。
 ちなみにだが、シュンナとダンクスが付いてきたのは、単に俺1人行かせられないという心配からだ。



「おかえり、それでスニル、そのシーブだっけ、持ってきたの?」

 帰ると、すっかりと転移で俺が現れるのに慣れてきたポリーがそう言った。

「ああ、まぁな、それで、さっそく敷きたいから、みんなに一応院内に入るように言ってくれ」
「うん、わかった」

 それから、数分後外に出ていた者たちも全員孤児院の中に入ったことを確認したところで、”収納”から、先ほどしまった草原を取り出し、そのまま地面に置いたのだった。

 そのあと、一応植物魔法”ルート”を使い孤児院の地面と草原をなじませる。
 よし、こんなもんか。
 これにて、孤児院は俺のイメージした通りに完成したのだった。
 これからは、子供たちがのびのびと元気に育ってくれることだろう。


 …………あっ、いや、待てよ。その前に、一応セキュリティをつけておくかな。
 そんなことを思いつき、その後1日かけて、孤児院の敷地内すべてにセキュリティーと防災の魔道具などを設置していった。
 うん、今度こそ完成だ。
 これなら、どんな奴が襲って来ようと、火事になろうと、地震が来ようと、大雨が降ろうとこの孤児院だけは平穏無事となることは間違いないな。
 俺は、1人そう納得して新生孤児院完成を見たのだった。
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