7 / 171
第01章 最低な始まり
05 テッカラでの目的
しおりを挟む
翌日。
「ふわぁ、さぁてと、飯食ったら、さっそく行くかな」
というわけで、適当に飯食って、すぐに立ち上がり出発することにした。
さて、そんな俺が向かっている所は、昨日見つけた冒険者ギルドだ。
といっても、別に冒険者になろうと思っているわけではない。
確かに、前世の記憶があるので、冒険者に憧れ的なものがあるのは事実だけど、冒険者になると最低1年は街中での仕事しかさせてもらえなく、3年は登録した街でしか仕事ができなくなるらしい。
つまり、ある程度したところで別の街に移動する。ということができない。
というのを、俺を売ったやつが言っていたのを覚えている。
俺としては、そんな1つの街に3年もとどまるなんてことをしたくない。
そんなわけで、俺は冒険者になるつもりはない。
じゃぁ、なんで冒険者ギルドに向かっているのかというと、答えは簡単だ。
俺の現在の目的は、自分の名前を知ること。
以前説明した通り、現在俺に名前はない。
もう一度ちゃんと説明すると、俺の首にはまっていた奴隷の首輪の機能に”真名の剥奪”というものがある。
この真名というのは、この世界において、生まれてから最初に付けられた名前となる。
これを剥奪することで、その人物を誰でもない”物”へと変える。
っで、普通なら自分の真名を忘れるなんてことはないから、奴隷の首輪が外れ、自身がその名を認識することで改めて真名が刻まれるはずだった。
しかし、先述したように、俺は幼いころに両親を失い、俺を引き取ったクソ一家から名前を呼ばれたことなど一度もない。
いつも、”おいっ”とか”お前”、そんな風にしか呼ばれなかった。
だから、俺の記憶には自分の真名がない。
だったら、別の名前を自分で考えればいいんじゃないかと思うかもしれないが、思い出してほしい、俺にはちゃんと両親がいて、幼いころに魔物に殺されている。
つまりだ、俺にはちゃんと両親が真名を付けてくれていたんだ。
そのため、俺がどんな名を考えたとしても、それが真名となることはない。
そして、この真名だけど、厄介なことにこれがないと偽名すら名乗れない、という事実がある。
どういうことかというと、俺も使うがこの世界には”鑑定”という能力がある。
その結果どんな名前を付けても、名前の欄には『なし』としか表示されない。
もちろん、この鑑定は誰もが持っているような能力だはないから大丈夫だとは思うが、万が一ということもある。
てなわけで、その真名を知るには、会いたくはないが俺を売ったやつに会う必要がある。
尤も、そいつが知っているとは限らないけどな。まぁ、そうなったらそうなったで、今度はそいつから故郷の村を聞き出せばいいだけだ。
さすがに、村長なら知ってるだろ。
そんなわけで、ギルドへとやって来たわけだ。
今現在の問題としては、あの野郎がまだいるかってことだな。
俺が売られてからたぶんまだ3年程度、奴はまだギリこの街にいるはずだ。
とはいえ、冒険者は危険と隣り合わせ、魔物にやつが殺されている可能性もあるし、自身の限界を感じてさっさと故郷に逃げ帰った可能性もある。
さすがの俺も、誰かに祈らずにはいられない……。
俺はそう考えながら、ギルド内を見てみる。
ギルドの中は、まず正面に受付があり、そこには美女が数人座っていて、冒険者たちの相手を次々にこなしている。
こういうところってどの世界も一緒なんだな。
俺が前世で読んだり見たりした異世界物の光景そのものであった。
次に左側を見る。そこには、掲示板のようなものがあり、その前で冒険者たちが真剣な表情で見ていた。
依頼の掲示板ってところか、これもよくあるやつだな。
っで、右側は酒場、ではなく休憩とか打ち合わせをするのか、椅子が並んでいたり、机がいくつか並んでいたりの光景だった。
俺としては興味はあるのでいろいろと観察したいところだが、下手にきょろきょろすると目立つし、絡まれても面倒だ。
ということで、端の方に向かい前世で培った能力、”話しかけるなオーラ”を出しつつ、簡単な認識阻害の魔法を発動させる。
ちなみに、この認識阻害の魔法だが、全く気が付かれないようにするというものではなく、にくくするだけの魔法だ。
まぁ、それと前世からの能力と合わせえば、基本絡まれることはないようだけどな。
さて、奴は来るか……おっ、ありゃぁ、よしっ!
俺は内心、小躍りしたい気分となった。
なんといっても、今俺の前には、忘れもしない俺を売り払いやがったクソ野郎がいる。
今すぐ、飛びついてぶん殴ってやりたいところだが、今は我慢だ。
こんなところで暴れれば面倒なことになるのは明白、だったら、奴が何か依頼を受け街の外に出たところが良いだろう。
というわけで、俺はやつから目を離さないように観察していった。
どうやらあの野郎、しっかりと冒険者人生を楽しんでいるらしい。
奴の周囲にはガタイのいい少年と、それなりに可愛いんじゃないかという少女が2人いた。
そんな連中を観察する。
ガタイが良い奴は、その背中に背負っている大きな盾から考えると、タンク役ってところか。
少女の2人のうち1人はシスターみたいな恰好をしているところを見ると回復役かな、っで、最後の1人はローブを身にまとっていることから魔法使いかな。でも、その腰にはダガーが2本ぶら下がっているから、接近戦も行けるタイプかな。
そんな仲間とともに楽しんでいやがるクソ野郎、しかも見た感じどうやら魔法使いの少女とできているのか、ことのほか仲がよさそうだ。
人を地獄に突き落としておいて、てめぇはよろしくやってるってか、ざけやがって。
奴を見れば見るほど腹が立ってしょうがない。
ほんと、今すぐにでも恨みをぶつけたい気分だが、ここは元大人としても我慢だ。
漏れ出そうな怒りのオーラで気が付かれないように深呼吸をする。
すぅー、はぁー、よしっ。
こうして、俺が怒りを抑えている間にやつらは依頼を見つけたのか受付へと向かって行った。
その後、ギルドを出ていくやつら、俺もまたそんなやつらを追いギルドを出ることにした。
「ふわぁ、さぁてと、飯食ったら、さっそく行くかな」
というわけで、適当に飯食って、すぐに立ち上がり出発することにした。
さて、そんな俺が向かっている所は、昨日見つけた冒険者ギルドだ。
といっても、別に冒険者になろうと思っているわけではない。
確かに、前世の記憶があるので、冒険者に憧れ的なものがあるのは事実だけど、冒険者になると最低1年は街中での仕事しかさせてもらえなく、3年は登録した街でしか仕事ができなくなるらしい。
つまり、ある程度したところで別の街に移動する。ということができない。
というのを、俺を売ったやつが言っていたのを覚えている。
俺としては、そんな1つの街に3年もとどまるなんてことをしたくない。
そんなわけで、俺は冒険者になるつもりはない。
じゃぁ、なんで冒険者ギルドに向かっているのかというと、答えは簡単だ。
俺の現在の目的は、自分の名前を知ること。
以前説明した通り、現在俺に名前はない。
もう一度ちゃんと説明すると、俺の首にはまっていた奴隷の首輪の機能に”真名の剥奪”というものがある。
この真名というのは、この世界において、生まれてから最初に付けられた名前となる。
これを剥奪することで、その人物を誰でもない”物”へと変える。
っで、普通なら自分の真名を忘れるなんてことはないから、奴隷の首輪が外れ、自身がその名を認識することで改めて真名が刻まれるはずだった。
しかし、先述したように、俺は幼いころに両親を失い、俺を引き取ったクソ一家から名前を呼ばれたことなど一度もない。
いつも、”おいっ”とか”お前”、そんな風にしか呼ばれなかった。
だから、俺の記憶には自分の真名がない。
だったら、別の名前を自分で考えればいいんじゃないかと思うかもしれないが、思い出してほしい、俺にはちゃんと両親がいて、幼いころに魔物に殺されている。
つまりだ、俺にはちゃんと両親が真名を付けてくれていたんだ。
そのため、俺がどんな名を考えたとしても、それが真名となることはない。
そして、この真名だけど、厄介なことにこれがないと偽名すら名乗れない、という事実がある。
どういうことかというと、俺も使うがこの世界には”鑑定”という能力がある。
その結果どんな名前を付けても、名前の欄には『なし』としか表示されない。
もちろん、この鑑定は誰もが持っているような能力だはないから大丈夫だとは思うが、万が一ということもある。
てなわけで、その真名を知るには、会いたくはないが俺を売ったやつに会う必要がある。
尤も、そいつが知っているとは限らないけどな。まぁ、そうなったらそうなったで、今度はそいつから故郷の村を聞き出せばいいだけだ。
さすがに、村長なら知ってるだろ。
そんなわけで、ギルドへとやって来たわけだ。
今現在の問題としては、あの野郎がまだいるかってことだな。
俺が売られてからたぶんまだ3年程度、奴はまだギリこの街にいるはずだ。
とはいえ、冒険者は危険と隣り合わせ、魔物にやつが殺されている可能性もあるし、自身の限界を感じてさっさと故郷に逃げ帰った可能性もある。
さすがの俺も、誰かに祈らずにはいられない……。
俺はそう考えながら、ギルド内を見てみる。
ギルドの中は、まず正面に受付があり、そこには美女が数人座っていて、冒険者たちの相手を次々にこなしている。
こういうところってどの世界も一緒なんだな。
俺が前世で読んだり見たりした異世界物の光景そのものであった。
次に左側を見る。そこには、掲示板のようなものがあり、その前で冒険者たちが真剣な表情で見ていた。
依頼の掲示板ってところか、これもよくあるやつだな。
っで、右側は酒場、ではなく休憩とか打ち合わせをするのか、椅子が並んでいたり、机がいくつか並んでいたりの光景だった。
俺としては興味はあるのでいろいろと観察したいところだが、下手にきょろきょろすると目立つし、絡まれても面倒だ。
ということで、端の方に向かい前世で培った能力、”話しかけるなオーラ”を出しつつ、簡単な認識阻害の魔法を発動させる。
ちなみに、この認識阻害の魔法だが、全く気が付かれないようにするというものではなく、にくくするだけの魔法だ。
まぁ、それと前世からの能力と合わせえば、基本絡まれることはないようだけどな。
さて、奴は来るか……おっ、ありゃぁ、よしっ!
俺は内心、小躍りしたい気分となった。
なんといっても、今俺の前には、忘れもしない俺を売り払いやがったクソ野郎がいる。
今すぐ、飛びついてぶん殴ってやりたいところだが、今は我慢だ。
こんなところで暴れれば面倒なことになるのは明白、だったら、奴が何か依頼を受け街の外に出たところが良いだろう。
というわけで、俺はやつから目を離さないように観察していった。
どうやらあの野郎、しっかりと冒険者人生を楽しんでいるらしい。
奴の周囲にはガタイのいい少年と、それなりに可愛いんじゃないかという少女が2人いた。
そんな連中を観察する。
ガタイが良い奴は、その背中に背負っている大きな盾から考えると、タンク役ってところか。
少女の2人のうち1人はシスターみたいな恰好をしているところを見ると回復役かな、っで、最後の1人はローブを身にまとっていることから魔法使いかな。でも、その腰にはダガーが2本ぶら下がっているから、接近戦も行けるタイプかな。
そんな仲間とともに楽しんでいやがるクソ野郎、しかも見た感じどうやら魔法使いの少女とできているのか、ことのほか仲がよさそうだ。
人を地獄に突き落としておいて、てめぇはよろしくやってるってか、ざけやがって。
奴を見れば見るほど腹が立ってしょうがない。
ほんと、今すぐにでも恨みをぶつけたい気分だが、ここは元大人としても我慢だ。
漏れ出そうな怒りのオーラで気が付かれないように深呼吸をする。
すぅー、はぁー、よしっ。
こうして、俺が怒りを抑えている間にやつらは依頼を見つけたのか受付へと向かって行った。
その後、ギルドを出ていくやつら、俺もまたそんなやつらを追いギルドを出ることにした。
47
お気に入りに追加
86
あなたにおすすめの小説

公爵家次男はちょっと変わりモノ? ~ここは乙女ゲームの世界だから、デブなら婚約破棄されると思っていました~
松原 透
ファンタジー
異世界に転生した俺は、婚約破棄をされるため誰も成し得なかったデブに進化する。
なぜそんな事になったのか……目が覚めると、ローバン公爵家次男のアレスという少年の姿に変わっていた。
生まれ変わったことで、異世界を満喫していた俺は冒険者に憧れる。訓練中に、魔獣に襲われていたミーアを助けることになったが……。
しかし俺は、失敗をしてしまう。責任を取らされる形で、ミーアを婚約者として迎え入れることになった。その婚約者に奇妙な違和感を感じていた。
二人である場所へと行ったことで、この異世界が乙女ゲームだったことを理解した。
婚約破棄されるためのデブとなり、陰ながらミーアを守るため奮闘する日々が始まる……はずだった。
カクヨム様 小説家になろう様でも掲載してます。

俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。
秋田ノ介
ファンタジー
88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。
異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。
その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。
飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。
完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。

転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる