創星のエクソダス

白銀一騎

文字の大きさ
上 下
30 / 35
異世界惑星探求編

謎の惑星②

しおりを挟む
 パルタは大木の下に転がっている夥しい数のメデューサの死体を見ながら三人に聞いた。

「誰がやったの?」

「カレンがいきなり変身して……」

「変身?」

「いきなりカレンの髪が金色に光って生き物のように動いてメデューサを切り刻んだ」

 グレンは自分の言っていることが信じられなかった。パルタはあっさりと自分の言うことを理解したようだった。

 パルタはカレンを見た。カレンはまだ意識を失って眠っていた。

「やはりカレンの中のEVEイブが覚醒しているようね」

 パルタは俺にそう言うとカレンを介抱し始めた。

 俺はカレン達と一緒にいた男に話しかけた。

「それよりもあんたはだれだ? 前に海賊船で会ったような気がするが?」

 グレンは慌てた様子で自己紹介とこれまでの経緯を俺たちに説明した。それでも俺が疑っているとパルタが本当みたいね、と言ったので俺も信じることにした。
 

「お兄様ーーーーーー!!!」

 俺は咄嗟にどこからともなく殺気を感じた。次の瞬間ドーーーーン!!、俺は誰かにタックルされて吹っ飛んだ。

 ドカーン!! 何かに抱きつかれた俺は大木にぶつかった。大木の幹に体が少しめり込んだ。

「お兄様~~!! 寂しかったですぅ~~~!!!」

 タックル(抱きついて)してきた相手は妹のルーシーだった。

「おい! ルーシー! 俺じゃなきゃ死んでたぞ!!」

「ごめんなさい。お兄様~! 久々に会えたので嬉しくなってしまいましたの~♡!」

 ルーシーは俺に言われて一瞬離れたが、でも大好きー♡!、と言って再び抱きついてきた。

「いつまで遊んでるんですか?」

 俺たちは声のした方を見ると声の主はガスパールだった。ガスパールはルーシーを見てやれやれといった表情で俺たちに言った。

「この先にインバルト星の宇宙船の反応があるわ」

「え?……本当?、早く行きましょう!」

 エレオノーラがガスパールに詰め寄った。

「ここから遠くないわ皆んなでいきましょう」

 ガスパールにそう言われて俺たちは全員で宇宙船に向かった。
 
「あった!! あれよ!!」

 エレオノーラは叫び声を上げると宇宙船に駆け出して行った。エレオノーラが宇宙船を確認すると間違いなくインバルト星の宇宙船だった。エレオノーラは興奮気味に話した。

「間違いなくソフィーが乗ってた宇宙船よ!!」

 宇宙船の入り口を探してハッチのボタンを押すとゆっくりとハッチが開いた。まだ電力が残っているところをみると、最近この星に不時着した船の様だった。船体には致命的な損傷は確認できなかった。もしかすると中に乗ってたソフィーは無事ではないのか? 俺たちは淡い期待を胸にソフィーを探した。

 俺たちは警戒しながら宇宙船の中に入って捜索を開始した。俺がコックピットの辺りを探しているとネックレスが落ちていた。エレオノーラに見せるとすぐに俺からネックレスをとってソフィーの物です、と言った。ソフィーが乗っていた船で間違いないだろう。

 俺たちは宇宙船の中を隅々まで探したが、ソフィーの姿は確認できなかった。するとエレオノーラが突然何かを発見して走り出した。エレオノーラは床に落ちている何かを拾うと両手で大事に包んだ。俺はエレオノーラが拾った宝石のような物を見たが何かわからなかった。俺がパルタを見るとパルタがフューリアス宝石ね、と言った。俺はそれが何か分からずパルタに聞いた。

「フューリアス宝石?」

「忘れたの? ソフィーはその宝石を探すためにインバルト星を出て行ったのよ」

「ああそうか。人の手で温めると事前に入力した記憶が見れる宝石…だったかな?」

「そうよ。ほら何かホログラムが出てきたわよ」

 パルタがそう言ったので、俺たちの視線はエレオノーラの持つフューリアス宝石に注がれた。ホログラムは人の形となりそれはソフィーだった。ソフィーは胸の前で両手を合わせて何かを話していた。俺たちは全員で耳を澄ましてソフィーの話を聞いた。

「ね……姉さん…お元気ですか?……ご……ごめんなさい。わ……私は……」

 ソフィーがそこまで言うと無数のメデューサの触手が伸びてきてソフィーを捉えようとしていた。次の瞬間ソフィーの悲鳴が聞こえてホログラムは終了した。

 ホログラムを見ていた全員がその後の結末を理解した。幼い少女があの状況で助かる可能性はゼロに近い。それはすでにソフィーがこの世にいないことを物語っていた。

「ジ……ジーク……ソ…ソフィーが……私の……妹が………う…うう…」

 エレオノーラはそこまで言うとソフィーの形見のフューリアス宝石を抱きしめて泣き崩れた。

 俺はエレオノーラの肩に手を置くとエレオノーラに謝った。

「エレオノーラすまない。ソフィーを助けてあげられなくて……、本当に……申し訳ない」

「ううん。ジークは悪くないわ。あなたは全力で探してくれたわ」


 全員でソフィーの死を悔やんでいるとパルタが急に叫んだ。

「何かくる!!」

 ガスパールも全員外に出ましょう、と言ったので、全員で宇宙船の外に出た。俺たちが宇宙船の外に出ると上空に無数の宇宙船が飛んでいた。飛んでいる宇宙船の側面にはウロボロス海賊団のマークがあった。

「幼い少女をこんな未開の地に追いやった奴らは全員許さない!!」

 俺はエターナルエネルギーをためていつでも戦闘ができる体制になった。パルタは俺を見て待って、と言った。

「他勢に無勢よ数が多すぎるわ。今は大人しく相手の出方をみましょう」

「なんだと! ソフィーを殺した連中だぞ!! 絶対に許さない!!」

 俺は俺一人でも戦ってやる、と言って意気込んだ。パルタは待って海賊から通信があるわ、と言って黙った。暫く沈黙が続いた後にパルタが私にいい考えがあるわ、と言って投降するように俺に求めてきた。俺がそれでも引き退らずにいるとパルタが訴えるように言ってきた。

「お願いジーク、私を信じて。私もソフィーの死は辛いわ、でもこれが最善の選択よ」

 俺がパルタの訴える眼差しを見つめていると、私もパルタの言う通りにしたほうが良いと思うわ!、とカレンが起き上がりながら言った。

「あの数の船団を相手にするのは無謀だわ」

 俺たちは渋々パルタの言うことに従い、仕方なくウロボロス海賊団に投降した。



 ウロボロス海賊団の船団はジークたちを宇宙船に投獄したのち、グロリアの護送船を襲っていた。

 グロリアの護送船を捕らえた海賊団は護送船に向かって通信を行なっていた。

「我々はウロボロス宇宙海賊だ! グロリアを引き渡して欲しい。要求に応えなかった場合、後悔することになるぞ!!」

「それはできない。この者は未開拓惑星を侵略した重要な証人だ、貴様らの要求に応じることはできない」

 銀河パトロールの隊員は毅然とした態度で海賊の要求を拒否した。

 海賊団は最後通告を告げると全船攻撃体制になった。その時海賊船団の中の一隻が何故か銀河パトロールの船に近付いて行ったと思った次の瞬間、その一隻が大爆発して小型のブラックホールが形成された。ジークたちを乗せたウロボロス海賊団の船団とグロリアを乗せた宇宙パトロールの船はそのブラックホールにあっという間に呑み込まれてしまった。


 謎の宇宙船が一艘この光景を監視していた。謎の宇宙船はアル=シオンに報告した後すぐにその場を離れた。後には真っ黒な宇宙空間だけが残った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する

美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」 御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。 ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。 ✳︎不定期更新です。 21/12/17 1巻発売! 22/05/25 2巻発売! コミカライズ決定! 20/11/19 HOTランキング1位 ありがとうございます!

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

❤️レムールアーナ人の遺産❤️

apusuking
SF
 アランは、神代記の伝説〈宇宙が誕生してから40億年後に始めての知性体が誕生し、更に20億年の時を経てから知性体は宇宙に進出を始める。  神々の申し子で有るレムルアーナ人は、数億年を掛けて宇宙の至る所にレムルアーナ人の文明を築き上げて宇宙は人々で溢れ平和で共存共栄で発展を続ける。  時を経てレムルアーナ文明は予知せぬ謎の種族の襲来を受け、宇宙を二分する戦いとなる。戦争終焉頃にはレムルアーナ人は誕生星系を除いて衰退し滅亡するが、レムルアーナ人は後世の為に科学的資産と数々の奇跡的な遺産を残した。  レムールアーナ人に代わり3大種族が台頭して、やがてレムルアーナ人は伝説となり宇宙に蔓延する。  宇宙の彼方の隠蔽された星系に、レムルアーナ文明の輝かしい遺産が眠る。其の遺産を手にした者は宇宙を征するで有ろ。但し、辿り付くには3つの鍵と7つの試練を乗り越えねばならない。  3つの鍵は心の中に眠り、開けるには心の目を開いて真実を見よ。心の鍵は3つ有り、3つの鍵を開けて真実の鍵が開く〉を知り、其の神代記時代のレムールアーナ人が残した遺産を残した場所が暗示されていると悟るが、闇の勢力の陰謀に巻き込まれゴーストリアンが破壊さ

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

グローリー・リーグ -宇宙サッカー奮闘記-

山中カエル
SF
サッカー日本代表山下龍也は、数多の困難を乗り越えついにワールドカップ本戦に駒を進めた。 待ちに待った開会式、その日会場は 破壊された 空に浮かぶUFO。壊される会場。現実味のない光景が眼前に広がる中、宇宙人から声が発せられる。 『サッカーで勝負だ。我々が勝てば地球は侵略する』 地球のため、そして大好きなサッカーのため、龍也は戦うことを決意する。 しかしそこに待ち受けていたのは、一癖も二癖もある仲間たち、試合の裏に隠された陰謀、全てを統べる強大な本当の敵。 そして龍也たちに隠された秘密とは……? サッカーを愛する少年少女の、宇宙での戦いが今ここに始まる……! *** ※カクヨム様、小説家になろう様、ノベルアップ+様でも同時掲載中です ※第三章は毎週水曜土曜更新の予定です *** はじめまして、山中カエルです! 小説を書くのは初めての経験で右も左もわかりませんが、とにかく頑張って執筆するので読んでいただけたら嬉しいです! よろしくお願いします! Twitter始めました→@MountainKaeru

処理中です...