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〜兄弟の絆〜
マルクスとの出会い
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私達はロビナスの滝の近くの野営地に戻ってルディーの話を聞くことにした。ルディーは一つ一つ言葉を選びながらゆっくりとマルクスさんのことを語り始めた。
「マルクスさんと初めて会ったのはボルダーという駐屯地だった。俺は当時マルクスさんのことをよく思っていなかった。いやむしろ恨んでいた」
ルディーはそう言いながら悲しい顔をした。
「俺の父親は人間で母はエルフのいわゆるハーフエルフだった、そのため俺たち家族は周りから差別を受けていた。ルーン大国との戦争が激化していくにしたがって周りが人間を恨むようになり、差別は一層ひどくなっていった。俺たちのようなハーフエルフとは違ってハイエルフは生まれた時から色んなスキルを持っている奴や育ちがいい奴が多くて、俺はハイエルフが憎かった。そんなとき、ハイエルフのマルクスさんが駐屯地に移動されて来たんだ」
私達は焚き火の前で座ってルディーの話を聞いていた。焚き火の明かりに照らされたルディーの顔はひどくやつれているような印象を受けた。
◇
「やったぜ! また俺の勝ちだ!」
「なんだと! クソ! ツイてねえ!」
ボルダーの駐屯地の近くの森の大きな木の虚の中を隠れ家にして、ルディーたちはカードゲームを興じていた。
ルディーたちはギルディアの兵士、通称ギルティーだった。ただ今のルディーたちの中にはギルティーとしての誇りを持ち合わせている者は誰一人いなかった。ルディーを含めてここに居る男たちの多くはハーフエルフか窃盗や恐喝の常習犯で札付きのならず者ばかりだった。そんなエルフに忠誠心など微塵もあるはずもなかった。今もパトロールの任務を無視して、ここで遊んでいる。
「そういや、ルディー聞いたか?」
「ん? なんだよ! せっかく今からツキが回ってきてるんだ! くだらない話だったら承知しね―ぞ!」
「この隊に隊長が移動して来るらしいぞ」
「はあ? 俺たちに上官ができるのか? それはまたツイてないやつだな」
「しかもそいつはルディーの大好きなハイエルフらしいぞ」
「なんだと? そいつはご愁傷さまだな~!? でもおかしいな? こんな最前線にハイエルフが来るなんてどういうことだ?」
「さあな? でももっとおかしなのは、そいつの前職は料理人らしいぞ」
「ブァッハッハー!! これは愉快な話だ! そんな料理人風情が何しにこんな地獄に来んだよ」
「さあな、どうする? また追っ払うか?」
「いや、俺達の邪魔をしなければいいさ、どうせそんなやつはここじゃ長生きできないさ」
男たちはルディーの話に、大笑いしながら、それもそうだな、と言って再びカードゲームに興じた。
◇
駐屯地の中には訓練所や倉庫がある。奥まったところにある倉庫の一角で数人の男たちが口から血を流して倒れていた。普段使われることがない倉庫なのでよほどの物好きでない限り誰もここには寄り付かない場所だった。
その倒れた男たちの前で仁王立ちになっているルディーの姿があった。ルディーは荒くれ者の男たちを次々と殴り飛ばしていた。
「口ほどにもないな、お前らこれに懲りたら俺に口答えするなよ!」
「グッ……クソ! ルディー……貴様……」
倒れた男たちは皆、悔しそうにルディーを睨んでいる。
「ルディー様だよ! このボケが!」
ルディーは倒れている男の腹を力任せに蹴った。
「や……やめろ……これ以上暴行を加えたら死んでしまう……」
「うるせーーー!! お前らは、女のダークエルフにへいこらしてるから弱ぇ~~んだよ!」
「き、貴様! メル―サ隊長を侮辱するな!」
「なんだと! お前、死にたいのか?」
ルディーが倒れた男たちに近づくと、いきなり後ろから呼び止められた。
「おい! これはどういうことだ?」
振り返るとそこには金髪の髪の長いハイエルフの男が立っていた。
「ん? あんた誰だ?」
「俺の名前はマルクス。お前の上官だ」
「ああ、あんたが移動してきたマルクスか」
「これはどういうことだ?」
「ああ、見ての通りちょっとしたイザコザだ、あんたには関係ないさ」
「今日からお前の上官になったんだ、関係あるさ」
「はあ? だったらどうする?」
「もうこんなことはやめるんだ!」
「なんだと! 俺に指図するな!!」
ルディーはそう叫ぶとマルクスに殴りかかったが、振りかぶった拳の先にマルクスの姿は無く、そのまま腕を取られて倉庫の壁に放り投げられた。
『ドーーーン!!』
背中に激痛が走り、ルディーはしばらく息ができなかった。
「「どうした? 何があった?」」
音を聞きつけた衛兵が集まってきた。
「ああ……、なんでも無いよ。こいつがここで転んだんだ、気にしないでくれ」
ルディーは苦しそうに立ち上がると肩を抑えてマルクスを睨みつけたままその場から立ち去った。
(畜生!! あのヤロー! この借りは絶対に返してやるからな!)
◇
「俺はマルクスさんを罠にはめることにしたんだ」
「罠って……何を? どうしてそんな事を……」
「当時の俺はマルクスさんにバカにされたと思っていたんだ、それで仲間と共謀してマルクスさんを騙すことにしたんだ」
「一体何をしたの?」
「簡単さ、敵の陣地の建物に仲間が取り残されていると報告したら、マルクスは怖気づいて仲間を見捨てると思ったから、その様子を周りのやつに吹聴して隊長から引きずり下ろしてやろうと思ったんだ。でも……」
「でも、どうしたの?」
「俺がマルクスに報告した瞬間、仲間を助けるために敵のど真ん中の建物に一人で乗り込んで行ったんだ。そこに仲間なんて誰も居ないのに……」
◇
単身乗り込んでいったマルクスの背中を見て物陰に隠れていた隊員が慌てて出てきた。
「おい! ルディー! あのバカ本当に行っちまったぞ」
「フン、ほっとけ、俺達には関係ない。信じるほうが悪いんだ。それよりも早くここから離れよう敵がすぐそこまで来ているぞ」
ルディーたちはマルクスを残してその場を去った。
◇
マルクスは隊員が取り残されている建物に急いだ、本当は行くべきではないことは自分でも分っていた。もしここで自分の身になにかあれば弟のカイトは一人取り残されてしまうだろう、それだけは絶対に避けなければならない。二度とカイトに寂しい思いはさせたくなかった。しかしここで自分が逃げ出してしまうとカイトに顔向けできないとも思った。たった一人の身内が情けないやつと思われる方がマルクスにとって何倍も嫌だ。その思いが逃げ出してしまいたいと思う自分を奮い立たせた。
マルクスは隊員たちが取り残されている建物に着いた。
(早く見つけて戻らないと)
そう思いながら建物の中を捜索したが、誰もいなかった。
(変だな? 誰も居ない? 逃げ出せたのか? 俺も早くこの場から立ち去らないと)
マルクスは再び建物を捜索して誰も居ないことを確認すると建物を出た。建物の門をくぐった瞬間、弓矢が体をかすめた。すぐに建物の中に引き返して物陰から外を確認すると大勢の人影があった。いつの間にか敵に囲まれていることに気づいた。
ルーン大国の兵士は火矢を使って建物に火を放った。次々と放たれる火矢により、あっという間に建物に火が広がった。敵は炎に我慢できず建物から出てきたところを一斉に叩こうとしているのだろう。
徐々に建物が炎に包まれていき煙が部屋に充満して逃げ場が無くなってきた。
(もうだめだな、これ以上ここにはとどまれない)
マルクスは意を決して建物から出た。
「今だ! 一斉に攻撃しろ!」
外に出た瞬間に大勢のルーン大国の兵士に周りを取り囲まれた。
(もはやここまでか)
マルクスが死を覚悟したとき、ギャー!、という悲鳴とともにルーン大国の兵士の一人が火達磨になって叫んだ。
「お前たち! 今だーー!!」
女性の叫び声とともに大勢のエルフが茂みから飛び出してきて、ルーン大国の兵士を攻撃した。いきなりの攻撃によりルーン大国の兵士はたまらず散り散りになって撤退を始めた。
「おい、お前怪我は無いか?」
マルクスが顔を上げるとそこには色が薄黒いエルフの女性の戦士が立っていた。
マルクスはすぐに女性がダークエルフと分かった。
「あんたが、メル―サか?」
「ほう? 私の名前を知っているのか?」
「女のダークエルフでおまけにギルティークラウンといえば有名だからな」
「それは光栄なことだな。それであんたの名前は?」
「俺はマルクスだ」
「マルクスだと?」
マルクスが名乗るといきなりメル―サは掴みかかった。
「お前が最近移動してきたマルクスか?」
マルクスはメルーサのあまりの剣幕に、そうだと答えた。
「お前の隊にルディーという男が居るな?」
「あ、ああ。ルディーがどうした?」
「そいつにうちの若いのが世話になったようだ。そいつはどこにいる?」
「わ、分かったから手を離せよ、この先で待機しているから案内するよ」
マルクスはメル―サの部隊を連れてルディーたちの居る場所に着いたが、そこには誰もいなかった。
「ん? 皆どこに行ったんだ? ここで待っていろと言ったんだが?」
「フフフ……」
「? どうした? 何が可笑しいんだ?」
「わからないのか? おめでたいやつだな、あんたは隊員に裏切られたんだよ」
「なんだと? どういうことだ?」
「隊員が残されているというのは嘘だったと言うことだ、あんたを殺そうとして嘘を言ったんだよ」
「まさか? そんなことは……」
マルクスは信じられなかったが、建物を探してもどこにも隊員はいなかった。
「メル―サ隊長!」
メル―サの部下でルーン大国の逃げ遅れた兵士を拘束していた隊員が慌てた様子で、メルーサに紙を渡した。
「ルーン大国の兵士がこんなものを持っていました」
メル―サは隊員から渡された紙を読んだ。
「こ……これは……」
「どうした? 何が書かれているんだ?」
「これはルーン大国の指令書で、これによるとルーン大国の奴ら今夜、大軍でグラナダを攻撃すると書いてある」
「マルクスさんと初めて会ったのはボルダーという駐屯地だった。俺は当時マルクスさんのことをよく思っていなかった。いやむしろ恨んでいた」
ルディーはそう言いながら悲しい顔をした。
「俺の父親は人間で母はエルフのいわゆるハーフエルフだった、そのため俺たち家族は周りから差別を受けていた。ルーン大国との戦争が激化していくにしたがって周りが人間を恨むようになり、差別は一層ひどくなっていった。俺たちのようなハーフエルフとは違ってハイエルフは生まれた時から色んなスキルを持っている奴や育ちがいい奴が多くて、俺はハイエルフが憎かった。そんなとき、ハイエルフのマルクスさんが駐屯地に移動されて来たんだ」
私達は焚き火の前で座ってルディーの話を聞いていた。焚き火の明かりに照らされたルディーの顔はひどくやつれているような印象を受けた。
◇
「やったぜ! また俺の勝ちだ!」
「なんだと! クソ! ツイてねえ!」
ボルダーの駐屯地の近くの森の大きな木の虚の中を隠れ家にして、ルディーたちはカードゲームを興じていた。
ルディーたちはギルディアの兵士、通称ギルティーだった。ただ今のルディーたちの中にはギルティーとしての誇りを持ち合わせている者は誰一人いなかった。ルディーを含めてここに居る男たちの多くはハーフエルフか窃盗や恐喝の常習犯で札付きのならず者ばかりだった。そんなエルフに忠誠心など微塵もあるはずもなかった。今もパトロールの任務を無視して、ここで遊んでいる。
「そういや、ルディー聞いたか?」
「ん? なんだよ! せっかく今からツキが回ってきてるんだ! くだらない話だったら承知しね―ぞ!」
「この隊に隊長が移動して来るらしいぞ」
「はあ? 俺たちに上官ができるのか? それはまたツイてないやつだな」
「しかもそいつはルディーの大好きなハイエルフらしいぞ」
「なんだと? そいつはご愁傷さまだな~!? でもおかしいな? こんな最前線にハイエルフが来るなんてどういうことだ?」
「さあな? でももっとおかしなのは、そいつの前職は料理人らしいぞ」
「ブァッハッハー!! これは愉快な話だ! そんな料理人風情が何しにこんな地獄に来んだよ」
「さあな、どうする? また追っ払うか?」
「いや、俺達の邪魔をしなければいいさ、どうせそんなやつはここじゃ長生きできないさ」
男たちはルディーの話に、大笑いしながら、それもそうだな、と言って再びカードゲームに興じた。
◇
駐屯地の中には訓練所や倉庫がある。奥まったところにある倉庫の一角で数人の男たちが口から血を流して倒れていた。普段使われることがない倉庫なのでよほどの物好きでない限り誰もここには寄り付かない場所だった。
その倒れた男たちの前で仁王立ちになっているルディーの姿があった。ルディーは荒くれ者の男たちを次々と殴り飛ばしていた。
「口ほどにもないな、お前らこれに懲りたら俺に口答えするなよ!」
「グッ……クソ! ルディー……貴様……」
倒れた男たちは皆、悔しそうにルディーを睨んでいる。
「ルディー様だよ! このボケが!」
ルディーは倒れている男の腹を力任せに蹴った。
「や……やめろ……これ以上暴行を加えたら死んでしまう……」
「うるせーーー!! お前らは、女のダークエルフにへいこらしてるから弱ぇ~~んだよ!」
「き、貴様! メル―サ隊長を侮辱するな!」
「なんだと! お前、死にたいのか?」
ルディーが倒れた男たちに近づくと、いきなり後ろから呼び止められた。
「おい! これはどういうことだ?」
振り返るとそこには金髪の髪の長いハイエルフの男が立っていた。
「ん? あんた誰だ?」
「俺の名前はマルクス。お前の上官だ」
「ああ、あんたが移動してきたマルクスか」
「これはどういうことだ?」
「ああ、見ての通りちょっとしたイザコザだ、あんたには関係ないさ」
「今日からお前の上官になったんだ、関係あるさ」
「はあ? だったらどうする?」
「もうこんなことはやめるんだ!」
「なんだと! 俺に指図するな!!」
ルディーはそう叫ぶとマルクスに殴りかかったが、振りかぶった拳の先にマルクスの姿は無く、そのまま腕を取られて倉庫の壁に放り投げられた。
『ドーーーン!!』
背中に激痛が走り、ルディーはしばらく息ができなかった。
「「どうした? 何があった?」」
音を聞きつけた衛兵が集まってきた。
「ああ……、なんでも無いよ。こいつがここで転んだんだ、気にしないでくれ」
ルディーは苦しそうに立ち上がると肩を抑えてマルクスを睨みつけたままその場から立ち去った。
(畜生!! あのヤロー! この借りは絶対に返してやるからな!)
◇
「俺はマルクスさんを罠にはめることにしたんだ」
「罠って……何を? どうしてそんな事を……」
「当時の俺はマルクスさんにバカにされたと思っていたんだ、それで仲間と共謀してマルクスさんを騙すことにしたんだ」
「一体何をしたの?」
「簡単さ、敵の陣地の建物に仲間が取り残されていると報告したら、マルクスは怖気づいて仲間を見捨てると思ったから、その様子を周りのやつに吹聴して隊長から引きずり下ろしてやろうと思ったんだ。でも……」
「でも、どうしたの?」
「俺がマルクスに報告した瞬間、仲間を助けるために敵のど真ん中の建物に一人で乗り込んで行ったんだ。そこに仲間なんて誰も居ないのに……」
◇
単身乗り込んでいったマルクスの背中を見て物陰に隠れていた隊員が慌てて出てきた。
「おい! ルディー! あのバカ本当に行っちまったぞ」
「フン、ほっとけ、俺達には関係ない。信じるほうが悪いんだ。それよりも早くここから離れよう敵がすぐそこまで来ているぞ」
ルディーたちはマルクスを残してその場を去った。
◇
マルクスは隊員が取り残されている建物に急いだ、本当は行くべきではないことは自分でも分っていた。もしここで自分の身になにかあれば弟のカイトは一人取り残されてしまうだろう、それだけは絶対に避けなければならない。二度とカイトに寂しい思いはさせたくなかった。しかしここで自分が逃げ出してしまうとカイトに顔向けできないとも思った。たった一人の身内が情けないやつと思われる方がマルクスにとって何倍も嫌だ。その思いが逃げ出してしまいたいと思う自分を奮い立たせた。
マルクスは隊員たちが取り残されている建物に着いた。
(早く見つけて戻らないと)
そう思いながら建物の中を捜索したが、誰もいなかった。
(変だな? 誰も居ない? 逃げ出せたのか? 俺も早くこの場から立ち去らないと)
マルクスは再び建物を捜索して誰も居ないことを確認すると建物を出た。建物の門をくぐった瞬間、弓矢が体をかすめた。すぐに建物の中に引き返して物陰から外を確認すると大勢の人影があった。いつの間にか敵に囲まれていることに気づいた。
ルーン大国の兵士は火矢を使って建物に火を放った。次々と放たれる火矢により、あっという間に建物に火が広がった。敵は炎に我慢できず建物から出てきたところを一斉に叩こうとしているのだろう。
徐々に建物が炎に包まれていき煙が部屋に充満して逃げ場が無くなってきた。
(もうだめだな、これ以上ここにはとどまれない)
マルクスは意を決して建物から出た。
「今だ! 一斉に攻撃しろ!」
外に出た瞬間に大勢のルーン大国の兵士に周りを取り囲まれた。
(もはやここまでか)
マルクスが死を覚悟したとき、ギャー!、という悲鳴とともにルーン大国の兵士の一人が火達磨になって叫んだ。
「お前たち! 今だーー!!」
女性の叫び声とともに大勢のエルフが茂みから飛び出してきて、ルーン大国の兵士を攻撃した。いきなりの攻撃によりルーン大国の兵士はたまらず散り散りになって撤退を始めた。
「おい、お前怪我は無いか?」
マルクスが顔を上げるとそこには色が薄黒いエルフの女性の戦士が立っていた。
マルクスはすぐに女性がダークエルフと分かった。
「あんたが、メル―サか?」
「ほう? 私の名前を知っているのか?」
「女のダークエルフでおまけにギルティークラウンといえば有名だからな」
「それは光栄なことだな。それであんたの名前は?」
「俺はマルクスだ」
「マルクスだと?」
マルクスが名乗るといきなりメル―サは掴みかかった。
「お前が最近移動してきたマルクスか?」
マルクスはメルーサのあまりの剣幕に、そうだと答えた。
「お前の隊にルディーという男が居るな?」
「あ、ああ。ルディーがどうした?」
「そいつにうちの若いのが世話になったようだ。そいつはどこにいる?」
「わ、分かったから手を離せよ、この先で待機しているから案内するよ」
マルクスはメル―サの部隊を連れてルディーたちの居る場所に着いたが、そこには誰もいなかった。
「ん? 皆どこに行ったんだ? ここで待っていろと言ったんだが?」
「フフフ……」
「? どうした? 何が可笑しいんだ?」
「わからないのか? おめでたいやつだな、あんたは隊員に裏切られたんだよ」
「なんだと? どういうことだ?」
「隊員が残されているというのは嘘だったと言うことだ、あんたを殺そうとして嘘を言ったんだよ」
「まさか? そんなことは……」
マルクスは信じられなかったが、建物を探してもどこにも隊員はいなかった。
「メル―サ隊長!」
メル―サの部下でルーン大国の逃げ遅れた兵士を拘束していた隊員が慌てた様子で、メルーサに紙を渡した。
「ルーン大国の兵士がこんなものを持っていました」
メル―サは隊員から渡された紙を読んだ。
「こ……これは……」
「どうした? 何が書かれているんだ?」
「これはルーン大国の指令書で、これによるとルーン大国の奴ら今夜、大軍でグラナダを攻撃すると書いてある」
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