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〜兄弟の絆〜
命懸けの抵抗
しおりを挟む 人形娘は文字どうり人形の外観をしている。その外観は着ぐるみと変わらず可愛らしい姿をしている。ただ着ぐるみと違うのは、着ぐるみは人間が衣装を纏っているようなものなので、脱ぐ事ができる、だから”中の人”は別の存在である。
しかし人形娘は外観を構成する表皮と”中の人”は完全に融合させられているので、特別な方法を使わない限り物理的に引き離すのは不可能である。いわば”中の人”は人形娘に幽閉された囚人と一緒だった。
「ナオミ、今日はあなたの人形娘としての機能をテストさせてもらいます。プログラムですが先ほどあなたの電脳にダウンロードしましたので、指示の様にしてください。リエも比較のため同じテストを受けてください」
アンナは指示についてしゃべっていたが、彼女の顔面にあるスクリーンにも同じ事が表示されていた。ナオミはなんかテレビモニターが顔に張り付いているかのように見えたのでおかしくってたまらなかったが、いまは人形娘の統括システムが自我に優先して活動しているので、噴出すような事はしなかった。もっとも顔の表情は固定されているので、できるはずもなかった。
人形娘にされた者は電脳化されているので、シュミレーションは可能であるが、実際に人形娘の身体を使った機能テストも必要であった。今日はメイドなのでナオミは料理を作る事になった、この研究所で”人間”なのは男性のみで、この日は大桃所長しかいなかった。
「なによ! それじゃ昨日の朝までのあたしと同じじゃないの! 父さ・・じゃなかった所長の好物を作ればいいじゃないのよ」
ナオミはそう思いながら大桃秀夫の好きなマカロニグラタンなどを作り出した。この時、人形娘になったことを実感した。物凄くテキパキと出来るのだ。人間のときはテレビやマンガを見たりしながら、料理をするサボリ癖があったので、なかなか前に進まない時があった。秀夫からはお前はだらしないなといわれたこともあった。
そうこうしているうちに、あっという間に料理が出来たが、大変な事に気付いた。味見が出来ないのだ。あたりまえだがナオミの口内は特殊な物質で覆われ舌が使えないし、口は開けられなかった。言葉だけは人形娘の管制システムが脳波を読み取って発声していたが、ナオミの声帯は使えないようになっていた。
そう思っていると、ナオミの電脳に様々な情報が流入してた。これは味の情報だった。どうも人形娘のセンサーである程度の事は判るので、ナオミの人間だった時の経験から出来がいいかまずいかの判断がつくようだった。それで、これは食べさせても大丈夫だという事にした。
そのころ、秀夫はモニターでこの様子を観察していた。上手く奈緒美の経験とナオミのシステムが連携できている事を確認した。
「取りあえず合格だなナオミ。次はお前の戦闘モードにしてみて調べてやるぞ! 次は鬼畜系になるけど勘弁せえ! 」
そういうと、次にナオミにやらせるプログラミングの設定をオペレーターにやらせ始めた。そのオペレーターは人形娘七号と十三号だった。
人形娘七号と十三号は初期の試作機で、自我を殆どもっていないので機械と変わらなかった。昨日、ナオミの着替えさせた人形娘より技術的に進化していたが、事故や病気で瀕死の女性を改造したので、自我を人形娘の電脳にインストールできなかったのだ。
当時はナノマシーンによる記憶の変換に問題があったので、大桃所長が意図したような『人間の少女を人形に改造する』事は出来ても、人間としての記憶の大部分を失ってしまった。
「人間のままの記憶を持ったまま人形娘になるのと、以前自分が何者かわからなくなった人形娘ではどっちが幸福なんだろうか? 」
そんなことを大桃所長が考える事もあったが、それは偽善といえた。少女を人形にする研究そのものが悪魔の所業といえるからだ。
しかし人形娘は外観を構成する表皮と”中の人”は完全に融合させられているので、特別な方法を使わない限り物理的に引き離すのは不可能である。いわば”中の人”は人形娘に幽閉された囚人と一緒だった。
「ナオミ、今日はあなたの人形娘としての機能をテストさせてもらいます。プログラムですが先ほどあなたの電脳にダウンロードしましたので、指示の様にしてください。リエも比較のため同じテストを受けてください」
アンナは指示についてしゃべっていたが、彼女の顔面にあるスクリーンにも同じ事が表示されていた。ナオミはなんかテレビモニターが顔に張り付いているかのように見えたのでおかしくってたまらなかったが、いまは人形娘の統括システムが自我に優先して活動しているので、噴出すような事はしなかった。もっとも顔の表情は固定されているので、できるはずもなかった。
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「なによ! それじゃ昨日の朝までのあたしと同じじゃないの! 父さ・・じゃなかった所長の好物を作ればいいじゃないのよ」
ナオミはそう思いながら大桃秀夫の好きなマカロニグラタンなどを作り出した。この時、人形娘になったことを実感した。物凄くテキパキと出来るのだ。人間のときはテレビやマンガを見たりしながら、料理をするサボリ癖があったので、なかなか前に進まない時があった。秀夫からはお前はだらしないなといわれたこともあった。
そうこうしているうちに、あっという間に料理が出来たが、大変な事に気付いた。味見が出来ないのだ。あたりまえだがナオミの口内は特殊な物質で覆われ舌が使えないし、口は開けられなかった。言葉だけは人形娘の管制システムが脳波を読み取って発声していたが、ナオミの声帯は使えないようになっていた。
そう思っていると、ナオミの電脳に様々な情報が流入してた。これは味の情報だった。どうも人形娘のセンサーである程度の事は判るので、ナオミの人間だった時の経験から出来がいいかまずいかの判断がつくようだった。それで、これは食べさせても大丈夫だという事にした。
そのころ、秀夫はモニターでこの様子を観察していた。上手く奈緒美の経験とナオミのシステムが連携できている事を確認した。
「取りあえず合格だなナオミ。次はお前の戦闘モードにしてみて調べてやるぞ! 次は鬼畜系になるけど勘弁せえ! 」
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