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〜シンデレラガール〜

アスペルド信仰教団の陰謀再び

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 クロノスの町の海辺の倉庫に大きな商業船からの荷物が運び込まれていた。

 その荷物の中には恐ろしい怪物が詰め込まれていた。

 二人の船員は荷物を恐る恐る倉庫にしまっていた。

「この荷物の依頼主はこんな怪物をどうするつもりなんだ?」

「はあ? そんなことは知らなくていい」

 一人が吐き捨てるように言った。

「ゴブリンソルジャーを二体もだぞ? 一体何に使うんだよ」

「さあな、こんな物、他の奴らに見つかったらただじゃ済まないぜ」

「とりあえず指定された場所に運ぶのが俺たちの仕事だから言われたとおりにしよう」

「どこに運ぶんだ?」

「アスペルド教会だ」

「アスペルド教会? 教会の人はこいつを何に使うんだ?」

「さあな、何かの実験にでも使うのかもな、まあ、俺達はそんなことは知らなくていいんだよ。とっとと運んじまおう」

 相方に言われてそれもそうだな、と言いながら男は言われたとおり荷物を倉庫に運んだ。

 ◇

 教会のテラス席でロマノフは紅茶を飲みながらくつろいでいた。夕方のミサを終えてここで紅茶を飲むのがたまらなく好きだった。

 ロマノフがゆったりと寛いでいると使用人が声をかけてきた。

「ロマノフ様」

「どうした?」

「先程大きな荷物が届きました」

「おお、そうか。 地下の倉庫にしまっておいてくれ」

「はい、わかりました…………」

 使用人はそう言ってもしばらく動かなかった。何か聞きたいことがあるようだった。

「どうした?」

「いえ……その……、荷物があまりにも大きいのと、その……荷物の中からうめき声のようなものが聞こえるというので、他の使用人たちが怖がっていますので……」

「ああ、教団の儀式で使用するものなんだ。そんなに怖がることはないよ」

 ロマノフが優しく説明すると使用人は安堵の表情を浮かべた。

「あ、そうですか。わかりました。他の使用人たちにも怖がらなくていいと私から言っておきます」

「ああ、そうしてくれ」

 ロマノフがそう言うと使用人はテラスから出ていった。使用人の背中を見ながらロマノフは思った。

(今度こそティアラを排除しなくては、前回はクルトガ一味の裏切り者により作戦が失敗した。今度は学園の関係者を巻き込んであるから、今度こそ失敗することはないだろう)

 前回は全部の罪を何も知らないニコライに押し付けた。

(これはアスペルド教団の未来のためなんだ)

 ロマノフは暗くなりかけた空を見上げて、自分の犠牲となったニコライを思い出した。
 


「ダンジョン攻略?」

 私はいきなりのことで素っ頓狂な声を上げてしまった。それというのも今年の魔法試験にチームを組んでダンジョン攻略が急遽追加されたからだった。

 私はダンジョン攻略という課題よりも三人でチームを組むということに抵抗を覚えた。なぜなら前世ではコミュ障で友達が居なく、必ず最後の最後まで私一人が残るからである。今回もどうしょうと悩んでいるとすぐに声をかけられた。

「ティアラ様、私と組みませんか?」

 エリカがすぐに声をかけてきた。私は嬉しくなって二つ返事で了承した。

「あと一人はどうしましょうか?」

「そうねーー? レンなんてどうかしら? 騎士科最強だから助っ人には最高の人材じゃないかしら?」

「あ……あのー。せっかくのティアラ様のご提案ではありますが、同じ魔法科の生徒同士じゃないとチームは組めないんです」

「え? 本当? 知らなかったわ。どうしよう……」

 二人で考えて居ると後ろから声をかけられた。

「何を悩んでいるんだ? お前は俺と組むのに決まっているだろう」

 アルフレッドはそう言いながら腕を私の肩に回してきた。

「ア……アルフレッド様」

 エリカは驚いた表情でアルフレッドに声をかけた。

「アルフレッド様、暗いところは大丈夫ですか?」

 私は意地悪そうに聞いてみた。

「暗い? ダンジョンは暗いところなのか?」

「「え?」」

 私とエリカは二人でキョトンとした。

「アルフレッド様、ダンジョンに入ったことはあるのですか?」

「あ……あるわけ無いだろ! そんなところ」

「でも、この前ゴブリンの洞窟に入っていましたよね?」

「ああ、ダンジョンとは洞窟のことか、だったら最初から洞窟と言えよ」

 威張って言うことではないと思った。

「それじゃ灯りを灯すための燃料をいっぱい持っていきましょう」

 私はこの前生成した石油燃料を持っていって松明の燃料にしようと思った。

「おお! そうだな、そうしよう」

 アルフレッドの顔が明るくなった。私はダンジョン攻略よりも三人チームをこんなにも早く作れたことが嬉しかった。おそらく私の人生の中で一番早く決まっただろう。
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