上 下
23 / 30

23

しおりを挟む

 白珠しらたまちゃんとの正式なツガイの契約――


 僕は今日までずっとそれを避けてきた。
 自分の体がよくわからない変化をするのが怖かったから。

 契約ができなかったあの夜、白珠ちゃんは異空間のトキワタリたちに聞き回ってたんだって。
 僕の子種を……その、つまり僕を精通させるにはどうしたらいいの?って。
 だからあの朝、白珠ちゃんは僕のお部屋にいなかったんだ。
 そんなことを聞き回ってたなんて……

 あの冊子を読んで僕も気付いたけど、あのとき僕が飲むべきだったのは白珠ちゃんの『おチンポみるく』じゃなくて、興奮作用のある『すーぱーみるく』の方だったみたい。

 その間違いを知った白珠ちゃんは、さっそく僕にお乳を勧めてきた。
 白い平らなお胸に並ぶ薄紅色の小さなポッチを見せられて、そこから滴る甘い香りのお乳を見せられて、『のんで♡』と可愛く迫られて、僕の心はぐらぐら揺らいだ。

 あれ以来ずっと交尾は断ってきたけど、断るのってすごくつらい。
 本当はしたいんだ。
 だって、気持ちいいんだもん。
 白珠ちゃんのお乳だって気になる。
 おチンポみるくがあんなに美味しいのに、すーぱーみるくが美味しくないわけないよね。

 子種が出なくても、契約をしなくても、交尾はできるんだけど、でも、そういうのは自分勝手かなって思うし……
 だって契約を断って交尾だけするなんて、失礼だよね。
 タマゴに『らぶぱわー』を与える方法は他にもあるんだし。


 白珠ちゃんともう一度交尾をしたいし、お乳のことが頭から離れないし、僕は日増しに注意散漫になっていった。

 学校の授業は頭に入ってこないし、仕分けのお仕事では何度も間違いをしちゃった。
 早く自立しなきゃって頑張ってるのに、雑念が消えてくれない。

 契約をしたら僕、今とは違う別の種族になっちゃうような、そんな不安がある。
 だけどもその不安は、だんだん大したことじゃないかもって思えてきた。
 なってみないとわからないことは、どんなに考えたってわからないよね。
 僕は自分の意思で白珠ちゃんをツガイに選んだんだし、白珠ちゃんと生きていくって決めたんだし……


 勉強もお仕事もちゃんとできなくて、帰り道にお店の前で派手に転んだ僕に、

「ねぇジューチ、どうせ契約するんでしょう?
 ならもう、さっさとしちゃいなさいよ」

 呆れた顔でお母さんがそう言った。
 お父さんもお母さんも、反対してるわけじゃないんだ。

 それで僕は、契約することを今日やっと決心したんだ。




 契約を望むと、白珠ちゃんも僕にギュッと抱きついた。
 期待に満ちた銀色の瞳がじっと見つめる。

「ほんと?!」

 僕が頷くと、瞬きをする間にお口を塞がれた。
 目の前に白珠ちゃんの長いまつ毛が見える。
 キラキラ透き通った、銀色の奇麗なまつ毛。

 お口をモゴモゴされて何だろうと思ったら、中に入ってきた熱いのにペロペロと舐められた。
 びっくりして入ってきた舌を噛んじゃったけど、白珠ちゃんはそんなことは気にならないのか、僕の中を小さな舌で舐め続けた。

 フゥフゥふたりで荒い鼻息をして、唾液がぽたぽた寝間着に垂れた。
 体が熱くなって、頭がふわふわしてくる。
 甘い香りが漂ってきて、僕はやっとそれを思い出した。
 モゾモゾと白珠ちゃんの寝間着の中に手を入れる。

「ふ……ぅ?」
「い……いまのチューは……契約の特別なチュー?」

 唾液がいっぱい流れ出て、僕も白珠ちゃんも顎からそれが滴ってる。
 今のはチューだったのかな。
 すごく激しくて苦しくて、熱くて柔らかくて、甘くて気持ちよかった……

「ううん、オトナのちゅー♡」

 ウフっと笑った白珠ちゃんは、火照ったお顔で僕の手を見つめる。
 寝間着の中で僕は白珠ちゃんのお胸を触っていた。

「じゅーち?」
「あの、えっと、これはその……だってほら、お乳、先に飲むんでしょう?」

 ポッチに触れたけどまだ濡れてなくて、周囲をムニムニ揉んでいた。

「うん…………ぅンッ♡」

 なんか僕、すごく恥ずかしいことをしちゃってるのかも。
 白珠ちゃんの寝間着の胸のあたりはチューの唾液で濡れてて、その中で僕は手をモゾモゾさせてる。

「あの……これ、間違ってる?
 ほぐしたら出るのかなって……お乳」

 えっちな声を漏らすから、また心臓がバクバクしはじめる。
 オトナのチューでも爆発しそうだったのに。

 白珠ちゃんは「わかんない」と言いながら、寝間着を捲くりあげてそこを僕に見せた。
 両手の指の間から、薄紅色のポッチが覗いた。
 ゴクリと生唾を飲み込む。

「……じゅ、じゅーち?」
「にゃ……ひゃいッ?!」

 口の端からヨダレが垂れて、僕はポッチに張り付いた目を、慌てて白珠ちゃんの顔へ向けた。
 淡い黄色の布がモゴモゴしてる。

「んぅ……ぬぐの、てつだって!」

 寝間着が脱げなくて、僕を呼んだみたい。

しおりを挟む
1 / 2

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!


処理中です...