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第二章:彼女達の事情
五話:後日談
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「あっ!」
大事に食べていたチョコレートが半分にまで減っている事に気付いたオズは、廊下の欄干で煙草を喫していたコマコに叫ぶ。
「何で勝手に食べるのさ! 大事にしてるって言ったじゃん!」
「あぁごめんごめん。ついね、美味いもんだからさ、手が伸びちゃってね」
「ついって…ていうか、平気なの? これ、こっちじゃ媚薬なんじゃないの?」
「ウチみたいな酒も煙草もやるようなのには効きゃしないよ。ろくに茶も飲まない田舎者ならいざしらず」
「ふぅん」
確かにオズとて板チョコを食べて興奮した事はない。
「イチカさん上手くいったかなぁ…」
「上首尾だったみたいだよ」
「そっか! 良かったぁ………なんで知ってるの?」
「昨日届いた」
そう言って懐から出した手紙らしきものをひらひらと振ってみせる。
早く言えと文句を言いつつ手紙を奪って見たオズだったが、当然、読めなかった。
「読んでやろうか?」
「お願いします」
手紙には、上手くいった事とオズとコマコへの礼が書かれていた。
「手放しに喜んで良いのか複雑だけど。イチカさんが幸せなら良かった」
「そうだね。まぁ、ウチがお墨付きを出した手管で落ない田舎男なんざいやしないよ」
「あっそ…ところで、コマコが居ると他の人が遠慮して近付かなくなるから部屋帰ってくれない?」
「いいじゃないか別に、明日にゃ居なくなるんだから」
「いや…そういう問題じゃ」
何を言っても無駄だと理解して、オズは言葉を溜息へ変えた。
その内、白天国の片田舎で、
『夫操術』
と、呼ばれるものが発祥する。
それは、御柱様の化身たる稀人によってもたらされた、といわれている。
が、オズに言わせれば、
「いや、どう考えてもコマコじゃん!」
と、いう話だが、生憎そんなものは伝わっていなかった。
大事に食べていたチョコレートが半分にまで減っている事に気付いたオズは、廊下の欄干で煙草を喫していたコマコに叫ぶ。
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「あぁごめんごめん。ついね、美味いもんだからさ、手が伸びちゃってね」
「ついって…ていうか、平気なの? これ、こっちじゃ媚薬なんじゃないの?」
「ウチみたいな酒も煙草もやるようなのには効きゃしないよ。ろくに茶も飲まない田舎者ならいざしらず」
「ふぅん」
確かにオズとて板チョコを食べて興奮した事はない。
「イチカさん上手くいったかなぁ…」
「上首尾だったみたいだよ」
「そっか! 良かったぁ………なんで知ってるの?」
「昨日届いた」
そう言って懐から出した手紙らしきものをひらひらと振ってみせる。
早く言えと文句を言いつつ手紙を奪って見たオズだったが、当然、読めなかった。
「読んでやろうか?」
「お願いします」
手紙には、上手くいった事とオズとコマコへの礼が書かれていた。
「手放しに喜んで良いのか複雑だけど。イチカさんが幸せなら良かった」
「そうだね。まぁ、ウチがお墨付きを出した手管で落ない田舎男なんざいやしないよ」
「あっそ…ところで、コマコが居ると他の人が遠慮して近付かなくなるから部屋帰ってくれない?」
「いいじゃないか別に、明日にゃ居なくなるんだから」
「いや…そういう問題じゃ」
何を言っても無駄だと理解して、オズは言葉を溜息へ変えた。
その内、白天国の片田舎で、
『夫操術』
と、呼ばれるものが発祥する。
それは、御柱様の化身たる稀人によってもたらされた、といわれている。
が、オズに言わせれば、
「いや、どう考えてもコマコじゃん!」
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