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ちょっと長い後日談3
9.言い訳
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エネミーフレアは保健室のベッドに仁王立ちでこっちを睨みつけ、イングがオロオロと困惑している。
「一先ず私は退散するから、ルイ君はアクスを連れてフレアの側から離れようか!」
「了解です!」
更に関係がこじれないために逃げの一手を打つニアさんに頷いて、俺は背後に陽炎が立ち上りそうな雰囲気のアクスの腕を掴んで保健室を出て行く。
とりあえず。騒ぎに驚いて整理作業中の用具室から顔を出したスレインに、フレアが目を覚ましたみたいなのでよろしくお願いしますと叫んでおくのは忘れない。
恋ロマのシナリオ解んないし…これは、前途多難だな。
てか、今後フレアに近付くと、もれなくアクスの機嫌が悪くなるという状況が作り出されたんだが、俺はどうすれば良いのだろうか。ニアさんは今回戦力外だし。と言って他の攻略対象者は、エネミーフレアが俺同様に魅了魔法解除とか言ってあれそれしたら、更なる地獄の開幕だな。とりあえず、ロスとイースとカイルには絶対近付かないように何とかして伝えておこう。
「ルイ」
「ん?」
どっか落ち着ける所を目指して歩いてるけど、アクスに呼びかけられた。
「あの一年、何なんだ?」
「えーっと…」
なんだろね。説明、し難いな。
「そもそもニアさんは、アクスの事なんて言って連れて来たの?」
「ルイの身に何があるか解らないから、『攻撃力物理』を待機させたいとか言ってたな」
ニアさーん。
もうちょっと、穏便な説明をしといて欲しかった。
アクスも、それでよく待機しようと思ったな。
ありがとね。
「あー…アデル様から、聞いたりは?」
「アデル?」
「というか、アクスのとこには、フレア、現れてなかった?」
王城に突撃するくらいだから最上級生の教室くらい平気で乗り込んでそうなのに。
「ん?」
腕を掴まれて空き教室に連れ込まれるって、貴重な体験だと思う。こんな場合じゃなかったら、もうちょっとはしゃいだ。壁ドンについては、されるのはあんま好きじゃないから、どんな場合でも嫌かな。基本的に圧を感じる状況、嫌なんだよね。
「アクス?」
何がお怒りセンサーに触れたんだろうか。俺の危機感の無さについてはさっきから怒ってたから今更だろうし。
「アデルに何か言われたのか?」
「え? ああ」
アデル様に使われてるのかって心配の方か。
「いや、フレアが…あのやかましい方のフレアだけど。あの感じでアデルとカイルに絡んだらしくて、その時にニアさんの名前を出したから、アイツは何だってニアさんに聞きに来たとこに一緒に居ただけ。前にもニアさんはフレアに絡まれてて、その時の様子がおかしかったからさ、何かあるんじゃないかって、ちょと接触を図ったんだけど」
呆れられてるな。まぁ、俺でも呆れるわな。面倒事に自ら突進していってるようなもんだし。
「はぁ…」
お、溜息ついでに口を覆ったから、壁ドンも止めてくれたぞ。
「俺は会ってない。ただ、考えてみれば一昨日くらいに一年が探してるって声を掛けられた事があったな」
「そっか」
やっぱ会いに行ってたんだな。
グランは今家庭の事情で学園に居ないけど。セナには接触してんのかな。後で部屋行って聞いてみるか。
「それで、頭がおかしいってのは解ったんだろ? まだ関わるのか?」
「何かの病気かもしれないのに処刑とかってなったら寝覚めが悪いから、状況が改善するように手を尽くしたいと思ってる」
「………医者の領分だろ」
「そうなんだけどさ」
どうしたもんかな。何か、人気の無い教室に恋人と二人きりな訳だけど。今なんかしたら誤魔化してるとか思われそうだな。
でも、さっきの壁ドンの反動でなんかムラムラしてきたんだけど、俺。
「アクス」
「一先ず私は退散するから、ルイ君はアクスを連れてフレアの側から離れようか!」
「了解です!」
更に関係がこじれないために逃げの一手を打つニアさんに頷いて、俺は背後に陽炎が立ち上りそうな雰囲気のアクスの腕を掴んで保健室を出て行く。
とりあえず。騒ぎに驚いて整理作業中の用具室から顔を出したスレインに、フレアが目を覚ましたみたいなのでよろしくお願いしますと叫んでおくのは忘れない。
恋ロマのシナリオ解んないし…これは、前途多難だな。
てか、今後フレアに近付くと、もれなくアクスの機嫌が悪くなるという状況が作り出されたんだが、俺はどうすれば良いのだろうか。ニアさんは今回戦力外だし。と言って他の攻略対象者は、エネミーフレアが俺同様に魅了魔法解除とか言ってあれそれしたら、更なる地獄の開幕だな。とりあえず、ロスとイースとカイルには絶対近付かないように何とかして伝えておこう。
「ルイ」
「ん?」
どっか落ち着ける所を目指して歩いてるけど、アクスに呼びかけられた。
「あの一年、何なんだ?」
「えーっと…」
なんだろね。説明、し難いな。
「そもそもニアさんは、アクスの事なんて言って連れて来たの?」
「ルイの身に何があるか解らないから、『攻撃力物理』を待機させたいとか言ってたな」
ニアさーん。
もうちょっと、穏便な説明をしといて欲しかった。
アクスも、それでよく待機しようと思ったな。
ありがとね。
「あー…アデル様から、聞いたりは?」
「アデル?」
「というか、アクスのとこには、フレア、現れてなかった?」
王城に突撃するくらいだから最上級生の教室くらい平気で乗り込んでそうなのに。
「ん?」
腕を掴まれて空き教室に連れ込まれるって、貴重な体験だと思う。こんな場合じゃなかったら、もうちょっとはしゃいだ。壁ドンについては、されるのはあんま好きじゃないから、どんな場合でも嫌かな。基本的に圧を感じる状況、嫌なんだよね。
「アクス?」
何がお怒りセンサーに触れたんだろうか。俺の危機感の無さについてはさっきから怒ってたから今更だろうし。
「アデルに何か言われたのか?」
「え? ああ」
アデル様に使われてるのかって心配の方か。
「いや、フレアが…あのやかましい方のフレアだけど。あの感じでアデルとカイルに絡んだらしくて、その時にニアさんの名前を出したから、アイツは何だってニアさんに聞きに来たとこに一緒に居ただけ。前にもニアさんはフレアに絡まれてて、その時の様子がおかしかったからさ、何かあるんじゃないかって、ちょと接触を図ったんだけど」
呆れられてるな。まぁ、俺でも呆れるわな。面倒事に自ら突進していってるようなもんだし。
「はぁ…」
お、溜息ついでに口を覆ったから、壁ドンも止めてくれたぞ。
「俺は会ってない。ただ、考えてみれば一昨日くらいに一年が探してるって声を掛けられた事があったな」
「そっか」
やっぱ会いに行ってたんだな。
グランは今家庭の事情で学園に居ないけど。セナには接触してんのかな。後で部屋行って聞いてみるか。
「それで、頭がおかしいってのは解ったんだろ? まだ関わるのか?」
「何かの病気かもしれないのに処刑とかってなったら寝覚めが悪いから、状況が改善するように手を尽くしたいと思ってる」
「………医者の領分だろ」
「そうなんだけどさ」
どうしたもんかな。何か、人気の無い教室に恋人と二人きりな訳だけど。今なんかしたら誤魔化してるとか思われそうだな。
でも、さっきの壁ドンの反動でなんかムラムラしてきたんだけど、俺。
「アクス」
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