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後日談2

3.ニアの災難 ※ニア1人称

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 やぁ、みんな。三度の飯よりエロが好きかい。私は大好きだよ。
 まぁ美味しいご飯も好きなんだけどね。体がしっかりしてないと、エロも楽しめないしね。あ、もちろん、美味しいお菓子も大好きさ。そう例えば、目の前のふわふわの紅茶シフォンとかね。
「んんんんんっ!」
 鼻に抜ける香りにふわっふわな食感。甘さ控えめでコクのある生クリームが、控え目に言って最高だ。アデルの婚約者って立場になって、何が良いって、エロネタの供給が高い事と食生活の充実だよ。学園の寮生活とかいう窮屈なはずの状態で外より良いもん食べてるからな私。
「なんです?」
 甘い物を食べている顔がだらしなかったとしてもそんなものは全女子共通の生態なので私は恥じらわないぞ。妙な生き物を見る顔されたって、恥ずかしくないものは恥ずかしくない。
「いや。俺の婚約者になってずいぶん大変な目に遭っていると聞いたが、元気そうだな」
「ああ、それですか」
 まぁ、現実世界にヒロイン効果なんてないからね。私、どっちかっていうと地味な変わり者女子属だったし。そんなのがこの国で最高の将来有望株とくっついたらね、横槍もやっかみもあるでしょうよ。んなもん予想の範疇ですよ。
「べっつに大変って程でもないですねぇ。可愛いもんですよ」
 私、いちおう伯爵家だからね。子爵家とか男爵家の子は遠巻きにヒソヒソするだけだし。同じ伯爵家でも、大事に育てられて来た裕福な子ってそんなに大それた事はしないというか、慣れてない感がハンパないんだよね。
 下駄箱に虫籠とか入れられても、籠ごと入ってるからそのまま出せば済むし。
 そっと足とか伸ばされても、見えてるし、普通に避けるし。
 歩いててぶつかられて、あらごめんなさい見えなかった、とか言われても全然気にしないし。ていうか、ぶつかってきた子の方がふらついて、普通に大丈夫ですかって声かけちゃったし。なんなら、ごめんね頑丈で、って謝りかけたし。
 元々女子の友達はいなかったし。ルイ君いるから、ぼっちじゃないし。
 平気だし。
 全然元気だし。
「そのうち飽きるんじゃないですかね。まぁ、逆にエスカレートしたら助けてください」
「現状に助けはいらないのか?」
「えー、逆にどの辺に助けが要りそうに見えます?」
「そうだな。差し当ってお前の後に立っている奴から助けようか」
「は?」
 アデルの言葉に振り向くと、アクスが立っていた。
 ルイ君はアクスの無表情怖いとかよく言うけど。私からすればこの人ルイ君の前以外じゃほぼ歯見せて笑ったりしないから。別に無表情とか何とも思わないや。全然平気。平気の平左だぁい。
 って………
 うぉい、その紙束!
 ちょ、ルイ君バレたの? 
 なら教えといてよ、ルイ君絡んだアクスはさすがに私も怖いよ!
「おおおたすけれがいますぅ」
 どもった上に噛んだけど、私は何とかアデルに助けを求める事に成功した。笑顔の王太子は特に何もしないが。
 助けてくれるんやなかったんかい!
「ちょっと訊きたい事があるだけだ」
「ななん、なんで、しょう?」
 その紙に書かれてる事なら勘弁してください。
「これに書かれてる上級生ってのは誰だ?」
「…いや、それ、創作ですし。別に誰って事はないですよ。モデルもいません」
 はい嘘。
 だって、ミレイもスレインも名前付きで存在してるんだよ?
 ルイの相手だけ名も無きモブですって、有る訳ないでしょうが。ルイ君に渡すにあたってセンシティブな部分だし伏せたってだけだよ。彼、とか、上級生、って言葉でさ。ちなみに使用人の方も名前変えたよ。上下左右からとった事に関しては、ルイ君から一瞬ふきだしました、って不評をもらった。私も自分で書いてて笑ったから謝った。
「モデルも、いない?」
 はい怖い。ちょー怖い。この人に実際に居る人ですよって話とか、ありえないでしょう。犯罪の予感しかしないわ。
「はい」
 ちらりとアデルを確認してアクスは去って行きました、っと。
 これ、王太子が居なかったら、私ぶん殴られるくらいの事はありえましたかね。
 おーくわばらくわばら。
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