そうだ、壁になりたい ～ ゲーム世界に転生した俺 ～

22.それから

　再び早朝集合した俺とニアさんだが、今回はセナに接触します。
　というか、セナが相変わらず同級生の席であれそれしているのだが、その同級生が来てしまうので、俺が足止めしてる間にニアさんが教室に入ってセナに伝えるという流れだ。
　ついでにセナの恋愛相談にも乗るし、グランとも引き会わせるよ。
　とにかくグランは知り合いを増やす事が大事だから。あと、イースは図書館からほとんど出ないけど、逆に言えば図書館に逃げ込めば十中八九そこにイースが居るって事だから、イースにも会わせる予定。勿論グランにとっては保健室に逃げ込むのが一番だけど、実は1年の教室と保健室までの間に2年の教室が近付くんだよ。絶対に行き会うとは限らないけど、もし行き会って逃げなきゃってなった時に駆け込める場所の確保は必要だし。
　てなわけで、俺とニアさんは自分の知り合いは軒並みグランに会わせていく戦法だ。
　まぁ、まだ、あんま、知り合い居ないんだけどさ。
　何はともあれ、日々頑張ったよ。
　相変わらず殿下と側近は二人の世界だし。
　イースへの要求は徐々に過激さを増して行っているし。
　あ、セナは近頃同級生のミレイに無事告白して付き合い始めたよ。
　グランも近頃は声を上げて笑ったりするようになって、スレイン先生ともプラトニックに順調なようだ。
　テオとロスについてはもっぱら生徒会室から覗き見るしかないんだけど、明らかに深度が進んでいる。
　うん。
　この三ヶ月で俺とニアさんは、攻略対象者達の幸せを目指してめっちゃ頑張った。
　その情熱の原動力がエロい感情な件に関しては言い訳しないが、皆に幸せになって欲しいという気持ちも本物なんだ。だから俺達はそりゃあ真剣に頑張った。
　途中、後続キャラの二人はともかく、アクスだけエロい方向のイベント何も起きてない件に気付いた俺が慌てたけど。
「気になっちゃってるみたいだしネタバレしちゃうけど、アクスはさ、クルスとくっつく予定なんだよね」
「え！？」
　クルスというのは、二週目必須のボーナスキャラだ。ちなみにブロンドヘアに碧眼の甘マスクな王子様。そう、もうお解りかと思うが、アデルの兄なんだ。現在最上級生の4年生で、卒業後は宰相として叔父の跡を継いで公爵になる予定のお兄様。
「アクスにアデルの様子を見て欲しいって頼んでんのもクルスなんだよ。まぁ、ちょっと表に出てきにくいけど、後半にイベ盛りだくさんだから、お楽しみに」
　ってニアさんが言ったので、安心した。
　ちなみに、もう一人の隠しキャラについてだけど、俺、これは薄々勘付いてて結構早々にニアさんに質問してしまった。
「あ、やっぱ解った？　そうそう、ビンゴだよ」
　ってお墨付きも貰った。
　隠しキャラはこの国の王、その名もゼウス様。そう、クルスとアデルの父親だ。王妃様が十年前に他界してて、側室が居ない王様は、独り身のイケオジ。王子達と同じブロンドヘアに碧眼というよりは、青みが少ない、緑眼で、どエロイ低音ボイスが最高なんだよなぁ。
　で、俺が行き着いた結論。
　イースに本を寄贈してあれこれさせてる相手がこのゼウスだろうって事。
　まぁ、普通に考えて本を定期的に寄贈できる奴って段階でかなり絞れるから、何となく解っちゃったんだよね。あと、俺としてはイースとゼウスの二人が絵的にもアリだと思ったからさ。
　そんな訳で、俺とニアさんのシナリオ進行は、もう全て順調って訳だ。
　え、攻略者関係以外の友達？
　いませんけど、何か？