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19.寮に戻って
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さて、放課後をそんな風に過ごして、俺達はグランを迎えに行った。
ちなみに、入室前に中の様子を伺ったけど、スレイン先生はちゃんと弁えた人なので、うっかりスケベハプニングは何もなかった。残念だ。
あと、グラン保護活動については、グラン本人も交えてスレイン先生とも、話をした。グランは、どうして今日会ったばかりの自分にそんなに親切にしてくれるのか、と不思議そうだったが、先生は良い友達だなぁと微笑ましそうだ。
俺の中でスレイン先生まじ好青年。本当にグランの事幸せにしてくださいお願いします。と、スレイン先生を心の中で崇め拝んでおく。
何はともあれグランの味方を増やしつつ、後は敵を近付けないようにする術だな。
寮自体は別々だが、兄弟という動かせない事実があるので、おそらく寮の管理人は、兄共がグランを訪ねてきたら入寮許可を出すだろう。そして、グランも俺と同じで候爵家の人間なので、一人部屋だ。密室に押し掛けられたら、グランに逃げ場はない。
まぁ兄共の動きが活発だったら、しばらくは俺の部屋に退避してもらう事になるだろう。大学時代は狭いアパートで男八人雑魚寝とかも経験済みだから、俺の方は割と同居人の居る生活に抵抗はないんだ、グランの方が有るだろうけど。
そんな訳で、俺は部屋の合鍵をグランに渡して、何かあったら此処に逃げ込むと良いよ、と話し合い中だ。
グランは暫くそんな迷惑はかけられないと断っていたが、親切の押し売りと思いつつも俺が強固に鍵を押し付けたので、最後には頷いてくれた。正直、ちゃんと逃げ込んで来るかは不安だが、逃げ場は有ると認識して貰う事が第一歩だ。
よしよしなかなか順調だ、とか思ってたら。
さっそく兄共が押しかけて来た。何で解ったかって、寮内放送でグランが呼び出されてたからだよ。自分達の部屋の風呂を使わせるって名目で呼び出したんだ。お風呂セットらしきものをグランが持っているし、周りもそんな寮生と上級生がちらほらいて紛れてる。
ったく、お前らぁ。
今日こそ大浴場行こうと思っていた俺はできる限りの大声と大きく手を振る動作で、寮生達の耳目を集めつつグランに駆け寄った。
「ごめんグラン。遅くなっちゃった」
「あ…」
「なんだお前!」
グランの口が逃げてと動こうとして、兄に睨まれて固まるのが解った。家庭には家庭の事情があるだろうし、俺が口を挟めない範囲もあるだろう。でも、震えて怯えて顔色を無くしている美少年をほっとくとかありえねぇから。俺にそんな選択肢はねぇからな!
俺は誰かに言うというより、自分に自分で言い聞かせてグランの手を取った。
「ルイ・アランカと申します。お二人は、どちら様ですか? 俺、これからグランと約束があるのですが」
「俺達はこいつの兄だ、悪いが約束なら後にしてもらおうか!」
まぁ、そう来るだろうとは思ってましたよ。
ちなみに、入室前に中の様子を伺ったけど、スレイン先生はちゃんと弁えた人なので、うっかりスケベハプニングは何もなかった。残念だ。
あと、グラン保護活動については、グラン本人も交えてスレイン先生とも、話をした。グランは、どうして今日会ったばかりの自分にそんなに親切にしてくれるのか、と不思議そうだったが、先生は良い友達だなぁと微笑ましそうだ。
俺の中でスレイン先生まじ好青年。本当にグランの事幸せにしてくださいお願いします。と、スレイン先生を心の中で崇め拝んでおく。
何はともあれグランの味方を増やしつつ、後は敵を近付けないようにする術だな。
寮自体は別々だが、兄弟という動かせない事実があるので、おそらく寮の管理人は、兄共がグランを訪ねてきたら入寮許可を出すだろう。そして、グランも俺と同じで候爵家の人間なので、一人部屋だ。密室に押し掛けられたら、グランに逃げ場はない。
まぁ兄共の動きが活発だったら、しばらくは俺の部屋に退避してもらう事になるだろう。大学時代は狭いアパートで男八人雑魚寝とかも経験済みだから、俺の方は割と同居人の居る生活に抵抗はないんだ、グランの方が有るだろうけど。
そんな訳で、俺は部屋の合鍵をグランに渡して、何かあったら此処に逃げ込むと良いよ、と話し合い中だ。
グランは暫くそんな迷惑はかけられないと断っていたが、親切の押し売りと思いつつも俺が強固に鍵を押し付けたので、最後には頷いてくれた。正直、ちゃんと逃げ込んで来るかは不安だが、逃げ場は有ると認識して貰う事が第一歩だ。
よしよしなかなか順調だ、とか思ってたら。
さっそく兄共が押しかけて来た。何で解ったかって、寮内放送でグランが呼び出されてたからだよ。自分達の部屋の風呂を使わせるって名目で呼び出したんだ。お風呂セットらしきものをグランが持っているし、周りもそんな寮生と上級生がちらほらいて紛れてる。
ったく、お前らぁ。
今日こそ大浴場行こうと思っていた俺はできる限りの大声と大きく手を振る動作で、寮生達の耳目を集めつつグランに駆け寄った。
「ごめんグラン。遅くなっちゃった」
「あ…」
「なんだお前!」
グランの口が逃げてと動こうとして、兄に睨まれて固まるのが解った。家庭には家庭の事情があるだろうし、俺が口を挟めない範囲もあるだろう。でも、震えて怯えて顔色を無くしている美少年をほっとくとかありえねぇから。俺にそんな選択肢はねぇからな!
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「ルイ・アランカと申します。お二人は、どちら様ですか? 俺、これからグランと約束があるのですが」
「俺達はこいつの兄だ、悪いが約束なら後にしてもらおうか!」
まぁ、そう来るだろうとは思ってましたよ。
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