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荒野の王
エピローグ
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孝太はベッドの上で毛布に包まり悶えている。
「コータ…元気出して」
アリェが傍でそんな孝太を慰めているが、彼女は孝太が何に落ち込んでいるのかは、知らない。
「ありがとう…」
その優しさにお礼を言って、だが、毛布から這い出す事は出来ずにいる。
孝太がこんな状態になっているのは、数分前に思い知った事実のせいだ。
荒野の王と、楽しくはないがすっかり気持ち良くなってしまうようになった行為をするようになって、はや二ヶ月。半信半疑だった力が溜まっているという感覚が実感できるようになり、穴を開けられるようになるまであと少しという状態になった。
それは嬉しい。
(嘘だ…)
だが、力が溜まった事によって孝太にはある変化が起きた。
(絶対、嘘だ)
魔王の力を介して行っていた会話が、孝太自身の力でできるようになり始めたのだ。
(俺は、絶対…言ってない!)
そして、解った。
「嫌だ。無理。駄目。止めろ」
何度も繰り返していた自分の懇願が、ほぼ言葉通りには伝わっていなかったのだと。
「良い。もっと。欲しい。お願い」
建前と照れでさんざん訴えていた事が、全て内心の本音に変換されて、相手からすれば孝太の方が啼いて乞うていたのだ。
(嘘だぁ…)
行為の感覚が開けば力は抜けていく。解ってはいるが、その事実に打ち拉がれてそろそろ丸二日部屋に立てこもっていた。
(戻りたい…けど………けどぉ…)
結局。孝太が元の世界に戻るまで、あと二ヶ月ほどの時を要するのだった。
□fin
「コータ…元気出して」
アリェが傍でそんな孝太を慰めているが、彼女は孝太が何に落ち込んでいるのかは、知らない。
「ありがとう…」
その優しさにお礼を言って、だが、毛布から這い出す事は出来ずにいる。
孝太がこんな状態になっているのは、数分前に思い知った事実のせいだ。
荒野の王と、楽しくはないがすっかり気持ち良くなってしまうようになった行為をするようになって、はや二ヶ月。半信半疑だった力が溜まっているという感覚が実感できるようになり、穴を開けられるようになるまであと少しという状態になった。
それは嬉しい。
(嘘だ…)
だが、力が溜まった事によって孝太にはある変化が起きた。
(絶対、嘘だ)
魔王の力を介して行っていた会話が、孝太自身の力でできるようになり始めたのだ。
(俺は、絶対…言ってない!)
そして、解った。
「嫌だ。無理。駄目。止めろ」
何度も繰り返していた自分の懇願が、ほぼ言葉通りには伝わっていなかったのだと。
「良い。もっと。欲しい。お願い」
建前と照れでさんざん訴えていた事が、全て内心の本音に変換されて、相手からすれば孝太の方が啼いて乞うていたのだ。
(嘘だぁ…)
行為の感覚が開けば力は抜けていく。解ってはいるが、その事実に打ち拉がれてそろそろ丸二日部屋に立てこもっていた。
(戻りたい…けど………けどぉ…)
結局。孝太が元の世界に戻るまで、あと二ヶ月ほどの時を要するのだった。
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