十魔王

nionea

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萬魔の王

褒美2

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 卵袋になったナークの体は人だった頃とは違う部分が幾つかある。
 日々の生活の中で食事を必要としなくなった事もその一つだ。喉の渇きを覚える時に水を飲むだけで生きていけるように、体が変わっている。
 他にも、王が放つ甘い花のような匂いに発情するようになった。そして、その発情は、王の精を腹の中に受け止めるまでひたすら続く。
「ひっんぅ…」
 今、ナークは王が見下ろす中で触手による愛撫を受けていた。
(なんで…?)
 初めての事だった。彼は王の精を何度も受け入れてきたが、発情する事で性的な快感を拾い易くなる彼の体は、いつも後孔だけを触手によって解され、王を受け入れていたのだ。それに不満を持ってもいないし、前戯など望んだ事もない。
「ふぅん…あ、くす、ぐったぃ」
 膝を立てた仰向けの状態で手首と足首を寝台に押さえつけられ、手足の指が刺激を受ける度にぎゅっとシーツを掴む。いつもなら拘束されるとすぐに後孔を解すために蠢いていた細い触手が、体中を確かめるように這い回っていた。
 しばらくして、確認が終わったのか、全身を撫でていた触手が離れていく。
「ぅむっんん」
 そして、表面に柔毛のような丸みのある先端を持つ突起がびっしりと生えた触手が、口腔に入り込んで口蓋をなぞった。同時に細い触手が二本舌に絡みついて引っぱるように動き、口の端から唾液が溢れてしまう。
 他にも様々な太さと形状の触手が耳の裏や首筋、顎や頭皮を撫で擦り、時に揉むように刺激していく。耳の中さえ細い触手に責められて、にちゃりという粘液の音が鼓膜にこびりつくようだった。
「んぅ…」
 頭部が解放された頃には、もう彼の思考は言葉を紡げなくなっている。口から唾液が溢れたように、彼の性器の先端からも堪えられない快感に悦び咽ぶように涎が垂れ流れていた。
 体の横に押さえつけられていた腕が、まとめて頭の上に伸ばされる。指に細い触手が絡みつき手を開かされ、擽るように手のひらの上をなぞられ、袋状になっている先端の触手が指先を吸うような刺激も与えてきた。腕にも触手は絡みつき、露にされた脇も擦られる。
「あんっ、な、ん…あぁ」
 もう少し、彼に思考する力が残っていたら、どうしてこんな事をと投げかけられたかもしれない。もしくはもう終わりにして欲しいと訴えられたかもしれない。だが、与えられる刺激に喘ぐことしかもう出来ない。
「ぁあっ」
 卵を産むためなのか、魔界という世界の太陽の影響なのか、白さを増した肌と同じように色素が薄くなった乳輪が吸盤のような触手に取り付かれる。吸うような刺激に震えるが、彼の乳首は卵を産み落とした後のしばらくしか乳は出ない。
「ぁら、ひぅ…」
 吸うような刺激を与えていた吸盤の中で、突如無数の針で刺すような刺激を受けて彼の体が仰け反った。
「ぃたぁひっあぁ」
 感覚の敏感な場所に痛みという刺激を与えられても、それを強烈な快感として受け取る状態の彼は、痛いという言葉も喜びの呻きと混ざってしまう。性器の先端からは勢い良く透明な精子が吐き出され、彼の腹の上に散った。ただ、何度果てようと王の精を注がれるまで彼の昂りは治まらない。
「うんっ…んぅ」
 手首の拘束は解けないが、刺激を与えていた触手は彼の体を下へ向け移動してきた。先端に丸みのある毛先を持ったブラシのような触手が脇腹を撫で上げ、細い触手に臍をぐりぐりと穿るようにされ、今度は前に丸まるように体が曲がる。もっとも、手首も背も寝台に当たっているため腹筋に力が入った程度だが。
「め、もぅ…あぁ、んぅっ」
 下りてきた触手は、止めどなく透明な体液を垂れ流し続ける性器や、陰茎を伝ってその体液が届き濡れそぼって震える後孔を避け、彼の足に巻き付いた。
 膝を伸ばした状態で大きく広げられ、膝裏や内腿を撫で擦られる。
「あぁっ、んんっ」
 足裏全体を幅の広い触手が擽ると、無数の舌で舐められているような感覚に再び仰け反りながら射精してしまった。
「れ…もぅ…ひぃんっ、あんっ、あぁ…」
 その後も、彼の反応が顕著だった個所を重点的に多様な触手が責め立てる。ひたすら続く悦楽の波と果ての無い快感に、生理現象だけではない涙が零れた。
 彼にとってまるで拷問のような状況だが、王には彼を甚振っているつもりも責めているつもりもない。可愛い娘から怒られ、愛情について説かれた王は、ナークと同じ人について調べ、人の性交が生殖のためだけのものではなく愛情を示す行為だと学んだのだ。
「あっ、んぅ…ふっぁ」
 ただし、ナークの体が既に人から脱却してしまっている事を失念している。
(人の体とは不思議なものだな、あれほどやわで過敏なのは、肌の上をなぞるだけで快楽を得るためなのか? 生殖器に触れずとも射精するほどの快楽を得られるとは)
 感心したようにナークを見下ろしていた王は、爪が触れれば傷付くだけの柔らかな彼の皮膚上を触手が這う度に、その性器から飛び出し腹に散る体液が、甘い匂いを放っている事に気付いた。
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