十魔王

nionea

文字の大きさ
9 / 55
萬魔の王

7.

しおりを挟む
 明るい部屋の中で、寝台に押さえつけるように触手がナークの体を固定している。
「っ!」
 これから何が起こるのか、彼には解らないはずだった。だが、苦しい辛い事が起こるという予感が湧き上がっている。腹痛だけでなく恐怖感から彼の目に涙が浮かび零れ落ちていった。
「んんぅ」
 触手に塞がれた口からは、言葉にならないくぐもった悲鳴が上がる。すでに彼の後孔の下は漏れ出た体液で染みができている。
「うんんぅん」
 顔色の悪い老婆と中年女は、もう寝台の脇で待機していた。もっとも、腹痛に苦しみ、恐怖に混乱している彼は気付いていなかったが。
「んんっ!」
 彼の記憶にはないが、先の黄色い卵に似ていた。わずかに太かったが、彼の予感している苦しみに比べればささやかなものだ。それはゆっくりと、だが順調に彼の中から産み出されていく。
 老婆の広げた布に受け止められたのは緑色の卵だ。
 比較的容易に済んだ事に、彼の体から力が抜ける。再び腹痛は襲い来たが、先程よりも体の強張りは緩い。
「んぅ…」
 続いて出てきたのは灰色の卵だった。玉の連なったようなそれは、徐々に大きくなっていく。それでも、最後の玉まで順調に進み、わずかに力めば最も太い部分もつるりと抜け落ちた。五つの玉が連なったような形のそれは、今までで最も長い。だが、彼の苦しみは軽かった。
「っふぅん」
 あまり痛みや苦しみのない卵が続いたはずだが、緊張が解れたせいだろうか、彼の体をどっと疲労感が襲う。
「んっ」
 開いたままひくついていた後孔から、オレンジ色の卵が覗く。その表面には、丸みはあるが長さもある突起が生えていた。油断しきっていた体に唐突に痛みが走り、体が再び強張ってしまう。
「んんぅっ!」
 すでに広がりきっている彼の後孔を引っ掻くように、突起が過ぎる度に悲鳴が上がる。
「んっ………っふんぅ………んんっ………ぅん………ぅ………っん」
 体から力が抜ければ良いのだろうが、痛みを感じる度に逆に強張り続けてしまい、オレンジ色の卵はいっこうに彼の中から出てこない。
「んぅっ―――!」
 最後にぐちっと音を立て産まれ落ちたその卵は、全て出てしまえば片手のひらに収まるような短さだった。だが、倍以上の長さの先の二つよりもよほど彼を苦しめた。
 嫌だ、もう嫌だ、という彼の思いを嘲笑うようにその後孔には既に紅色の卵が待ち構えていた。
「っうぅん」
 つるりとした表面だった。だが、みちみちと押し広げるその質量感は強張りを解く事ができなくなっている彼にはひどく恐ろしい。なんとか最も太い部分が過ぎ去ると、つつっと半ば以上進み、また同じほど太くなったが、先程よりはすぐに抜け出ていった。
「ぅ…」
 息をつくまもなく薄青色の卵が彼の後孔から覗く。
「………っふん…んんっ………ぅん」
 限界近くまで押し広げられ、だがそれはなかなか出てこない。時間がかかればかかるほど体が強張っていくようで、圧迫感と痛みがいつまでも続く。しだいに力むこともできなくなり、涙も流せず、ぐったりと力が抜けてしまった。
 老婆はぐっと眉を寄せ、床を踏み鳴らす。
 触手が彼の体を持ち上げ、椅子に座っている状態へとその姿勢を変えた。
「んぅー…」
 重力を借りるような体勢にされ、力めないながらもその薄青色の卵は彼の中からゆっくりと抜け出てくる。
「っ!」
 中程まで出たところで突然細くなりずるりと抜け落ちたが、老婆は予想していたようで卵は問題なく柔らかな布で受け止められた。
「ぅん」
 更に続けて二つ、半分意識を手放しているような状態だった彼の後孔から、白いまん丸な卵が産み落とされる。
 立て続けに落ちてきた白い卵に、老婆と中年女は慌てたが、なんとか一つの布でぶつからないように受け止めた。もう、彼は完全に気絶している。
 いったいどういう仕組みになっているのか、老婆が再び床を鳴らして触手に合図を送った。
 すると触手は、彼の力ない体を動かし老婆の目の前に彼の後孔を曝す。
 老婆から、じっと睨むようにされている彼のそこは、ぽっかりと開いていた口がじわじわと窄まっていくのだった。老婆は卵を中年女に任せ、時間をかけてでも、完全にその口が閉じるまで観察を続ける。きゅっと閉まったと感じられる状態になるまで見続け、満足げな微笑みを浮かべて部屋を出て行った。
 一方触手から解放され、呼吸さえ力なくみえるほどぐったりとした彼は、寝台の上でまるで老婆のように青白い顔をしている。
 彼以外誰もいなくなり、赤い空のなか薄暗くなり始めた室内は、驚く程静まり返っていた。
「…ぱぱ?」
 その部屋の扉を開けて、おずおずと三歳児ほどに見えるサーラが顔を覗かせる。
「ぱぱ? ぱぱっ!」
 彼に呼びかけながら、とてとてと寝台へ近付いていった。だが、寝台の上であまりに生気の無い顔をした彼に気付き、跳ぶように寝台に乗って、涙を浮かべて彼の頬に触れる。
「ぱぱ? ぱぱ? おきて、ぱぱ?!」
 呼びかけても何の反応も示さない彼に驚き、どうすれば良いのか悩んだサーラは腫れのなくなった彼の乳首を必死に吸い始めた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

側妻になった男の僕。

selen
BL
国王と平民による禁断の主従らぶ。。を書くつもりです(⌒▽⌒)よかったらみてね☆☆

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

処理中です...