36 / 75
36初めての依頼 10
しおりを挟む
地下三階層は、ホブゴブリンの集団が相手で、ゴブリンは現れないようだ。二階層と同様エリザベスが瞬殺する。
トラップは今のところないので、この階にはトラップは少ないに違いない。
「この階も地図は使えるようですね」
「間違いない。この地図と迷路は一致してるな」
メアリーアンとベスの話を聞きながら、やったね! と拳を握る。
「ダンジョンの中だと分からないが、そろそろ外は夜のはずだ。ここらで野営をしておこう」
三階層もこれからというところだし、エリザベスの言う通りここらで体を休める必要があるだろう。
「そうですね。今午後七時くらいですね。それじゃあここらで野営をしましょう」
メアリーアンが腕に巻かれた謎の魔道具を確認してからエリザベスに賛同する。アクセサリーかと思っていたが、時間の分かる魔道具だったとは便利な物があるもんや。
メアリーアンはマジックバッグからテントを取り出し俺が受け取る。
「この辺に張れば良いかな?」
今日は二張張るのか三張張るのかと思いながら張る場所をエリザベスに指示してもらおうとする。
「狭いが、ここで三人で寝よう。ダンジョン内ではテントは一張のほうが安全だ。良いよな、アン」
「当然です」
…………三人で一つのテント? アンとベスと添い寝? ……て眠れんやん!
「タケオは、ダンジョン内での野営は始めてか?」
「は、はい!」
かしこまった返事になる俺。オッチャン顔が赤くなってへんやろな。
「武器は抱えるか枕元に置いて、すぐ戦闘体制が取れるようにな。もちろん私が戦うから念のためだが」
ここはダンジョン、周りは魔物がウロウロしているのだ。複数のテントではバラバラに襲われる可能性がある。だから一箇所に固まって寝るのは当然かもしれない。顔を赤くしている場合ではないことに気付かされる。
「フン!」
大きい鼻息を鳴らして気合を入れ直す。
「ここに張れば良いんやな!」
「ああ、そこが良いだろう。出口はこの向きにしてくれ」
エリザベスは大きな鼻息に驚きながらもちゃんと指示する。
「分かったで! 任せて休んでな」
俺はテキパキとテントを張った。三度目ともなると慣れたものである。
メアリーアンは夕食の準備に取り掛かっている。マジックバッグから鍋に入ったスープを取り出し少し温めて椀に取り分ける。美味しそうな匂いが鼻をくすぐる。
パンも少し温めて皿に盛った。
「クリームシチューとライ麦パンです。たいしたものはないですが、晩御飯はこれでお願いします」
周りを警戒していたエリザベスがニコニコしながら食卓につく。
「いつもアンの作った食事は美味しいから、楽しみにしているよ」
「わしもアンちゃんの料理は大好きやで!」
「実際普段の食事は味気なくてな、アンの手伝いは大歓迎さ」
三人は和気あいあいと食事をとる。
料理が上手いこともあるが、マジックバッグの中は時間が止まっているので、元々暖かいままで料理が収納されている。少し温め直すだけで出来立てのような美味しい料理が食べられるのだ。
「まったく、食事時くらいゆっくりしたいのに!」
エリザベスが両手に剣を持ち立ち上がる。どうやらホブゴブリンがきたらしい。
俺も手伝うべきかとエリザベスに視線を送ると「そこで食べてて」と微笑まれる。
端正な顔立ちに金髪ショートがキラリと輝く。戦う女神様や! 俺は思わず拝みたい衝動にかられた。
エリザベスは踵を返して走り去る。数メートル先にホブゴブリン達が姿を現し、エリザベスが両手の剣で斬り込む。
「ギャギャーー! グギャギャー!」
Sランク冒険者は強い。
一瞬のうちにホブゴブリン達を倒して戻ってきたエリザベスの手には五つの魔石が握られていた。
「剣に食わせて」
差し出された魔石をうけとる。
魔石をインテリジェントソードに食わせているとエリザベスが呟いた。
「私が寝ている間はタケオが起きて警戒してくれる。ゴブリンが現れたら大声で起こしてくれたら私が戦うから」
確かにエリザベスだって眠るのだから、その間はテントの外で警戒をしないと危ないだろう。
エリザベスと一緒に寝るのは夢と消える。そして一人で夜警をすることが判明した。なんやがっかりやで。それに一人で警戒するのは、ちょっと怖い。ゴブリンが出たらやっぱり戦わにゃならんよね。
卓郎を助けるために戦った時は、インテリジェントソードに体を操縦されたので、めっちゃ強かったように思う。ホブゴブリン相手でも大丈夫やろう。
俺はインテリジェントソードをじっと見つめた。
「なんだよ。大丈夫だ。ちゃんと俺が守ってやるから」
守ってやるから宣言いただきました。
頼りになるインテリジェントソードに頬ずりをする。
「やめろ、ばか!」
インテリジェントソードに怒られた。
トラップは今のところないので、この階にはトラップは少ないに違いない。
「この階も地図は使えるようですね」
「間違いない。この地図と迷路は一致してるな」
メアリーアンとベスの話を聞きながら、やったね! と拳を握る。
「ダンジョンの中だと分からないが、そろそろ外は夜のはずだ。ここらで野営をしておこう」
三階層もこれからというところだし、エリザベスの言う通りここらで体を休める必要があるだろう。
「そうですね。今午後七時くらいですね。それじゃあここらで野営をしましょう」
メアリーアンが腕に巻かれた謎の魔道具を確認してからエリザベスに賛同する。アクセサリーかと思っていたが、時間の分かる魔道具だったとは便利な物があるもんや。
メアリーアンはマジックバッグからテントを取り出し俺が受け取る。
「この辺に張れば良いかな?」
今日は二張張るのか三張張るのかと思いながら張る場所をエリザベスに指示してもらおうとする。
「狭いが、ここで三人で寝よう。ダンジョン内ではテントは一張のほうが安全だ。良いよな、アン」
「当然です」
…………三人で一つのテント? アンとベスと添い寝? ……て眠れんやん!
「タケオは、ダンジョン内での野営は始めてか?」
「は、はい!」
かしこまった返事になる俺。オッチャン顔が赤くなってへんやろな。
「武器は抱えるか枕元に置いて、すぐ戦闘体制が取れるようにな。もちろん私が戦うから念のためだが」
ここはダンジョン、周りは魔物がウロウロしているのだ。複数のテントではバラバラに襲われる可能性がある。だから一箇所に固まって寝るのは当然かもしれない。顔を赤くしている場合ではないことに気付かされる。
「フン!」
大きい鼻息を鳴らして気合を入れ直す。
「ここに張れば良いんやな!」
「ああ、そこが良いだろう。出口はこの向きにしてくれ」
エリザベスは大きな鼻息に驚きながらもちゃんと指示する。
「分かったで! 任せて休んでな」
俺はテキパキとテントを張った。三度目ともなると慣れたものである。
メアリーアンは夕食の準備に取り掛かっている。マジックバッグから鍋に入ったスープを取り出し少し温めて椀に取り分ける。美味しそうな匂いが鼻をくすぐる。
パンも少し温めて皿に盛った。
「クリームシチューとライ麦パンです。たいしたものはないですが、晩御飯はこれでお願いします」
周りを警戒していたエリザベスがニコニコしながら食卓につく。
「いつもアンの作った食事は美味しいから、楽しみにしているよ」
「わしもアンちゃんの料理は大好きやで!」
「実際普段の食事は味気なくてな、アンの手伝いは大歓迎さ」
三人は和気あいあいと食事をとる。
料理が上手いこともあるが、マジックバッグの中は時間が止まっているので、元々暖かいままで料理が収納されている。少し温め直すだけで出来立てのような美味しい料理が食べられるのだ。
「まったく、食事時くらいゆっくりしたいのに!」
エリザベスが両手に剣を持ち立ち上がる。どうやらホブゴブリンがきたらしい。
俺も手伝うべきかとエリザベスに視線を送ると「そこで食べてて」と微笑まれる。
端正な顔立ちに金髪ショートがキラリと輝く。戦う女神様や! 俺は思わず拝みたい衝動にかられた。
エリザベスは踵を返して走り去る。数メートル先にホブゴブリン達が姿を現し、エリザベスが両手の剣で斬り込む。
「ギャギャーー! グギャギャー!」
Sランク冒険者は強い。
一瞬のうちにホブゴブリン達を倒して戻ってきたエリザベスの手には五つの魔石が握られていた。
「剣に食わせて」
差し出された魔石をうけとる。
魔石をインテリジェントソードに食わせているとエリザベスが呟いた。
「私が寝ている間はタケオが起きて警戒してくれる。ゴブリンが現れたら大声で起こしてくれたら私が戦うから」
確かにエリザベスだって眠るのだから、その間はテントの外で警戒をしないと危ないだろう。
エリザベスと一緒に寝るのは夢と消える。そして一人で夜警をすることが判明した。なんやがっかりやで。それに一人で警戒するのは、ちょっと怖い。ゴブリンが出たらやっぱり戦わにゃならんよね。
卓郎を助けるために戦った時は、インテリジェントソードに体を操縦されたので、めっちゃ強かったように思う。ホブゴブリン相手でも大丈夫やろう。
俺はインテリジェントソードをじっと見つめた。
「なんだよ。大丈夫だ。ちゃんと俺が守ってやるから」
守ってやるから宣言いただきました。
頼りになるインテリジェントソードに頬ずりをする。
「やめろ、ばか!」
インテリジェントソードに怒られた。
12
お気に入りに追加
48
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
先生!放課後の隣の教室から女子の喘ぎ声が聴こえました…
ヘロディア
恋愛
居残りを余儀なくされた高校生の主人公。
しかし、隣の部屋からかすかに女子の喘ぎ声が聴こえてくるのであった。
気になって覗いてみた主人公は、衝撃的な光景を目の当たりにする…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる