3 / 4
3
しおりを挟むどうやら梨沙が照明のリモコンを下敷きにしたらしい。
「梨沙、その、な、なんて言えば、、、」
暗がりの中、俊也は激しく動揺していた。
――どうして着けてないんだ。
そう考えるのが、やっとだった。
「こ、こっちこそごめん、、っ」
裏返った声で梨沙が謝ってくる。
「お見苦しいものを、、、」
「そ、そんなことはないけど……」
俊也の言葉を最後に会話が途切れる。
――すぐそこのリモコンに、どちらも手を伸ばさずに。
「っ、そだ、俊也の浴衣、拭かないと……っ」
「――! 梨沙っ、ちょ待っ、今はっ……」
手探りで近づいた梨沙がバランスを崩す。
「――ぁ、え……っ⁉︎」
梨沙は瞬間、言葉を失う。
「俊、也……?」
戸惑う梨沙に、彼は何も言わなかった。
――その身体の変化はとても。
友情の二文字で説明することは、できなかった。
「――き、気にしないでよ俊也! 俊也も男の子、だもんね。女のナマ乳なんて、見たらそりゃこうもなるか、あはは……」
浴衣越しにぺたぺたと触りながら、梨沙は何でもないように振る舞う。
「こ、こんなふうになっちゃうんだ……へ~……」
まるで初めて触るように興味津々と。
「ちょ、梨沙ほんとやめろって……」
言葉とは裏腹に、無意識に受け入れてしまっている自分が恥ずかしい。
多分経験があるのだろう友達に、触られている――そんな状況に理性で抗うには、俊也はまだ、若過ぎた。
抵抗しない俊也を見て、梨沙は悪戯っぽく囁く。
「つーかわたしのこと、そんな目で見てたの? 友達なのに、いけないんだぁ……」
その手はだんだんと、さするように変わる。
彼女の息遣いも、ほんの少し――熱を帯びる。
「っ、梨沙、いい加減に……!」
気丈な言葉も、しと、と唇が触れ合えば。
意識がとけて、宙に舞う。
唇の感触と甘い香り、ひしと回された腕の感触が、彼の脳を埋め尽くしていった。
「――嘘、なんだ」
口元を離した梨沙は、罪を告白する。
「彼氏なんて嘘。ホントはずっと……」
梨沙の瞳が、暗がりに揺れる。
「っ、バカだよね、ほんと。忘れたくて遠ざけてたのに。いつかまた遠くの街へ行っちゃうのに……」
瞬間、俊也は引き裂かれるような痛みを胸に抱く。
けれどそれは事実だ。休学が終われば。
自分はこの街を去らねばならない。
再び彼女と、離れなければならない……。
「ねぇ俊也、教えて。このままキレイに終わるのがいいの? それとも……」
答える代わりに、口付けあえば。
梨沙は見開いた瞳を、静かに閉じる。
そのまま二人は、湧き出でるままの自然の感情へと……心を委ねていった。
――――
……
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
妻がエロくて死にそうです
菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。
美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。
こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。
それは……
限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
[恥辱]りみの強制おむつ生活
rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。
保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる