美少女にフラれたらなぜかダウジング伊達メガネ女子が彼女になりました！？〜冴えない俺と彼女と俺をフった美少女の謎の三角な関係〜

第69話 本当です……

　目の前に立つ伊達メガネの彼女は視線を背そむけて俺をみようとはしない。

　入れ替わりは仲里なかさとさんのダウジングが原因じゃないだなんて口にしていたけれど、それって仲里さんは入れ替わりの発動には関係ないみたいな言い方じゃないか……。

　もしかして――いや、そういうことなのか？

「……その、まさかとは思うけど、真宮まみやさんが仲里さんとの入れ替わりを起こしたってこと？」

　少しの間――目を閉じた伊達メガネの彼女は覚悟を決めたかのように、ゆっくりと目を開き、真っ直ぐと俺の顔をみて口を開いた。

「そうです……私が入れ替わりを起こしたんです」

「え……ちょっとまって、え？　なんで？　ど、どうやって……いや、方法なんて今はどうでもいいや。というか、そんなことができるだなんて……ほ、本当なの？」

「本当です……」

　マジか……。

「で、でもどうして！」

「はじめて仲里さんと出会って話しているうちに彼女の性格や容姿も羨ましく見えていたんだと思います……あの頃の私、ずっと自分に自信がなくて友達もいなかったですし……毎日、勉強するだけの地味な日々。彼女のように綺麗な見た目だったら人生変わるんだろうなぁ、だなんて……仲里さんのようになれたらと心から思ってしまったんです」

「そんな……真宮さんだって、か、可愛いし、勉強も出来るし運動だって得意じゃないか」

「真宮さんだって……ついでみたいな言い方なんですね」

「い、いや、そういうつもりじゃ……」

「ごめんなさい……少し意地悪でしたね。いいんです、仲里さんの見た目には敵いませんから。運動に関しては彼女の身体になってから頑張った結果です。なんだか見た目がかわったらなんでも前向きに頑張れちゃったんですよね……勉強だけはずっとしていたから苦労はしませんでしたけど」

　俺が知らない彼女の一面……けれど、話を聞いているかぎり真宮さんが入れ替わりの原因というのが、いまいちピンとこない。
　仲里さんのようになりたいと思っただけで、そんなことが起こるものなのか？

　一つ引っかかるのは、なぜ彼女は元の姿に戻ったのだろう……仲里さんの身体に満足していたのなら戻る理由なんてないはず。

「あのさ、どうして……どうして元の身体に戻ったの？」

「それ……なんだか自分がむなしく思えてきちゃたんですよね。だって仲里さんって私の身体でも積極的に早見はやみくんに近づいていくんですもの」

　真宮さんは続けて口を開く――。

「私、バカみたい……仲里さんの容姿を手に入れて早見くんに告白だってされたはずなのに、あそこで素直にうんと言っていたら良かったのに、急に本当の自分を見て欲しくなるなんて……」

「真宮さん……」

　そういえば、いつだったか彼女は言っていたっけ……『真宮葵まみやあおいとして告白して欲しかった！』と……。

「真宮葵は自分の欲のために仲里さんを利用したずるい人間なんです……こんな私なんて嫌いになりましたよね……」

「そんなこと……と、とにかく俺の家へ戻らないか？　戻りにくいなら、その辺のカフェとか、そうだ！　バーガークイーンにでもいこう」

「無理ですよ……こんな話をして戻れるわけないじゃないですか！　もうこれ以上は……早見くん、こんな私と、この先も口をきいてくれるのなら、また夏休みあけの教室で……」

　言うと真宮さんは背を向けてアパートの方へと歩いていってしまう。

　俺はまた彼女を止めることが出来なかった……。