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第49話 いやですか?
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仲里さんと待ち合わせをしてから十数分は経つけれど、彼女が来る気配はない。
準備に手間取っているのだろうか……。
出かけるところを真宮さんや園崎杏奈に見られると、一緒について来てしまいそうだから家の外を待ち合わせ場所にしたんだけど、部屋で待っていたほうがよかったのかも。
うーん……来ないなぁ。
まさかとは思うけれど、二人に見つかったなんてことは……。
「早見くん! 遅くなってごめんなさい」
白いTシャツにショートパンツ姿の仲里さんはミルクティーベージュの髪を後ろに束ねた姿で申し訳なさそうな表情で現れた。
よかった。あの二人につかまったわけじゃなさそうだ。
「大丈夫だよ。いこうか」
少し待たされはしたけれど、彼女の姿を見たらそんな些細なことなど、どうでもよくなってきたし太ももが妙にエロい。
あぁああ! ダメだダメだ! 仲里さんをそんなエロい目で見てはいけない!
……と、とりあえず急ごう。妹の果奈がスポドリをまっていることだしな。
コンビニのある方向へ歩き出す――と、俺の指先をやさしく包み込むような感触が伝わってきた。
驚いて視線を下へ向けると色白な細い指が俺の手を握っている。
思わず仲里さんの顔を見ると、彼女は同じように見つめてきた――俺は気まずくなって口を開く。
「えっと……」
「いやですか?」
「あ、う、ううん。ぜんぜんっ! 大丈夫っ! うん」
握る手に少し力が入る。
仲里さんって、こんなふうに、ときどき積極的になるんだよな……いきなり手を繋いでくるのなんて、どちらかというと真宮さんのイメージなんだけど。
いや、彼女の場合はもっと距離が近いかな? 腕を組んでくるとか。
――早見くん。
「早見くん?」
「ごめん! な、なに?」
「やっぱり、いやでしたか?」
「いやだなんて、そんなことはないよ」
「早見くん。その……私たちって、一応その……付き合っているんです、よね?」
「え? あぁ……そ、そうだよね」
今更だけど、そう言われてみればそうだった。仲里さんと俺は一応、付き合っているんだ。
もちろんそれは真宮さんも同じ条件なんだけれど……。
夏休みが終わったあと、始業式の日までに俺は二人のうち、どちらかを選ばなくてはいけない。
月の半分は過ぎているわけだし、そう考えると仲里さんも積極的になってしまうのかも。
正直、いまいち実感が湧かないんだよな……これといって、それっぽいことをしてきているわけじゃないし。
そもそも、それっぽいことってなんだ? まず、そこの基準がわからないんだよ。
「あのね……部屋で真宮さんが早見くんに抱きついているところを見たら、私やきもちを焼いてしまって……だから、負けていられないなって……」
「う、うん……」
こういうとき、なんて答えていいか凄く悩んでしまう。
少し気のきいた返事をしたいと思うのだけど、残念ながらそのスキルは皆無だ。
「そういえば、あのとき真宮さんとはなにを話していたのですか?」
「なにをって……」
どうしよう……真宮さんの過去の話になるし、本人の断りなく話すのも気が引ける。
でも、目の前にいる仲里さんは本当は真宮さんなわけだし、その辺の事情はよく知っているはず。
むしろ俺より、そのときの状況は詳しいだろう……それに話せば二人のことをよく知ることができるかも。
決めた……話そう。
「あのさ、仲里さん。あのとき、俺と真宮さんが話していたのは……」
準備に手間取っているのだろうか……。
出かけるところを真宮さんや園崎杏奈に見られると、一緒について来てしまいそうだから家の外を待ち合わせ場所にしたんだけど、部屋で待っていたほうがよかったのかも。
うーん……来ないなぁ。
まさかとは思うけれど、二人に見つかったなんてことは……。
「早見くん! 遅くなってごめんなさい」
白いTシャツにショートパンツ姿の仲里さんはミルクティーベージュの髪を後ろに束ねた姿で申し訳なさそうな表情で現れた。
よかった。あの二人につかまったわけじゃなさそうだ。
「大丈夫だよ。いこうか」
少し待たされはしたけれど、彼女の姿を見たらそんな些細なことなど、どうでもよくなってきたし太ももが妙にエロい。
あぁああ! ダメだダメだ! 仲里さんをそんなエロい目で見てはいけない!
……と、とりあえず急ごう。妹の果奈がスポドリをまっていることだしな。
コンビニのある方向へ歩き出す――と、俺の指先をやさしく包み込むような感触が伝わってきた。
驚いて視線を下へ向けると色白な細い指が俺の手を握っている。
思わず仲里さんの顔を見ると、彼女は同じように見つめてきた――俺は気まずくなって口を開く。
「えっと……」
「いやですか?」
「あ、う、ううん。ぜんぜんっ! 大丈夫っ! うん」
握る手に少し力が入る。
仲里さんって、こんなふうに、ときどき積極的になるんだよな……いきなり手を繋いでくるのなんて、どちらかというと真宮さんのイメージなんだけど。
いや、彼女の場合はもっと距離が近いかな? 腕を組んでくるとか。
――早見くん。
「早見くん?」
「ごめん! な、なに?」
「やっぱり、いやでしたか?」
「いやだなんて、そんなことはないよ」
「早見くん。その……私たちって、一応その……付き合っているんです、よね?」
「え? あぁ……そ、そうだよね」
今更だけど、そう言われてみればそうだった。仲里さんと俺は一応、付き合っているんだ。
もちろんそれは真宮さんも同じ条件なんだけれど……。
夏休みが終わったあと、始業式の日までに俺は二人のうち、どちらかを選ばなくてはいけない。
月の半分は過ぎているわけだし、そう考えると仲里さんも積極的になってしまうのかも。
正直、いまいち実感が湧かないんだよな……これといって、それっぽいことをしてきているわけじゃないし。
そもそも、それっぽいことってなんだ? まず、そこの基準がわからないんだよ。
「あのね……部屋で真宮さんが早見くんに抱きついているところを見たら、私やきもちを焼いてしまって……だから、負けていられないなって……」
「う、うん……」
こういうとき、なんて答えていいか凄く悩んでしまう。
少し気のきいた返事をしたいと思うのだけど、残念ながらそのスキルは皆無だ。
「そういえば、あのとき真宮さんとはなにを話していたのですか?」
「なにをって……」
どうしよう……真宮さんの過去の話になるし、本人の断りなく話すのも気が引ける。
でも、目の前にいる仲里さんは本当は真宮さんなわけだし、その辺の事情はよく知っているはず。
むしろ俺より、そのときの状況は詳しいだろう……それに話せば二人のことをよく知ることができるかも。
決めた……話そう。
「あのさ、仲里さん。あのとき、俺と真宮さんが話していたのは……」
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