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第43話 それ、だれが食べるの?
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夕食のトリプルハンバーグピザを食べ終わると母さんは仕事へと戻っていき、帰り際には『仲里さんがきたら、わがまま聞いてあげてちょうだいね』などと言い残していった。
まぁ、言われなくてもそうするつもりだけれど、なんで真宮さんとじゃなくて、仲里さん限定みたいな言い方なのかが謎だ。
やっぱり母さんは仲里さんのことを知っているのだろうか?
「にぃにぃ! 余ったピザどうするの? あとで食べる?」
妹の果奈は皿に残ったハンバーグを指差し、困った顔をしているが、俺はにぃにぃ呼びに困った顔をしていると思う。
「果奈……まず、それはピザじゃないから。予想どおり挟まれていたハンバーグだけが残ったな……」
「だって、チーズたっぷりのピザ生地が三枚重ねだけでもボリュームあるのに、ハンバーグがしきつめられていたら食べきれないよ」
注文する前に気がつくべきだったと思うが……。
「とりあえず冷凍しておいてくれ。明日にでも、アレンジしてなにか作ろう」
「それ、だれが食べるの?」
「なんでさりげなく食べませんアピールしてるんだよ。いいから頼んだぞ」
「はぁーい」
果奈は気のない返事をしながらキッチンへハンバーグを運んでいく。
まったく……ん? あれ? 真宮さんがいない。
トイレかな? まぁ、いいか。片付けはもう終わるから、部屋に戻ってゆっくりしよう。
「果奈、お兄ちゃんは二階にいってるからな」
「お兄ちゃんじゃなくて、にぃにぃっていってくれなきゃやだぁ!」
「……」
◇
二階の自室へ戻り、ベッドへ横になる。
「ふぅ……少しピザを食べ過ぎたな……お腹がはちきれそうだ」
真宮さんは部屋にいるのかな? 荷物の整理は済ませたのだろうか。
夏休みが終わるまで残り二週間くらい……二週間分の荷物ってどれくらいなんだろう。
仲里さんは荷物が多そうだったから少し心配だ。
場合によっては俺が運ぶの手伝いにいったほうがよさそうだし、スマホで確認してみよう。
「えーと、メッセージはシンプルに書いた方がいいよな……『明日のことだけど、荷物は一人で運べますか? 良かったら手伝いにいきます』っと、こんな感じでいいか……」
文章を確認して送信を押す――が、既読はつかない。
「そんなすぐに返事がくるわけないか……真宮さんは結構すぐに既読になるんだけどなぁ」
そういえば仲里さんのことを母さんは気にしていたようだけど、なんだったんだろう……。
母さんと仲里さんの接点が思い浮かばないんだよな。最初は気のせいだと思ったけれど、帰り際の一言のせいで妙に気になって仕方がない。
――ガチャ。
「春時」
突然、ドアの開く音がしたと思うと俺の名前を呼ぶ真宮さんの姿があった。
出来れば人の部屋に入る前にはノックの一つでもしてくれたら助かるんだけど、真宮さんに言ってもまたやりそうなので秒で諦めた。
「真宮さん。どうしたの?」
「うん……少しいいかな? 話があるの……」
話? あぁ……もしかして、途中で止めていたアレか……。
「あ、適当なとこに座ってよ」
「うん……」
なんだか、また、らしくないというか……本当に今日の真宮さんどうしたんだろう。
まぁ、言われなくてもそうするつもりだけれど、なんで真宮さんとじゃなくて、仲里さん限定みたいな言い方なのかが謎だ。
やっぱり母さんは仲里さんのことを知っているのだろうか?
「にぃにぃ! 余ったピザどうするの? あとで食べる?」
妹の果奈は皿に残ったハンバーグを指差し、困った顔をしているが、俺はにぃにぃ呼びに困った顔をしていると思う。
「果奈……まず、それはピザじゃないから。予想どおり挟まれていたハンバーグだけが残ったな……」
「だって、チーズたっぷりのピザ生地が三枚重ねだけでもボリュームあるのに、ハンバーグがしきつめられていたら食べきれないよ」
注文する前に気がつくべきだったと思うが……。
「とりあえず冷凍しておいてくれ。明日にでも、アレンジしてなにか作ろう」
「それ、だれが食べるの?」
「なんでさりげなく食べませんアピールしてるんだよ。いいから頼んだぞ」
「はぁーい」
果奈は気のない返事をしながらキッチンへハンバーグを運んでいく。
まったく……ん? あれ? 真宮さんがいない。
トイレかな? まぁ、いいか。片付けはもう終わるから、部屋に戻ってゆっくりしよう。
「果奈、お兄ちゃんは二階にいってるからな」
「お兄ちゃんじゃなくて、にぃにぃっていってくれなきゃやだぁ!」
「……」
◇
二階の自室へ戻り、ベッドへ横になる。
「ふぅ……少しピザを食べ過ぎたな……お腹がはちきれそうだ」
真宮さんは部屋にいるのかな? 荷物の整理は済ませたのだろうか。
夏休みが終わるまで残り二週間くらい……二週間分の荷物ってどれくらいなんだろう。
仲里さんは荷物が多そうだったから少し心配だ。
場合によっては俺が運ぶの手伝いにいったほうがよさそうだし、スマホで確認してみよう。
「えーと、メッセージはシンプルに書いた方がいいよな……『明日のことだけど、荷物は一人で運べますか? 良かったら手伝いにいきます』っと、こんな感じでいいか……」
文章を確認して送信を押す――が、既読はつかない。
「そんなすぐに返事がくるわけないか……真宮さんは結構すぐに既読になるんだけどなぁ」
そういえば仲里さんのことを母さんは気にしていたようだけど、なんだったんだろう……。
母さんと仲里さんの接点が思い浮かばないんだよな。最初は気のせいだと思ったけれど、帰り際の一言のせいで妙に気になって仕方がない。
――ガチャ。
「春時」
突然、ドアの開く音がしたと思うと俺の名前を呼ぶ真宮さんの姿があった。
出来れば人の部屋に入る前にはノックの一つでもしてくれたら助かるんだけど、真宮さんに言ってもまたやりそうなので秒で諦めた。
「真宮さん。どうしたの?」
「うん……少しいいかな? 話があるの……」
話? あぁ……もしかして、途中で止めていたアレか……。
「あ、適当なとこに座ってよ」
「うん……」
なんだか、また、らしくないというか……本当に今日の真宮さんどうしたんだろう。
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