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にじゅうなな。

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私が綺麗なスライディング土下座を披露してから一週間が過ぎた。

今日も洗濯物を頑張って干していれば、リウ。とパドマさんに呼ばれた。

「あっ!ちょっと待ってくださいね!」

そう言って急いで残りを干していると、私も干すよ。とパドマさんが手伝ってくれた。

「メリルさんが来ているから、急ぎましょうか。」

「メリル様が⁉︎」

そこからは、パドマさんが目を見張るほどのスピードで終わらせた。




「失礼します。」

パドマさんと一緒に来たのは、あの日以来立ち入っていない団長室。

中に入れば、ゼノさんとメリル様以外に、

「こんにちは、リウ。」

「セシル王子!」

ずいぶんと久しぶりに見る、セシル王子がいた。


「少し痩せました?」

「……あぁ、最近ちょっと忙しくてね。」

どことなく目見た時と雰囲気の違うセシル王子にそう聞くと、少し間が空いて答えがくる。

大変ですね。と言えば、笑顔を向けられた。



「それでね、この間の魔法石のことだけど…、」

ソファーに座るように促され、メリル様の目の前の場所に座る。

王子にジト目で見られた気がしたが気にしない。

座った私を確認したメリル様が、私が作った魔法石の事を話し出した。



私が作った魔法石でメリル様の魔法の威力が上がることが分かったメリル様は、自分以外にも扱うことができるのかを調べるため、第1騎士団の者達全員に使ってもらった。

なぜ第1騎士団の者達なのかと聞いたら、私の事を知っているのはここの人達だけだからだと言う事だ。

1人づつ試していけば、全ての者達が使え、魔法の威力が上がることが分かった。

そう、第1騎士団、全ての者達が、である。

「それって…、」

「そう。リウの魔力は、5属性あると言うことが分かった。」

基本属性、全てだ。

メリル様はそう言って、机に魔法石を置く。

コロン、と机の上で転がり止まる光沢のある小さな石。

魔法が使えない私にはよく分からないが、多分、凄いことなのだろう。

「それから、僕は魔力について調べた。久しぶりにこんなに熱中したよ。…それでね、僕の中で一つの答えにたどり着いた。」



______闇属性。



綺麗な声が、聞いたこともないものを言った。

「闇、属性…?」

…なんだそのラスボスみたいな属性は。

「そう。闇属性とは、僕たちが持っている基本属性の親的存在。魔力の原初とも言われる属性だ。」

「原初…。」

「魔術協会の資料室にある古文書まで引き出したよ。何千年も前に無くなったと言われる属性を見れるとは思わなかった。」

そう言って、机に置いた石を拾う。

「リウ。これは、君が思っている以上に凄いことだ。」

魔法が使えない君には分からないだろうけど。…あぁ、魔法が使えなかった理由も、闇属性だからだよ。と言うメリル様に、意味を問えば、すぐに教えてくれた。


なんでも、闇属性というのは、原初…始まりと言うだけあり、その魔力量は結構なものらしい。ただ、どう言う理由か、闇属性を持つものに魔法を扱える者はいなかった。
その属性を持っている者は少なく、調べられるのも限られていたからだ。
それに、はるか昔の技術では結論が出ず、最終的には神が世界の均衡を保つためだと言うのが古文書には書かれていたとのことだが、実際、闇属性なんてチートみたいな魔法が使えたら、無双状態だろう。
そう思うと、納得ができた。


「あの、じゃあ聖女様の光属性も強化できるんですか?」

「さぁ?そこまでは調べていないよ。」

さすがに聖女様に接触したらバレちゃうからね。と言い、また魔法石を置く。

「…でも、闇属性ができた後に光属性が出来ているから、もしかしたら出来るのかもしれないね。」

そう言って意味深に笑うメリル様は、ひれ伏したい程にカッコよかった。





「それでね、リウ。君にはこれから魔術協会で過ごしてもらうよ。」

一通り話が終わり、パドマさんが準備してくれた紅茶を飲んでいる時、メリル様が唐突に言う。

「…え?」

その声は、誰のものだったか。

パドマさんやハロルド君はともかく、一番聞いていそうなゼノさんまで驚いた顔をしている。

「あの、どう言う…、」

「メリル、どう言うことだ。」

私が聞こうと口を開くと、ゼノさんの威圧的な声がそれにかぶる。

「どうもこうも、元々此処には長くいれなかっただろう?」

それに答えたのはセシル王子。

私はその意味が分からず、セシル王子を見る。

私の疑問を感じ取ったセシル王子が口を開いた。

「元々、君の存在が証明されるまではここで監視していたに過ぎないよ。それが、本当に異世界人で、闇属性なんて魔力があると分かったんだ。専属の者をつけるのは当たり前だろう?」

それに、騎士団は遠征にも行くことが多い。君は魔法も剣も使えないだろう?
使えたなら、考えたけどね。

そう言うセシル王子に私は唇を噛む。

……それは、やはり私は疑われていたと言うことだろうか?
それとも、実戦で使えない奴だとわかり、邪魔だと判断したのだろうか?

ゼノさんを見れば、それを肯定するように何も言わなかった。

全てを信じてもらえるとは思ってもいなかったし、役立たずなのは分かっていたが、現実に聞くと胸を締め付けられるような感じがする。

「魔術協会ではメリルが君の面倒を見る。メリルの元で魔術師見習いとして働いてもらう。」

もちろん、身の安全は保証する。

そう言われると、お世話になっているだけの私は頷くことしかできなかった。



「じゃあ3日後に迎えに来るよ。」

メリル様がそう言って王子と部屋を出て行く。

重い雰囲気の中、こうして私の引越しが決まった。
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