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紬said.
15.
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「おはよう!むぎたん!」
朝登校すると、なぜか私の席に座っている芽衣ちゃんがニヤニヤしながら挨拶してくる。
嫌な予感がして、「ちょっとトイレに…」と踵を返したらガシッと腕を掴まれた。
ズルズルと自分の席に座らされ、芽衣ちゃんは朝練でいない西園寺君の席に座る。「で?どうだったの?」と昨日も同じような台詞を聞いたなと分からないフリをして「何が?」と聞くと、どこから出したのか芽衣ちゃんは机の上にChiBoを2本置いた。
私がそれに手を伸ばすと芽衣ちゃんはChiBoを引っ込ませ「で?どうだったの?」ともう一度聞いてくる。なるほど、取り引きか。
はぁ…と息をついた私は、大まかに土曜日のことを話した。
…断じて食べ物に釣られたわけではないと言っておこう。
____
___
担任の松野先生が教室に入ってきてみんなが席に着く。芽衣ちゃんも「後でまた聞かせてー」と自分の席に戻っていった。
「出欠とるぞー。…明智ー」
先生が出欠を取り今日の注意事項を伝える。SHRは終了のチャイムが鳴る前に終わり、「時間までは騒がしくするなよー」と先生が教室から出て行った。
「むぎたーん」と早速現れた芽衣ちゃんは、私とイスを半分こにして座る。
二回目の朝ごはんと呼んでいる菓子パンを食べ始めた西園寺君もこちらを向き「で、どうしたんだ?」と聞いてきた。
どうしたが最近流行っているのかと思うくらい聞き飽きた台詞に、芽衣ちゃんが「ほらー、土曜日の…」と説明してくれた。
「あー、なるほど。そのことな」
「西園寺聞いてたの?」
「朝陽から少しな」
すでに高杉君から聞いて“初デート”の内容を知っているらしい彼は、興味なさげに二つ目の菓子パンを開けた。
それを聞いた芽衣ちゃんは「面白くなー」と彼が食べようとしていたメロンパンをつまんでいる。ギャーギャーといつもの喧嘩が始まるな…と思っていたら、「あ、それってさ…」と西園寺君が私の鞄を指さした。
「アレだろ」
「うん、そうだよ」
まだ自分のロッカーにしまえていなかった机の上にある鞄には、高杉君からもらった“小人の靴”のキーホルダー。
「なになに?このキーホルダーがどうしたのー?」と芽衣ちゃんが西園寺君に聞くと、彼は私の方を見てニヤリと笑った。
「これな、朝陽のバッシュと同じデザインなんだよ」
「え⁉︎なにそれー⁉︎聞いてないよむぎたん!」
「そうだねー、言ってないねー」
「もう!そう言うのは早く教えてくれなきゃ!」とイスを揺らしてくる。
「落ちるから止まってー!」と芽衣ちゃんに言うとすぐにやめてくれた。
「高杉も可愛い所があったんだねー」
「それをちゃんと付けてくる瀬名もな」
「あははっ、言えてるー」
「むぎたんそう言うのあんまり言わないからさー」と芽衣ちゃんは言いながら何故かキーホルダーを写真におさめる。
カシャっと音を鳴らした芽衣ちゃんは「これでアイツからかってこよー」とそれはもう嬉しそうにニヤついていた。
____
___
時は過ぎて、昼休み。
今日は保健委員の当番の日で、お昼は保健室でとることになっている。
佐々木先生は用事があって出ており、一緒に当番をするはずの中川君は部活の用事で少し出てくると言って行ってしまった。
誰もいない保健室で一人寂しくお弁当を食べていると、ガラガラと扉が開いた。
「あれ、佐々木いないじゃん」と言ってズカズカ入ってきたのは、派手めな女子生徒2人。内履きの色が黄色だから先輩だ。
「佐々木先生なら職員室に行ってますよ」と声をかけると、「そうなんだー」と言ってなぜか私をジロジロ見てくる。
派手な見た目で迫力もある為、なんだろう…こわ…と視線を彷徨わせた。
コソコソと黒髪の先輩が茶髪の先輩に耳打ちする。居心地が悪い私は、早く出て行ってくれないかなと思いながらチラリと見ていると「あんたさ」と声をかけられた。
まさか話しかけられるとは思っていなかった私は、びくりと小さく体を揺らす。
それが面白かったのか2人はニヤニヤと嫌な笑みを浮かべ、茶髪の先輩が話を続けた。
「高杉と付き合ってる子でしょ?」
「ぁ、…はい」
私が返事をすると、「ふーん」と品定めする様に見られる。
またコソコソと話し出した2人は、なにが面白いのか笑っていた。
居心地の悪さにどうしたものかと考えていると、「先生ー絆創膏ー」と言って誰かが入ってきた。
「あれ、瀬名と…なんであんたらがここにいんの」
下げていた視線を上げると、西園寺君と森君が入り口に立っていた。
「別にー?佐々木に用があっただけだしー」
「そーそー、それ以外にここに用事なくなーい?」
「あっそ。佐々木いねーなら用はねーだろ。さっさと行けよ」
なぜかキレ気味の2人は、先輩達をここから追い出そうとする。
理由が分からない私は、オロオロとその状況を見ていることしかできなかった。
朝登校すると、なぜか私の席に座っている芽衣ちゃんがニヤニヤしながら挨拶してくる。
嫌な予感がして、「ちょっとトイレに…」と踵を返したらガシッと腕を掴まれた。
ズルズルと自分の席に座らされ、芽衣ちゃんは朝練でいない西園寺君の席に座る。「で?どうだったの?」と昨日も同じような台詞を聞いたなと分からないフリをして「何が?」と聞くと、どこから出したのか芽衣ちゃんは机の上にChiBoを2本置いた。
私がそれに手を伸ばすと芽衣ちゃんはChiBoを引っ込ませ「で?どうだったの?」ともう一度聞いてくる。なるほど、取り引きか。
はぁ…と息をついた私は、大まかに土曜日のことを話した。
…断じて食べ物に釣られたわけではないと言っておこう。
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担任の松野先生が教室に入ってきてみんなが席に着く。芽衣ちゃんも「後でまた聞かせてー」と自分の席に戻っていった。
「出欠とるぞー。…明智ー」
先生が出欠を取り今日の注意事項を伝える。SHRは終了のチャイムが鳴る前に終わり、「時間までは騒がしくするなよー」と先生が教室から出て行った。
「むぎたーん」と早速現れた芽衣ちゃんは、私とイスを半分こにして座る。
二回目の朝ごはんと呼んでいる菓子パンを食べ始めた西園寺君もこちらを向き「で、どうしたんだ?」と聞いてきた。
どうしたが最近流行っているのかと思うくらい聞き飽きた台詞に、芽衣ちゃんが「ほらー、土曜日の…」と説明してくれた。
「あー、なるほど。そのことな」
「西園寺聞いてたの?」
「朝陽から少しな」
すでに高杉君から聞いて“初デート”の内容を知っているらしい彼は、興味なさげに二つ目の菓子パンを開けた。
それを聞いた芽衣ちゃんは「面白くなー」と彼が食べようとしていたメロンパンをつまんでいる。ギャーギャーといつもの喧嘩が始まるな…と思っていたら、「あ、それってさ…」と西園寺君が私の鞄を指さした。
「アレだろ」
「うん、そうだよ」
まだ自分のロッカーにしまえていなかった机の上にある鞄には、高杉君からもらった“小人の靴”のキーホルダー。
「なになに?このキーホルダーがどうしたのー?」と芽衣ちゃんが西園寺君に聞くと、彼は私の方を見てニヤリと笑った。
「これな、朝陽のバッシュと同じデザインなんだよ」
「え⁉︎なにそれー⁉︎聞いてないよむぎたん!」
「そうだねー、言ってないねー」
「もう!そう言うのは早く教えてくれなきゃ!」とイスを揺らしてくる。
「落ちるから止まってー!」と芽衣ちゃんに言うとすぐにやめてくれた。
「高杉も可愛い所があったんだねー」
「それをちゃんと付けてくる瀬名もな」
「あははっ、言えてるー」
「むぎたんそう言うのあんまり言わないからさー」と芽衣ちゃんは言いながら何故かキーホルダーを写真におさめる。
カシャっと音を鳴らした芽衣ちゃんは「これでアイツからかってこよー」とそれはもう嬉しそうにニヤついていた。
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時は過ぎて、昼休み。
今日は保健委員の当番の日で、お昼は保健室でとることになっている。
佐々木先生は用事があって出ており、一緒に当番をするはずの中川君は部活の用事で少し出てくると言って行ってしまった。
誰もいない保健室で一人寂しくお弁当を食べていると、ガラガラと扉が開いた。
「あれ、佐々木いないじゃん」と言ってズカズカ入ってきたのは、派手めな女子生徒2人。内履きの色が黄色だから先輩だ。
「佐々木先生なら職員室に行ってますよ」と声をかけると、「そうなんだー」と言ってなぜか私をジロジロ見てくる。
派手な見た目で迫力もある為、なんだろう…こわ…と視線を彷徨わせた。
コソコソと黒髪の先輩が茶髪の先輩に耳打ちする。居心地が悪い私は、早く出て行ってくれないかなと思いながらチラリと見ていると「あんたさ」と声をかけられた。
まさか話しかけられるとは思っていなかった私は、びくりと小さく体を揺らす。
それが面白かったのか2人はニヤニヤと嫌な笑みを浮かべ、茶髪の先輩が話を続けた。
「高杉と付き合ってる子でしょ?」
「ぁ、…はい」
私が返事をすると、「ふーん」と品定めする様に見られる。
またコソコソと話し出した2人は、なにが面白いのか笑っていた。
居心地の悪さにどうしたものかと考えていると、「先生ー絆創膏ー」と言って誰かが入ってきた。
「あれ、瀬名と…なんであんたらがここにいんの」
下げていた視線を上げると、西園寺君と森君が入り口に立っていた。
「別にー?佐々木に用があっただけだしー」
「そーそー、それ以外にここに用事なくなーい?」
「あっそ。佐々木いねーなら用はねーだろ。さっさと行けよ」
なぜかキレ気味の2人は、先輩達をここから追い出そうとする。
理由が分からない私は、オロオロとその状況を見ていることしかできなかった。
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