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紬said.
12.
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ピピピッ ピピピッ ピピッ
「全然眠れなかった…」
《11時に駅前で待ち合わせな》と一昨日の夜決まった日時までは、まだ時間があるAM8:00。
ついにこの日が来てしまった。服装や髪型で悩みに悩んでしまったり、今日のことを考えるとなかなか寝付けなかったりで最悪なことにかなり寝不足である。
待ち合わせ場所の駅前は、花ノ谷高校から歩いて20分ほどのところにあり、ターミナルビルとなっているそこは飲食店やアパレル系のお店、映画館などが入っている。
私の家からは直通のバスがあるため、今日はそれに乗っていく予定だ。
家を出るのは9時50分、家からバス停まで約15分、時間通りにバスが来たとしてそこから約40分。駅前には10時50分には着く予定だ。
少し余裕もあるから万が一にも遅れることはないだろうと、昨日から何度も見返したバスの時刻表を再度確認する。
まずは顔を洗おうと、ベッドの上で伸びをしてから私は部屋を出た。
____
___
「んー!これでいいのかなー⁉︎」
ピンクグレーのロングプリーツグスカートに白のレースがついたインナー、グレーの少し大きめカーディガンをボタンをしっかりと閉め、スカートの中に入れる。カーディガンのV字の部分から白のレースが綺麗に見えた。
足元は濃いグレーのスニーカーにバックはアイボリーの小さめの肩掛け鞄。髪はサイドに結びグレーのリボンの飾りがついたゴムで結んである。
髪だけは母にお願いして結んでもらった。後ろから見るとゆるく編み込んであるのが分かる、かわいい髪型だ。
「どうしたの?ソワソワしちゃって…デート?」と結んでもらっている間に聞かれたが、「ソワソワなんてしてませーん。咲と遊ぶの!」とごまかした。
ごめん咲!名前使わせてもらいました!と心の中で謝っておく。…なんか最近心の中でしか謝っていない気がするから、今度何かお菓子をプレゼントしよう。
部屋にあるスタンドミラーの前で可笑しな所がないか確認するが、なぜか見れば見るほどにコレで良いのか不安になってくる。
今から服を選びなおす?どうしよう…と悩んでいると、家から出ないといけない時間になっていた。
慌てて鞄を持ち靴を履く。
忘れ物がないか二度チェックをし、急いで家を出た。
____
___
AM10:53。ザワザワガヤガヤと人の多い駅前に到着した。休日のせいか同じ歳くらいの子が多い印象だ。
バス乗り場から歩いて駅前広場に向かう。「さっきの人かっこよかったねー」とすれ違った子達の会話を聴き流し待ち合わせ場所に到着すると、うん。かっこいい。
黒の細身のパンツに白のTシャツ、下からグレーのインナーを出している。黒のスニーカーにデニムジャケットを羽織っている彼は、シンプルな服装ながらスタイルの良さを引き出していた。
先に着いていた高杉君のもとへ駆け寄ると、彼も私に気付いてくれて軽く手を上げてくれる。
「高杉君」
「瀬名、おはよう」
「おはよう」
「ごめん、お待たせしちゃったね」と高杉君に謝ると、「俺も今さっきついたばかりだから全然待ってないよ」と返事がくる。それなら良かったと2人で目的地の映画館に歩き出した。
「GLoRiAって伊藤 奏太が主演なんだよな」
「そうだよー!初主演なんだって」
今日見る映画のGLoRiAは、漫画が原作でアニメ、映画となり今回ついに実写化された。
和風な雰囲気の物語は、孤児である主人公の昴が力に目覚める所から始まるお話である。
その主人公を演じるのは今人気急上昇中の俳優、伊藤 奏太君。身長179cm細身の体型でサラサラの黒髪。たまに掛ける黒縁のメガネが彼の甘めな顔立ちをクールな印象に変えさせる。15歳から俳優業を始め今年20歳になる彼は、2年前の恋愛ドラマでヒロインを取り合うライバル役を務めた頃から叙々に人気が出てきたのだ。例に漏れず私もそのドラマを見てファンになった1人である。
高杉君は原作となった漫画のファンらしく、お互い見たいものが同じだったためGLoRiAを見ることになった。
「楽しみだなー。奏太君演技上手なんだよね」
「芽衣ちゃんがヤバかったってずっと言ってたよ」と先週彼氏と先に見にきていた芽衣ちゃんの感想を伝えると、どこか複雑そうな顔をした高杉君の顔が見えた。
あれ、もしかして本当はこの映画見たくなかった?原作ファンの人は実写化するの嫌だって人もいるし…。映画の話になった時にGLoRiAの話を私が先にしちゃったから断りずらかったのかも…。と一気に不安になる。
急に黙った私に「どうした?」と高杉君が声をかけてくるが、「何でもないよ」と返事をしてしまった私は、「珍しく部活お休みだったんだね」と話題を変えた。
「女バレが練習試合するとかで体育館使えないから休みになった。第二は他の部活が使うんだってよ」と教えてくれる。
「ま、1日休みもなかなかないし、おかげで今日瀬名と出かけられたから俺的にはすげー嬉しいけど」
そう言って高杉君は「チケット取ってくるからこの辺で待ってて」と先に予約していたチケットを受け取りに行く。
私はその後ろ姿を、真っ赤な顔で見ていることしかできなかった。
「全然眠れなかった…」
《11時に駅前で待ち合わせな》と一昨日の夜決まった日時までは、まだ時間があるAM8:00。
ついにこの日が来てしまった。服装や髪型で悩みに悩んでしまったり、今日のことを考えるとなかなか寝付けなかったりで最悪なことにかなり寝不足である。
待ち合わせ場所の駅前は、花ノ谷高校から歩いて20分ほどのところにあり、ターミナルビルとなっているそこは飲食店やアパレル系のお店、映画館などが入っている。
私の家からは直通のバスがあるため、今日はそれに乗っていく予定だ。
家を出るのは9時50分、家からバス停まで約15分、時間通りにバスが来たとしてそこから約40分。駅前には10時50分には着く予定だ。
少し余裕もあるから万が一にも遅れることはないだろうと、昨日から何度も見返したバスの時刻表を再度確認する。
まずは顔を洗おうと、ベッドの上で伸びをしてから私は部屋を出た。
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「んー!これでいいのかなー⁉︎」
ピンクグレーのロングプリーツグスカートに白のレースがついたインナー、グレーの少し大きめカーディガンをボタンをしっかりと閉め、スカートの中に入れる。カーディガンのV字の部分から白のレースが綺麗に見えた。
足元は濃いグレーのスニーカーにバックはアイボリーの小さめの肩掛け鞄。髪はサイドに結びグレーのリボンの飾りがついたゴムで結んである。
髪だけは母にお願いして結んでもらった。後ろから見るとゆるく編み込んであるのが分かる、かわいい髪型だ。
「どうしたの?ソワソワしちゃって…デート?」と結んでもらっている間に聞かれたが、「ソワソワなんてしてませーん。咲と遊ぶの!」とごまかした。
ごめん咲!名前使わせてもらいました!と心の中で謝っておく。…なんか最近心の中でしか謝っていない気がするから、今度何かお菓子をプレゼントしよう。
部屋にあるスタンドミラーの前で可笑しな所がないか確認するが、なぜか見れば見るほどにコレで良いのか不安になってくる。
今から服を選びなおす?どうしよう…と悩んでいると、家から出ないといけない時間になっていた。
慌てて鞄を持ち靴を履く。
忘れ物がないか二度チェックをし、急いで家を出た。
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AM10:53。ザワザワガヤガヤと人の多い駅前に到着した。休日のせいか同じ歳くらいの子が多い印象だ。
バス乗り場から歩いて駅前広場に向かう。「さっきの人かっこよかったねー」とすれ違った子達の会話を聴き流し待ち合わせ場所に到着すると、うん。かっこいい。
黒の細身のパンツに白のTシャツ、下からグレーのインナーを出している。黒のスニーカーにデニムジャケットを羽織っている彼は、シンプルな服装ながらスタイルの良さを引き出していた。
先に着いていた高杉君のもとへ駆け寄ると、彼も私に気付いてくれて軽く手を上げてくれる。
「高杉君」
「瀬名、おはよう」
「おはよう」
「ごめん、お待たせしちゃったね」と高杉君に謝ると、「俺も今さっきついたばかりだから全然待ってないよ」と返事がくる。それなら良かったと2人で目的地の映画館に歩き出した。
「GLoRiAって伊藤 奏太が主演なんだよな」
「そうだよー!初主演なんだって」
今日見る映画のGLoRiAは、漫画が原作でアニメ、映画となり今回ついに実写化された。
和風な雰囲気の物語は、孤児である主人公の昴が力に目覚める所から始まるお話である。
その主人公を演じるのは今人気急上昇中の俳優、伊藤 奏太君。身長179cm細身の体型でサラサラの黒髪。たまに掛ける黒縁のメガネが彼の甘めな顔立ちをクールな印象に変えさせる。15歳から俳優業を始め今年20歳になる彼は、2年前の恋愛ドラマでヒロインを取り合うライバル役を務めた頃から叙々に人気が出てきたのだ。例に漏れず私もそのドラマを見てファンになった1人である。
高杉君は原作となった漫画のファンらしく、お互い見たいものが同じだったためGLoRiAを見ることになった。
「楽しみだなー。奏太君演技上手なんだよね」
「芽衣ちゃんがヤバかったってずっと言ってたよ」と先週彼氏と先に見にきていた芽衣ちゃんの感想を伝えると、どこか複雑そうな顔をした高杉君の顔が見えた。
あれ、もしかして本当はこの映画見たくなかった?原作ファンの人は実写化するの嫌だって人もいるし…。映画の話になった時にGLoRiAの話を私が先にしちゃったから断りずらかったのかも…。と一気に不安になる。
急に黙った私に「どうした?」と高杉君が声をかけてくるが、「何でもないよ」と返事をしてしまった私は、「珍しく部活お休みだったんだね」と話題を変えた。
「女バレが練習試合するとかで体育館使えないから休みになった。第二は他の部活が使うんだってよ」と教えてくれる。
「ま、1日休みもなかなかないし、おかげで今日瀬名と出かけられたから俺的にはすげー嬉しいけど」
そう言って高杉君は「チケット取ってくるからこの辺で待ってて」と先に予約していたチケットを受け取りに行く。
私はその後ろ姿を、真っ赤な顔で見ていることしかできなかった。
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