38 / 53
兄妹愛について、考える。
しおりを挟む
これは、ノアとセシリアがいない、とある研究所の一室での会話である。
そこには、アリアと、同じ魔術師である2人がいた。
「ふと思ったんですけど、あの兄妹のエピソードって色々ありますけど、一番印象深い出来事ってあります?」
「そうね……本当、色々あるけど、私はやっぱりあれかしら。」
「あれですか?」
「そう。セシリアが騎士団入団試験の時の。」
「…あぁ、あれですか。第4騎士団希望者とアレクサンダー団長の一対一の戦闘試験。」
「そうそう。私あの時までは凄くノア団長のこと尊敬してたのよ。あ、もちろん今も尊敬してるわよ?」
「あれは僕もびっくりしましたよ。」
「え?そうなの?俺、その試験の日は遠征だったから見れてないんだよなー。」
「あら、そうなの。それは残念ね。」
「なんかそんな言われたらめっちゃ気になるんだけど。」
ガチャ
「邪魔するぞ。……お、休憩中だったか?すまないな。」
「アレクサンダー団長!そう言えば、アレクサンダー団長は俺達より付き合い長いですよね。」
「ん?何がだ?」
「ノア団長とセシリアですよ。」
「あぁ。あの兄妹がどうしたんだ?」
「今ちょうど、あの兄妹の一番印象に残るエピソードを語っておりまして…。」
「なるほどな。…そうだな、俺はセシリアが初めてノアと離れて遠征に行った時だな。」
「おぉ!それは聞きたい!」
「あれを思い出すのは……俺の為にもあまり話したくはないな。」
「……そんなにたいへんだったんですか?」
「あぁ、大変なんてものじゃなかった。才能の無駄遣いとはこの事だなって思ったよ。」
「それは…すごく聞きたい。」
「それよりも、シャロンの方が知っているんじゃないか?」
「あー、シャロン副団長ですか?」
「あぁ。あいつは小さい頃から知っているからな。俺よりも色々あるだろう。」
ガチャ
「アレク団長はこちらに…あ、いましたね。」
「シャロン副団長!」
「おっ、シャロン良いところに来たな。」
「…なんですか、みんなして。なんか嫌な予感するので帰っていいですか。」
「そんなこと言わずに入れよ。ほら。」
「はぁ…。あまり長居はしませんよ?で、なんですか?」
「今ね、あの兄妹の話をしていたの。」
「……あの兄妹ですか。」
「あぁ、それでな、一番印象に残っているエピソードがないかを話していてな。」
「暇なんですか?」
「まぁそう言うなよ。…で?1番あいつらのこと知ってそうなのはお前だろう?」
「ニコル王子もノア団長とは付き合い長いと思いますよ。」
ガチャ
「呼んだ?」
「え⁉︎ニコル王子⁉︎」
「なんでこんなところに⁉︎」
「ポーション作りを教えてもらおうと思って来たら、今日はノア団長もセシリアもいないんだね。」
「今日は2人とも遠征ですよ。」
「そうか、タイミングが悪かったな。…それで、何の話をしていたのかな?」
「あぁ、あの兄妹に関するエピソードを。暴露大会みたいなものですよ。」
「なにそれ。面白そうだね。」
「ニコル王子も何かありますか?」
「そうだね、俺は、ノア団長に他国の王女の護衛を任せた話かな。」
「え?ノア団長、そんなことしてたんですか?」
「そう、一度だけね。その王女がどうしてもノア団長が良いと聞かなくて。」
「それで、どうだったんですか?」
「ん?あぁ、ノア団長が珍しく怒ってね。無事にその王国とはこちらが有利になる契約を結べたよ。」
「「え、何それ怖い。」」
「なんでそうなるのよ…。」
「話したいのは山々だけど、ごめんね。時間が来てしまったよ。また。」
ガチャ
「…どう言う経緯があったんでしょうね。」
「知らないわよ。ただ、ノア団長を怒らすって相当なんじゃないかしら?」
「そうか?もしかしたら凄くしょうもない事かもしれないぞ。」
「だってどちらかと言えばいつも温和で事なかれ主義のノア団長ですよ?」
「まぁ、そうだな…。それで、シャロンは?」
「やっぱり話さなければいけないんですね。…そうですね俺は色々ありすぎて…。」
「そうだろうな。」
「きっとそうだと思ったわ。」
「セシリアの学校の状況を毎日報告したりとか、」
「え、なにそれ。」
「セシリアを泣かした同級生に、なぜか学校にいたノア団長が闇魔術発動させて学校が半壊した話とか、」
「え、あれってノア団長が原因だったの⁉︎」
「あぁ、あれもありました。」
「え、なに、まだあるの?」
「3人で街に出かけてて、ノア団長とはぐれたんですよ。そしたら俺とセシリア、誘拐されて。」
「誘拐⁉︎!だいじょうぶだったの⁉︎」
「あ、はい。ノア団長が助けにきてくれたので。」
「さすが歴代最年少でヨシュリア 騎士団に入るだけあるな。」
「えぇ。俺、あの時初めて思ったんです。この兄からセシリアを守らないとって。」
「え⁉︎誘拐犯じゃなくて⁉︎」
「当たり前でしょう。あの時のノア団長と言ったら、本当に11のガキかと疑いましたよ。」
「……なんだろう、聞きたいけど聞きたくない。けどすごく聞きたい!」
「まぁまたこの話はどこかで。ほら、もう時間です。俺は戻ります。皆さんもちゃんと仕事してくださいね。」
そこには、アリアと、同じ魔術師である2人がいた。
「ふと思ったんですけど、あの兄妹のエピソードって色々ありますけど、一番印象深い出来事ってあります?」
「そうね……本当、色々あるけど、私はやっぱりあれかしら。」
「あれですか?」
「そう。セシリアが騎士団入団試験の時の。」
「…あぁ、あれですか。第4騎士団希望者とアレクサンダー団長の一対一の戦闘試験。」
「そうそう。私あの時までは凄くノア団長のこと尊敬してたのよ。あ、もちろん今も尊敬してるわよ?」
「あれは僕もびっくりしましたよ。」
「え?そうなの?俺、その試験の日は遠征だったから見れてないんだよなー。」
「あら、そうなの。それは残念ね。」
「なんかそんな言われたらめっちゃ気になるんだけど。」
ガチャ
「邪魔するぞ。……お、休憩中だったか?すまないな。」
「アレクサンダー団長!そう言えば、アレクサンダー団長は俺達より付き合い長いですよね。」
「ん?何がだ?」
「ノア団長とセシリアですよ。」
「あぁ。あの兄妹がどうしたんだ?」
「今ちょうど、あの兄妹の一番印象に残るエピソードを語っておりまして…。」
「なるほどな。…そうだな、俺はセシリアが初めてノアと離れて遠征に行った時だな。」
「おぉ!それは聞きたい!」
「あれを思い出すのは……俺の為にもあまり話したくはないな。」
「……そんなにたいへんだったんですか?」
「あぁ、大変なんてものじゃなかった。才能の無駄遣いとはこの事だなって思ったよ。」
「それは…すごく聞きたい。」
「それよりも、シャロンの方が知っているんじゃないか?」
「あー、シャロン副団長ですか?」
「あぁ。あいつは小さい頃から知っているからな。俺よりも色々あるだろう。」
ガチャ
「アレク団長はこちらに…あ、いましたね。」
「シャロン副団長!」
「おっ、シャロン良いところに来たな。」
「…なんですか、みんなして。なんか嫌な予感するので帰っていいですか。」
「そんなこと言わずに入れよ。ほら。」
「はぁ…。あまり長居はしませんよ?で、なんですか?」
「今ね、あの兄妹の話をしていたの。」
「……あの兄妹ですか。」
「あぁ、それでな、一番印象に残っているエピソードがないかを話していてな。」
「暇なんですか?」
「まぁそう言うなよ。…で?1番あいつらのこと知ってそうなのはお前だろう?」
「ニコル王子もノア団長とは付き合い長いと思いますよ。」
ガチャ
「呼んだ?」
「え⁉︎ニコル王子⁉︎」
「なんでこんなところに⁉︎」
「ポーション作りを教えてもらおうと思って来たら、今日はノア団長もセシリアもいないんだね。」
「今日は2人とも遠征ですよ。」
「そうか、タイミングが悪かったな。…それで、何の話をしていたのかな?」
「あぁ、あの兄妹に関するエピソードを。暴露大会みたいなものですよ。」
「なにそれ。面白そうだね。」
「ニコル王子も何かありますか?」
「そうだね、俺は、ノア団長に他国の王女の護衛を任せた話かな。」
「え?ノア団長、そんなことしてたんですか?」
「そう、一度だけね。その王女がどうしてもノア団長が良いと聞かなくて。」
「それで、どうだったんですか?」
「ん?あぁ、ノア団長が珍しく怒ってね。無事にその王国とはこちらが有利になる契約を結べたよ。」
「「え、何それ怖い。」」
「なんでそうなるのよ…。」
「話したいのは山々だけど、ごめんね。時間が来てしまったよ。また。」
ガチャ
「…どう言う経緯があったんでしょうね。」
「知らないわよ。ただ、ノア団長を怒らすって相当なんじゃないかしら?」
「そうか?もしかしたら凄くしょうもない事かもしれないぞ。」
「だってどちらかと言えばいつも温和で事なかれ主義のノア団長ですよ?」
「まぁ、そうだな…。それで、シャロンは?」
「やっぱり話さなければいけないんですね。…そうですね俺は色々ありすぎて…。」
「そうだろうな。」
「きっとそうだと思ったわ。」
「セシリアの学校の状況を毎日報告したりとか、」
「え、なにそれ。」
「セシリアを泣かした同級生に、なぜか学校にいたノア団長が闇魔術発動させて学校が半壊した話とか、」
「え、あれってノア団長が原因だったの⁉︎」
「あぁ、あれもありました。」
「え、なに、まだあるの?」
「3人で街に出かけてて、ノア団長とはぐれたんですよ。そしたら俺とセシリア、誘拐されて。」
「誘拐⁉︎!だいじょうぶだったの⁉︎」
「あ、はい。ノア団長が助けにきてくれたので。」
「さすが歴代最年少でヨシュリア 騎士団に入るだけあるな。」
「えぇ。俺、あの時初めて思ったんです。この兄からセシリアを守らないとって。」
「え⁉︎誘拐犯じゃなくて⁉︎」
「当たり前でしょう。あの時のノア団長と言ったら、本当に11のガキかと疑いましたよ。」
「……なんだろう、聞きたいけど聞きたくない。けどすごく聞きたい!」
「まぁまたこの話はどこかで。ほら、もう時間です。俺は戻ります。皆さんもちゃんと仕事してくださいね。」
0
お気に入りに追加
252
あなたにおすすめの小説
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
ボロ雑巾な伯爵夫人、やっと『家族』を手に入れました。~旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます2~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
第二夫人に最愛の旦那様も息子も奪われ、挙句の果てに家から追い出された伯爵夫人・フィーリアは、なけなしの餞別だけを持って大雨の中を歩き続けていたところ、とある男の子たちに出会う。
言葉汚く直情的で、だけど決してフィーリアを無視したりはしない、ディーダ。
喋り方こそ柔らかいが、その実どこか冷めた毒舌家である、ノイン。
12、3歳ほどに見える彼らとひょんな事から共同生活を始めた彼女は、人々の優しさに触れて少しずつ自身の居場所を確立していく。
====
●本作は「ボロ雑巾な伯爵夫人、旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます。」からの続き作品です。
前作では、二人との出会い~同居を描いています。
順番に読んでくださる方は、目次下にリンクを張っておりますので、そちらからお入りください。
※アプリで閲覧くださっている方は、タイトルで検索いただけますと表示されます。
【完結】身を引いたつもりが逆効果でした
風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。
一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。
平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません!
というか、婚約者にされそうです!
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。
王太子妃は離婚したい
凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。
だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。
※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。
綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。
これまで応援いただき、本当にありがとうございました。
レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。
https://www.regina-books.com/extra/login
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
辺境伯へ嫁ぎます。
アズやっこ
恋愛
私の父、国王陛下から、辺境伯へ嫁げと言われました。
隣国の王子の次は辺境伯ですか… 分かりました。
私は第二王女。所詮国の為の駒でしかないのです。 例え父であっても国王陛下には逆らえません。
辺境伯様… 若くして家督を継がれ、辺境の地を護っています。
本来ならば第一王女のお姉様が嫁ぐはずでした。
辺境伯様も10歳も年下の私を妻として娶らなければいけないなんて可哀想です。
辺境伯様、大丈夫です。私はご迷惑はおかけしません。
それでも、もし、私でも良いのなら…こんな小娘でも良いのなら…貴方を愛しても良いですか?貴方も私を愛してくれますか?
そんな望みを抱いてしまいます。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 設定はゆるいです。
(言葉使いなど、優しい目で読んで頂けると幸いです)
❈ 誤字脱字等教えて頂けると幸いです。
(出来れば望ましいと思う字、文章を教えて頂けると嬉しいです)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる