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たまには休息も必要です。

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遠征が終わった後の休日。

アリア副団長と休みが被り、一緒に街に行くことになった。


朝起きて、淡い黄色のワンピースにベージュの靴を履き、髪は、今日はノア団長が朝からいないため、自分で結ぶ。ポニーテールにした。

軽めに化粧を施し、アクセサリーをつける。

ネックレスをどうしようかと悩んだが、これに罪はないと思い、つけていくことにした。

私は自分で思っているより、このネックレスを気に入っているようだ。


コンコン、と扉を叩く音が聞こえる、

「はーい、今行きまーす!」

カバンを持った私は、急いで扉を開けるのだった。








淡い緑のドレスに身を包んだアリア副団長は、いつもより気合の入ったメイクをしており、美人顔が強調されている。

そんなアリア副団長は、今日は勝負の日よ!、と緑色の瞳を爛々と光らせていた。

そう、今日は、アリア副団長にとって、勝負の日なのである。




一軒目。

「いちごのショートケーキと、ブラウニー、それと、このシフォンケーキとベリーのタルトをお願い。」

「あ、私はシフォンケーキと桃のタルトで。」

「もっと食べなさいよ、セシリア。…あ、抹茶のシフォンケーキも追加で。」



二軒目。

「レアチーズケーキと、スフレチーズケーキと、ベイクドチーズケーキを一つずつ。」

「そんなに食べるんですか?」

「何言ってるのよ、ここはチーズのお菓子が有名なのよ。」

「へぇ。じゃあ私も同じのお願いします。」



三軒目。

「ここは、パイが有名よ。」

「パイですかー。」

「私は、ミルフィーユと、りんごのパイと、ブルーベリーのパイで。」

「えと、私は…ミルフィーユと、洋梨のパイをお願いします。」

「あら、それも美味しそうね。私にもくださる?」

「かしこまりました。」



四軒目。

「あぁ!迷うわね!どれにしましょう!」

「このチョコバナナのパンケーキ美味しそうですよ?」

「そうね…。あ、でもこのベリーのも美味しそう…。」

「半分ずつにします?」

「えぇ、そうしましょう!」

「チョコバナナのパンケーキと、ベリーのパンケーキを一つずつお願いします。」



五軒目。

「アリア副団長、私そろそろ甘いものは…。」

「何言ってるの?まだまだ行くわよ。」

「すごい…。」

「何?褒めてもケーキしか出ないわよ?……あ、すみませーん、このマフィンと、ガトーショコラをお願いしまーす。」



六軒目。

「シュトーレンと、マカロンと、スコーンを。」

「あ、マカロン食べたいです!」

「シュトーレンお一つと、スコーンおひとつ、マカロンお二つですね。」

「はい。」

「かしこまりました。少々お待ちください。」




七軒目。

「……。」

「クレーム・ブリュレと、ババロアをお願い。」



八軒目。

「ティラミスと、ショートケーキを一つずつ。」

「あれ、ショートケーキ食べてませんでした?」

「何言ってるの?お店が違うんだから、別よ、別。」

「……そうですか。」



九軒目。

「この、果物たっぷり・ケーキもたっぷりチョコフォンデュください。」

「……なんかもう、見ているのも辛い……。」

「うーん!美味しい!」

「………。」



十軒目。

「やっぱり最後はさっぱり行きたいわよねー。」

「やっと…最後…。」

「あ、店員さん、この、桃のコンポートと、バニラアイスに、ぶどうのシャーベット、あ、ワッフルもある!このチョコワッフルもお願いします!」

「…全然さっぱりじゃない。」





「ふぅ。食べた食べた!」

「その体のどこに入っているのか…。」

「あっ!あそこのマドレーヌも美味しいのよ!行きましょう!」

「あっ、ちょっと!アリア副団長!待ってください!置いていかないで!」





_____________________

「や、やっと帰りついた…。」

「セシリー、どうしたのぉ?」

「甘い物食べすぎて口から出そう…。」

「えぇ!ちょっとぉ、ここで吐かないでねぇ。汚いからぁ。」

「…今、いつもの優しさが欲しいです。お兄様…。」
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