私、セクシー女優になりたいんです！

本物の気持ち

１

うー、痛い・・・
目が醒めると、今度は誰もいない。腰も、アソコも、お尻もジンジンと鈍い痛みが走る。
徹さんに、悠斗に、翔。あんなに激しくされたのは初めてで、どれが夢かわからない。
それでも目に入るのは、赤ワインのボトルに、濡れてぐちゃぐちゃになったシーツを目の当たりにして、
大方夢じゃなかったんだと思う。

今日が休みだからといって、こんなにお酒を飲んだことはない。
それなのに徹さんが「大体お前の考え方はなぁ！」なんてオヤジみたいな説教をしながら「俺の酒が飲めないのか！」なんて言うもんだから、売り言葉に買い言葉。
どんどん思い出してくるセックスシーンに、顔が熱くなる。

冷蔵庫まで歩いて、口に水を含みながら窓際へ歩く。外がざわついている気がする。
カーテンをちらりと開けると、事務所の入り口へ取材が殺到していた。

「何が起こってるの・・？！」


慌ててテレビをつけた。


『衝撃の事実が判明しました！あのスーパーアイドル悠斗さん、以前別れたとされていた女優ということですが・・』
『そうですね、あの報道の後、全く一緒にいる姿を見せなかったのですが』
『これはお相手の女優さんも40代、まだ独身ですからね、これは結婚まで秒読み確定ということでしょうか』



「おい、そんなもん見んな！」
「・・徹さん・・・また勝手にはいってきて・・・・」


私のプライバシーはどうなってるの管理人さん・・・でも心配してきてくれたのだけはわかる。
私から乱暴にリモコンを取り上げると、テレビの電源を落とした。


「悠斗から・・伝言。お前、俺のマネージャーになれって。」
「・・え・・・・・・」
「これからしばらくマスコミ対策でホテル暮らしになるし。あのババアともいろいろあるんだろ」
「・・・・そっか・・・」


面接のときからの悠斗とのやりとりが蘇る。セックスしている最中に好きだと言ってくれたこともあった。
相手は芸能人だから、本気にしないようにしてきたけど、もしかしなくても演技だったのかもしれない。


「っ・・・・・・」


女優目指して誰かひとりと決めずにセックスしてきたのは私。どうこういう資格はない。
それなのに、胸がきゅぅっと締め付けられるように、涙が頬を伝った。
ソファーに座る私の横に、徹さんがドサッと座る。



「泣くなよ。俺はお前にそんな顔させない。」


大粒の涙がつたった瞬間、徹さんに唇を奪われた。