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パレイドリア現象
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「ところであの心霊写真どうしたの?」
テーブルに着き、買うものリストをスマホで整理しながら唯希が興味深そうに聞いてきた。
「あ、そうそうあれね、学校で『視える』奴がいるって言うんで見せに行ったんだよ。メロンパンあげてさ」
「メロンパンってところが可愛いわね。うんそれで?」
「あれね、本物だって言われたんだよ!」
「え?あの手が?まさかあ~」
驚いて手を止めた唯希はもう一回見せてと言うが
「あれ消しちゃったよ。怖いから。とか言ってもパソコンにはあるんだけどね。おじさんには送っておいたからおじさんも持ってると思うよ。って言うか、あの手じゃなかったんだよ、幽霊って」
「え…本当に写ってたってこと?」
意外な言葉に、唯希は本格的に身を乗り出してきた。
「うん。手が持ってたのってドアだったじゃん?あのドアの脇にね、女の人がいるんだ、ってそいつは言っててさ。俺もう怖くなっちゃって。貴一も夏も一緒にいたんだけど、みんなで一斉に消しちゃったんだよ。でも、呪われたりしないって言ってた。なんかね、意思表示?みたいな感じでいるんだってその人」
ん~~?⤴︎ん~~…⤵︎わかるようなわかんないような声をあげて、唯希は首を傾げた。
女の霊ねえ…影山に女の影があったことは聞いている…いやいや、まさかねえ…それじゃ影山に関係するその女性が亡くなってるみたいじゃないねえ~まさかあ~~
などと言う思考が顔に現れていたのか、プリンを食べる手を止めた悠馬の顔が不審ったらなかった。
「あ、あはは。いまちょっと仕事のこと考えちゃった」
慌てて唯希はスマホに目を戻し、
「じゃあ買い物行ってくるけど、悠馬も気をつけてね。帰りは?」
「3限だけだから午後には帰れるけど、どうなるかわからないから、また連絡するよ」
「ん、わかった。じゃあいってらっしゃい。私も行ってきます」
「はあい、唯希さんもいってらっしゃい~」
そんな会話を少し前に目を覚ましていた時臣は、黙って聞いていた。
女がキーワードすぎるな…幽霊までかよ…そう心で毒付いてから、のっそりと起き上がり、
「悠馬、水くれ」
「あ、おじさんおはよう。水?はあい」
サーバーからからグラスに水を入れてソファに運ぶ。
「あんまり無理しないでね。休める時は休んで欲しいよ」
「ん、サンキューな。もう少しなんだと思って頑張ってるわ。踏ん張りどきな」
グラスを空けて、それを持って立ち上がる
「今からか?」
「うん3限」
「気をつけて行けよ」
「はあい。おじさんもね。もういい歳なんだからさ、深酒だめだよー」
自分の鼻をつまんでそう言って、いってきます~と悠馬は出て行った。
「歳とかいうなよ…って、俺そんな酒臭いか?酒じゃない匂いじゃないよな…」
シャツの胸あたりをクンッと嗅いで、とりあえず熱いシャワー浴びようと、浴室へ向かう。
シャワーを浴びて出てくると、唯希がキッチンで味噌汁を作っていた。
「おはようございます。いましじみのお味噌汁できますから飲んでくださいね」
「おう、おはよう。助かるわ。昨夜は飲んだな~」
髪を拭いながら水を汲んで、テーブルについて昨日の情報の収穫を唯希と共有するために話しを切り出した。
昨日、近藤の恋人と会って話したこと、近藤の支払いが滞っていること、260万円のしおつかファイナンスへの近藤からの支払い、そしてそのしおつかファイナンスの影山を担当した奴と会って、その入金が影山の借金であることが確定した事を唯希へと伝える。
唯希は味噌汁を提供した後、パソコンを持ち出してそれを全てデータとして打ち込んでいった。
「支払いの滞りって聞くと…なんかもう、近藤さんって…」
時臣も言わないではいたがずっとそう言う気持ちで動いていたことは事実である。芹奈の手前、昨日はあんなことを言ったが芹奈自身ももうそれは思っているようだったし、ここまでくると近藤が生きていると思っているものはいなそうだ。
「そう言うところはきっちりしてた人だったらしいからな。そこから考えてもなあ…」
おかわり、とお椀を唯希に出してよそってもらう。
「美味いなぁ味噌汁。唯希のは慣れちまったからか、美味く感じるよ」
「嬉しいこと言ってくれる~いつだって作りますよ~。昨日は少し発散できました?」
「ああ、『しおつか』から来た2人は結構面白い奴らで、話も面白かったな。飛田もとっておきの話とか持ち出して、いやあ笑ったわ」
昨日よりは確かに少しスッキリした顔をしている時臣に、唯希もほっとして
「よかったですね。ここのところスッキリしないことばっかりでしたから」
言いながら鍋の蓋を閉めた。
「まあな。そこでだ、やっぱこれは初心に帰ろうと思ってだな、近々近藤の勤め先の『IKENO』に行ってこようと思ってる。依頼は近藤の家族だけど、会社に進捗状況と、変わったことがなかったかくらいは聞いてもいいだろ」
音を立てて啜らない時臣の食べ方は唯希は好きだった。そんなふうにお味噌汁を2杯飲んで、時臣は元気そうだ。まあ元々泥酔しても次ぐ日には響かない体質ではあったけれど。
「わたしもお供しますね。じゃあ今からアポとってきます」
事務所の電話でかければ、先の担当者にここの名前が出るだろうと唯希は事務所へ向かった。
時臣は飲み終わったお椀と箸をシンクへ持ってゆき、水を入れているとすぐに唯希が戻ってきて
「担当の清水さんは明日から名古屋の方に出張へ行ってしまうそうなので、もし急ぎであれば今日の午後一なら時間があるとおっしゃってました。そこに入れましたけど大丈夫ですか?」
とアポが取れた知らせを教えてくれた。
「ああ、大丈夫だ。予定はないだろ?」
「はい予定はないんですけど、体調は?」
時々こうして唯希は体調面を心配してくる。
「大丈夫二日酔いもないし、万全だよ」
その心配に応えるように親指を立てて、時計を見ると11時になろうとしていた。
「じゃあそれまでに資料を揃えて整備しておくか。昼飯がてら11時半には出られるか」
「はい、ではそういうことで」
唯希は再びダイニングテーブルに開いたパソコンの前に座り、時臣もさっき話した事の唯希が入力したものを転送してもらい、自分なりの場所に収めた。
共有書類はドライブにいつでもまとまっていて助かっている。
その際に、悠馬が言っていた霊が写っているという画像を時臣に転送してもらい、唯希は眺めていた。
「ん~~…わかんないなあ…」
「明度を変えると視えるとか聞いたぞ」
唯希に画像が欲しいと言われた時に、本当にいるのかねえと言っては見たが、時臣も興味がないわけではない。
「明度?へえ…」
唯希は画像を弄って、とりあえず色々とやってみた。
「えっと…これを…こう…?あら真っ黒。じゃあこれを…こう…え…?」
画像を暗くしたり明るくしたり、コントラストを変えたり色々している中で、悠馬が言っていたであろうドアの脇に、うっすらだが人型のものが見えるような…
目を凝らしてもう少し明度を…あげてみたら…
「ボ…ボス…?これって…あ…女の子…ですかね…」
悠馬が視える人に見てもらった時も女性だと言っていたのを思い出す。
唯希の少し怖がっているような声に、時臣は近づいてパソコンを覗き込む。
そこには、最初霊だと思った手の脇に、うっすら白い顔のようなものが浮かびそれは髪を前に下げて俯いているようだった。よく見ると肩も体も見えるようで
「おー…これは…」
時臣も少々驚いた声を出した。
しかし
「ま、これは壁かドアの染みだろう。シミュラクラ現象っていうんだっけか」
「それ言うならパレイドリア現象ですね。シミュラクラ現象は逆三角形の3点が顔に見立てられてしまう奴ですから」
「俺そのパレイドリアって知らねえ」
「木とか、こう言う染みっぽいものに意味を持たせてしまう現象のこと言うんですけどね…でもこれって見事に女性に見えますよね…パレイドリアなんだとしても」
「確かになぁ。でもそれ持ってこの人知りませんか?なんてできねえしな」
時臣は笑って席へ戻り、唯希もそれはそうですけどね、と苦笑して、とりあえずデータの整理を終わらせることに専念した。
13時10分前に株式会社IKENOに着いた2人は、受付で手続きをして、昼だと言うことで車で待機した。
テーブルに着き、買うものリストをスマホで整理しながら唯希が興味深そうに聞いてきた。
「あ、そうそうあれね、学校で『視える』奴がいるって言うんで見せに行ったんだよ。メロンパンあげてさ」
「メロンパンってところが可愛いわね。うんそれで?」
「あれね、本物だって言われたんだよ!」
「え?あの手が?まさかあ~」
驚いて手を止めた唯希はもう一回見せてと言うが
「あれ消しちゃったよ。怖いから。とか言ってもパソコンにはあるんだけどね。おじさんには送っておいたからおじさんも持ってると思うよ。って言うか、あの手じゃなかったんだよ、幽霊って」
「え…本当に写ってたってこと?」
意外な言葉に、唯希は本格的に身を乗り出してきた。
「うん。手が持ってたのってドアだったじゃん?あのドアの脇にね、女の人がいるんだ、ってそいつは言っててさ。俺もう怖くなっちゃって。貴一も夏も一緒にいたんだけど、みんなで一斉に消しちゃったんだよ。でも、呪われたりしないって言ってた。なんかね、意思表示?みたいな感じでいるんだってその人」
ん~~?⤴︎ん~~…⤵︎わかるようなわかんないような声をあげて、唯希は首を傾げた。
女の霊ねえ…影山に女の影があったことは聞いている…いやいや、まさかねえ…それじゃ影山に関係するその女性が亡くなってるみたいじゃないねえ~まさかあ~~
などと言う思考が顔に現れていたのか、プリンを食べる手を止めた悠馬の顔が不審ったらなかった。
「あ、あはは。いまちょっと仕事のこと考えちゃった」
慌てて唯希はスマホに目を戻し、
「じゃあ買い物行ってくるけど、悠馬も気をつけてね。帰りは?」
「3限だけだから午後には帰れるけど、どうなるかわからないから、また連絡するよ」
「ん、わかった。じゃあいってらっしゃい。私も行ってきます」
「はあい、唯希さんもいってらっしゃい~」
そんな会話を少し前に目を覚ましていた時臣は、黙って聞いていた。
女がキーワードすぎるな…幽霊までかよ…そう心で毒付いてから、のっそりと起き上がり、
「悠馬、水くれ」
「あ、おじさんおはよう。水?はあい」
サーバーからからグラスに水を入れてソファに運ぶ。
「あんまり無理しないでね。休める時は休んで欲しいよ」
「ん、サンキューな。もう少しなんだと思って頑張ってるわ。踏ん張りどきな」
グラスを空けて、それを持って立ち上がる
「今からか?」
「うん3限」
「気をつけて行けよ」
「はあい。おじさんもね。もういい歳なんだからさ、深酒だめだよー」
自分の鼻をつまんでそう言って、いってきます~と悠馬は出て行った。
「歳とかいうなよ…って、俺そんな酒臭いか?酒じゃない匂いじゃないよな…」
シャツの胸あたりをクンッと嗅いで、とりあえず熱いシャワー浴びようと、浴室へ向かう。
シャワーを浴びて出てくると、唯希がキッチンで味噌汁を作っていた。
「おはようございます。いましじみのお味噌汁できますから飲んでくださいね」
「おう、おはよう。助かるわ。昨夜は飲んだな~」
髪を拭いながら水を汲んで、テーブルについて昨日の情報の収穫を唯希と共有するために話しを切り出した。
昨日、近藤の恋人と会って話したこと、近藤の支払いが滞っていること、260万円のしおつかファイナンスへの近藤からの支払い、そしてそのしおつかファイナンスの影山を担当した奴と会って、その入金が影山の借金であることが確定した事を唯希へと伝える。
唯希は味噌汁を提供した後、パソコンを持ち出してそれを全てデータとして打ち込んでいった。
「支払いの滞りって聞くと…なんかもう、近藤さんって…」
時臣も言わないではいたがずっとそう言う気持ちで動いていたことは事実である。芹奈の手前、昨日はあんなことを言ったが芹奈自身ももうそれは思っているようだったし、ここまでくると近藤が生きていると思っているものはいなそうだ。
「そう言うところはきっちりしてた人だったらしいからな。そこから考えてもなあ…」
おかわり、とお椀を唯希に出してよそってもらう。
「美味いなぁ味噌汁。唯希のは慣れちまったからか、美味く感じるよ」
「嬉しいこと言ってくれる~いつだって作りますよ~。昨日は少し発散できました?」
「ああ、『しおつか』から来た2人は結構面白い奴らで、話も面白かったな。飛田もとっておきの話とか持ち出して、いやあ笑ったわ」
昨日よりは確かに少しスッキリした顔をしている時臣に、唯希もほっとして
「よかったですね。ここのところスッキリしないことばっかりでしたから」
言いながら鍋の蓋を閉めた。
「まあな。そこでだ、やっぱこれは初心に帰ろうと思ってだな、近々近藤の勤め先の『IKENO』に行ってこようと思ってる。依頼は近藤の家族だけど、会社に進捗状況と、変わったことがなかったかくらいは聞いてもいいだろ」
音を立てて啜らない時臣の食べ方は唯希は好きだった。そんなふうにお味噌汁を2杯飲んで、時臣は元気そうだ。まあ元々泥酔しても次ぐ日には響かない体質ではあったけれど。
「わたしもお供しますね。じゃあ今からアポとってきます」
事務所の電話でかければ、先の担当者にここの名前が出るだろうと唯希は事務所へ向かった。
時臣は飲み終わったお椀と箸をシンクへ持ってゆき、水を入れているとすぐに唯希が戻ってきて
「担当の清水さんは明日から名古屋の方に出張へ行ってしまうそうなので、もし急ぎであれば今日の午後一なら時間があるとおっしゃってました。そこに入れましたけど大丈夫ですか?」
とアポが取れた知らせを教えてくれた。
「ああ、大丈夫だ。予定はないだろ?」
「はい予定はないんですけど、体調は?」
時々こうして唯希は体調面を心配してくる。
「大丈夫二日酔いもないし、万全だよ」
その心配に応えるように親指を立てて、時計を見ると11時になろうとしていた。
「じゃあそれまでに資料を揃えて整備しておくか。昼飯がてら11時半には出られるか」
「はい、ではそういうことで」
唯希は再びダイニングテーブルに開いたパソコンの前に座り、時臣もさっき話した事の唯希が入力したものを転送してもらい、自分なりの場所に収めた。
共有書類はドライブにいつでもまとまっていて助かっている。
その際に、悠馬が言っていた霊が写っているという画像を時臣に転送してもらい、唯希は眺めていた。
「ん~~…わかんないなあ…」
「明度を変えると視えるとか聞いたぞ」
唯希に画像が欲しいと言われた時に、本当にいるのかねえと言っては見たが、時臣も興味がないわけではない。
「明度?へえ…」
唯希は画像を弄って、とりあえず色々とやってみた。
「えっと…これを…こう…?あら真っ黒。じゃあこれを…こう…え…?」
画像を暗くしたり明るくしたり、コントラストを変えたり色々している中で、悠馬が言っていたであろうドアの脇に、うっすらだが人型のものが見えるような…
目を凝らしてもう少し明度を…あげてみたら…
「ボ…ボス…?これって…あ…女の子…ですかね…」
悠馬が視える人に見てもらった時も女性だと言っていたのを思い出す。
唯希の少し怖がっているような声に、時臣は近づいてパソコンを覗き込む。
そこには、最初霊だと思った手の脇に、うっすら白い顔のようなものが浮かびそれは髪を前に下げて俯いているようだった。よく見ると肩も体も見えるようで
「おー…これは…」
時臣も少々驚いた声を出した。
しかし
「ま、これは壁かドアの染みだろう。シミュラクラ現象っていうんだっけか」
「それ言うならパレイドリア現象ですね。シミュラクラ現象は逆三角形の3点が顔に見立てられてしまう奴ですから」
「俺そのパレイドリアって知らねえ」
「木とか、こう言う染みっぽいものに意味を持たせてしまう現象のこと言うんですけどね…でもこれって見事に女性に見えますよね…パレイドリアなんだとしても」
「確かになぁ。でもそれ持ってこの人知りませんか?なんてできねえしな」
時臣は笑って席へ戻り、唯希もそれはそうですけどね、と苦笑して、とりあえずデータの整理を終わらせることに専念した。
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