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7章

幕間Ⅲ ドワーフの饗応(後編)

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 ◆◇◆◇◆


 その夜……。
 俺は宛がわれた部屋のベッドで寝ていた。
 思ったよりも疲れていたらしい。
 ベッドに寝っ転がるなり、すぐに睡魔が襲いかかってきた。

 ハッと気付いた時には、部屋は真っ暗だ。
 地下なのだから当たり前なのだが、俺は一瞬パニックになる。
 部屋の中にある壁時計を見ると、丑三つ時を指していた。

 弱ったな……。
 早く寝てしまったからか。
 変な時間に目が覚めてしまった。

「目が覚めたアルか?」
「メーリンか? ああ。地下だからかな。なんか時間の感覚が――――って!!」

 なんでメーリンが俺の部屋にいるんだよ。

「むふふふ……」

 次第に目が慣れてくる。

 現れたのは、不敵な笑みを浮かべて、メーリンだ。
 まず出現した場所がおかしい。
 部屋の扉の前でもなければ、ベッドの側でもない。
 何故かベッドの上で、馬乗りになっていた。

 しかも、半裸の姿で。

「ギャ――――」
「静かにするネ。大丈夫ヨ。痛いことはしないネ。むしろ気持ちの良いことヨ」

 俺の口を塞ぎ、メーリンは蠱惑的に微笑む。

 気持ちのよいこと?
 ま、まさか――――。

「むふふふ……。いい感じに硬くなってるアルね」

 メーリンは頬を上気させながら、俺の下腹部をさする。
 ああ! 逃れられない男のリビドー。
 そりゃあ、ベッドの上に下着姿の女の子が馬乗りになってたら、その…………男の子として反応しちゃうのは必然でしょ!

 そりゃあメーリンの身体は小さくて、小学生高学年という感じではあるのだけど、きちんと胸もあって、太股――――ダメだ、こりゃ。
 喋れば喋るほど、ボロが出るヤツだ。

「メーリン、やめろ」
「何をやめるネ? よくわからないアルね」
「とりあえずベッドから降りてくれ」
「駄目アル。今から大魔王様と既成事実を作って、正室にしてもらえばドワーフ族は安泰アル」

 この展開、すっごいデジャブ感がある。

「ダメダメ。そういうのはなしなし」
「何? わたしの身体に興味ないアルか? そりゃ人族の女と比べたら背丈は低いけど、これでも出るところ出てるアルよ」
「そ、それはわかったから」
「むふふふ……。大魔王様も男ネ。すけべヨ」
「ち、ちが――――」

 そういうことじゃなくて!!

「それに人族の男の中には、小さい方がいいと――」
「断じて、俺にそっちの趣味はない!」
「でも、ルナもミャアもステノも、どっちかというと幼いアルよ」

 あれは偶然なの!

「まあ、どうでもいいアル。さあ、大魔王様、観念するヨロシ……」

 メーリンは身体を俺に預ける。
 下着越しだから、ダイレクトに感触が伝わってきた。
 やばい! 頭がぽぅっと……。


「「「そこまでですみゃ。メーリン!!」」」


 突如、声が聞こえた。
 バッとシーツが飛ぶ。
 俺のシーツの中から現れたのは、ルナ、ミャア、ステノだった。

「それ以上は許しません」
「獣に代わってお仕置きみゃ!」
「殺す……」

 いきなり3人の娘たちは殺気立っていた。
 その気に当てられて、メーリンは怯む。

「さ、3人とは卑怯アル!」

 一触即発の状態になる。
 女性陣の間に大きく火花が散った。

 その横で俺は固まり、戦況を見つめている。

 ちょ! どういうこと!?

「なんで、3人が俺のシーツの中から出てくるんだよ!!」

 俺のもの悲しい絶叫は、丑三つ時のドワーフ城に響く。

 そのキャットファイトは出立する直前まで続いたという。


~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~

べ、別に羨ましいとか、思ってないんだからね。
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