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3章
第19話 ゆうべはおたのしみでしたね
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俺は頭を抱えた。
痛い。お腹もぐるぐると唸っている。
どうやら2日酔いらしい。
サラリーマンだった頃は、あれぐらいじゃビクともしなかったんだけどな。
酒豪っていうほどではないけど、久しぶりに酒を飲んで身体がビックリしたのだろう。
ちょっと羽目を外しすぎたかな。
でも、昨日の酒は別格だった。
何せ勝利の美酒だからな。
「それにしても……」
正直に言うと、宴会の途中から記憶が曖昧だ。
思い出そうにも思い出せない。
ただ楽しかったという気持ちは残っているので、楽しかったのだろう。
それにしても村の人たちはなかなかたくましい。
お酒を飲んだのは、昨日は初めてだという人もいるのだけど、すでに畑に出て仕事をしている人もいる。
まあ、半数は俺のように2日酔いになっているみたいだけど。
「おはようございます、ダイチ様」
声をかけてきたのは、ミセスだった。
ミセスも昨日麦酒を飲んでいたはずだ。
だが、顔はケロッとしている。
穏やかな笑みを湛えて、俺に水を差しだした。
「どうぞ」
「ありがとう、ミセス。助かるよ」
沢で組んできたばかりという水は、酒で焼けた喉や胃に染み渡る。
俺は一気に飲んでしまった。
「うめぇぇぇぇええ!」
「ご満足いただけてなによりです。ところでダイチ様」
「ん?」
「昨晩のことですが…………」
唐突にミセスの顔が赤くなる。
火照った頬を手で隠し、いやいやと子どものように首を振った。
えっと……。
何、その反応……。
俺一体、何をした!
「ご、ごめん、ミセス。俺、お酒で記憶が吹っ飛んでいて……。その君に迷惑をかけるようなことをしていたなら謝るよ」
「記憶が…………? そ、そんな………………」
ミセスのこの反応……。
まずいな。もしかして、俺取り返しの付かないことをしたのかも。
いや、まずいとかいっちゃダメだ。
もしもの時は、きっちりと責任を。
「あ……じゃあ、いいです」
軽っ!
反応、軽すぎるよ。
「別に気にしなくていいですよ。むしろ記憶が飛んでいる方が僥倖」
「僥倖??」
「では、わたくしはこれで――――」
「ちょ――――。待――――――」
ミセスはピューと風のように俺の側から離れていった。
お、おい。俺――一体何をしたの?
気にするなっていわれても気になるぞ、むしろ!
「ダイチ様……」
「うぉ!!」
振り返ると、ステノが立っていた。
ミセスと違って、こっちはすでに何か思い詰めた表情だ。
その顔を見るだけで、胸が締め付けられそうになる。
「お、おはよう、ステノ」
「ダイチ様、おはようございます」
「どど、どうしたの? 元気がなさそうだけど」
俺が恐る恐る尋ねると、ステノの目に突然涙が浮かんだ。
え? ええええええ?
何! 何何何???
この重たい反応は何なの?
ホント俺、何をやったんだよ!!
すると、ステノは涙を払いながら、譫言のように同じ言葉を繰り返した。
「良かった。良かった」
「な、何が『良かった』の?」
「私の大好きなダイチ様が戻ってきて良かった」
「え?」
一瞬、固まる。
同じくステノのも固まった。
みるみる体温が熱くなっていくのが、顔の火照り具合からわかった。
「ちちちちちちちちち違うんです、ダイチ様。い、いいいいい今のはその……。そ、そう――――尊敬しているダイチ様が元に戻ってよかった、と」
「そそそそそ、そうか。そうだよなあ」
あ~~。びっくりした。
いきなり告白されたのかと思ったよ。
でも、元に戻って良かったって?
尋ねようとした瞬間、ステノの気配は消えていた。
『気配遮断』と使ったらしい。
ミセスにしても、ステノにしても、どうしてこう俺の前から消えるのが早いんだろうか。
「ダイチ様、おはようございます!」
翻ると、ルナが立っていた。
昨日初めてお酒を口にした少女は、割としっかりとした足取りで俺の方に近づいてくる。
顔もにこやかで、血色がいい。
機嫌も良さそうだ。
「おはよう、ルナ。チッタも……」
『キィ!』
ルナの肩に乗ったチッタの頭を撫でる。
俺はチラリとルナを見た。
どうやら特に変化はない。
これなら、俺のことを落ち着いて尋ねられるかもしれない。
「ルナ、昨日のことだけど……」
「キノウ? ナンノコトデショウカ?」
表情はめっちゃ笑顔。
なのに、言葉の端々が無数のナイフのように尖っていた。
「え、えっと~~~~~~~~~~。そ、そう。何もなかったなら、それでいいや」
「はい。今日もダイチ様のために頑張りますね!」
おー、と拳を掲げる。
村の外れにできた修練場に、チッタとともに歩き出した。
「ホント? 俺、何をしたんだろうか?」
首を傾げる。
トントン……。
俺は肩を叩かれる。
まだ誰か俺に用があるのか。
ちょっと辟易しながら振り返る。
立っていたのは、ソンチョーだ。
ニヤニヤといらしい笑みを浮かべて、こういった。
「昨日はお楽しみでしたな」
一言いって、ソンチョーは立っていった。
いや……、ソンチョー。
その言葉、一体どこで知ったんだよ。
◆◇◆◇◆
寒風が村を吹き抜ける。
まだ初夏だというのに、暗黒大陸の気候は晩秋を思わせる。
夏場でも20度をいくかいかないかといったところらしい。
冬になれば、極寒となる。
村人の健康も心配だけど、これから実ってくる作物も心配だ。
まだ種を植えた段階だから心配ないけど、芽が出て、葉が伸びていけば、太陽の光が重要になっていく。
日陰でも育ち、寒さにも強いものを選んでいるけど、さすがにこの気候は作物に悪影響を及ぼしそうだ。
「せめて、雲が晴れてくれればな」
俺は天を仰ぐ。
『雲だけならば、風の精霊ジンが見つかればあるいは……』
俺に話しかけてきたのは、木の精霊ドリアードだった。
「うん。でも、どこにいるかわからないんだよね。せめてヒントぐらいあれば」
『すみません、ダイチ様』
「ドリアードが悪いんじゃないよ」
『…………』
暗黒大陸をこれまで見守っていた精霊だからだろう。
ドリアードは責任感が強い。
今、人族や他の獣族が苦しんでいるのも自分の責任だと思ってそうだな。
「なあ、ドリアード。ちょっと出てきてくれないか」
『え? は、はい』
俺は【言霊】でドリアードを呼び出す。
一瞬にして、樹木の枝を纏った半裸の女性が現れる。
いつもながらも、目に毒な姿だな。
「前から気になっていたんだけど、君に名前を付けることができるのかな?」
『私にはドリアードという名前が……』
「それって精霊の総体としての名前だろ? 俺たちが勝手にそう呼んでいるだけっていうか。信仰する対象のアイコンと言えばいいのかな? つまり、何が言いたいかというと、俺に付けてもらった名前じゃないってことだ」
『ダイチ様、私に名前を付けたいのですか?』
「うん。あわよくば、君のステータスを見てみたい」
『まさか精霊のポテンシャルを測ると?』
精霊が生きているかという議論は差し置いて、やってみる価値はある。
【言霊】は生きているものすべてに名前とステータスを与えるスキルだ。
精霊が生きているというくくりになるかはわからないが、無生物という感じもしない。
なら、名前を付けてみるのは悪くないと思ったのだ。
もしかしたら、強力な戦力になるかもしれないからな。
「どんな名前がいい?」
『ダイチ様にお任せします』
「じゃあ、シンプルに……」
【言霊】――――ドリー。
俺はこれまでドリアードと呼んでいた精霊にドリーと名付ける。
その瞬間、ドリーの前にステータスが出現した。
よし! 成功だ!!
名前 : ドリー
レベル : 1/5
力 : ??
魔力 : ??
体力 : ??
素早さ : ??
耐久力 : ??
ジョブ : 木の精霊
スキル : 成長促進LV1
『ど、どうですか、ダイチ様』
「うん。面白いステータスだね」
基礎能力系がすべて「??」になっている。
数値化されないってことは、戦ったりできないってことでいいのかな。
それともレベルが上がることによって力が上がったりするのだろうか。
限界レベルが極端に低いのも気になる。
魔族の中にもそういう種族はいたけど、レベル5までというのは気になるな。
『あ!!』
ドリアードはいきなり声を上げた。
『今、何か鐘の音が……』
「え? もうレベルアップしたの?」
かなり特殊なジョブだな、『木の精霊』。
もしかしたら、レベルアップのシステム自体も全く違うのかもしれない。
『は、はい。「土壌が改善された」ということで、「成長促進」が「LV2」になったようです』
俺はハッとなって気付いた。
イベント系のレベルアップか。
なるほど。
ドリーはフラグや実績を解除することによって、レベルアップするんだな。
「うわ~~!!」
突然、声を上げたのは畑の周りにいた子どもたちだった。
見ると、ジャガイモの芽が出ている。
『これは!!』
「おお!!」
俺もドリーも驚いた。
これってドリーの『成長促進』の効果か?
こんなにも早くジャガイモの芽が出るなんて。
いや、スキルが村の環境に及ぼすこと自体が驚きだ。
さすが精霊と言わざるえない。
「すごいよ、ドリー」
『いえ。ダイチ様のおかげです。あなたが私に名前を付けてくれたから』
「うわっ!!」
ドリーは感激のあまり俺をひしっ抱きしめた。
半ば木の皮のようになっている腕は少し硬かったけど、薄布1つかまさない胸の感触がダイレクトに伝わってきて、俺は思わず固まった。
「ど、ドリー」
『す、すみません、ダイチ様』
ドリーの顔が赤くなる。
精霊って聞くと、なんか超越者って感じだった。
けれど、今のドリーはどこにでもいる綺麗な女の子って感じだ。
そう思うと、かなり親近感が湧いた。
「君をもっと育ててみせるから。これからもよろしくね、ドリー」
『こちらこそよろしくお願いします、ダイチ様』
俺が手を差し出すと、ドリーは強く握り返してくれた。
~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~
ダイチ、君は一体何をしたんだw
ここまでお読みいただきありがとうございます。
今日の投稿はここまでになります。
明日からは毎日1話投稿になります。
引き続きよろしくお願いします。
痛い。お腹もぐるぐると唸っている。
どうやら2日酔いらしい。
サラリーマンだった頃は、あれぐらいじゃビクともしなかったんだけどな。
酒豪っていうほどではないけど、久しぶりに酒を飲んで身体がビックリしたのだろう。
ちょっと羽目を外しすぎたかな。
でも、昨日の酒は別格だった。
何せ勝利の美酒だからな。
「それにしても……」
正直に言うと、宴会の途中から記憶が曖昧だ。
思い出そうにも思い出せない。
ただ楽しかったという気持ちは残っているので、楽しかったのだろう。
それにしても村の人たちはなかなかたくましい。
お酒を飲んだのは、昨日は初めてだという人もいるのだけど、すでに畑に出て仕事をしている人もいる。
まあ、半数は俺のように2日酔いになっているみたいだけど。
「おはようございます、ダイチ様」
声をかけてきたのは、ミセスだった。
ミセスも昨日麦酒を飲んでいたはずだ。
だが、顔はケロッとしている。
穏やかな笑みを湛えて、俺に水を差しだした。
「どうぞ」
「ありがとう、ミセス。助かるよ」
沢で組んできたばかりという水は、酒で焼けた喉や胃に染み渡る。
俺は一気に飲んでしまった。
「うめぇぇぇぇええ!」
「ご満足いただけてなによりです。ところでダイチ様」
「ん?」
「昨晩のことですが…………」
唐突にミセスの顔が赤くなる。
火照った頬を手で隠し、いやいやと子どものように首を振った。
えっと……。
何、その反応……。
俺一体、何をした!
「ご、ごめん、ミセス。俺、お酒で記憶が吹っ飛んでいて……。その君に迷惑をかけるようなことをしていたなら謝るよ」
「記憶が…………? そ、そんな………………」
ミセスのこの反応……。
まずいな。もしかして、俺取り返しの付かないことをしたのかも。
いや、まずいとかいっちゃダメだ。
もしもの時は、きっちりと責任を。
「あ……じゃあ、いいです」
軽っ!
反応、軽すぎるよ。
「別に気にしなくていいですよ。むしろ記憶が飛んでいる方が僥倖」
「僥倖??」
「では、わたくしはこれで――――」
「ちょ――――。待――――――」
ミセスはピューと風のように俺の側から離れていった。
お、おい。俺――一体何をしたの?
気にするなっていわれても気になるぞ、むしろ!
「ダイチ様……」
「うぉ!!」
振り返ると、ステノが立っていた。
ミセスと違って、こっちはすでに何か思い詰めた表情だ。
その顔を見るだけで、胸が締め付けられそうになる。
「お、おはよう、ステノ」
「ダイチ様、おはようございます」
「どど、どうしたの? 元気がなさそうだけど」
俺が恐る恐る尋ねると、ステノの目に突然涙が浮かんだ。
え? ええええええ?
何! 何何何???
この重たい反応は何なの?
ホント俺、何をやったんだよ!!
すると、ステノは涙を払いながら、譫言のように同じ言葉を繰り返した。
「良かった。良かった」
「な、何が『良かった』の?」
「私の大好きなダイチ様が戻ってきて良かった」
「え?」
一瞬、固まる。
同じくステノのも固まった。
みるみる体温が熱くなっていくのが、顔の火照り具合からわかった。
「ちちちちちちちちち違うんです、ダイチ様。い、いいいいい今のはその……。そ、そう――――尊敬しているダイチ様が元に戻ってよかった、と」
「そそそそそ、そうか。そうだよなあ」
あ~~。びっくりした。
いきなり告白されたのかと思ったよ。
でも、元に戻って良かったって?
尋ねようとした瞬間、ステノの気配は消えていた。
『気配遮断』と使ったらしい。
ミセスにしても、ステノにしても、どうしてこう俺の前から消えるのが早いんだろうか。
「ダイチ様、おはようございます!」
翻ると、ルナが立っていた。
昨日初めてお酒を口にした少女は、割としっかりとした足取りで俺の方に近づいてくる。
顔もにこやかで、血色がいい。
機嫌も良さそうだ。
「おはよう、ルナ。チッタも……」
『キィ!』
ルナの肩に乗ったチッタの頭を撫でる。
俺はチラリとルナを見た。
どうやら特に変化はない。
これなら、俺のことを落ち着いて尋ねられるかもしれない。
「ルナ、昨日のことだけど……」
「キノウ? ナンノコトデショウカ?」
表情はめっちゃ笑顔。
なのに、言葉の端々が無数のナイフのように尖っていた。
「え、えっと~~~~~~~~~~。そ、そう。何もなかったなら、それでいいや」
「はい。今日もダイチ様のために頑張りますね!」
おー、と拳を掲げる。
村の外れにできた修練場に、チッタとともに歩き出した。
「ホント? 俺、何をしたんだろうか?」
首を傾げる。
トントン……。
俺は肩を叩かれる。
まだ誰か俺に用があるのか。
ちょっと辟易しながら振り返る。
立っていたのは、ソンチョーだ。
ニヤニヤといらしい笑みを浮かべて、こういった。
「昨日はお楽しみでしたな」
一言いって、ソンチョーは立っていった。
いや……、ソンチョー。
その言葉、一体どこで知ったんだよ。
◆◇◆◇◆
寒風が村を吹き抜ける。
まだ初夏だというのに、暗黒大陸の気候は晩秋を思わせる。
夏場でも20度をいくかいかないかといったところらしい。
冬になれば、極寒となる。
村人の健康も心配だけど、これから実ってくる作物も心配だ。
まだ種を植えた段階だから心配ないけど、芽が出て、葉が伸びていけば、太陽の光が重要になっていく。
日陰でも育ち、寒さにも強いものを選んでいるけど、さすがにこの気候は作物に悪影響を及ぼしそうだ。
「せめて、雲が晴れてくれればな」
俺は天を仰ぐ。
『雲だけならば、風の精霊ジンが見つかればあるいは……』
俺に話しかけてきたのは、木の精霊ドリアードだった。
「うん。でも、どこにいるかわからないんだよね。せめてヒントぐらいあれば」
『すみません、ダイチ様』
「ドリアードが悪いんじゃないよ」
『…………』
暗黒大陸をこれまで見守っていた精霊だからだろう。
ドリアードは責任感が強い。
今、人族や他の獣族が苦しんでいるのも自分の責任だと思ってそうだな。
「なあ、ドリアード。ちょっと出てきてくれないか」
『え? は、はい』
俺は【言霊】でドリアードを呼び出す。
一瞬にして、樹木の枝を纏った半裸の女性が現れる。
いつもながらも、目に毒な姿だな。
「前から気になっていたんだけど、君に名前を付けることができるのかな?」
『私にはドリアードという名前が……』
「それって精霊の総体としての名前だろ? 俺たちが勝手にそう呼んでいるだけっていうか。信仰する対象のアイコンと言えばいいのかな? つまり、何が言いたいかというと、俺に付けてもらった名前じゃないってことだ」
『ダイチ様、私に名前を付けたいのですか?』
「うん。あわよくば、君のステータスを見てみたい」
『まさか精霊のポテンシャルを測ると?』
精霊が生きているかという議論は差し置いて、やってみる価値はある。
【言霊】は生きているものすべてに名前とステータスを与えるスキルだ。
精霊が生きているというくくりになるかはわからないが、無生物という感じもしない。
なら、名前を付けてみるのは悪くないと思ったのだ。
もしかしたら、強力な戦力になるかもしれないからな。
「どんな名前がいい?」
『ダイチ様にお任せします』
「じゃあ、シンプルに……」
【言霊】――――ドリー。
俺はこれまでドリアードと呼んでいた精霊にドリーと名付ける。
その瞬間、ドリーの前にステータスが出現した。
よし! 成功だ!!
名前 : ドリー
レベル : 1/5
力 : ??
魔力 : ??
体力 : ??
素早さ : ??
耐久力 : ??
ジョブ : 木の精霊
スキル : 成長促進LV1
『ど、どうですか、ダイチ様』
「うん。面白いステータスだね」
基礎能力系がすべて「??」になっている。
数値化されないってことは、戦ったりできないってことでいいのかな。
それともレベルが上がることによって力が上がったりするのだろうか。
限界レベルが極端に低いのも気になる。
魔族の中にもそういう種族はいたけど、レベル5までというのは気になるな。
『あ!!』
ドリアードはいきなり声を上げた。
『今、何か鐘の音が……』
「え? もうレベルアップしたの?」
かなり特殊なジョブだな、『木の精霊』。
もしかしたら、レベルアップのシステム自体も全く違うのかもしれない。
『は、はい。「土壌が改善された」ということで、「成長促進」が「LV2」になったようです』
俺はハッとなって気付いた。
イベント系のレベルアップか。
なるほど。
ドリーはフラグや実績を解除することによって、レベルアップするんだな。
「うわ~~!!」
突然、声を上げたのは畑の周りにいた子どもたちだった。
見ると、ジャガイモの芽が出ている。
『これは!!』
「おお!!」
俺もドリーも驚いた。
これってドリーの『成長促進』の効果か?
こんなにも早くジャガイモの芽が出るなんて。
いや、スキルが村の環境に及ぼすこと自体が驚きだ。
さすが精霊と言わざるえない。
「すごいよ、ドリー」
『いえ。ダイチ様のおかげです。あなたが私に名前を付けてくれたから』
「うわっ!!」
ドリーは感激のあまり俺をひしっ抱きしめた。
半ば木の皮のようになっている腕は少し硬かったけど、薄布1つかまさない胸の感触がダイレクトに伝わってきて、俺は思わず固まった。
「ど、ドリー」
『す、すみません、ダイチ様』
ドリーの顔が赤くなる。
精霊って聞くと、なんか超越者って感じだった。
けれど、今のドリーはどこにでもいる綺麗な女の子って感じだ。
そう思うと、かなり親近感が湧いた。
「君をもっと育ててみせるから。これからもよろしくね、ドリー」
『こちらこそよろしくお願いします、ダイチ様』
俺が手を差し出すと、ドリーは強く握り返してくれた。
~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~
ダイチ、君は一体何をしたんだw
ここまでお読みいただきありがとうございます。
今日の投稿はここまでになります。
明日からは毎日1話投稿になります。
引き続きよろしくお願いします。
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