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2章
第12話 むらに はいりますか?
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第2章の始まりです!
新章になってもよろしくお願いします。
~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~
ドリアードを解放し、森を元状態に戻した俺たちは、村に帰還した。
俺たちが村に到着すると、わらわらと人が集まってくる。
「大魔王様、首尾はいかがでした?」
「森は元に戻ったよ。これが証拠だ」
【言霊】――――ドリアード!
ついに精霊召喚機能まで付いた俺のスキルが、ドリアードを呼び出す。
神々しい光と樹木の枝を纏った美女が、村人たちを見下ろした。
『私は木の精霊ドリアード。みな、聞きなさい』
「すげぇ!」
「本当に精霊様なのか」
「ありがたやありがたや……」
「裸じゃー! むっちむち女子の裸じゃああああ!!」
皆の反応は様々だ。
驚く者もいれば、ドリアードのパーフェクトボディを見て、鼻血を出しながら卒倒している村人もいた。
確かに、あのドリアードの姿は刺激が強すぎるよな。
『人族の方々、どうかこのダイチ様を信じてあげてください。彼は大魔王と呼ばれていますが、信頼に足る人族です。必ずこの暗黒大陸を復興してくださるでしょう』
「ダイチ様を信じる」
「ホントかよ」
「暗黒大陸を……復興?」
「木の枝が邪魔じゃのぅ」
村の人間全員がどよめく。
あと――約1名ドリアードの身体に食いつきすぎ。
『ダイチ様は大魔王というご身分でありながら、ブラムゴンをこの地から追い払ってくれました。そして、魔の森に囚われていた私を解放する手伝いをしてくれました。彼と、そこにいるルナとチッタがいなければ、私はまだ森で生者から命を吸い上げていたでしょう』
「…………」
村人の顔が真剣になる。
ドリアードの言葉に、次第に耳を傾け始めた。
『どうか。ダイチ様に力を貸してあげてください』
ドリアードは訴える。
「力を貸すったって」
「一体どうやれば……」
「だが、ドリアード様を救ってくださった」
「礼儀を尽くすことは当然じゃ。良いもんも見せてもらったしの」
一定の効果があったらしい。
ドリアードは満足そうに笑う。
折を見て、俺は口を開いた。
「心配しなくてもいい。俺があんたたちを強くする。魔族なんかよりもな……」
「魔族よりも」
「そんなこと可能なのか」
「信じられん」
まだ中には信じられないヤツもいるみたいだ。
「みんな……。じゃあ、これを見て下さい」
いつの間にか、ルナが村の真ん中に生えている木の前に立っていた。
すでに枯れているようだが、それでも幹はまだまだ太い。
そこに向かってルナは思いっきり拳を突き出す。
「えええええええええええい!!」
裂帛の気合いを捻り出す。
拳を幹に叩きつけると、軋みを上げ、あっさりと横に倒れた。
「「「「――――――――――――ッ!!!!」」」」
皆が息を呑むのがわかった。
顔から血の気が失せ、倒れた木とルナの小さな拳を交互に見比べる。
ドリアードが出てきた時より驚いていた。
かくいう俺も声を失っていた。
ルナが強くなっているのは、俺が一番よく知っている。
でも、枯れ木とはいえ、拳だけで樹木を折るとは……。
頼もしいけど、なんか俺が想像している成長とは別ベクトルに向かってる気がするんだけど。
ま、いいか。
「わたしは無力な奴隷でした。生け贄になるぐらいしか価値のない……。でも、ダイチ様はわたしに道をお示しになられた。これがその成果です。ダイチ様を信じてください。そうすれば、わたしたちは絶対に強くなれます」
ルナは皆に改めて訴えた。
「すご……。あの生け贄の娘が……」
「すごい力だ」
「おれたちも強くなれるってホントか?」
「やばっ! あの子にだけは逆らわないでおこう」
どうやら、ちょっと前向きになってくれたようだ。
全幅の信頼にはほど遠いが今は、これでいいだろ。
「ルナ、よくやったな。ナイスなパフォーマンスだ」
俺はルナの頭を撫でる。
くすぐったそうにルナは目を細めた。
「でも、あんまりビビらせるなよ。嫁のもらい手がなくなるし。ああいうのは、チッタに任せていいんだ」
からかい半分に言うと、ルナは俺の予想に反して顔を赤くし、モジモジ身体を動かした。
「大丈夫です。あまり気にしてませんから」
片目を前髪で隠した少女は、上目遣いに俺の方を見つめる。
俺は思わず硬直する。
そ、それはどういうことなんだよ、ルナ……。
心の中で訴えると、見透かしたようにルナは笑うのだった。
~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~
さあ、村の開拓していくよ!
新章になってもよろしくお願いします。
~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~
ドリアードを解放し、森を元状態に戻した俺たちは、村に帰還した。
俺たちが村に到着すると、わらわらと人が集まってくる。
「大魔王様、首尾はいかがでした?」
「森は元に戻ったよ。これが証拠だ」
【言霊】――――ドリアード!
ついに精霊召喚機能まで付いた俺のスキルが、ドリアードを呼び出す。
神々しい光と樹木の枝を纏った美女が、村人たちを見下ろした。
『私は木の精霊ドリアード。みな、聞きなさい』
「すげぇ!」
「本当に精霊様なのか」
「ありがたやありがたや……」
「裸じゃー! むっちむち女子の裸じゃああああ!!」
皆の反応は様々だ。
驚く者もいれば、ドリアードのパーフェクトボディを見て、鼻血を出しながら卒倒している村人もいた。
確かに、あのドリアードの姿は刺激が強すぎるよな。
『人族の方々、どうかこのダイチ様を信じてあげてください。彼は大魔王と呼ばれていますが、信頼に足る人族です。必ずこの暗黒大陸を復興してくださるでしょう』
「ダイチ様を信じる」
「ホントかよ」
「暗黒大陸を……復興?」
「木の枝が邪魔じゃのぅ」
村の人間全員がどよめく。
あと――約1名ドリアードの身体に食いつきすぎ。
『ダイチ様は大魔王というご身分でありながら、ブラムゴンをこの地から追い払ってくれました。そして、魔の森に囚われていた私を解放する手伝いをしてくれました。彼と、そこにいるルナとチッタがいなければ、私はまだ森で生者から命を吸い上げていたでしょう』
「…………」
村人の顔が真剣になる。
ドリアードの言葉に、次第に耳を傾け始めた。
『どうか。ダイチ様に力を貸してあげてください』
ドリアードは訴える。
「力を貸すったって」
「一体どうやれば……」
「だが、ドリアード様を救ってくださった」
「礼儀を尽くすことは当然じゃ。良いもんも見せてもらったしの」
一定の効果があったらしい。
ドリアードは満足そうに笑う。
折を見て、俺は口を開いた。
「心配しなくてもいい。俺があんたたちを強くする。魔族なんかよりもな……」
「魔族よりも」
「そんなこと可能なのか」
「信じられん」
まだ中には信じられないヤツもいるみたいだ。
「みんな……。じゃあ、これを見て下さい」
いつの間にか、ルナが村の真ん中に生えている木の前に立っていた。
すでに枯れているようだが、それでも幹はまだまだ太い。
そこに向かってルナは思いっきり拳を突き出す。
「えええええええええええい!!」
裂帛の気合いを捻り出す。
拳を幹に叩きつけると、軋みを上げ、あっさりと横に倒れた。
「「「「――――――――――――ッ!!!!」」」」
皆が息を呑むのがわかった。
顔から血の気が失せ、倒れた木とルナの小さな拳を交互に見比べる。
ドリアードが出てきた時より驚いていた。
かくいう俺も声を失っていた。
ルナが強くなっているのは、俺が一番よく知っている。
でも、枯れ木とはいえ、拳だけで樹木を折るとは……。
頼もしいけど、なんか俺が想像している成長とは別ベクトルに向かってる気がするんだけど。
ま、いいか。
「わたしは無力な奴隷でした。生け贄になるぐらいしか価値のない……。でも、ダイチ様はわたしに道をお示しになられた。これがその成果です。ダイチ様を信じてください。そうすれば、わたしたちは絶対に強くなれます」
ルナは皆に改めて訴えた。
「すご……。あの生け贄の娘が……」
「すごい力だ」
「おれたちも強くなれるってホントか?」
「やばっ! あの子にだけは逆らわないでおこう」
どうやら、ちょっと前向きになってくれたようだ。
全幅の信頼にはほど遠いが今は、これでいいだろ。
「ルナ、よくやったな。ナイスなパフォーマンスだ」
俺はルナの頭を撫でる。
くすぐったそうにルナは目を細めた。
「でも、あんまりビビらせるなよ。嫁のもらい手がなくなるし。ああいうのは、チッタに任せていいんだ」
からかい半分に言うと、ルナは俺の予想に反して顔を赤くし、モジモジ身体を動かした。
「大丈夫です。あまり気にしてませんから」
片目を前髪で隠した少女は、上目遣いに俺の方を見つめる。
俺は思わず硬直する。
そ、それはどういうことなんだよ、ルナ……。
心の中で訴えると、見透かしたようにルナは笑うのだった。
~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~
さあ、村の開拓していくよ!
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