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3章
第43.5話 秘密の食卓(後編)
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大魔王、という言葉に、ハートリーはぴくりと眉宇を動かす。
横のネレムも一緒だ。
大きく息を吸い込み、両拳を膝に置いて居住まいを正した。
最初に口を開いたのは、ハートリーだった。
「あ、あのね、ルーちゃん! わたしはルーちゃんが大魔王でも、魔族の王でも友達だから……。ずっと友達でいたいから。だから、まだ友達でいてくれる?」
「あたいも、ハートリーの姐貴と一緒の気持ちです。これからもご指導ご鞭撻の程よろしくお願いします!!」
ハートリーは涙を滲ませ訴えると、ネレムは深々と頭を下げた。
2人の渾身の言葉に、ルヴルはさぞ打ち震えているだろうかと思えばそうでもない。
軽く首を傾げながら、「今さら何を?」という顔でキョトンとしていた。
「る、ルーちゃん?」
「あ、あれ??」
「あ、ああ……。ごめんなさい。びっくりしちゃって。何を改まっているのかなって。そもそもネックレスの下りで言ったじゃないですか。私たちは友達って」
「そ、それはそうなんだけど」
「ふふふ……」
横で聞いていたマリルが微笑む。
「ルヴルちゃん。2人はこう言いたいのよ。たとえ、あなたの心に大魔王が宿っていても、本当にあなたが邪悪な存在だとしても、友達になろうって」
「いえ。それはわかるのですが……。そもそも2人とも、大魔王ルヴルヴィムという存在を知っているのですか?」
「え?」
「え?」
「私の存在は、歴史上抹消されています。本当にいたかどうかも怪しい存在を、恐がれって言われても、怖くないでしょ?」
(正体不明ってところで、十分怖いけど……)
(すでにルヴルの姐さんの存在自体が怖いっす)
「そもそも恥ずかしいんですよ」
「は、恥ずかしい?」
「私は大魔王ルヴルヴィムだと言っても、ただの痛いヤツとしか思われないでしょ。だから、2人にはずっと隠していたんです」
(そ、そんな理由だったの??)
(さすが姐さん。あたいたちの予想の斜め上をいく発想!)
「だから、大魔王云々で友達を失うとは思っていません。だいたい2人は仰っていたではないですか」
『わたしの大切な友達です』
『あたいの恩人で、友達です』
「あんな熱烈なラブコールをされたら、皆の前から消えるなんて出来ないですよ」
ルヴルは食後の紅茶を一口飲む。
その紅茶と同じ、赤い顔をしたハートリーとネレムは恥ずかしさのあまり固まった。
「いいわねぇ……。友情って……。ルヴルちゃんは幸せものね。この果報者!」
マリルは横のルヴルの頬をツンツンと押す。
母親の悪戯な指を掴むと、親子は子猫のようにじゃれ合った。
「このように私が大魔王と言っても、全く態度を変えない母親もいますからね」
ルヴルは困ったように肩を竦めた。
食卓は明るい笑顔に満ちる。
ハートリーは久方ぶりに笑ったような気がした。
横のネレムも一緒だ。
大きく息を吸い込み、両拳を膝に置いて居住まいを正した。
最初に口を開いたのは、ハートリーだった。
「あ、あのね、ルーちゃん! わたしはルーちゃんが大魔王でも、魔族の王でも友達だから……。ずっと友達でいたいから。だから、まだ友達でいてくれる?」
「あたいも、ハートリーの姐貴と一緒の気持ちです。これからもご指導ご鞭撻の程よろしくお願いします!!」
ハートリーは涙を滲ませ訴えると、ネレムは深々と頭を下げた。
2人の渾身の言葉に、ルヴルはさぞ打ち震えているだろうかと思えばそうでもない。
軽く首を傾げながら、「今さら何を?」という顔でキョトンとしていた。
「る、ルーちゃん?」
「あ、あれ??」
「あ、ああ……。ごめんなさい。びっくりしちゃって。何を改まっているのかなって。そもそもネックレスの下りで言ったじゃないですか。私たちは友達って」
「そ、それはそうなんだけど」
「ふふふ……」
横で聞いていたマリルが微笑む。
「ルヴルちゃん。2人はこう言いたいのよ。たとえ、あなたの心に大魔王が宿っていても、本当にあなたが邪悪な存在だとしても、友達になろうって」
「いえ。それはわかるのですが……。そもそも2人とも、大魔王ルヴルヴィムという存在を知っているのですか?」
「え?」
「え?」
「私の存在は、歴史上抹消されています。本当にいたかどうかも怪しい存在を、恐がれって言われても、怖くないでしょ?」
(正体不明ってところで、十分怖いけど……)
(すでにルヴルの姐さんの存在自体が怖いっす)
「そもそも恥ずかしいんですよ」
「は、恥ずかしい?」
「私は大魔王ルヴルヴィムだと言っても、ただの痛いヤツとしか思われないでしょ。だから、2人にはずっと隠していたんです」
(そ、そんな理由だったの??)
(さすが姐さん。あたいたちの予想の斜め上をいく発想!)
「だから、大魔王云々で友達を失うとは思っていません。だいたい2人は仰っていたではないですか」
『わたしの大切な友達です』
『あたいの恩人で、友達です』
「あんな熱烈なラブコールをされたら、皆の前から消えるなんて出来ないですよ」
ルヴルは食後の紅茶を一口飲む。
その紅茶と同じ、赤い顔をしたハートリーとネレムは恥ずかしさのあまり固まった。
「いいわねぇ……。友情って……。ルヴルちゃんは幸せものね。この果報者!」
マリルは横のルヴルの頬をツンツンと押す。
母親の悪戯な指を掴むと、親子は子猫のようにじゃれ合った。
「このように私が大魔王と言っても、全く態度を変えない母親もいますからね」
ルヴルは困ったように肩を竦めた。
食卓は明るい笑顔に満ちる。
ハートリーは久方ぶりに笑ったような気がした。
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