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1章
第7.5話 友達を家に招く(後編)
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作者の他の作品から読みに来られた方、読んでくれてありがとうございます。
~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~
食事を終え、湯浴みをし、寝床に入ると、そこからはルヴルの独演会だった。
朝まで続くかと思ったが、その独演会は唐突に終わりを告げる。
まるでスイッチが切れたようにルヴルは寝てしまったのだ。
鍛錬のために規則正しい時間に寝て起きるという生活が身に染み付いているルヴルは、時間が来ると自動的に寝てしまうのである。
一方、ハートリーは眠れないでいた。
ルヴルにとっても初めて友達を招いたお泊まり会だったのだが、それは内気で友達があまりできなかったハートリーにとっても、同じだったのだ。
「眠れない?」
尋ねたのは、ルヴルの寝室に入ってきたマリルだった。
終始にこやかな彼女は、自分の愛娘の顔を見て、笑みを深くする。
絵に描いたような幸せそう笑顔だった。
その顔を見て、少しハートリーは後ろ暗く思った。
「あの……。本当に私なんか友達になっていいのでしょうか?」
「どうして?」
「ルヴルさん、学校ではみんなから恐れられていて……。でも、私はそんなことはないんじゃないかって思ってました。以前、先輩と揉めていた私を助けてくれたし。その時、色々なことが起こって、頭で整理できなくて、その……逃げちゃったんですけど」
「まあ……。そんなことが……」
「ご、ごめんなさい! で、でも、それだけじゃなくて、私……その、とっぽいというか……。よく貴族の人からいじめられてて。でも、ルヴルさんが私を友達って公言してから、いじめがなくなって。だから、その…………ルヴルさんには助けてもらってばかりで」
「そう。それは大変だったわね」
「でも、私……。ルヴルさんに何もしてあげられなくて。今日、ルヴルさんが普通の女の子なんだって、みんなに教えてあげれたらいいんだけど、私の言葉なんて誰も――――」
ハートリーは息を飲んだ。
マリルがギュッとハートリーを抱きしめたからである。
そのマリルは子どもをあやすように、ハートリーの頭を撫でた。
「いーこ。いーこ。ハートリーちゃんの両親は、とっても良い子にハートリーちゃんを育ててくれたのね」
「いえ。私は…………」
「今日のルヴルちゃんを見て、わからない?」
「え?」
「こんなに嬉しそうにしてるルヴルちゃんを見たの、学院の入学試験を受けていいって許可が下りた時以来よ。……ハートリーちゃん。あなたは何もしてないなんてことはないわ。ルヴルちゃんの友達になってくれた。ルヴルちゃんも、それで十分だと思うわよ」
「お母様」
ハートリーはマリルを強く抱き返す。
その目に涙が浮かんでいた。
「よしよし。本当に娘が2人できたみたいで嬉しいわ」
マリルは聖母のようにハートリーを抱きしめるのだった。
◆◇◆◇◆
次の日。
ハートリーは朝早くアレンティリ家を発ち、1度自宅に戻った。
その後、登校時間となると、学院の前で待っていた。
もしかして、我を待っててくれていたのだろうか。
「おはようございます、ハートリーさん」
我は挨拶する。
だが、ハートリーからすぐに挨拶は返ってこなかった。
肩を狭め、顔を俯き加減のまま固定している。
学生鞄を持った手を小刻みに震えていた。
ジャアクと恐れていたあの頃に戻ったかのようだ。
すると、ハートリーはようやく顔を上げた。
その顔は青ざめているのかと思ったが、違う。
何故か、赤くなっていた。
「お、おはよう。る、ルーちゃん!」
「る、ルー…………ちゃん…………?」
我は一瞬呆然とした。
我が母マリル以外に、まさか魔王である我を「ちゃん」付けで呼ぶものがまさか現れるとは思わなかったのだ。
しかも、「ルー」とさらに短くされて……。
「お、おい!」
「今、ジャアクをちゃん付けで呼ばなかったか」
「すげぇ……。ジャアクをちゃん付けかよ」
「さすが、ジャアクの彼女だ」
周りのものが囁く。
だが、そんな小言など気にならないぐらい、我は嬉しかった。
「ふふふ……。あはははははは!」
「おかしかったかな?」
怖ず怖ずと尋ねる。
その時のハートリーは、我もよく知る内気な女の子だった。
「そんなことはありません、ハーちゃん」
「――――ッ!」
「ハートリーちゃんだと何だか長いので、私も渾名にしてみました。気に入らなかったら、その――」
「ううん。それでいいです」
「では、よろしくお願いします、ハーちゃん」
「うん。よろしくね、ルーちゃん」
こうして我に、友達第一号ができたのだった。
~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~
ひとまず正妻ゲットかな。
~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~
食事を終え、湯浴みをし、寝床に入ると、そこからはルヴルの独演会だった。
朝まで続くかと思ったが、その独演会は唐突に終わりを告げる。
まるでスイッチが切れたようにルヴルは寝てしまったのだ。
鍛錬のために規則正しい時間に寝て起きるという生活が身に染み付いているルヴルは、時間が来ると自動的に寝てしまうのである。
一方、ハートリーは眠れないでいた。
ルヴルにとっても初めて友達を招いたお泊まり会だったのだが、それは内気で友達があまりできなかったハートリーにとっても、同じだったのだ。
「眠れない?」
尋ねたのは、ルヴルの寝室に入ってきたマリルだった。
終始にこやかな彼女は、自分の愛娘の顔を見て、笑みを深くする。
絵に描いたような幸せそう笑顔だった。
その顔を見て、少しハートリーは後ろ暗く思った。
「あの……。本当に私なんか友達になっていいのでしょうか?」
「どうして?」
「ルヴルさん、学校ではみんなから恐れられていて……。でも、私はそんなことはないんじゃないかって思ってました。以前、先輩と揉めていた私を助けてくれたし。その時、色々なことが起こって、頭で整理できなくて、その……逃げちゃったんですけど」
「まあ……。そんなことが……」
「ご、ごめんなさい! で、でも、それだけじゃなくて、私……その、とっぽいというか……。よく貴族の人からいじめられてて。でも、ルヴルさんが私を友達って公言してから、いじめがなくなって。だから、その…………ルヴルさんには助けてもらってばかりで」
「そう。それは大変だったわね」
「でも、私……。ルヴルさんに何もしてあげられなくて。今日、ルヴルさんが普通の女の子なんだって、みんなに教えてあげれたらいいんだけど、私の言葉なんて誰も――――」
ハートリーは息を飲んだ。
マリルがギュッとハートリーを抱きしめたからである。
そのマリルは子どもをあやすように、ハートリーの頭を撫でた。
「いーこ。いーこ。ハートリーちゃんの両親は、とっても良い子にハートリーちゃんを育ててくれたのね」
「いえ。私は…………」
「今日のルヴルちゃんを見て、わからない?」
「え?」
「こんなに嬉しそうにしてるルヴルちゃんを見たの、学院の入学試験を受けていいって許可が下りた時以来よ。……ハートリーちゃん。あなたは何もしてないなんてことはないわ。ルヴルちゃんの友達になってくれた。ルヴルちゃんも、それで十分だと思うわよ」
「お母様」
ハートリーはマリルを強く抱き返す。
その目に涙が浮かんでいた。
「よしよし。本当に娘が2人できたみたいで嬉しいわ」
マリルは聖母のようにハートリーを抱きしめるのだった。
◆◇◆◇◆
次の日。
ハートリーは朝早くアレンティリ家を発ち、1度自宅に戻った。
その後、登校時間となると、学院の前で待っていた。
もしかして、我を待っててくれていたのだろうか。
「おはようございます、ハートリーさん」
我は挨拶する。
だが、ハートリーからすぐに挨拶は返ってこなかった。
肩を狭め、顔を俯き加減のまま固定している。
学生鞄を持った手を小刻みに震えていた。
ジャアクと恐れていたあの頃に戻ったかのようだ。
すると、ハートリーはようやく顔を上げた。
その顔は青ざめているのかと思ったが、違う。
何故か、赤くなっていた。
「お、おはよう。る、ルーちゃん!」
「る、ルー…………ちゃん…………?」
我は一瞬呆然とした。
我が母マリル以外に、まさか魔王である我を「ちゃん」付けで呼ぶものがまさか現れるとは思わなかったのだ。
しかも、「ルー」とさらに短くされて……。
「お、おい!」
「今、ジャアクをちゃん付けで呼ばなかったか」
「すげぇ……。ジャアクをちゃん付けかよ」
「さすが、ジャアクの彼女だ」
周りのものが囁く。
だが、そんな小言など気にならないぐらい、我は嬉しかった。
「ふふふ……。あはははははは!」
「おかしかったかな?」
怖ず怖ずと尋ねる。
その時のハートリーは、我もよく知る内気な女の子だった。
「そんなことはありません、ハーちゃん」
「――――ッ!」
「ハートリーちゃんだと何だか長いので、私も渾名にしてみました。気に入らなかったら、その――」
「ううん。それでいいです」
「では、よろしくお願いします、ハーちゃん」
「うん。よろしくね、ルーちゃん」
こうして我に、友達第一号ができたのだった。
~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~
ひとまず正妻ゲットかな。
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