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私の履歴書
蜜柑と友哉
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4月も終わりに近づいた頃、桜の花は静かに散りはじめた。
蜜柑は桜の散るグランドで、空を見上げてつぶやいた。
(7年間ありがとう...。)
蜜柑は心から自由になったんだと思った。
駐車場に停めてある車の脇で待つ、蜜柑の母は、眩しそうに蜜柑を見ていた。
「もう、いいの?」
蜜柑の母は、蜜柑を気遣うようだった。
7年前、蜜柑は解離性障害という難病を患い、両親が面倒を見きれず、病院に託した。
退院のきっかけとなったのは、蜜柑の担当の看護師が、もう治っているんじゃないかと、主治医に提案したことから始まった。
それから、両親と先生と蜜柑で面談があり、母がまだ退院させないで下さいと、泣きはじめた。
そこで先生は、「もう十分でしょう、お母さん。」と、母に言った。
その瞬間に母の涙は止まった。
車に乗った蜜柑は、窓の外の風景を眺めて思った。
(やっとこれで家に帰れる。)
20代も終わりに近いた蜜柑は、この先の生活を期待に胸を膨らませていた。
ただ漠然と自由にはなったが、実際は蜜柑のこの先の生活は、何も決まっていなかった。
家に帰ると父が、「ご苦労さん。」と迎えてくれた。
2、3日はよかったが、退院とともに新居に引っ越しした為、何もする事がなかった。
週に1回、病院へは父の車で診察に通った。
先生との面談で、デイケアの通所を進められたが、蜜柑は、「何もする事が無い人が行く所ですよね。」と言った。
先生は、「君も何もやる事が無いじゃないか。」と、苦笑した。
蜜柑は、(そうか。)となり、通いますと答えた。
蜜柑は、嬉しかった。
蜜柑は桜の散るグランドで、空を見上げてつぶやいた。
(7年間ありがとう...。)
蜜柑は心から自由になったんだと思った。
駐車場に停めてある車の脇で待つ、蜜柑の母は、眩しそうに蜜柑を見ていた。
「もう、いいの?」
蜜柑の母は、蜜柑を気遣うようだった。
7年前、蜜柑は解離性障害という難病を患い、両親が面倒を見きれず、病院に託した。
退院のきっかけとなったのは、蜜柑の担当の看護師が、もう治っているんじゃないかと、主治医に提案したことから始まった。
それから、両親と先生と蜜柑で面談があり、母がまだ退院させないで下さいと、泣きはじめた。
そこで先生は、「もう十分でしょう、お母さん。」と、母に言った。
その瞬間に母の涙は止まった。
車に乗った蜜柑は、窓の外の風景を眺めて思った。
(やっとこれで家に帰れる。)
20代も終わりに近いた蜜柑は、この先の生活を期待に胸を膨らませていた。
ただ漠然と自由にはなったが、実際は蜜柑のこの先の生活は、何も決まっていなかった。
家に帰ると父が、「ご苦労さん。」と迎えてくれた。
2、3日はよかったが、退院とともに新居に引っ越しした為、何もする事がなかった。
週に1回、病院へは父の車で診察に通った。
先生との面談で、デイケアの通所を進められたが、蜜柑は、「何もする事が無い人が行く所ですよね。」と言った。
先生は、「君も何もやる事が無いじゃないか。」と、苦笑した。
蜜柑は、(そうか。)となり、通いますと答えた。
蜜柑は、嬉しかった。
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