私の履歴書

澤村 通雄

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第24章 出発ですよ。

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出発ですよ。

さあ、3日が経ち念願のマ○ファナも体験し、いざタイへ出発の日がやってきた。
まずは、目指すは成田空港である。
丁度、地元の友達3人が東京へ車で行くという事なので、一緒に東京まで行く事になった。
高速道路をブッとばし、東京へ着いたのだが、道路は大渋滞である。
ボクは途中で車を降り、電車で空港に向かう事にした。
友達からの別れの言葉は「行ってこい!」の一言であった。
ボクは、焦って電車に飛び乗り、空港に着いたのは、出発のギリギリだった。
(前途多難な旅だな、、)と思った。
初めて飛行機に乗り、いくぶん緊張ぎみだったが、機内でスチュワーデスさんに、コーヒーにするか紅茶にするかと英語で聞かれたが、何を言ってるのか全く分からなくて恥をかいた。
こんな調子で外国でやっていけるのか?
と思ったが、最初はEさんやNさんが一緒だから、何とかなるだろうと自分に言い聞かせた。
途中、機内でターバンを巻いたインド人のおじさんに、お尻を触られたりして、ホモにも会ったりしたが、6時間程でタイのドンムアン空港へ着いた。
機内から降りて思った事は、(うおぉー!暑いなぁ)の一言であった。
Eさんからのアドバイスどおり、最初はタクシーを拾い、約束のプライバシーホテルへ行くはずであったが。
実はボクには、Eさんには話していない
秘密のプランがあった。
それは、バンコク市内にあるチャイナタウン横の、ウォングウェイジッピースソンガラッカダー、という公園へ行く事だ。
日本で買った、地球の歩き方というガイドブックに載っていた、安宿街へ行く計画だ。
そもそもボクは、女を知らない。
日本では硬派という名の、臆病者だった。
そのウォングウェイジッピースソンガラッカダー、という公園で、女の子をひっかけ、筆下ろしをするという、計画だ。
Eさんからは、バンコクでは絶対にクスリはやるな、捕まったら日本人でも、刑務所行きだぞ、女ともヤルな、タイはエイズ患者が多いんだからな。
と、何度も念を押され、うんうんと、ボクは返事をしていた。
全くボクは、大人の意見を聞かないガキであった。

ドンムアン空港から列車でバンコク市内まで行く事にした。
列車の中で、若い自分よりは年上っぽい日本人の女性が近寄って話しかけてきた。
何でも大学の卒業旅行で、一人でタイに来たらしい。
髪が背中まで長かったボクを見て、旅慣れしてる人と、思ったらしい。
今から、何処へ行くのか、聞かれた。
チャイナタウンの辺りへ行くと言うと、私も一緒に行っていい?
と言われた。
ちょっと迷ったが、何か女の一人旅で不安らしく、泊まる所を同行してほしいと言うのだ。
ボクは、その女性を改めて上から下まで見つめ直し、値踏みをしてしまい、余りタイプではないが、チャイナタウンの辺りまでなら、一緒に行ってもいいかなと思い、了解する事にした。
列車がバンコク市内に着き、地球の歩き方に乗っていた通り、トゥクトゥクというタイの3輪タクシーに、その女性と乗り込み、運転手にウォングウェイジッピースソンガラッカダーと連呼した。

1時間近く経っても、到着しないので、運転手に騙されているのかと思い。
ストップストップ!とボクは叫び、トゥクトゥクから降りた。
金も払わず、降りてやったが、その女性も降りて、お金払わなくていいのか心配してきた。
騙されてるから、払わなくていい!と言い、早歩きで他のトゥクトゥクに近づいて、公園の場所を聞くと、ココだよ。
と言われた。
多分、この辺りをぐるぐる回って、料金メーターを上げていたんだ。
降りて良かった、とボクは思い、同時に自分は以外とたくましいなと、変な自信がわいた。
公園の前に、タイペイホテルと、ジュライホテルがあったが、自分はジュライホテルに泊まるから、じゃあ。
と、その女性と別れた。
入り口に、インフォメーションがあり、パスポートの提示と、何故か所持金を聞かれたが、シングルルームを希望したのに、2階の部屋へ案内されると、ベッドが二つ並んだ、ツインルームだった。
ノー、ツインルームと言ったが、ノープロブレム(問題ない)と、言われた。
荷物を部屋へ置き、お金とタバコとパスポートだけ持って、部屋の鍵をしめた。
2階の踊り場には、あきらかに、ここに長期間滞在してるであろう日本人が、2人で将棋を指していた。
一階で、鍵を預け、ホテルの回りをブラブラした。
道端に屋台が並んでいて、焼き鳥やら、焼き飯や、見た事のない食べ物が並んでいた。
その先は、金華街と看板にかかれた、アーケード街が続いていた。
見ると、金のネックレスや、金の延棒などが、どの店も同じ様に置いてある。
自分には、全く関係ないナと思い、Uターンして、焼き鳥の店で2本串を買った。
それを、ほおばりながら目の前の公園へ入っていった。
みんな、テーブルを並べて、これまた将棋を指している。麻雀を囲んでいる人達もいる。
みんな、地元のタイ人だらけだ。
結構、白い目でボクは皆んなに、睨まれた。
それでも、気にせずに、中央の噴水に腰掛け、しばらくボーっと焼き鳥を食べていた。
10分も立たないうち、2人の若い娘が手を繋いで、ボクの方へ近寄ってきた。
ハローと言われたので、ハローと返事した。
ジャパニー?と聞いてきたので、イエスと答えた。
色の白い娘はチェンマイ、もう一人の小麦色の娘はコサムイ出身だそうだ。
スリープ?と、手を顔の横に合わせて首を傾けるジェスチャーをしてきたので。
ボクは、チェンマイの娘の手を取ろうとしたが、その娘はサッと手を引いた。
しかし、コサムイの娘がボクの太ももをタッチしてきた。
交渉成立かな?ボクはそう判断して、その娘と、ジュライホテルへ入っていった。
入り口のボーイに、何か言われたが、フレンド、フレンドといい、2階へ連れて行った。
こうして、19歳の春は訪れたのだが、今思えば危ない事してたなぁ、と思う。
これを読んだ読者の方は、決していろんな意味で危ないマネはやめてほしい。
次の日、その娘はまた、部屋をノックして来たし、当日の夜も警察らしい2人組が、部屋をノックして、中を覗きに来た。
列車で知り合った、日本人大学生も、何処で調べたか、部屋をノックして入ってきて、地球の歩き方を貸してほしい、とか一緒に観光して欲しいと言ってきた。
どうも、ボクは狙われやすい様だった。

あと、もう一つEさん達と合流する前に、やってみたい事があった。
ムエタイ観戦である。
ムエタイとは、タイの国民的キックボクシングだ。
タイに来て、2日目の夜、通りの向かいでトゥクトゥクを拾い、ルンビニスタジアム!と、運転手に告げた。
トゥクトゥクはさっそうと夜の街を駆け抜けて、熱気あふれるルンビニスタジアムへ着いた。
入場料を払い、中へ入ると、中央のリングでは熱戦が繰り広げられていた。
客席では、お金が飛び交っていた。
どうやら、みんな金を掛けているらしい。
凄い熱気だ。
ボクは、最後列のイスに登り、身振り手振りでパンチやキックの真似をした。
試合も、メインイベントになったらしい。
客も大興奮で、今まで以上に札束が行き交っている。
最後の試合に登場した2人の選手は、まだ中学生ぐらいの、少年2人だった。
明らかに自分よりも年下の少年たちが、殴り合いの試合が始まった。
お金が宙を舞う。
ボクは、何故か血の気が引いてスタジアムを後にした。
自分達の人生をかけた少年たち。それにお金をかける大人たち。
ボクは、帰りのトゥクトゥクの中でこの国の厳しさを感じた。
ボクは、何をやってるんだろう。


翌日、Eさんとの約束のプライバシーホテルまでタクシーで行く事にした。
信号が赤になり車が止まると、小さな子供が車に寄ってきて、窓をふきだした。
信号が青になると、タクシーの運転手は窓を開け、何かをボクに催促した。
(そうか、この子供にお金をあげなきゃいけないんだ)
しかし、手に持っていたお金は大きなお札ばかりで、小銭がなかった。
運転手は不満そうに車をスタートさせた。
こんな商売があるのか、真夜中なのに小さな子供が働いている。
今思えば、いくらかお金をあげるべきだったなと思った。
旅に来て、最初の後悔だった。
そして目的地、プライバシーホテルに着いた。
ホテルのボーイにEさんとNさんの居る部屋を聞き、部屋のドアをノックした。
中から、Nさんが顔を覗かせ「ワー!待ってたよ、こんな所で顔が見れるなんて夢みたい!」と、お世話まじりの流暢な日本語で(Nさんは西ドイツ人)、ボクを迎えてくれた。
中ではEさんがニコニコ笑っている。
「明日になったら、街へ買い物へ連れていってやるからな。」と、Eさんは言ってくれたが、ボクは観光目的で来たんじゃないんだけどなぁと、内心思った。
ボクはEさんの隣りの部屋へチェックインし、その日は安心して、ぐっすり眠った。
次の日、案の定EさんとNさんと3人で、路線バスで街中へ買い物に行った。
Eさんの言うことには、これから行くインドでは、必要な物がいくつかあると言う。
まずは南京錠だ。
インドでは、盗難が多く、現地の鍵だとすぐにドロボウが入るのだという。
バンコク製の南京錠だと、盗難に遭いにくいのだそうだ。
もちろん、日本製の物は、よりベターだそうだが。
それから、洗濯ロープ、洗剤、爪切り、タオル、草履、目覚まし時計、乾電池etc...
いったい、インドではどんな生活が待ち受けているのかと、少し不思議に思った。
買い物も無事終わり、ホテルに戻ったボク達3人は、プライバシーホテルの向かいにある、5つ星のマレーシアホテルへ、食事に行く事になった。
Nさんは、何でも好きな物を食べていいよ。と言ってくれたので、少し期待しながら、マレーシアホテルの門をくぐった。
Eさんは、すかさず「自分の分は自分で払うんだからな。」と、念を押した。
ホテルの入り口には、奇抜な格好をした現地の女性がいた。
何でも、この人達は娼婦らしい。
実は、ボク達の泊まっているプライバシーホテルはラブホテルだったらしく、それでマレーシアホテルに出入りする金持ちの客を拾っては、向かいのプライバシーホテルで商売をしているらしい。
その大勢の娼婦達の間を抜け、マレーシアホテルの2階のガーデンにある、西洋レストランの中に入った。
メニューを広げると、ベジタブルてノンベジタブルに分かれている。
それを見ただけで、ここは外国なんだと、改めて実感した。
ボクはサーロインステーキを選んだ。
日本では、一人暮らしなので、牛肉を食べる事など滅多になかったから、ここぞとばかりに注文したが、Eさん夫婦には、面白くないらしい。
何故なら2人は、ベジタリアンだったのだ。
「S君は、お肉が好きなんだ、、、。」
と言って、2人は野菜の炒め物みたいなのと、シーフードを注文した。
(シーフードは良いのか??)と思った。
別に肉を食おうと、ボクの勝手じゃないかと思ったが、何故2人は肉を食べないのか不思議に思い。
「なんで、肉は食べないの?」と聞いてみた。
どうも、肉を食べると瞑想の妨げになるらしい。
人間は本来、肉食のはずだけどな、とボクは疑問に思った。
そういえば、日本でEさんの家へお邪魔して、手料理をご馳走になった時も、肉料理は無く、野菜や豆腐などがメインだったな。

注文した料理がテーブルに置かれ、ボクは期待どおり、サーロインステーキを口にした。
しかし、そんな話を聞いたからか、あまり美味しいとは思わず、罪悪感をもって食べた。
ベジタリアンか、ボクに何か新しい価値観が芽生えた。
ボクもベジタリアンになろうかな、と、またEさん達に影響されていった、、、。
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