私の履歴書

澤村 通雄

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私の履歴書

第14章 DV

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話は戻りますが、私が37歳の時に私のDVが原因で別れました。
その後、内縁関係になりお互いの家を行き来する時期もありましたが、最後に大喧嘩をし、私は妻に大怪我をさせてしまい被害届けを出され、検察まで行きました。
私が40歳の時でした。
役所にも呼ばれ、生活保護は打ち切られて働く様に促されました。

40歳の私には、世間の風は冷たく仕事もなかなか見つかりませんでした。
国民健康保健に入る余裕もなく、市民税、国民年金、NHKの受信料などの請求が始まりました。
通院もお金が無く、しなくなりました。
よって、精神科の薬も飲まなくなり、他人との関わりもたちました。
父親も亡くなって、母親も鬱病で入院、誰も頼るところがなくなり病気も悪化していました。
やはり家内の存在がどれだけ大きかったか身にしみました。

家内は、私と別れ生活保護の生活は続いたものの、薬はあまり飲まず、部屋はゴミだらけ、レンタルDVDも借りっぱなしで借金をつくり、入院したものの病院の器物を破損してさらに借金を重ねていました。

私も1年間は、バイトで生活しましたが、病気が悪化して仕事もやめ。
3ヶ月ほど、飲まず食わすの生活が
続き、最終的に生活保護に助けを求め。
引きこもりの生活になりました。

家内はタバコの不始末で火事を起こしてしまい、入院。
もう1人暮らしはさせないと役所から生活保護を切られました。
障害年金だけで入院生活が続き、グループホームに入るしか退院できない状態になっていました。

私が44歳の時、自宅に家内が病院から抜けだして泣いて助けを求めてきました。
その時私は、家内の泣き顔を見て懐かしい家族に会った気持ちになりました。
時計の針が巻き戻った様でした。

「やり直そうか」
「ありがとう」

長い言葉は必要ありませんでした。


復縁を認めてもらう為、私はもう暴力は振るわない、DVはしないと強く決心しました。

そして院長でもあった家内の主治医に話しをして、2人のそれぞれの生活保護のワーカーを交えて会議を開いてもらいました。
私は家内に暴力はしない事と、責任を持って面倒をみることを皆んなの前で誓い、院長の力添えもあり復縁を認めてもらえました。

それから7年。私は51歳、家内は55歳になりますが、周りの理解や助けがあって、今の2人の生活は成り立っています。
私たちはそれらの人たちを裏切らないように生活していき、そして何よりも私たちの為に一緒に居ることをつくづく感じます。
これからまだまだ何があるかわかりませんが、今私が思っているのは10年、20年先に私たちの環境がどうなっているのかです。誰もが老いに対する不安はあるのでしょうが、50代にもなるとそういう不安が間近に感じていきます。
体力もだんだん衰えるのも感じてきました。

これから世の中、少子高齢化や鬱病などの増加で国の社会保障費はどんどん膨れ上がっています。病原体や外国の戦争などにより景気も悪くなっています。
物価の上昇に加え、消費税もこれから上がっていくのは予想されます。
生活保護制度も永久にある保障などどこにもありません。
お金に余裕の無い人は、介護施設などの福祉から置いていかれるのではないか心配です。

若い人達でも病気の有無に関わらず将来の不安はあるだろうし、老後の心配は誰しもあるのは当たり前です。
結婚が出来ても相手が不自由になった時に支えていけるかとか、私が先に死んだら家内が1人で生活していけるか心配です。
もう私たち夫婦も歳を重ねだしてきたので、親も順番に亡くなっていくでしょう。
私も家内も父親は亡くなっています。私は母親の安否もわからない状態です。

私たちは子供もいないので、これから先はどう社会と関わって生きていくのかがポイントになると思っています。

現在は家内と2人で障害者バレーに励んでいますが、いずれ高齢になれば引退しなければなりません。

その先は夫婦でゆっくりと余生を過ごすつもりです。代わりになる趣味でも見つけます。
とにかく私たちの生活は周りの支援によって成り立っていることを忘れず、私たちのように結婚を考えている障害のある人達にも周りの理解や支援、本人たちの苦しみや喜びを考えてくれる社会や福祉を、私は強く希望いたします。

障害者同士の結婚というのは障害の程度や環境によってなかなか大変な面もありますが、私も正直大変な時も多いです。
1人の方が楽だったと思ってしまうこともあります。
しかし、私たちの結婚は少なくとも私には充分意味があり、幸せになれたと確信しています。
これからの福祉関係者の方々に、こういう事例もあるんだと、心にとめて頂ければ幸いです。

最後に精神障害者への差別や偏見は昔ほどではないのかもしれませんが、まだ多分にある世の中だと思います。
当時者の私などはこれから先、障害のある人も夢や希望をもち、それが少しずつでも実現できる世の中へもっともっとなって欲しいと思います。
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