ブレイン エラー

澤村 通雄

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私の履歴書

第3章 出会い

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私は家内を初めて見た時のことを、今でも鮮明に覚えています。
今から20年以上前のことでしょうか。
私は警備会社に勤めており、会社には病気のことは伏せていました。
月に一度、病院に診察に来ていました。
診察が終わり薬を待っている間、病院内にある喫茶店で時間を潰すのが、私の習慣でした。
いつものように、非番だった月曜日に来院し、薬待ちの間喫茶店のカウンターでアイスコーヒーを飲んでいる時でした。
カランカランとドアが空いた音がし、私はドアの方をおもむろに眺めると、白いTシャツを着た、まっすぐなロングヘアーの女性が1人で入ってきました。
その女性は軽くうつむき加減で、テーブル席に1人で腰掛けコーラを注文しました。
入院しているのかな?
歳は自分より下かな?
私は想像を働かせました。
他の患者さんがその女性にちょっかいをかけていたのを、彼女は手で迷惑そうに振り払っていました。

おとなしそうな人だな。
私が彼女をはじめの見た時の第一印象でした。

2度目に会ったのはそれから数年たった時でした。
私は5年続いた仕事をリタイアし、病院のソーシャルセンターという所でリハビリすることになりました。
老若男女問わず、少人数でスポーツをしたり、農耕をしたり、陶芸をしたりしました。
陶芸の時間に、病棟から彼女が来ていました。

彼女はウォークマンを聞きながら、ひたしら貝殻の形をした、たぶん灰皿であろう粘土を磨いていました。

私はちょっと勇気をだして、彼女の肩をたたき、「何を聞いているの?」と話しかけました。

「ブランキー。」彼女は少し面倒くさそうに答えました。
「あ~イカ天に出ていた!」私が言うと。
「友達だったから。」彼女はそう言い、またイヤホンを耳にあて、貝殻を磨きだしました。
あまり良い
印象は持たれてないのかな?私は思いました。


その次に会ったのは、彼女の入院している病棟でした。
比較的自由な開放病棟だったので、日中は入院患者さん以外の人でも、出入りは自由でした。
私はソーシャルセンターから、デイケアに移っていました。
たまたま病棟を覗きに行ったら、彼女がいました。
いままでの印象とは別人で、彼女は病棟の長椅子に座り友達とゲラゲラ笑っていました。
以前私が入院していた時一緒だった青年が居たので、卓球をすることになりました。
場が盛り上がってくると、彼女もやろうと言ってきました。

勝敗の結果はあまり覚えていませんが、彼女は卓球が上手かった印象がありました。

後に私の妻になる彼女との馴れ初めはまた、後日お話しいたします。
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