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2nd season 第四章

161 ヒエラルキー

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「魔族っ!?」
「ああ、耳じゃなくて角だな?ダークエルフじゃ無かった」

聖都に戻った俺は、入手した情報を皆と共有していた。

「えーと、魔族が人を奴隷にしてるって事?」
「そうらしい。しかもあの辺りだけじゃなく、大陸全土が魔族の国ばっかりで、大昔からずっとそういうもんらしい」

「わけわかんない。で?どうすんの?」

「それがなー。どうしたもんか・・・いずれにしても、これはやっぱりホルジス様に話を聞く必要があるな」

魔族と聞くと、人族殲滅を掲げる魔王のイメージが先行するが、どうやらあの大陸の魔族はそういうのじゃ無いらしい。

プレイオス神を崇め、生産的な社会を構築し、比較的平和に暮らしている。
ただ一つ問題なのが、あの大陸でのは、犬や馬と同じポジションにあるという事。

野生の人間を捕まえ、奴隷紋で、労働力として活用する。

人間である俺達としては、嫌悪を感じずには居られない状況だが、同じ事を俺達も、犬や馬に行っている。

「ホルジスさまー!よろしいでしょうか~?」
「おや、カインさん。やはり、驚いたでょう?」

「驚きを通り越して呆然としているところです。ある程度は自力で情報を集めてからとも思ったのですが、これはちょっと手に余るかなと・・・聞いたことの無い神の名も耳にしましたし」
「プレイオスさんですね。魔法・・・というか、魔素を司る神なので、魔族の中では熱烈な人気がありますが、人の世界ではあまり知られていません」
「ずばり、あの大陸で布教は可能なんでしょうか?」

「容易では・・・無いでしょうねぇ・・・向こうにしてみれば、犬や猫に信仰を語られるような気分でしょうから?」
「ですよねぇ~・・・どうしよ」

「今回ばかりは力押しもオススメできませんし」
「あー、やっぱり、強いんでしょうか?」
「個体強度・技術レベル・人的および物質的量、何一つとして、人間側に優位な点はありません」
「因みに、総人口的なものは教えて頂けたり?」
「ふむ・・・まぁ、布教意欲の材料として、お教えしましょう。概ね、この大陸の2.5倍ですね」

「・・・どうにもならないじゃないですか?」
「世界の七割はかの大陸ですから。五百年前にこの大陸に攻め込んだ魔王が、かの大陸の存在を知っていれば、この大陸も人の世界では無くなっていたでしょう。まぁ裏を返せば、そこで布教に成功すれば、その功績たるや・・・相当なものでしょうね?」
「魔王はあの大陸を知らなかったんですか?」
「えぇ。魔族にも飛べる種族は居ますが、さすがに遠すぎて大陸間の移動は無理ですね」

「はぁ・・・放っておいたらいつの日か外洋船が生まれて、見つかっちゃうわけですよねぇ・・・」
「そうなりますね?いやぁ、困った困った」

「はぁぁぁぁぁ・・・あっ、プレイオス様に関して、何かやったら怒らせる的なタブーってあります?」
「無いと思いますよ?彼もあまり下界の行動には興味が無いようですから。まぁ、とんでもない量の魔素を無駄遣いしたりしたら、担当者として何かしらのアクションがあるとは思いますが」
「ありがとうございます。その情報だけでも、虎の尾を踏む心配が減ります」
「ははは、すみませんねぇ、お役に立てなくて」

いやまいった。
何か指針のひとつも貰えるかと期待してたが甘かった。
ここまで何にも浮かばないのは初めてだ。



~~~~~



「あー、みんな、残念なお知らせだ」
「うわぁ~聞きたくないかも?」

「ふはははは、みんなにも不幸をわけてあげよう。まず、あの大陸の魔族、この大陸の人間の2.5倍居ます」
「マジで!?」

「500年前の対魔王戦争、魔族一人を倒すのに、百人隊を投入して運が良ければ・・・という程だったそうだ」
「ニェリーザ・・・知りたくない情報をありがとう。つまり実質戦力差、少なく見積もって250倍だ。しかも技術力も完全に向こうの方が上だそうだ。正直、戦争にはならないな。やりあったら一方的に蹂躙されるだけだ」

「なんで今まで攻めてこなかったのかしら?」
「魔族とはいえ、この距離は飛べないらしい。だから更に技術が進んで、この距離を旅できる船が発明されるまでは大丈夫だろう・・・あれ?って事は多少問題起こしても戦争にはならないのか?」

「ちょっとだけマシになったわね?」

うーん、気分は幕末の日本。
ザビエルさんを仏教徒に改宗させるってくらいの無理ゲーだ。

「あー、うん、やっぱダメだな。判断材料が足りなすぎる。なんとか街に入って情報収集したいけど・・・」
「あの、旦那様?旦那様が顔を隠して、わたしを従えて歩けば、魔族に見えませんか?」

「そうかっ!あからさまに奴隷を連れてれば魔族っぽいよな?」
「そうね?・・・ねぇ?いっそみんなで奴隷やらない?ユリア一人より、ゾロゾロ引き連れてた方がそれっぽいでしょ?」

「いや、でも奴隷紋どうすんだよ?」
「あたしらと奴隷契約結べばいいだけじゃない?解除すれば消えるんだし?」

「私は別に構いませんよ」
「ちょっと面白そうなっ!」
「うん。どんな町か、私達も見たいかな?」
「うっひょおー!盛り上がってきた!」

「いやっ、ライザはダメだろ?」
「なんでだっ!おれっちだけ置いてきぼりはズリーぞ!」
「おまえは少し嫁としての自覚を持て」

「いや、友よ、ライザと共に俺も奴隷になる。それで問題なかろう?」
「ほらみろっ!旦那が良いって言ってるんだからいーんだ!」

「・・・マジデ?」
「あら、カイン様、良いのでは無いですか?それならば何か問題を起こしても、この大陸まで類は及ばないでしょう?」

「うん、まぁ確かに理にはかなってる。でも、嫁と友達が奴隷しかいない男って、なんか俺、かわいそうな奴じゃない?」
「カイン兄さん?わがまま言ってる場合じゃ無いでしょ?」
「・・・はい」



~~~~~



嫁~ズの動きは早かった。
その日のうちに奴隷商が呼ばれ、サクサクと契約が結ばれていく。

「あの、猊下?本当にわたくし、罪に問われたりしませんよね?」
「あぁ、妙な事を頼んですまんな?また、解放するときに頼む事になる、くれぐれも、内密にな?」

「別に知られてもいんじゃないの?」
「いやだっ!最近メイドさんが可愛そうな子を見るような目で見るんだ!俺はリア充なんだっ!」

「はいはい。アンタその『リア充』っての好きね?」
「うむ。人は誰しもリア充を夢見るものだ!」

ずらりと並んだ奴隷女たち・・・うむ、背徳感がなんとも言えずいいんじゃ無いでしょうか?

「ちょっと、変な気分になりますね?」
「あるじさまっ!なんか命令してくれっ!」

「あー、よし。ライザ、命令だ。いいって言うまで腕立て伏せしてなさい」
「うぉっ?なんだこれっ?すげーぞっ!これならやる気なくても鍛錬できるっ!」

なんというアグレッシブ思考・・・。

「ねぇ、あたしにもなんか命令してみてよ?」
「あー、シリア、命令。コマネチってやってみ?」
「ん?何よコマネチって?」
「ふむ。奴隷側が理解できない命令は実行できないのか・・・じゃ、命令。ユリアのやってみ?」
「ちょっ!なんてこと・・・・シリアの堪え性の無いおまんこを犯して下さい♡・・・ばかぁぁあぁっぁあ!」

うひょっ!心のRAIDディスクに録画完了っ!

「なんだかわたしの方が恥ずかしいです・・・」
「ゴクリ・・・奥様、今日の替わって欲しいかな?これはもう、夢が膨らんできゅんきゅんキちゃうかな?」

「「「・・・師匠・・・」」」

うむ。俺の股間も膨らんでしまいます。

「奴隷側はこれでいいとして、魔族担当がちょっと地味よね?」
「そうですねー、主様、王道を行くフツメンですからねー」
「もうちょっとこう、ワルモノっぽさが必要かな?」
「とりあえず、剃ってみる?」

「「「「えっ?」」」」

「えーと、シリアさん?一体俺の何をお剃りになるんでしょうか?」

「兄さん?みんながこんなに身体張ってるのに?兄さんだけ何もしないつもり?」

「いえ・・・お任せします・・・」

ジョリッきゃーっ! ジョリジョリッうきゃーーっ!

長い友が刈り取られてゆく。
ヤザンが見たら気を失うかもしれない。

「うーん、なんか、思ったほど悪くならなかったわね?」
「むしろスッキリして、聖職者っぽさが出ちゃってません?」

しどい・・・

「あっ!わかったかな!奥様、ソレ、貸して下さい!」

シリアからエマへと、悪魔のバトンが手渡される。

ゾリッ・・・

「「「「あっ!」」」」

まじっすか?・・・さらば・・・俺のマユゲ・・・。

「うっわぁ~。出会った時にコレだったら、あたし、全力で逃げてたわね?」
「うーん、確かに悪くはなりましたけど、これだとタダの犯罪者じゃ無いですか?」
「そうね?もうちょっとこう、魔術的な感じがほしいわね?」

「あっ、私っ!良いこと思い付きましたっ!ちょっと待っててくださいね!」

言うやいなや、リシェルが駈け出して行った。
悪い予感しかしないが、まぁ、髪とマユを剃られたんだ、もはやこれ以上は大差無い。
おとなしく蹂躙されるに身を任せるとしよう・・・。

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