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階段を一つ昇る、その先に見える景色

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「んっ……」
「んっ…ふ……」

 彼女を愛したい。めちゃくちゃにまさぐってそのまま一方的に襲ってしまいたい。
 彼女に愛されたい。彼女の指が触れてるソレを、めちゃくちゃに擦っていじめてもらいたい。
 ———二極の欲求が混ざり合うのを互いの唾液が口内で混ざり合う事で表し、それらを舌で自分の方へと手繰り寄せてから嚥下する。

「っ……はぁ……はぁ…………したい」
「っはぁ、はぁ……はぁ…………私も」

 僕の「したい」に彼女は「私も」で了承してくれたから、スエットのポケットに忍ばせていたハート柄のコンドームの包みをチラつかせながら

「じゃあ……しよ」

 2度目の確認を彼女にした。

「うん」



「綺麗だよ、花ちゃん」

 僕の視界には今、サマーラグの柄をバックにした花ちゃんの裸体が全面に入り込んでいて、
見たまま感じたままを吐息に乗せた言葉を呟きながら身に纏っていたものを脱ぎ捨てる。

「ほぅ……」

 対して彼女はうっとりしたような表情で下から僕を見つめ、溜め息を吐いていた。

「なぁに? 僕の裸、変?」
「変じゃなくて……かっこいいなって、思って」

 「僕」の裸体を花ちゃんは幾度となく目にしている……けれどそれは僕達の間で交わしたという設定を通した上でのものであって、彼女が言った台詞は「今夜だけはとして見てくれている」証となっていた。

「そんな事言われたら余計に興奮しちゃうよ」

 僕へのその褒め言葉が、性交前の作法なのか単に飾り立てたものなのかは知らない。
 そんなものではなくさっきの僕のように彼女の本心だったらいいなと、それだけを思う。

「ベッドじゃなくてごめんね……明るいのもごめん。
 初めてだからちゃんと花ちゃんの裸を目に焼き付けたいし、2階へ連れて行く時間も惜しいんだ」

 彼女に自分の体重が全てのしかからないように気遣いつつも、出来るだけ肌と肌とを重なり合わせ……擦り合わせ……彼女への言葉を言い終わるや否や激しいキスを施した。

「っ……ん」
「んっ……んぅ」

 このキスは「ごめん」と謝りながらも彼女からの言い分を聞きたくないという僕の我儘な行動だったんだけど、眉を潜める事なく僕の唾液や舌を受け入れてくれる彼女の優しさのおかげで愛ある口付けとして成立していた。

「花ちゃん好き……大好き」

 唇を離し、愛に感謝する言葉を述べたら次は全身の愛撫に移す。

「ああっ」
「いっぱい気持ち良くなって」
「あっ! ……はああぁ」

 紅く尖らせた胸の突起を歯と指を使って刺激すると喘ぎの興奮度も高まって、互いの表面温度上昇と呼応する。
 高まった興奮を利用してこのまま彼女を絶頂させてあげようと思い、胸の突起弄りは両手の指に任せ一番敏感な性感帯は僕の最も得意とする口淫によって激しく攻め立てた。

「やっ! あ……っああ! や、あ、あ、あ、あああっ!!!!」

 「や」のおんを発しはしたものの、膝を曲げ僕が舐めやすいように更にそこからパカンと股を両開きにして恥部を曝け出しているのだから拒否の意味を含んでる筈がない。
 本来なら「良い」が正解なのに敢えて拒否するような仮名を使うのは恥じらいを演出したいが故なのだろうか?
 女性というものはやはり判りづらく、そしていじらしい。

 僕はその「や」が耳に入ってないフリをし、胸の突起を弾くように強く弄り舌先もバイブレーションのように高速に動かす事で、彼女を絶頂に導かせる。

「あっ、イッちゃ!!……あ!!!!」

 口内に熱い愛液がほとばしり、指のつまみが離れてしまうほど彼女の背中が反る。


「味がいつもより濃いや……興奮してくれてるんだね、花ちゃん♡」

 いつもの甘さに妖艶な香りが上乗せされた彼女の蜜は、まるで僕との行為を真に待ちわびていたかのようだ。
 口を離し今度は右手中指を女陰部に挿入させてみるとそこは温かくトロトロとしていて、時々キュッと中指を締め付けてくる。

「ああ!! ……クチュクチュいってる……やあぁ」
「そうだね♪ まるで歌ってるみたいだよ♪」
「やぁ、エッチぃ」
「エッチなのは花ちゃんだよ。良い匂いもするし頭がクラクラしそうだ」
「ああっ、またぁ、イッちゃぅう」
「さっきイッたからイきやすくなってるもんね……でも」

 僕は彼女の脚がまた細かに震えて絶頂への階段を上がっていると把握していて、それがあと一歩というところまで高まったタイミングで中指を素早く引き抜いた。

「!! っは……」
「はぁ……はぁ……こっちで……ちゃんとイかせてあげるから」

 あと一歩のところでゴム膜の装着時間を挟んで、更に焦らすのが僕の作戦だ。

「あぁぁ……やぁん」

 彼女とこうするに至るまでしっかりとシミュレーションした甲斐があったと、妖しく腰を浮かす動作や切なそうな表情をしているのを目の当たりにしながら確信する。

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