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犬の言葉は、花にはきっと伝わらない
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「『胃液で溶かされても悲しくないよ。だってこのまま栄養や水分となって』花ちゃんの『為に生きられるんだから』」
「っふぅ……ふぅん……」
僕の体液は花ちゃんの食道を通過し遺伝子融合の働きを成すことなく胃液によって悉く殺傷されたとしても不幸ではないのだと、コウくんのメッセージ内容で再確認する事が出来た。
「『すごく幸せだよ』花ちゃんの『一部にちゃんとなれてるのが、すごくすごく幸せ』」
残液が小腸大腸を通ってタンパク質や水分を吸収し血液の流れの一部となって全身を駆け巡るようなイメージを持ちながら花ちゃんの身体を指で優しく撫でていく。
(コウくんのメッセージ、ちょっとウザいって思っちゃったのを反省しないと)
コウくんの文面のまま行動に移した今の僕は脳が沸騰しそうなくらいに興奮しているし、親友が感じた幸せを追体験している気分になれてとても嬉しかった。
「今度は花ちゃんをいっぱいいっぱい気持ちよくさせてあげるね」
「ふあああぁん」
この嬉しくて幸せな気持ちを花ちゃんにお裾分けしたくなって、彼女の敏感な部分をめいいっぱい愛する。
「『愛してる』……『愛してるよ』花ちゃん♡」
「ああああぁぁぁ」
「いっぱいイッて……もっともっと気持ちを高めて♡」
花ちゃんは僕の舌や指で絶頂し、背中を弓形にさせる。
「はあ……はあ……」
「可愛い♡ 大好き花ちゃん♡」
今にも眠ってしまいそうなくらいトロンとした目をして息を切らせる花ちゃんに僕の荒々しい呼吸を重ね、いつもの場所からピンク色のコンドームとローションを取り出して興奮しきった棒をそれらで覆う。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ」
それから盛りのついた雄犬のごとく花ちゃんのやわらかな太腿にぬるぬるの棒を擦りつけ、カクカクと腰を揺らした。
———[それが、挿入を好まないご主人様にしてあげた精一杯の愛の行為だったんだ]———
コウくんからのメッセージにはそう綴られていた。
膣内挿入こそが正義であるという認識が頭から離れない視野の狭い童貞にとってその一文は光り輝くようなものであったし、何よりそれは『金色の少年』の読者でありflavorさんのファンである僕にとって嬉しいだけでは表現しきれないくらいの喜びを感じていた。
今まで文学少年や文学青年と呼ばれた記憶はないし、書物を精読するようなタマではないと自覚している僕だって、好きな物語に出会えば読後にささやかな空想を張り巡らす。
女性視点……「花」視点であった『金色の少年』は終始「犬には花の言葉が分からないから」の表現がなされていた。
種の違いを何度も強調したかったからというflavorさんなりの考えがあったのだろうけど、同時にその隔たりは「同じ人類であっても相容れない主人公と相手の男性」をそのまま表したかったのだろうと、当時16歳の僕も感じていた。
登場するのが「花」と「犬」であっても、きっと女性読者は「花」に感情移入しただろう。
かくいう僕もそのくらい「犬」に感情移入していた。
物語の「犬」の外見はほとんど描写されていなかったけれど、僕の脳内には金髪に染めた16歳ほどの美少年を思い浮かべていて、そのイメージはリアルのコウくんの見た目とほぼ一致している。
そして「犬」は決して頭の悪い人間ではなく、思慮深い人物だったのではないかという予想もしていた。
金色の髪色を持ち、中性的な容貌で、背も低く、「花」である既婚者のflavorさんを深く思い遣れた少年……。
こんな事を他人に口にしたら「お前の上位互換かよ」と嗤われるだろうし、現実の「犬」のモデルとはかけ離れているだろうとも思うんだけど、やはり3年経ってもそのイメージは覆らない。
「花」が一方的に「犬」に別れを告げてしまったから『金色の少年』は成就しなかった。
でもきっと「犬」はそれでも「花」と一緒に居たいと欲し、「挿入が叶わなくてもこうして舐め合ったり触れ合ったりするだけでも幸せだよ」と優しく花弁を舐め続けたんじゃないかと……僕は読後の空想でそのように考えていたし、夫の子を身篭った既婚者の身であっても自分を真に好いてくれているとはっきり判っていたのなら今夜コウくんがご主人様にしてあげたような愛ある行為を「これはボクが甘えたいからしているんだよ」と言っていつまでもいつまでも気持ち良くしてあげたんじゃないかと予想している。
飼い主にペットが甘えるというのとは、テイストが違うのかもしれない。
それでもコウくんがあのプレイルームで行ったという詳細な報告はれっきとした「男性責め視点での甘え」であったと思うし、その甘え行為は聞き手の僕の空想を現実のものにしてくれたという喜びに転換してくれた。
コウくんのメッセージ文はflavorさんの美しさと比較するには乏しく直接的表現の多いものだった。
けれどもその内容は書き手のコウくんの愛に満ちていて、受け取った僕の心を熱くしたり口元をニヤつかせるものでもあった。
「っふぅ……ふぅん……」
僕の体液は花ちゃんの食道を通過し遺伝子融合の働きを成すことなく胃液によって悉く殺傷されたとしても不幸ではないのだと、コウくんのメッセージ内容で再確認する事が出来た。
「『すごく幸せだよ』花ちゃんの『一部にちゃんとなれてるのが、すごくすごく幸せ』」
残液が小腸大腸を通ってタンパク質や水分を吸収し血液の流れの一部となって全身を駆け巡るようなイメージを持ちながら花ちゃんの身体を指で優しく撫でていく。
(コウくんのメッセージ、ちょっとウザいって思っちゃったのを反省しないと)
コウくんの文面のまま行動に移した今の僕は脳が沸騰しそうなくらいに興奮しているし、親友が感じた幸せを追体験している気分になれてとても嬉しかった。
「今度は花ちゃんをいっぱいいっぱい気持ちよくさせてあげるね」
「ふあああぁん」
この嬉しくて幸せな気持ちを花ちゃんにお裾分けしたくなって、彼女の敏感な部分をめいいっぱい愛する。
「『愛してる』……『愛してるよ』花ちゃん♡」
「ああああぁぁぁ」
「いっぱいイッて……もっともっと気持ちを高めて♡」
花ちゃんは僕の舌や指で絶頂し、背中を弓形にさせる。
「はあ……はあ……」
「可愛い♡ 大好き花ちゃん♡」
今にも眠ってしまいそうなくらいトロンとした目をして息を切らせる花ちゃんに僕の荒々しい呼吸を重ね、いつもの場所からピンク色のコンドームとローションを取り出して興奮しきった棒をそれらで覆う。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ」
それから盛りのついた雄犬のごとく花ちゃんのやわらかな太腿にぬるぬるの棒を擦りつけ、カクカクと腰を揺らした。
———[それが、挿入を好まないご主人様にしてあげた精一杯の愛の行為だったんだ]———
コウくんからのメッセージにはそう綴られていた。
膣内挿入こそが正義であるという認識が頭から離れない視野の狭い童貞にとってその一文は光り輝くようなものであったし、何よりそれは『金色の少年』の読者でありflavorさんのファンである僕にとって嬉しいだけでは表現しきれないくらいの喜びを感じていた。
今まで文学少年や文学青年と呼ばれた記憶はないし、書物を精読するようなタマではないと自覚している僕だって、好きな物語に出会えば読後にささやかな空想を張り巡らす。
女性視点……「花」視点であった『金色の少年』は終始「犬には花の言葉が分からないから」の表現がなされていた。
種の違いを何度も強調したかったからというflavorさんなりの考えがあったのだろうけど、同時にその隔たりは「同じ人類であっても相容れない主人公と相手の男性」をそのまま表したかったのだろうと、当時16歳の僕も感じていた。
登場するのが「花」と「犬」であっても、きっと女性読者は「花」に感情移入しただろう。
かくいう僕もそのくらい「犬」に感情移入していた。
物語の「犬」の外見はほとんど描写されていなかったけれど、僕の脳内には金髪に染めた16歳ほどの美少年を思い浮かべていて、そのイメージはリアルのコウくんの見た目とほぼ一致している。
そして「犬」は決して頭の悪い人間ではなく、思慮深い人物だったのではないかという予想もしていた。
金色の髪色を持ち、中性的な容貌で、背も低く、「花」である既婚者のflavorさんを深く思い遣れた少年……。
こんな事を他人に口にしたら「お前の上位互換かよ」と嗤われるだろうし、現実の「犬」のモデルとはかけ離れているだろうとも思うんだけど、やはり3年経ってもそのイメージは覆らない。
「花」が一方的に「犬」に別れを告げてしまったから『金色の少年』は成就しなかった。
でもきっと「犬」はそれでも「花」と一緒に居たいと欲し、「挿入が叶わなくてもこうして舐め合ったり触れ合ったりするだけでも幸せだよ」と優しく花弁を舐め続けたんじゃないかと……僕は読後の空想でそのように考えていたし、夫の子を身篭った既婚者の身であっても自分を真に好いてくれているとはっきり判っていたのなら今夜コウくんがご主人様にしてあげたような愛ある行為を「これはボクが甘えたいからしているんだよ」と言っていつまでもいつまでも気持ち良くしてあげたんじゃないかと予想している。
飼い主にペットが甘えるというのとは、テイストが違うのかもしれない。
それでもコウくんがあのプレイルームで行ったという詳細な報告はれっきとした「男性責め視点での甘え」であったと思うし、その甘え行為は聞き手の僕の空想を現実のものにしてくれたという喜びに転換してくれた。
コウくんのメッセージ文はflavorさんの美しさと比較するには乏しく直接的表現の多いものだった。
けれどもその内容は書き手のコウくんの愛に満ちていて、受け取った僕の心を熱くしたり口元をニヤつかせるものでもあった。
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