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新年を共に慶び、真綿の中で愛を育む
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「エリコさんのお家は近所なんだ?」
「近所も近所。ここのアパートの通り沿いだから」
「それは近いね! まぁあそこのケーキ屋に長くパートするくらいだからそんなもんか……」
「だから間に合うように支度しないといけなくて」
花ちゃんはそこで会話を切って階段を上がっていく。
(……早く言ってくれたら僕だってタイチのペロペロをセーブしてイチャイチャ時間を短縮してあげたのに)
そんな事を一瞬思ったけど、すぐに花ちゃんの甘い声や蕩け顔を思い出して
(…………いや、セーブは無理か)
とすぐにセルフツッコミを入れる。
(さて、花ちゃんがエリコさんのお宅にお邪魔してる時間を利用して、のんびりさせてもらおうかなぁ……)
それから僕は部屋着のまま掃除機をかけ、頭をボヤーッとさせながら階段を上がろうとすると、
「太ちゃんも早く着替えてよ!」
と花ちゃんが2階から急かしてきた。
「えっ? なんで?」
「なんでも何も、太ちゃんも一緒にお宅訪問するからだよ!」
「僕も行くの? 嘘でしょ?!」
「嘘じゃない嘘じゃない! 『弟さんもおいで』って言われてるんだから!」
「マジか……」
それは意外だった。てっきり花ちゃん1人で取りに行くもんだと思ってたから。
でも階段を上がりながら冷静に考えてみると、ベテランパートさんから頂くその御節とやらの量もどことなく気になるし、荷物持ちは居た方がいいかもしれない。
(田舎者の気軽な「食べ物あげる」の量はとんでもないからなぁ……この辺に住んでる人はそこまで酷くはないのかもしれないけど)
「太ちゃんはオシャレさんだから大丈夫とは思うけど、テキトーな普段着は着ちゃダメだよ? カッチリし過ぎも良くないけどそれなりにちゃんとした服にしてよ?」
自室に入る直前、花ちゃんにそう言われた。こっちも一応分かってる顔はしてみたんだけど、花ちゃんの表情はマジで、100%信用してるって雰囲気ではない。
「じゃあ花ちゃんが僕の服選んでよ。僕が仕事行く花ちゃんの服を選んだ時みたいに」
「分かった」
僕の提案に花ちゃんは即答したので、一緒に9時前までイチャイチャしていた部屋の中に彼女も入れた。
ベッドから降りた時に窓を開けて空気の入れ替えをしてみたんだけど、部屋の中にはまだ肉欲的な残り香が漂っている感じがする。
両開きのクローゼットを開けて花ちゃんに僕の秋冬服をお披露目してみたんだけど、花ちゃんは頬をピンク色に染めながらハンガーに指をかけていた。
(頬がピンクなのも黙ってるのも、やっぱり匂いの所為かな……)
途端に恥ずかしくなった僕は窓を閉めるなり、この漂う匂いを打ち消すちょうど良い香りはないかとエッセンシャルオイルを物色する。
(爽やかな香りになってくれそうなオイルは……これが良いかな?)
花ちゃんが好みそうなオイルの蓋を開け、新品のアロマディッシュに数滴垂らそうとしたその時
「ねぇ太ちゃんの使ってるこのセミダブルベッドって、いつか『誰か』と一緒に寝ようとか想定しながら買ったの?」
背中から花ちゃんの爆弾質問が突然飛んできたから動揺してエッセンシャルオイルの瓶を床に落としてしまった。
「うわ! やば!!」
「え?! 太ちゃん大丈夫?」
「床にオイルこぼれたけどまぁ……少しだから大丈夫」
しゃがんでオイルの小瓶を拾う僕の肩に手を置いて花ちゃんが覗きこんできた。
オイルのツンとした刺激臭とエッチな匂いの元となっていた張本人の温もりで僕の五感は色々と変になってくる。
(今更なんて事を訊いてくるんだよ花ちゃんは!!)
冬の午前中だというのに、額にじんわり汗が浮き出ているし心臓の鼓動もやばい。
「最初に説明したじゃん! 2LDKの間取りだから、一人暮らし用の家具や家電じゃ大きさが釣り合わないんだってば!! だからベッドもシングルじゃなくてセミダブルの大きさにしたっていうか……」
僕はすぐに立ち上がり花ちゃんの方を振り向いた。
(花ちゃんの新婚暮らしソックリなベッドを買って毎晩花ちゃんとの結婚生活をしてるつもりな妄想を繰り広げてたとか、本当の事を言えるわけないっ!)
花ちゃんは頬や耳を真っ赤にして複雑な表情を僕に見せて……
「この1週間……訊こうかどうしようか、本当は迷ってたの」
目線を僕から逸らして少し寂しそうな声を出しながらそんな事を言ってきた。
「迷ってたって……なんで?」
「ベッドが一人で使うには大きめだっていうのもあるけど、この部屋にはマッサージオイルやエッセンシャルオイルがいっぱいあるから。
それって太ちゃんのバイトだけの理由じゃなくて太ちゃんが想いを寄せる誰かさんの趣味でもあったのかなぁとか……タイチとの触れ合いをしながらもそんな余計な事を時々考えちゃって」
花ちゃんはそこまで一気に喋るとすぐに
「めんどくさい女でごめんなさい」
と重ねて謝った。
「……花ちゃんが気にするような事は全くないよ。1ヶ月前も説明したじゃん『僕はモテないよ』って」
「近所も近所。ここのアパートの通り沿いだから」
「それは近いね! まぁあそこのケーキ屋に長くパートするくらいだからそんなもんか……」
「だから間に合うように支度しないといけなくて」
花ちゃんはそこで会話を切って階段を上がっていく。
(……早く言ってくれたら僕だってタイチのペロペロをセーブしてイチャイチャ時間を短縮してあげたのに)
そんな事を一瞬思ったけど、すぐに花ちゃんの甘い声や蕩け顔を思い出して
(…………いや、セーブは無理か)
とすぐにセルフツッコミを入れる。
(さて、花ちゃんがエリコさんのお宅にお邪魔してる時間を利用して、のんびりさせてもらおうかなぁ……)
それから僕は部屋着のまま掃除機をかけ、頭をボヤーッとさせながら階段を上がろうとすると、
「太ちゃんも早く着替えてよ!」
と花ちゃんが2階から急かしてきた。
「えっ? なんで?」
「なんでも何も、太ちゃんも一緒にお宅訪問するからだよ!」
「僕も行くの? 嘘でしょ?!」
「嘘じゃない嘘じゃない! 『弟さんもおいで』って言われてるんだから!」
「マジか……」
それは意外だった。てっきり花ちゃん1人で取りに行くもんだと思ってたから。
でも階段を上がりながら冷静に考えてみると、ベテランパートさんから頂くその御節とやらの量もどことなく気になるし、荷物持ちは居た方がいいかもしれない。
(田舎者の気軽な「食べ物あげる」の量はとんでもないからなぁ……この辺に住んでる人はそこまで酷くはないのかもしれないけど)
「太ちゃんはオシャレさんだから大丈夫とは思うけど、テキトーな普段着は着ちゃダメだよ? カッチリし過ぎも良くないけどそれなりにちゃんとした服にしてよ?」
自室に入る直前、花ちゃんにそう言われた。こっちも一応分かってる顔はしてみたんだけど、花ちゃんの表情はマジで、100%信用してるって雰囲気ではない。
「じゃあ花ちゃんが僕の服選んでよ。僕が仕事行く花ちゃんの服を選んだ時みたいに」
「分かった」
僕の提案に花ちゃんは即答したので、一緒に9時前までイチャイチャしていた部屋の中に彼女も入れた。
ベッドから降りた時に窓を開けて空気の入れ替えをしてみたんだけど、部屋の中にはまだ肉欲的な残り香が漂っている感じがする。
両開きのクローゼットを開けて花ちゃんに僕の秋冬服をお披露目してみたんだけど、花ちゃんは頬をピンク色に染めながらハンガーに指をかけていた。
(頬がピンクなのも黙ってるのも、やっぱり匂いの所為かな……)
途端に恥ずかしくなった僕は窓を閉めるなり、この漂う匂いを打ち消すちょうど良い香りはないかとエッセンシャルオイルを物色する。
(爽やかな香りになってくれそうなオイルは……これが良いかな?)
花ちゃんが好みそうなオイルの蓋を開け、新品のアロマディッシュに数滴垂らそうとしたその時
「ねぇ太ちゃんの使ってるこのセミダブルベッドって、いつか『誰か』と一緒に寝ようとか想定しながら買ったの?」
背中から花ちゃんの爆弾質問が突然飛んできたから動揺してエッセンシャルオイルの瓶を床に落としてしまった。
「うわ! やば!!」
「え?! 太ちゃん大丈夫?」
「床にオイルこぼれたけどまぁ……少しだから大丈夫」
しゃがんでオイルの小瓶を拾う僕の肩に手を置いて花ちゃんが覗きこんできた。
オイルのツンとした刺激臭とエッチな匂いの元となっていた張本人の温もりで僕の五感は色々と変になってくる。
(今更なんて事を訊いてくるんだよ花ちゃんは!!)
冬の午前中だというのに、額にじんわり汗が浮き出ているし心臓の鼓動もやばい。
「最初に説明したじゃん! 2LDKの間取りだから、一人暮らし用の家具や家電じゃ大きさが釣り合わないんだってば!! だからベッドもシングルじゃなくてセミダブルの大きさにしたっていうか……」
僕はすぐに立ち上がり花ちゃんの方を振り向いた。
(花ちゃんの新婚暮らしソックリなベッドを買って毎晩花ちゃんとの結婚生活をしてるつもりな妄想を繰り広げてたとか、本当の事を言えるわけないっ!)
花ちゃんは頬や耳を真っ赤にして複雑な表情を僕に見せて……
「この1週間……訊こうかどうしようか、本当は迷ってたの」
目線を僕から逸らして少し寂しそうな声を出しながらそんな事を言ってきた。
「迷ってたって……なんで?」
「ベッドが一人で使うには大きめだっていうのもあるけど、この部屋にはマッサージオイルやエッセンシャルオイルがいっぱいあるから。
それって太ちゃんのバイトだけの理由じゃなくて太ちゃんが想いを寄せる誰かさんの趣味でもあったのかなぁとか……タイチとの触れ合いをしながらもそんな余計な事を時々考えちゃって」
花ちゃんはそこまで一気に喋るとすぐに
「めんどくさい女でごめんなさい」
と重ねて謝った。
「……花ちゃんが気にするような事は全くないよ。1ヶ月前も説明したじゃん『僕はモテないよ』って」
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