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僕は犬になって、花ちゃんを褒めるよ
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話の流れからいって花ちゃんは部屋着のズボンを脱いで脚を晒そうとしているんだろうけど、結局何を考えてそれをしているのかが分からないからすごくモヤモヤする。
(凌太との時間の中で納得いってないとか知らないよそんなの! 脚が一体なんだっていうんだよ? 足首にタトゥーでも入っているの??)
考えうる予想を脳内で繰り広げながら花ちゃんに背中を向けてジッと待っている。
「あのね、振り向かないまま私の質問に答えてくれる?」
「……うん」
「あのね、太ちゃんのお仕事って、お客さんの腕や脚を見る事あるでしょう? そういう時って『腕や脚にムダ毛が生えてて見苦しい』なんて感じた事あったりする?」
「……ないけど?」
(ムダ毛??なんていう質問をいきなりしてきたんだこの姉は……)
質問にドン引きしつつも簡潔に即答してみるものの、やはりまだ花ちゃんの真意が掴めない。
「えっ……ないんだ?! なんか意外……」
(ん?)
ただ、僕の「ないけど」に意外な反応を示した花ちゃんの声色には僕は首を傾げる。
「うん、無いよ。マッサージ用オイルを使うから確かに体毛を気にするお客さんが居たりするけど、カミソリで皮膚から血が出たりかさぶたになってたりする状態で来られても困るからね。逆にそういう時はオイル断ったりするくらいだし」
「そっかぁ……じゃ、生えてても気にしないんだ?」
「まぁね」
「そっかぁ……じゃあ、分かった。やっぱり太ちゃんに見せてみようって思う」
二度、タメのある「そっかぁ」を続けた花ちゃんがようやく僕に花ちゃんの側へ向くよう指示してくれた。
「いいの? 振り向くよ?」
「うん……」
(タトゥーがもし入っていたとしても体毛が濃いめだったとしても花ちゃんが好きな事に変わりはないんだから冷静に対応しよう……)
これだけ花ちゃんが勿体ぶっているのは何なのか……言われた通り僕は振り向き、ベッドの上で体育座りをしている花ちゃんの両足首に注目しながらベッドの周囲を歩き回って色んな角度から確認してみたけど、タトゥーどころかホクロもシミも見つからない。
「ん?」
「やだぁ……そんなジロジロ見ないでよ」
「だって、何も無いから」
「何も無いのは……そりゃ、そうだとしか言えなくて……」
花ちゃんはゴニョゴニョ喋っていて語尾がよく聞き取れない。
僕はベッドのそばに立ち止まって、膝を直角に曲げた花ちゃんの脚を真正面からよく観察してみた。
「手を組んでる部分が見えないからよく見せてよ」
「うん……」
(別に何も……ない、よなぁ)
もしかして組んでいる部分に何かあるのかもしれない思って手を離してもらっても、特徴的なものは何も見つからない。
変わったところといえば部屋着の長ズボンが昔履いてたみたいなショートパンツに履き替えられていたくらいで、脚は綺麗なままだった。
(っていうか脚よりも……隙間からチラ見えする下着の色の方が気になるんだけどそれは……)
見える角度的に、そっちの方が気になってしまう。でも今はそんなところ見てる場合じゃない。
「花ちゃんの脚、気にするような点は何もないよ。すごく綺麗だし」
「ほんと?」
僕の感想に花ちゃんは即反応し、真剣な目つきで聞き返してくる。
「本当だよ。寧ろ綺麗過ぎて自慢出来る脚だと思うけ……」
語尾の「ど」を言う手前で、花ちゃんが一体何を言おうとしていたのかをようやく理解した。
「えっ?」
「……」
(なるほど……てっきり脚に何かがついてるのかとばかり思い込んでいたけど、その逆だったんだ……)
寧ろ「綺麗過ぎる脚」というのが花ちゃんをここまで悩ませていたのかと知る。
「ねぇ花ちゃん、そのとっても綺麗な脚を……触っても、いい?」
僕の問いに彼女が頷いたのをしっかりと確認した上で、自分の指を綺麗な足指にそっと触れる。
「っ!」
僕の指が触れた瞬間、花ちゃんはヒュッと指先をためらうように引っ込めた。
「僕の指が冷たいんでしょ? 今まで花ちゃんが手を握ってきてたから気付いてると思ってたけど、僕は花ちゃんよりも表面温度が冷たいんだ」
足の反応が可愛くてクスッと笑って説明した僕に
「えっ? 太ちゃんって冷え症なの?」
と花ちゃんはすかさず訊いてくる。
「冷え症の自覚はないけどそうなんだろうね。食も細い方だし、冬の時期なら尚更。だから仕事の時は必ずお湯で手を熱くするようにしてるんだ。そうしたらオイル使う時にお客さんの肌が心地よく感じるみたい。
でも花ちゃんは僕に、この脚を男性として見てもらいたいんでしょ? この冷たさは素の僕そのものだから、今夜はこの冷たさのままで居させてね」
花ちゃんの問いに対して充分過ぎる回答をしたところで、引っ込めた花ちゃんの足を冷たい指先で追いかけて、今度は足の親指に冷たい人差し指をツーッと滑らし優しく撫でてみた。
(凌太との時間の中で納得いってないとか知らないよそんなの! 脚が一体なんだっていうんだよ? 足首にタトゥーでも入っているの??)
考えうる予想を脳内で繰り広げながら花ちゃんに背中を向けてジッと待っている。
「あのね、振り向かないまま私の質問に答えてくれる?」
「……うん」
「あのね、太ちゃんのお仕事って、お客さんの腕や脚を見る事あるでしょう? そういう時って『腕や脚にムダ毛が生えてて見苦しい』なんて感じた事あったりする?」
「……ないけど?」
(ムダ毛??なんていう質問をいきなりしてきたんだこの姉は……)
質問にドン引きしつつも簡潔に即答してみるものの、やはりまだ花ちゃんの真意が掴めない。
「えっ……ないんだ?! なんか意外……」
(ん?)
ただ、僕の「ないけど」に意外な反応を示した花ちゃんの声色には僕は首を傾げる。
「うん、無いよ。マッサージ用オイルを使うから確かに体毛を気にするお客さんが居たりするけど、カミソリで皮膚から血が出たりかさぶたになってたりする状態で来られても困るからね。逆にそういう時はオイル断ったりするくらいだし」
「そっかぁ……じゃ、生えてても気にしないんだ?」
「まぁね」
「そっかぁ……じゃあ、分かった。やっぱり太ちゃんに見せてみようって思う」
二度、タメのある「そっかぁ」を続けた花ちゃんがようやく僕に花ちゃんの側へ向くよう指示してくれた。
「いいの? 振り向くよ?」
「うん……」
(タトゥーがもし入っていたとしても体毛が濃いめだったとしても花ちゃんが好きな事に変わりはないんだから冷静に対応しよう……)
これだけ花ちゃんが勿体ぶっているのは何なのか……言われた通り僕は振り向き、ベッドの上で体育座りをしている花ちゃんの両足首に注目しながらベッドの周囲を歩き回って色んな角度から確認してみたけど、タトゥーどころかホクロもシミも見つからない。
「ん?」
「やだぁ……そんなジロジロ見ないでよ」
「だって、何も無いから」
「何も無いのは……そりゃ、そうだとしか言えなくて……」
花ちゃんはゴニョゴニョ喋っていて語尾がよく聞き取れない。
僕はベッドのそばに立ち止まって、膝を直角に曲げた花ちゃんの脚を真正面からよく観察してみた。
「手を組んでる部分が見えないからよく見せてよ」
「うん……」
(別に何も……ない、よなぁ)
もしかして組んでいる部分に何かあるのかもしれない思って手を離してもらっても、特徴的なものは何も見つからない。
変わったところといえば部屋着の長ズボンが昔履いてたみたいなショートパンツに履き替えられていたくらいで、脚は綺麗なままだった。
(っていうか脚よりも……隙間からチラ見えする下着の色の方が気になるんだけどそれは……)
見える角度的に、そっちの方が気になってしまう。でも今はそんなところ見てる場合じゃない。
「花ちゃんの脚、気にするような点は何もないよ。すごく綺麗だし」
「ほんと?」
僕の感想に花ちゃんは即反応し、真剣な目つきで聞き返してくる。
「本当だよ。寧ろ綺麗過ぎて自慢出来る脚だと思うけ……」
語尾の「ど」を言う手前で、花ちゃんが一体何を言おうとしていたのかをようやく理解した。
「えっ?」
「……」
(なるほど……てっきり脚に何かがついてるのかとばかり思い込んでいたけど、その逆だったんだ……)
寧ろ「綺麗過ぎる脚」というのが花ちゃんをここまで悩ませていたのかと知る。
「ねぇ花ちゃん、そのとっても綺麗な脚を……触っても、いい?」
僕の問いに彼女が頷いたのをしっかりと確認した上で、自分の指を綺麗な足指にそっと触れる。
「っ!」
僕の指が触れた瞬間、花ちゃんはヒュッと指先をためらうように引っ込めた。
「僕の指が冷たいんでしょ? 今まで花ちゃんが手を握ってきてたから気付いてると思ってたけど、僕は花ちゃんよりも表面温度が冷たいんだ」
足の反応が可愛くてクスッと笑って説明した僕に
「えっ? 太ちゃんって冷え症なの?」
と花ちゃんはすかさず訊いてくる。
「冷え症の自覚はないけどそうなんだろうね。食も細い方だし、冬の時期なら尚更。だから仕事の時は必ずお湯で手を熱くするようにしてるんだ。そうしたらオイル使う時にお客さんの肌が心地よく感じるみたい。
でも花ちゃんは僕に、この脚を男性として見てもらいたいんでしょ? この冷たさは素の僕そのものだから、今夜はこの冷たさのままで居させてね」
花ちゃんの問いに対して充分過ぎる回答をしたところで、引っ込めた花ちゃんの足を冷たい指先で追いかけて、今度は足の親指に冷たい人差し指をツーッと滑らし優しく撫でてみた。
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